RPG 4Gamer.net Review
 

世界の特殊部隊が一堂に会して激戦を繰り広げる

ジョイントオペレーションズ
Text by 松本隆一
5th Jul. 2004

マルチプレイFPSの伏兵,ようやく登場!

精鋭特殊部隊員として,インドネシアに広がる反乱の炎に立ち向かうマルチプレイ専用のアクションゲーム。最新鋭の火器,戦闘車輌,ヘリコプターなどを使いこなし,過酷で激しいジャングル戦を勝ち抜くのだ!

 特殊部隊モノのアクションゲームと聞いて,思わず「うっ」とくる人。大規模マルチプレイと聞いて,さらに「ううっ」とくる人(筆者のことだが)に朗報! ここで紹介する「ジョイントオペレーションズ」(原題「Joint Operations:Typhoon Rising」。以下,JO)は,まさにそんなあなたのためのゲームである。

 2004年は大作ソフトが結構多く,JOは発売日が幾度も延期され,また発売前の情報も少なかったせいで,ちょっと地味な印象があった。だが実際にプレイしてみると,これが驚くほど面白い。2004年ベスト10ゲームにもランクインしてくるのではなかろうか。開発は「デルタフォース:ブラックホークダウン」(以下,BHD)で久々のヒットを出したNovaLogic社。日本ではマイクロマウスから7月23日に発売される。

 「敵味方に分かれたプレイヤーがネットを介して一つの戦場に集まり,戦闘車両や航空機なども使ってドンパチやる」という趣旨のゲームとしては,泣く子も黙る"バトルフィールドシリーズ"(以下,BFシリーズ)があるが,JOは明らかにBFシリーズのキラータイトルとして作られており,現代戦と第二次世界大戦(あるいはベトナム戦争)の違いはあるものの,ゲームコンセプトはほとんど変わらない。というわけで,BFシリーズの独走に歯止めをかけられるかJO,という感じも含めてプレイしてみた。

狙撃手以外,メイン火器はアサルトライフルなので,どのクラスを選んでもそれなりに普通に戦える トレーニングモード。ここで個人火器や各種車輌の慣熟訓練をする。ミッション形式になっている場合もある LCACにストライカーなどの戦闘車輌を搭載し,大部隊を一気に敵地に送り込める。各兵士の連携が重要だ

ゾディアックと呼ばれる小型ボート。渡海しなければ敵地に突入できないようなマップもあるので,練習すべし トレーニングモードで各マップの練習はできないため,最初は見知らぬマップが続出する。ちょっと困る 我が軍の勝利。デスマッチの場合,手練れの隊員がいれば十数分で勝負がついてしまうときがある。あ,終わった


世界中の特殊部隊から一つを選んでジャングルへ突入!

仲間とヘリコプターに乗って敵地に突入。緊張の一瞬だ。マップは広く,深いジャングルや海洋に連なる島嶼を再現したものばかりなので,徒歩で移動していると時間がかかりすぎ。輸送兵器の運用は大変重要だ

 JOの戦場となるのは,民族主義者の反乱で無政府状態に陥ったインドネシア。そういや「スプリンターセル パンドラトゥモロー」の舞台も東ティモールだったし,最近,何かと登場する機会の多い国だ。かくして国際社会は反乱鎮圧のため,各国の精鋭である特殊部隊をインドネシアに送り込み,"ジョイントオペレーションズ・フォース"を結成した,というのがゲームの設定。
 プレイヤーはデルタフォース,グリーンベレー,SAS,スペツナズなど7か国16種類の特殊部隊の一人となって戦闘に参加する。もちろんインドネシア反乱軍となって,小生意気な外国人特殊部隊をジャングルの養分にしてやってもいい。
 さらに,例えばデルタ内にも複数のユニフォームが用意してあったり,女性兵士を選べたりと選択の幅は広く,その手のマニア(筆者のことだが)にはかなり嬉しい。
 兵士のクラスは"ライフルマン" "機関銃手" "工兵" "狙撃手" "衛生兵"の5種類で,それぞれに使える兵器が異なる。個人的な印象では,どれを選んでもそれほど強さに違いはない感じ。強いていえば,この手のゲームにありがちだが「狙撃手強すぎだぜ」という雰囲気があるぐらいで,マルチプレイでも,狙撃手,衛生兵あたりが人気のようだ。しかし普通のM-16に「そこから当たる?」という距離から撃たれちゃったりもするし,要はプレイヤーの腕次第ってわけ。

