― レビュー ―
世界で大ヒットした3D男女関係シミュレータ
シングルズ 日本語版
Text by 松本隆一
3rd Dec. 2004


※本ゲーム,および記事には性的な表現が出てきます。そのへんをお含み置きの上,お読みください。


■ヨーロッパで大ヒットしたシミュレーションに日本語版が登場


キョウコちゃんとボブ。この二人をアツアツの関係に持っていくのが,ともかくの目的。キョウコちゃんの造形にはいろいろとご意見のあるところかも知れないが,からかっているうちに結構,情が移ってくるから不思議だ

 2004年のE3には,いわゆる"アダルトゲーム"が3本も出品され,それが軽く話題になった。「いわゆる」と書いたのは,欧米においてアダルトゲームといえば「GTA3」のような,暴力的な成人向けソフトが連想されやすいためで,らしくいえば「セクシュアルゲーム」とでもなるのだろうか。M指定(17歳以上)だが,別段問題なく普通のお店で買える。ともかく,そうしたタイトルがこんなにE3に揃ったのは初めてのことであるらしい。
 で,そのうちの一本が,これから紹介する「Singles:Flirt Up Your Life!」なのだ。もともとはドイツのデベロッパ,Rotobee Realtime 3Dが開発したゲームで,本国で発売されるやたちまち大人気,いきなりセールストップに躍り出たとか。その後,イギリスに本拠を置くEidosから英語版がリリースされ,ついにドイツ語版より約10か月遅れで待望の「シングルズ 日本語版」(以下,シングルズ)がズーから登場となったのだ(ちなみに,残りの2本とは「Leisure Suit Larry:Magna Cum Laude」「Playboy:The Mansion」)。

 

 というわけで,正直な話,シングルズはE3のときからこっそり楽しみにしていたタイトルの一つなのである。別にこっそりする必要はないが,私ももういい歳なので,そのへんは気を遣わないといけないのだ。で,どのくらい楽しみだったかというと,「ハーフライフ2」は発売から2週間遅れで買ったくせに,シングルズとLeisure Suit Larryは発売日にショップに駆けつけた,というのは誰にも言えない秘密だ。おまけに,Leisure Suit Larryの「Unuct/Uncensored」(ノーカット,ボカシなし)版が地元にないので,わざわざシリコンバレーまで買いに行ったというのは,もうほんと,老いた両親が聞いたら泣いちゃうような話なので誰にも知られたくないのである。

 

 さて,シングルズ。テーマは「同じアパートに同居している男女をイチャイチャさせる」という,分かったような分からないような内容。私は人間が古いので,「同じ家に若い男女が住んでいれば,放っておいてもそういう関係になるのではないか」と思うのだが,世の中どうもそうではないらしい。そういえば,私の周りにも男女で同じアパートをシェアしている人達がいるが,それぞれに彼氏,彼女がいるもんなあ。不思議。
 それはともかく,まずはキャラクター選びからだ。ゲームには男女14人が登場し,そこから一組のカップルを作ってプレイするのだが,今回は日本語版だけのスペシャルキャラクター「キョウコ」ちゃんでプレイしてみようと思う。ちなみに,男同士,女同士のカップルも作れるのだが(誰でも,というわけではない),今回はちょっと遠慮させていただいた。女同士ってのも悪くない気はするけど。

 

ボブのアパート。ヨーロッパの町並みがシックだ。狭いので,家財が増えてくると置き場所がなくなって困る 最初は他人行儀な二人だが,努力を重ねることによって親密度が上がり,やがてはいろいろ見せてくれるはず うち解けてくると,このように相手の前で下着姿でも平気になる。こんなこと,本当に世の中で起きるのかしら?
「熊のポシェット」も異論のあるところかも知れないが,ともかく,家事を二人でこなし,空いた時間はレッツ会話 とりあえず話しかできないので,最初はひたすら会話を重ねることだ。にしても,何を話してるのかしら? チューまで前進。こうしたシーンの二人の動きは非常に生々しく,見ているこっちがちょっと照れてしまう

 


■二人の仲がどうなるかはプレイヤーの腕前次第


似たようなシーンが続いて申し訳ないような気がするが,なにしろ登場人物はたったの二人で,場所も10メートル四方ぐらいなのだから勘弁していただきたい。というわけで,さらに親密になるとタオル姿でもオッケー

