― プレビュー ―
マイクロソフトの大ヒットRPGシリーズ第2作
マイクロソフト ダンジョン シージ2
Text by Murayama
2005年8月23日

 

■まずは前作までのおさらい

 

"ダークファンタジー"という言葉が似合う「2」。タイトル画面もどことなく重厚なイメージだ
 2002年5月17日に発売された「マイクロソフト ダンジョンシージ」は,ゴシックファンタジーの世界観を持つフル3DのRPGだった。独特の風景描写,個性的なボスキャラなど,当時のシングルRPGとしてよくまとまった作品だったといえる。ほかにも,最初の読み込みさえ終わればプレイ中はシームレス(読み込み時間がなくロード時間によってゲームが中断しない仕様)だったり,ボタン一つでパーティメンバーが適量のポーションを自動使用したり,パーティメンバーの「体制」をセットしておくだけで自動で戦ってくれたりと,プレイしやすい工夫の点でも評価されたタイトルだった。
 その後,2004年1月30日には「マイクロソフト ダンジョン シージ 拡張パック:アランナの伝説」がリリースされ,新シナリオが楽しめたことはもちろん,エフェクトの派手な「インビューアイテム」や,揃えて装備することで追加能力を発揮する「セットアイテム」が新たに登場。魔法も60種類が追加され,モンスターに変身したり,オーブと呼ばれる浮遊砲台を作り出したり,グリフという魔法の罠を設置したりできるようになった。さらにマップ機能の充実化,戦闘参加可能な新ペット「トラッグ」など,拡張パックの名に恥じない大幅なボリュームアップが堪能できたのである。

 そして2005年9月9日に,続編「マイクロソフト ダンジョンシージ2」がリリースされる。ここまでの流れを踏まえれば,プレイアビリティの向上はもちろん,「2」独自の新システムも期待できそうだ。そこで前作と適宜比較しつつ,「2」を紹介していくとしよう。

 

オープニングも同シリーズならではの迫力。文字のフォント(書体)にも気を遣っているのがよく分かる。今回は強大な力を秘めた「ザラモスの剣」と「アズナイの盾」がテーマになっている

 

今回,主人公はヴァルディス軍の傭兵として,親友のドレヴィンとともにドライアドと戦うことになるが……

 

 

■キャラクターメイキング


三種類の難度を用意。自分のキャラに合わせた冒険が楽しめるようになっている
 これまでの同シリーズのキャラクターメイキングは,種族,髪型,肌の色などを選択するだけだった。拡張パックでは選べる種族が追加されたものの,それはマルチプレイでの話で,シングルプレイでは一貫して人間しか選択できなかった。シリーズとしての変遷は下記のとおりだ。

・「ダンジョンシージ」
種族:人間(男/女),ドワーフ(男),スケルトン
オプション:髪型,頭髪の色,肌,シャツ,パンツ

・「拡張パック:アランナの伝説」
種族:人間(男/女),ドワーフ(男),スケルトン,ハーフジャイアント(男),ウトラエアン(男/女)
オプション:髪型,頭髪の色,肌,シャツ,パンツ

・「ダンジョンシージ2」
種族:人間(男/女),エルフ(男/女),ドライアド(女),ハーフジャイアント(男)
オプション:髪型,頭髪の色,肌

 こうして並べただけでは,「2」になっても大幅な変更はないように見えるが,「2」になって大きな変更点が二つある。一つはシングルプレイで人間以外のキャラクターを選択可能になったこと,もう一つは種族別に最初からスキルを取得していたり,能力に差が用意されたこと(前作までは種族の違いは容姿だけだった)。初期値がゲームにどれくらい影響するかはまだ不明だが,こうした違いがあることで,初期の種族選びは(わずかだが)より楽しめるモノとなった。
 キャラクターメイキングが終了するとゲームスタートだが,傭兵(レベル0〜39),歴戦の戦士(レベル40〜69),精鋭の勇士(レベル70〜100)という3種類の難度でゲームを楽しめる。現段階ではすべてを試していないので何ともいえないが,前作までと同じ仕様なら,難度を上げると敵が強くなる分ドロップアイテムも良くなると思われる。

人間 未使用のスキルポイント2,強靱性+2,敏捷性+1,知性+1,魔法のアイテム発見率+10%
ドライアド ナチュランルボンド1,ドッジ1,強靱性−2,敏捷性+4,知性+2,デス魔法への耐性+10%
エルフ クリティカルストライク1,ブリリアンス1,敏捷性+1,知性+3,マナ回復速度+5%
ハーフジャイアント フォーテチュード2,強靱性+6,敏捷性−2,ヘルス回復速度+5%

