松本隆一




ベロナービルに引っ越してきたマツモト。いきなり女友達が何人もできて超ラッピーかと思ったが,世の中そんなに甘くはなかった。翌日から,なんとなく忙しい割には何も起きない,いわゆる"日常生活"が始まったのだ
 幸せ探して45年。人生の達人,この私がお届けする「ザ・シムズ2」(以下,シム2)プレイレポート。成長し,結婚し,子供を作ることもできるシム2なら,中学生並の恋愛経験しか持たない私でも,憧れの"あーんなこと"や"こーんなこと"が可能なのではないか,いや,できないわけがない,という甘い期待を抱いてスタートした。
 ベロナービルに引っ越してきた自キャラ「マツモト」。引越祝いに集まった住人のうち,一人二人といい仲になり,前途洋々に見えたのもつかの間,マツモトは思わぬ方向に成長してしまう。まず,選んだ仕事がまずかった。夜勤の新兵(?)である。たちまち彼は軍隊オタク。衣装戸棚を買わないと着替えられない,ということに気づかなかったせいでマツモトは日夜軍服を着て活動するようになり,傍目にも相当ヘン。しかも,娯楽はPCゲーム。暇になるとPCゲームばっかりやってる。さらには,初日こそ来客があったものの,翌日からは誰も来ない。電話して我が家に招待しても親密度は大して上がらないし,しかも,いけてると思った女性,サマードリーム・ティターニアはどうやら人妻。えー。さらに加えて,なんか日々結構忙しいのである。

 食事を作り,食べ,シャワーを浴び,スキルを上げるために運動用具を買ったから,それで体を鍛え,鏡の前でロマンスの練習。仕事もしなきゃならないし,雑草が伸びたら,それを刈らなきゃならない。体力が落ちたら寝なきゃダメだし,PCやディッシュウォッシャーはしょっちゅう故障して火花を散らす。請求書を忘れていたら,変なトラックがやってきて,家財道具を差し押さえ。いやはや,一日なんて,ほんと,あっという間に経っちゃう。だが,軍事オタクで唯一の娯楽はPC。しかも女の子と仲良くなれない……。うーん,言いたかないけど誰かに似ているなあ,ちくしょう!
 しょせんはゲーム,と思っていたが,いきなり人生の切所に立っているような気がしてきた。もしこのままマツモトが「ウフフなこと」もできないまま年を食っていくだけだとしたら,やってる私も同じようなことになるのではないか。反対に,こんなマツモトでも結婚できるとしたら,私にもまだ望みがあるのではないか,ということだ。思わず私は現実世界のクラスメートの女の子にメールを出して映画に誘ってみたが,答えは「彼氏と行くからダメ」。やっぱり! マツモトの未来は松本の未来か?

便所掃除,庭の草むしり,そして夜勤の新兵の仕事,と恋をする暇もない。働きぶりを認められ,エリート新兵になったため,軍用車による送り迎えになったのは嬉しいが,夜のお仕事って,時間が不規則で健康に悪いのよ



 なにはともあれ,引き籠もっていちゃイカんであろう,と私は考えた。出会いが必要なのだ。で,マニュアルをひっくり返すと「公共区画に行ける」とある。町の中にはいくつかの施設があり,そこへ行けば誰かと会えるかも。いいぞ。直ちにマツモトはタクシー会社に電話し,仕事以外で初めて家の外へ出ることした。雑草なんぞ生やしとけ。

こんなことではいけない,とタクシーを使って公共区画への外出を敢行。行ったところはベロナービルマーケット。出会いを見つけるためには無精していてはいけない,ということだ。すでに日は落ち,あたりは暗くなっている

何人もの女の子にダメ出しをされたあと,奥のレジに意外な美人を発見する。お金を渡すとき,思わず手を握ってしまいたくなるようなタイプだ。緑色のエプロンもポイント高い。つい,エプロンだけの姿を想像したりして
 ベロナービルには,見たところ「ベロナービルマーケット」「431グローブストリート」「5ペンタメータ パークウェイ」の3か所の公共区画がある。シャワーを浴びて準備万端の私は,タクシーの運転手にマーケットに行くようにお願いした。ほかはなんの施設だかよく分かんなかったからである。着いてみると,そこはかなりの賑わい。ダーツなんか置いてあって,見慣れぬ人々がワイワイやっているではないか。
 よろしい。マツモト突撃。男なんか,話しかけられても無視し,見つけた女の子にガンガン声をかけるのである。なかには「回収業者」なんて変な名前の女性もいるが,構わない。とはいえ,「魅力」のスキルが低いのか,あるいは性格に問題があるのか知らないが,頭の上に灯るのはマイナス表示が多い。初対面でマイナスはどうかと思うが,何話してんだ,こいつ? だが,せっかくの機会なのでやめない。体力が尽きたら,ベンチで仮眠。食事もここで取り,トイレもここである。
 店の奥にいるレジ係の女の子は,名前をバーカーバージニアといい,今までの登場人物の中で一番可愛らしく見えた。食料品を買うついでに,話しかける。すると,どうだ。親密度のバーがみるみる上がっていくじゃない! 0から10,そして20,やがて50,……は,80!
 個人的には,現実にもこのような「親密度バー」があれば分かりやすくていいいのに,と思ってしまうが,いや待てよ,ないほうがいいかな。せめて夢だけでも見ていたいような気も……。それに,意外な人物,例えば角の煙草屋のおばちゃんのバーが満タンだった場合どうすればいいんだろう,ってのはあるわな。

