― レビュー ―
鉄道マニア狙いのパワーアップキット第1弾
A列車で行こう7 トレイン コンストラクション
Text by UHAUHA
2005年6月22日

 

■A列車で行こう7のパワーアップキット第1弾が登場

 

「A列車で行こう7」のパワーアップキット第1弾「トレイン コンストラクション」。62種類の追加車両と,独自にカラーリングとパラメータを変更した列車を作れる。こんな何とも"えげつない"カラーリングにもできるのだ
 鉄道経営シミュレーションゲームとして,かつて多くのファンの支持を得た「A列車で行こう4」の後継である「A列車で行こう7」(以下,A7)。そのA7を拡張するパワーアップキットの第1弾,「A列車で行こう7 トレイン コンストラクション」(以下,トレコン)が発売となった。
 本作を導入することで,JR各社のほか,近畿日本鉄道,名古屋鉄道など私鉄各社を含む62種類の追加車両データと,オリジナル車両を作成できるエディット機能が使用可能になる。  あくまでパワーアップキットなので単体では動作せず,A7本体が別途必要になる。また,A7本体のバージョンをVer1.01以降に上げておく必要がある(本作にもVer1.01アップデートパッチが収録されている)。

 本作にはテストコースとして3種類のマップが用意されており,作成したオリジナル車両の走行チェックを即座に行える。A7本体のプレイ中のセーブデータも読み込めるが,トレコンでは線路の敷設などのゲーム機能は一切省かれており,作成したオリジナル車両の走行チェックにのみ使用可能だ。

☆テストコースをA7本体で遊ぶ方法
 サポート対象外(つまり完全に自己責任)だが,本作のインストールフォルダ内の"\A-Train7\Construction_Train\Data\NEWGAME"内にある,「A7-Course01.a7d」「A7-Course02.a7d」「A7-Course03.a7d」というファイルを,A7本体のインストールフォルダ内"\A-Train7\Data\NewGame\"にコピー(※移動ではなくコピーすること)すれば,A7本体でトレコン用テストコースを使って都市開発を楽しめる。逆にA7本体のマップデータも,トレコンの"\A-Train7\Construction_Train\Data\NEWGAME"フォルダにコピーすればマップ読み込み可能になるが,前述のとおりゲーム機能は一切省かれているので,あまり意味がないかもしれない。

 

トレコンのインタフェースはA7に準じており,各ウインドウのヘルプ機能も同様。すぐに操作できるだろう オリジナル車両は動力車,客車,貨車合わせて800種類まで保存可能だ。限界まで作れる人はいるか!?

 

今回追加された62種類の新車両を合わせると,合計168種類の列車が使用可能に。鉄道マニアもニンマリ

 

■誰でも簡単にオリジナル車両を作れるエディット機能


自分で作ったオリジナル列車が列車購入リストに並ぶ。使用する列車すべてをオリジナル列車にして楽しむ,なんてこともできるわけだ。しかもほかの人にもデータを渡せるので,パラメータなどはこだわって調整したい
 エディット機能は「車両エディット」「編成エディット」の二つに分けられる。本作の画面構成やインタフェースなどはA7と同様。A7をプレイした人であれば違和感なく操作できる。ウィザード形式で行なわれるため,初めて挑戦する人でも簡単に使えるはずだ。
 車両エディットや編集エディットで,同一のカラーリングやパラメータの車両を作りたい場合にはドラッグ&ドロップでコピーできるのは便利だ。

【車両エディット】
 車両は最大800台まで保存可能。同じ種類の車両で編成させるために先頭車,客車または貨車など1両ごとに作成&保存しておく必要がある。

 車両はテンプレートモデルで用意される先頭車,客車,貨車を含めて19種類あり,それぞれに外観を変更するテクスチャが数種類ずつ(1〜16種類)用意されている。テンプレートモデルのみ使用可能で,A7本体に収録されている車両,パッチで追加された車両,トレコンで追加された車両を変更できないのは悲しいところだ。

 車両外観のテクスチャを書き換えるエディット機能はついておらず,テクスチャのカラー変更のみ可能だ。カラー変更できる部分はテンプレートモデルにより異なり,例えばドアを含む車両上部,中央上段ライン,中央下段ライン,車両下部など4か所をRGBのスライドバーで調整できる。筆者は何とも下品なカラフル列車になることが多く,センスのなさに何度か嘆く羽目になった。

 ほかには最大乗車率に影響を及ぼす車両タイプ(通勤型,旅客列車,急行列車,地下鉄など9種類)や購入価格,積載量,運行費用など,車両自体の細かいパラメータの変更が可能だ。

【編成エディット】
 車両エディットは車両単位の管理だが,「編成エディット」は車両エディットで作成した車両を使い,列車編成の設定を行う。最大200編成まで編集&保存可能だ。