 さて,それではいよいよお楽しみの車輌,航空機,船舶類の話だが,ズバリ言ってJOでの兵器の扱いはなかなか淡白だ。マップが途方もなく広すぎて,兵士が徒歩で移動するのが困難なので,搭乗兵器は欠かせない存在ではある。しかしBFでは兵器一つで前線の戦況がガラリと変わってしまうなんてことも起こり得るが,JOの兵器は戦闘においてはそれほど劇的な存在とはなっていない。
 戦闘ヘリのリアルシミュレータで有名なNovaLogicにしては予想外なことに,ヘリ(だけでなくすべての兵器類)の操縦は拍子抜けするほど単純化されており,簡単。「バトルフィールド ベトナム」でヘリの操縦に泣かされた(というか今も泣いている)私としては嬉しいが,筋金入りの飛び屋には不満が残るかもしれない。
 何はともあれ,味方を満載したヘリを預かる身として,戦地に着く以前に操縦ミスで全員を二階級特進させてしまう気まずさといったらない。JOは兵器の操縦に関しては,初心者にも優しい作りといえるだろう。
 特殊部隊という性格上,用意されている航空機はヘリコプターだけで,戦闘機などの固定翼機は出ない。船舶も大型ホバークラフト輸送艦であるLCAC(エルキャック)が目新しいが,ミサイル巡洋艦,空母といった大型船舶は登場しない。これは特殊部隊側と反乱軍のゲームバランスを取る必要があってのことだろうか。反乱軍側にも,名前は違うが同じ役割を果たす旧ソ連製の兵器類が同種,用意されている。個人的には,戦車が登場しないのが残念。M1なんか出てきちゃゲームにならないだろうけど。

敵の攻撃。各種兵器の射程は長く,しばしば,どこから撃たれたのかも分からないうちにやられてしまう。とほほ ヘリから見た地上の景色はフライトシム並の美しさ。対空ミサイルの攻撃はフレアを散布してかわすことができる 上空を行くのは味方のヘリだが,頭上からあたり構わず乱射するプレイヤーが多いので注意が必要だ

固定機関銃を撃ちまくる反乱軍兵士。機関銃は弾数の制限もなく,また銃身が焼けることもないので撃ち放題 船上から敵艦艇に向けて発砲する。機関銃でヘリでも船でも倒せるのは嬉しいが,船が大きく揺れて狙いにくい 陣地をめぐる撃ち合いの真ん中にヘリが墜落。生存者なし。こんな激しいことがマップのあちこちで起きる


目を奪うグラフィックス,しかも最大150人で対戦が可能!

リトルバードに特殊部隊員がハコ乗り。梢ぎりぎりの低空高速飛行で敵地に突入。かなり効果的な戦術

 グラフィックスは予想以上の出来。BHDのときによく言われたのが「ヘリから見ると凄いけど,降りるとイマイチ」だったが,JOでは地上も非常に良くできている。とくに下草の鬱蒼とした感じがリアルで,狙撃しようと伏せると,草が邪魔で目標が見えなくなるほどだ。もちろん,ヘリから見た地表の様子も素晴らしい。
 ゲーム中に時間が流れているのも目新しいところ。戦闘が進むにつれて太陽の位置が移動し,朝から昼,そして夕方から夜になってしまうのだ。太陽光線はかなり眩しく,日の出や日没時などは太陽を背にしたほうが確実に有利になる。夜は無明の闇で,ナイトビジョンの出番だ。

 マルチは,陣地を奪い合う"アドバンス・アンド・サーチ"をメインに,殺し合いの腕を競う"チーム・デスマッチ",一つのポイントをお互いに奪い合う"キング・オブ・ザ・ヒル",そして協力プレイを楽しむ"Co-op",と,お馴染みの四つ。
 一つの戦場に最大150人(!)が参加できるという点が最大のウリだが,全般にどのマップも非常に広大で,分散してしまうため,あまり人口密度は感じない。
 私がアメリカから接続しているからかもしれないが,仲間や敵がたくさんいてもそうガタつきはなく,ネットコードは優秀だという感じがする。ここらへんはさすが,「デルタフォース」シリーズのマルチプレイを長年続けてきた会社だけのことはある。
 不満をいえば,どのマップもジャングルと島々が舞台なので,メリハリが乏しいところだろうか。市街地や開けた土地などでも戦ってみたい,と思うのは筆者だけではあるまい。このあたりは,追加マップ/追加シナリオに期待したいところ。

 出るべきものが出つくした感のある第二次世界大戦ものFPSに,続くテーマが"現代戦"になりそうなゲーム業界。来年には「BattleField 2」のリリースがアナウンスされていることもあり,このJO,もしかしたらタイトルそのままに2004年から2005年にかけて台風の目みたいな存在になるかもしれない。特殊部隊好きは必プレイだ。

このように,日没や日の出の太陽に向かうと目標が視認しにくくなって具合が悪い。太陽を背にして戦うのだ 陣地内の武器庫,あるは武器置き場で兵士のクラスを変更可能。敵のヘリには,工兵となってスティンガーだ! パンッ! 一発の銃弾がオレ様を撃ち倒す。断末魔の悲鳴は意外にも結構情けなく「うわーっ」って感じ

輸送車での移動中は外部の景色を見ることが出来ず,割と危険。向かいにいるのはホームレスではなく狙撃手 突入してきた反乱軍兵士を撃ち倒したところ。着弾すると控えめに血煙が上がる。それ以上のゴア表現はない 川や入り江が多いので,地上車輌での移動には限界がある。じれったくなって走り出すと,ロケット砲の餌食

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