 

今回は選択した種族によって,見た目以外にも能力や初期スキルが変化する 新しく追加になったエルフ(左)とドライアド(右)

 

 

■キャラクターの成長にスキル制を導入


各キャラクターともに「近接戦闘」「遠隔戦闘」「戦闘魔法」「自然魔法」という4種類のスキルツリーを持っている
 本シリーズでは「近接戦闘」「遠隔攻撃」「戦闘魔法」「自然魔法」の4種類の攻撃方法が用意されていて,任意の攻撃方法を繰り返して使うほど,その攻撃方法に熟練し,より強力な武器や呪文を使用できるようになる。このシステムは「2」でも踏襲されているが,「2」ではこれにスキルという要素が加わった。
 キャラクターがレベルアップするとスキルポイントがもらえ,それらを好みのスキルに割り振るとダメージ修正がついたり,盾を装備できたり,特殊な樹木からマナポーションやヘルスポーションを採取できたりする。さらに修得したスキルの組み合わせで,"パワー"と呼ばれる技を習得できる。パワーは戦局を変えるほどの力があり,ボス戦などでは頼みの綱となることだろう。ちなみにパワーは1回限りの技などではなく,発動して一時的になくなっても戦闘を繰り返すことでゲージは回復し,ゲージがマックスになれば再使用可能だ(休憩では回復しない)。なおスキルとパワーの関係が分かりにくいので,ちょっと例を挙げてみよう。

 近接戦闘のスキルにはフォーティチュード(最大ヘルスを向上させる)とクリティカルストライク(クリティカルヒットを出しやすくする)といったものがあるが,それぞれスキルポイントを8レベルと6レベルまで上げると,「ワーリングストライク」というパワーを習得する。この技は周囲3メートル以内の敵に大ダメージを与えるばかりか,1.5秒間の気絶効果が付く。また,さらにフォーティチュードとクリティカルストライクの値を上げ続けることで上位のワーリングストライクの取得も可能。多種多様なパワーを修得するもよし,一つのパワーを極めるのもよしだ。
 ほかにも球体を召喚して敵を攻撃する,敵の注意を引きつける,ペットの周囲の敵を爆破する,味方全員をバリアーで守る,一定範囲の敵を凍らせるなど,魅力的なパワーが多数存在する。使いこなすことで戦闘はグッと楽になるが,こうしたシステムが導入されているということは裏を返せば,パワーを駆使しなければ倒せない敵が登場するということでもある。

 

スキルはポイントを割り振って「確定」を押さない限りは終了しない パワーを発動。フルキーの数字を押すだけで使えるので操作も楽

 

 

■ペットシステム


 ダンジョン シージでは,初代で荷運びラバが登場し,拡張パックではラバに加えて戦闘可能なトラッグが追加された。どちらも冒険者の代わりに大量の荷物を運べ,ポーションや売却予定のアイテムなどを輸送してくれる便利なキャラクターであった。とはいっても育成要素は皆無であり,どちらかといえばそれほど愛着を感じる存在ではなかった。
 そうしたことを考慮してか,「2」ではペット関連の要素も充実。序盤ではおなじみのラバ,アイスエレメンタル,スコーピオンクイーンなどをペットにして一緒に冒険できる。β版の序盤をプレイした限りでは,ペットショップの商品スロットに空白部分が多かったので,ほかにも多数のモンスターなどをペットとして従えられそうだ。
 ちなみにペットの育成は,不要なアイテムを食べさせる(?)ことで行う。与えるアイテムの種類に応じて伸びるパラメータが変化するほか,新生期,未熟期,年少期,思春期,青年期,成熟期といった6段階のランクが用意されていて,プレイキャラクターと同じようにパワーを修得するほか,周囲に恩恵を与えるエマネーションというオーラが使えるようになったりする。前作までは移動する金庫でしかなかったペットが,ようやく頼もしい仲間として活躍しそうである。

 

ペットはアイテムを食べることで成長する。アイテムの種類で伸びる能力も変化 6段階の成長を見せるペット。まだ見ぬエマネーションに期待が膨らむ 序盤のペットショップでは三種のペットを販売している。ダイアウルフの噂も聞ける

 

 