 最初に編成の列車タイプなどを決めるのだが,車両エディットで設定した列車タイプと,ここで設定した列車タイプが同一の車両のみ編成が組めるため,通勤型の先頭車に特急列車タイプの客車といった編成は組めない。逆に同じ列車タイプであれば車両の種類が違っても編成できるので,1両ごとに車両のデザインやカラーリングの違う,妙な列車を走らせられるのは面白い。

 ほかには最高速度,巡航速度,基本運賃などのパラメータ設定,そしてゲーム中に表示させる列車名,会社名,解説文などの入力ができる。とくに人にデータを渡す場合は,解説文に凝りたいところ。

☆オリジナル車両を使用する&人に渡す
 作成したオリジナル車両をA7で使用したい場合は,編成リストにある「出力ボタン」を押すことで,トレコンおよびA7本体の「列車購入リスト」に追加され,使用可能になる。一度出力して列車購入リストに加わったデータは,トレコンの車両&編成データを削除しても影響を受けない。

 "出力"して列車購入リストに登録されたオリジナル車両は,トレコンの列車購入リストから該当列車上で右クリックで削除する。列車購入リストには削除ボタンがなく,窓外へのドラッグ&ドロップによる削除もできないなど,ここだけインタフェースが異なり,ちょっと戸惑ってしまった(マニュアルやヘルプにしっかり書かれていたが)。

 なお,オリジナル車両をほかの人に渡す場合は,前述した"\Train\User"内にある列車IDフォルダを,そっくり渡すだけでよい。逆に人からもらった場合には,存在しない列車IDフォルダ名に変更して保存すれば列車購入リストに反映される。オリジナル車両を使って保存したゲームのセーブデータを渡す場合には,使用している列車IDフォルダも一緒に渡す必要があるので注意したい。

 

カラーリングはRGBスライドバーにより細かく調整できる。好みの色はパレットに保存しておくとよい 列車タイプから最高速度など列車パラメータも調整できる。すべてウイザード形式で進むので分かりやすい

 

車両リストよりドラッグ&ドロップで列車編成を設定する。列車タイプさえ同一ならば種類など気にせず編成可能 列車名や解説文はゲーム中に表示されるだけに,ほかの人にデータを渡すつもりなら,こだわりたいところ

 

■エディット機能は今一つ……追加車両が欲しい人向け


実際に運行中のオリジナル車両。何とも下品なカラーリングが泣かせる……このへんはセンスを問われるところだ。ちなみにVer1.01からは車両に列車番号の表示が可能となり,列車リストの判別がしやすくなった
 やはり本作のウリでもある車両エディット機能については,テンプレートモデルのみ使用可能な点,テクスチャ自体を変更する機能がない点(※マニュアルにはサポート対象外として.tgaファイルを直接変更する方法が簡単に書かれている)など,「え? これだけなの?」と強く感じてしまった。
 実際,エディット機能を使うにしても各パラメータ設定もテンプレートのものをそのまま使って色だけ変えるということが多く,車両価格や運賃などの設定も,A7自体に赤字によるゲームオーバーがないためか,「超高性能で激安な列車を……」というインチキ車両を作ろうという気も起こらなかった……というのが本音だ。

 個人的な感想を率直に言わせてもらえば,総合的に少々お買い得感が薄いかなぁという印象になってしまったが,62種類の車両が追加されてゲームで使用できるのが合計168車両となり,多くの実在する車両を使えるという点はポイントが高い。追加車両を走り回らせたいという鉄道マニアにはオススメできるだろう。というか今回のパワーアップキットは,「鉄道会社経営」や「街作り」ではなく,完全に「鉄道マニア向け」の内容といえる。

 今後も新たなツールのリリースや,過去/最新車両を含めた追加車両の充実を図っていってほしい。それに加えて新マップも,どんどん追加してもらいたいところだ。

 

オリジナル列車はテンプレートモデルのみ,カラーリング変更のみで満足できる人がどれほどいるか不明 テストコースが3種類収録されているものの,レール敷設などはできないので走行チェックのみに限られる テンプレートモデルの一部を紹介。今後,テンプレートモデルやテクスチャが増えることに期待したいところ

 

 

タイトル A列車で行こう7 トレイン コンストラクション
開発元 アートディンク 発売元 サイバーフロント
発売日 2005/06/17 価格 4725円(税込)
 
動作環境 OS:Windows 2000/XP(DirectX 9.0c以上),CPU:Celeron/1GHz以上(Pentium 4/2GHz以上推奨),メインメモリ:512MB以上,グラフィックスメモリ:64MB以上(128MB以上推奨)

(C)ARTDINK 2005 (C)CYBERFRONT 2005