下の親密度バーに注目しろ! しやがれ! 何度も何度もマーケットに通い,クドきまくったおかげで,バーの数値がグングン高くなっていくのが分かる。おしゃべりだけでここまで持っていくなんて,オレってかなり凄い



 それはともかく,マツモトとバージニア,いきなりいい感じである。彼女の潤んだ瞳は,間違いなくオレに惚れてやがる。私は人生経験が豊富だから,そういうことはすぐに分かるのである,ってのはてんでウソだが,とりあえずバーを100まで上げて,今日はさすがに退散だ。仕事もあるしね。とはいえ,公共区画での時間経過は普通の時間と一緒でなく,家に帰ると出かける直前の状態に戻っている。これは有り難い。

「金のなる木」を購入。これで,慢性的な資金不足も解消か? バージニアちゃんと結婚したら,またまたお金が必要になるに違いない。とはいえ,金のなる木だって? そんなうまい話があって良いのか,というのが次号の話題
 バージニアちゃんが我が家へ遊びに来たときのために,家具を買い揃えよう。まずラブチェアだ。うふふ。観葉植物だって買っておく。テレビもいるっしょ。体も鍛えよう。というのは,夜勤の新兵という不思議な職業ではどうしても他の人々と時間帯が合わないため,転職したのである。新しい仕事は運動員だ。何の運動をするのか分からないが,ともかく体力だけは付けておかなくては。って,もう,ウキウキ。電話もかけまくり,Eメールも送りまくり。ああ,バージニア,やるぞちくしょう。
 などと慌ただしく活動していたら,料理が中途半端だったのかなんなのか,レンジが火を吹いた。火事である。前作では2,3回,火事で一家全滅させたことがあるので,足が震える。ここでマツモトが死んでしまっては,元も子もない。というか,この連載はどうなっちゃうの? という感じである。幸い,ガスレンジが燃え尽きただけで事なきを得た。
 ところが好事魔多し。その夜,ウェンディなる泥棒が侵入してきた。飛び起きたマツモト。背後から羽交い締めにしてやろうと右往左往するが,そんなコマンドは出ない。どうすんのどうすんの,と思っている間に,せっかく奮発したラブチェア,テレビ,衣装戸棚など根こそぎ持っていかれてしまう。
 実のところ,自分でなんとかしようせず,即座に警察に電話すべきだったのであるが,マニュアルを読んだときは後の祭りだ。お金もほとんど無い。追い打ちをかけるように「バージニアがすでに家族の友達ではなくなった」というメッセージ! どうして? なんで? 慌ててベロナービルマーケットに飛んでいくマツモト。まあ,ほら,愛は障害を乗りこえて強くなるっていうし,などとゆとりをかましてていいのか? 次回へ続く。

家にも呼んだ。店外デートもした。一緒にテレビも見た。会うたびに,徐々にではあるが親密度が高まっていく。とはいえ,もうなんか,これ以上どうしていいのか分からないのも事実。恋愛経験の乏しさがここへきて出たか?

そんなことやってるから,罰が当たる。いきなり火事発生。死に物狂いで消火するマツモト。その夜には空き巣にもあったが,私がアタフタしていたせいで撮影できず。どうもすいません。とはいえ,そんな災難の合間にもロマンスのスキルを高めたり,体力を付けたりと大忙し


■■松本隆一(ライター/学生)■■
アメリカの大学でコンピュータサイエンスを学んでいる松本氏(45歳)に将来の夢を聞いたところ,「IBMあたりの,警備員になりたいなぁ。ねえねえ,あの警備員さんって,アメリカの大学出てるらしいわよ……とか言われたいじゃん」。松本氏は目を輝かせて語るが,そのために彼は今苦労している(しょっちゅう追試とかしてるし)わけで,せめてシムズ2の世界では幸福になってほしいと願ってやまない。


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