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"バケモノ"級を越えた翻訳テキスト量

 

4Gamer:
 ローカライズの進捗状況はいかがでしょうか。

河辺氏:
 翻訳は,基本的な部分は終わっていますよ。ただ,とりあえず翻訳しても,そのまますぐに組み込めるわけではないので,今は"調整中"というところですね。βテスト中には,「ああ,全部日本語になったね」というところまでお見せできると思います。それがどのタイミングかというのはこれからのがんばり次第ですね。
 今苦労しているのは,アイテム名とスキル名です。翻訳で重要なのは,"プレイのしやすさ" "スター・ウォーズらしさ" "語感の格好良さ"の三つです。このバランスをどうとっていくかで,頭を悩ませているんですよ。制作側としての落としどころはあるんですが,せっかくβテストをやるので,βテスター達の意見を聞いて,彼らに用語に魂を吹き込んでもらってからオープンしようと思ってます。

4Gamer:
 実は最近,4Gamerのフォーラムでもそういう(MMOゲームのローカライズ)話題があったんですよ。難しいですよね,英語のままがいい,カタカナがいい,和訳がいい,いろいろな意見がありますから。

河辺氏:
 こちらで翻訳の方針を決めてしまうのは簡単なんですけど,その方針だけで進めてしまうと,名前だけ見てもどういうものか分からないアイテムがいっぱい出てきてしまったりします。それじゃあ意味がない。そのへんは,「プレイしている人が気持ちいいと思える」ところに落ち着けたいと思います。だからこそ,βテスター達には忌憚のない意見を言ってほしいですね。

4Gamer:
 変な話ですが,本当の意味でのβテストになりそうですね。というのは,最近のMMORPGでは,βと銘打って実際はプロモーションの目的のほうが強い場合がありますから。SWGのβにも,多少はそういう側面があると思っていたんですが。

河辺氏:
 私としては,βテストですね。彼(チラッと横目でマーケティング担当の平岡氏を見て)は違うかもしれませんが(笑)。

4Gamer:
 じゃあ翻訳に関しては,βテスターのフィードバックを受けて,すでに実装済みのところでも変更していくということですか?

河辺氏:
 そうです。普通のβテストだとバグを見つけてもらうのがメインになると思いますが,すでに運用しているゲームですので,バグはそれほど多くないと思います。そうではなくて,「ここはこういう翻訳のほうが好きだな」とか,「これは分からないから日本語がいいかな」というフィードバックをたくさんいただけると嬉しいですね。

4Gamer:
 ではもう少し細かく,翻訳に関して要素ごとに伺っていきます。アイテムはどうでしょう?

河辺氏:
 アイテムは,基本的にはカタカナ表記にしようと思ってます。ただ一部,カタカナ表記ではどうしても意味が分からないというものが出てくるので,統一感には欠けるんですが,一部に関しては漢字かな混じりのものも入れようと思ってます。とにかく,プレイしやすさを優先するというスタンスです。

4Gamer:
 自分のキャラクターの名前はどうでしょう。漢字で名前をつけられますか?

河辺氏:
 それは残念ながらできません。いわゆるスラッシュコマンドと,キャラクター(クリーチャー,NPC含む)は英語のままです。
 ただし名前の下のファクションとかジョブタイトルはカタカナですよ。ルーク・スカイウォーカーはLukeSkywarkerですが,会話の中に出てくる場合はまずカタカナ表記が先にきて,そのあとに括弧付きで英文字表記が入ります。

4Gamer:
 ではスキル名はどうでしょう。翻訳が凄く難しそうだなぁと思っている部分なんですが。

河辺氏:
 ええ,大変です。語感からいえば,カタカナのほうがいいと思うんです。ただSWGの場合,馴染みのない英単語がかなり出てきます。しかし私は,スキルも一見して分かるものにしたいと思っていまして。
 ですので,若干漢字が混ざってくるかもしれません。まさに今,そういう調整をしているところです。

4Gamer:
 なるほど,期待しています。そのほかローカライズにあたって苦労した点を聞かせてください。

河辺氏:
 苦労したところ……それはもう単純に,量ですね(笑)。テキストが,滅茶苦茶多いです。私は大作と言われるRPGもこれまでにだいぶ手がけてきたつもりですが,普通のRPGの27,8本分はあるんじゃないでしょうか。
 加えて,アイテムやキャラクターに公式の用語があるというのも大変です。勝手に訳せませんからね。マイナーなキャラもいますので,公式表記を調べて整えていくので凄く時間を取られています。

4Gamer:
 ああ,確かに。公式表記を調べるのは大変そうですねぇ。ちなみにそのオフィシャルの日本語訳というのは,何を基準にしていますか?

河辺氏:
 実はオフィシャルといっても,一つに決まっていないんですよ。ものによって呼び方が違ったり,時代によって変遷していたりします。基本的には一番新しいものに合わせていますが,ベースにしているのはイースト・プレスさんから発売されている「スター・ウォーズ エンサイクロペディア」ですね。ただ当然新しいキャラクターは載っていませんので,それは新しい小説などの表記に合わせています。

4Gamer:
 翻訳って,ゲームのことやその世界のことがよく分かっていない人がやると,とんちんかんなことになってしまったりしますよね。

河辺氏:
 はい。ですが今回はそういうことを避けるために,スター・ウォーズに詳しい人間のみでチームを構成しました。しかも,ゲームのこともちゃんと知っているスタッフです。そういう意味で,非常に素晴らしいスタッフですよ。そのおかげでこれだけ莫大なテキストの翻訳を,わずか3か月という短期間で仕上げられました。

4Gamer:
 具体的な文章量ってどれくらいですか?

河辺氏:
 だいたい200万ワード(200万文字ではなく)でしょうか。

4Gamer:
 200万ワード! それはもの凄く多いですね……。シングルプレイのRPGでも,そんなのないですものね。

河辺氏:
 確か「ネバーウインター・ナイツ」で約100万ワードと宣伝されていたと思います。それでバケモノ級と呼ばれていたのですが,今回はその倍ということになりますね。最初は気が遠くなりましたよ。送られてきた文章ファイルのサイズが,テキストなのに単位がメガなんですよね(笑)。

4Gamer:
 想像を絶する量ですね……。あとローカライズに関しては,2バイトの対応に苦労したりという話もよく聞きますが,その点はいかがでしょう?

河辺氏:
 いや,その問題はありませんでした。もう今はUnicodeがありますので。確かに数年前は,そういう話もありましたね。そこで問題が出てプログラムが落ちたりとか。しかし今は,海外のタイトルでもそのあたりを考えて作られていることが多いので,まず問題になりませんね。

<掲載した画面に関しての注意>
・用語などは今後クローズβプレイヤーの意見を取り入れて変更される予定です
・開発中なので未訳,文体の未調整部分があります
・フォントは最終版ではありません

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