  さて,住居費を倹約したい日系二世の学生,キョウコちゃんのお相手になるアパートの持ち主は,適当に選んだボブだ。つまりゲームの舞台はボブのアパートとなった。そこへキョウコちゃんが引っ越してくるわけだ。それ以外に,室内をゼロからレイアウトするというゲームモードもあるが,基本的には誰を選んでも物語の背景となるアパートは同じで,ゲームはそこを一歩も出ることなく進んでいくのだ。
 プレイヤーは,室内の二人を交互にクリックし,会話させたり,食事を作らせたり,用便させたりして二人の関係を親密にさせていくことになる。また,生活資金を得るためには働かなければならないが,それは彼らが外へ出かけ,時間になると帰って来るという表現で表される。……って,あれ? どっかで聞いたような話だなあ。
 白々しくとぼけてみせたが,これはもう周知の事実。そう,本作のゲームシステムは驚くほど「シムピープル」「ザ・シムズ2」にソックリ,というか,ほとんど同じだ。シムシリーズから「男女交際」の部分をピックアップし,大人向けに過激にしてみました。といえば,ほぼ正解かしら。

 

 ここでこっそり打ち明けるが,私は「男女交際」が非常に苦手である。自慢じゃないが経験に乏しい。というわけで,「過激なシムズ」と聞いていたこともあり,開始早々さっそくキョウコちゃんを素っ裸にして「さあ,かかれ!」とボブの前に立たせてみたが,キョウコちゃんたら赤面して彼の前から逃げてしまうではないか。「ボブも裸にしないとまずいのかな」と思って,そうしてみたが,今度は二人とも逃げ出す始末。ありゃ! いきなり過激なことができるわけではないらしく,どうもこれは一筋縄ではいきそうもない。まあ,あったり前かな。読者の皆様も気をつけていただきたい。

 

 やはり最初は「おしゃべり」から始めて,順々に友愛を高めていくのが男女交際の王道なのであろう。家具を買い与えることで彼らにできる行為が増え,各種パラメータを上げやすくなるのも,おなじみのシステムだ。もっとも,スキルポイントは時間と共に溜まるようで,積極的にスキル上げをする必要はない。衛生や環境の値が低くても彼らの仕事などには影響しないみたいなので,こうなりゃ,ただもうひたすら会話会話会話である。風呂なんか入れてやらん!

 

 しかしボブの仕事,よく見ると「ギャング」である。こりゃまた驚いた。なぜギャングが定時に出勤していくのか分からないが,そういえばキョウコちゃんも「デザイン専攻の学生」のはずなのに,時間になると外出し金を持って帰ってくるところが,とても怪しいといえば怪しい。気の回し過ぎなんでしょうか?
 とはいえ,彼らはいつでもプレイヤーの命令を諾々と聞いてくれる訳ではない。「ロマンス」や「官能」の値を上げまくり,これまで使えなかったコマンド「ベッドで○ッキ○グする」が有効になったのに,なぜかこれを選ぶとボブもキョウコちゃんも頭を振って拒絶するのである。さて,これはどういうことだろう? シングルベッドだからいかんのだろうか? などと考え始めるところから,だんだんゲームにハマっていく仕掛けだ。それにしてもすごいコマンドだね,どうも。書いているほうも赤面してしまう。

 

 それに,「官能」値ってなんなんだろう? 「ちょっかいを出す」とは具体的にどういう行為なのだろう(見ているぶんにはただの会話に見える)。男女の間には,私の知らないことがまだまだたくさんあるようである。なにしろ,彼らは普通の人間には理解しがたい「シングルズ語」で会話するので,何を話しているのかちっとも分からないのだ。たまに日本語で現在の進捗状況めいたことを話してはくれるが,これまた結構ストレートな表現の多い,きわどい会話で,「どうもうまくいっているようだ」ということぐらいしか分からない。このあたり,ちょっと単調なきらいもあるが,要するに若い男女をイチャイチャさせるのは一苦労なのである。

 