■武器,防具,指輪,魔道書,そしてエンチャントアイテム


 これまでと同様に「2」でも,ランダム生成される魔力を秘めたレアアイテム,特定の銘がついたユニークアイテム,特定の銘を持ち全種類集めて装備するとさらに新能力を発揮するセットアイテムが登場する。そして「2」ではこれらに加えてアイテムのエンチャントが可能になった点も魅力的。
 エンチャントは「上質の」「特上の」「至高の」「伝説の」といった称号の付く武器/防具/魔道書/リングなどをエンチャントショップに持ち込み,エンチャント専用の材料と合成することで行われる。ちなみに,ベースとなるアイテムの称号が良ければ良いほど強力なエンチャントが可能なので,これまでランダム性に頼り切っていたアイテムだが,エンチャントをうまく使えば充実した装備を作り出すことが可能になりそうだ。

 

エンチャントの材料屋。材料の大きさはエンチャントに影響する エンチャントはベースアイテムに特殊な材料を使って合成する

 

 

■ジャーナル,モンスター辞典などデータ閲覧機能も充実


 テキスト関係の要素も充実している。初代と拡張パックでは,進行中のクエストや世界の断片的な情報を「本」という形で確認できた。「2」では,ジャーナルなどの機能も強化されていて,現在進行中のクエスト/サブクエスト,戦闘経験のあるモンスター,ゲームで攻略のカギとなるようなアイテムについては,一覧表示と詳しい解説が読める。
 これらは空スロットを埋めていくという感じなので,本作をどれだけ攻略しているかということが一目で分かるのだ。また,ハンドブックと呼ばれる項目ではゲームのTIPSが見られるので,操作などに困ったら覗いてみるとよいだろう。

 

現在進行中のクエストなどもこのとおり。次に何をすべきかもバッチリ モンスター辞典。スロットを埋めていく遊び方も。レアモンスターも存在するのか? 拡張パックで好評のマップ機能も踏襲。地形の位置関係が一目で理解できる

 

 

■マルチプレイヤーモードは3種類


 また「2」では,インターネット,LAN,GameSpyを利用したマルチプレイに対応している。GameSpyでのプレイはサーバー側にキャラデータが保存されるため,チート対策されたばかりではなく,どのPCからでも自分のキャラでプレイできるという点は嬉しい限りだ。
 またマルチプレイヤーモードも3種類用意され,プレイヤーの好みにあった形でプレイできそうだ。

クラッシックモード:メインキャラクターのみで冒険。最大参加プレイヤー数は4名。
カップルモード:メインキャラと仲間orペットを同行させて冒険。最大プレイヤー数は3名。
パーティモード:メインキャラと最大2人の仲間orペットを同行させて冒険。最大プレイヤー数は2名。

 ちなみにマルチプレイヤーモードは,シングルプレイヤーモードのキャラクターを転送してプレイ可能(逆は不可)。シナリオ内容は基本的にシングルプレイヤーモードと同様だが,なぜかACT1の途中からスタートする(そこまでの経緯がかいつまんで表示される)。
 なお,マルチプレイヤーモードで新しくキャラクターを作った場合,レベル1のキャラでACT1の途中からゲームが始まると苦戦を強いられるのでは? と思う人もいるかもしれないが,救済処置として「近接戦闘」「遠隔攻撃」「戦闘魔法」「自然魔法」から一つを選んで3レベルまで上げられる。もちろん,レベルアップに合わせてスキルポイントも取得するので安心してもらいたい。

 β版をある程度プレイした感触としては,「2」になって革新的という変化はなかったものの,前作の弱点を見事に克服しているようにに思えた。スキルシステムなどによってキャラクターの育成にも幅が出たほか,ペットシステムの強化には大喜びのプレイヤーも多いのではないだろうか? ほかにもゲームの演出上,ケレン味が追加された事もあって,前作まではどことなく没個性だったNPC達にも若干だが魂が吹き込まれたように思える。中盤以降の展開や演出についてはレビューの方でしっかりと紹介するので,そちらもお楽しみに!

 

GameSpyでのマルチプレイも対応。キャラデータがサーバー側というのもよい 3種類のゲームモード。ペットを連れて冒険できるカップルモードは人気が出そう β版なのでロビーにはほとんど人がいなかったが,リリース後は賑やかになるだろう

 

 

タイトル マイクロソフト ダンジョン シージ 2
開発元 Gas Powered Games 発売元 マイクロソフト
発売日 2005/09/09 価格 7140円(税込)
 
動作環境 Windows XP,Pentium III/1GHz以上(Pentium 4/2.5GHz以上),メモリ256MB以上(512MB以上),空きHDD容量2.5GB以上,グラフィックスカード:32MB以上(64MB以上),DirectX9.0c

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