「後ろから抱きしめる」コマンド発動。これでキョウコちゃんの官能度を高めることができるが,なぜだろう ビキニを着せてみる。下着は恥ずかしくても水着だと平気なのは世界共通。でも水着のほうが露出が多いような 安物のソファを売り払い高価なソファに買い換えたので,ちょっと眠るだけで疲れが取れる。惜しいアングルだ
このように,時折,彼らの考えていることがウィンドウに表示される。それにしても近頃の若い女の子って…… 外部に連絡できるのは電話だけだが,氏名不詳の友人とピザの宅配へしか掛けられないので,ちょっと寂しい キョウコちゃんのぎりぎりショット。カメラアングルに工夫のあとがうかがえる。これでプラトニックなんだからなあ

 


■もしかしたら大ブレイクするジャンル 今からやっておこう


 最初のもどかしさゆえ,状況が進展すると心の底からガッツポーズだ。毎日の会話のおかげで,いつしかキョウコちゃんとボブとの間には「羞恥心」がなくなったみたいで,試しに彼の前で素っ裸にしてみたところ,今度は全然大丈夫。面白がってボブも裸にしてみたが,キョウコちゃんは動じる気配もない。というわけで,今では二人とも,アパートに帰るなり裸で日々を過ごしている(私の趣味だ)。エッチというより,なんとなくシュールレアリスチックな光景である。でもねえ,ホントのカップルも,こういうものなのだろうか?

 

 もっとも,肝心の部分にはちゃんとモザイクがかかっている。以前から,私はモザイクを発明した人に,なぜこのようなものを発明したのか? と激しく問い詰めたい気持ちを持っている。何を隠そう,アメリカで市販されている英語版は胸にもモザイクがかかっており,二人で裸にすると画面がモザイクだらけになり目がチカチカしてくるほどで,がっかりだ。意外なことに,アメリカのほうが性的な描写にはうるさいのである(暴力描写には甘い)。その点,日本語版は1か所しかモザイクのかからない親切設計。しかも日本語版特典として,登場キャラクターに好きなポーズを取らせてスクリーンショットを撮影できる「撮影モード」も実装され,お得感倍増といえるだろう。

 

 しかし,全裸で会話しつつ「フレンチキス」や「後ろから抱きしめる」までするキョウコちゃんとボブなのに,なぜか,なぜかそこから先へとは進んでくれないのである。きっと何かが足りないのだろうと思う。それを見つけ,見事ベッドインするまで私はやめない。そして,成功の暁には勝利の雄叫びを上げることであろうが,来年46歳になるんです,私。未だにシングルだし。

 

 というわけで肩肘張らずに,空いた時間にちょっと何かという大人のユーザーには,もってこいのシングルズ。冒頭にもあるように,やや頭打ち感のあるFPSやRTSに続くジャンルとして,欧米のメーカーもこうしたセクシャルなゲームのリサーチに次第に力を入れつつあるとのこと(主流には成り得ないだろうが)。「シムズ2」の大成功とシングルズの成功が,その動きに拍車をかけるのは間違いないだろう。確かにシングルズはユーザーを選んでしまうところもあるが,ソフト全般を通して一発の銃弾も放たれず,一滴の血も流れず,一人も命を落とさない本作のようなゲームは,今後ニッチを埋めるジャンルを形成していくのかも知れないな。なんて,撮影モードで素っ裸のキョウコちゃんに親が見たら泣くようなポーズを取らせつつ,思ったりもするのである。

 

シングルズ「撮影モード」写真集
 せっかくだから,「シングルズ 日本語版」のスペシャル機能である撮影モードを使って,巨匠アラーキー松本と異名を取る私が撮影した,シングルズの女性達をご披露しよう。とはいえ,正直,けっこうポージングが難しくて苦労されられた。なので「ヘタだ」なんて言わず,ぜひアバンギャルドと言っていただきたいものだ。意味はよく分かんないけど。皆様もぜひ自分だけの写真集を作って,「いひひ」とか鑑賞してもらいたい所存である。ああ楽しい。

 

タイトル 「シングルズ 日本語版」
開発元 Deep Silver
発売元 ズー
発売日 2004/12/3
価格 8190円
動作環境 Windows 98/Me/2000/XP,Pentium4/1GHz以上(1.5GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 700MB以上,VRAM64MB以上のビデオカード,DirectX 8.1以降
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