Text by 星原昭典
Photo by kiki

河辺正純氏プロフィール 「ウィザードリィ」「ウルティマ」など多くのRPGタイトルのローカライズを手がけたという，ローカライズの大御所。エレクトロニック・アーツでは，スター・ウォーズ関連タイトルのほとんどを担当している。また第8回CESA GAME AWARDSでグローバル賞海外作品部門に選ばれた「ニード・フォー・スピード」のプロデューサーでもあった。現在は「スター・ウォーズ ギャラクシーズ完全日本語版」に精力的に取り組み中。ゲームだけでなくグルメにもこだわりがあるという一面を持ち合わせており，エレクトロニック・アーツ社内で最もおいしい店を知っているという噂も。

4Gamer：
　本日はよろしくお願いいたします。ではまず，現在河辺さんが担当している仕事と，これまでに手がけてきた作品などについて教えてください。

河辺氏：
　今は，SWGのプロデューサーとして日本語版の制作のすべてをとりまとめています。翻訳もそうですし，当初はそれほどありませんが日本語版ならではのアレンジに関しても同様です。つまり，"インストールしてゲームをプレイする"というところはすべて担当しています。
　もう一つの質問の，今までに何を担当てきたかですが，実は日本語版の「ウィザードリィ」や「ウルティマ」にも携わっていました。あと渋いところでは「バーズテイル」もそうですし，有名な海外産RPGのタイトルのほとんど関わっています。あとエレクトロニック・アーツでは，（SWGで忙しくなった）ここ最近を除いて，ルーカス関係のタイトルのほとんどを担当しました。

4Gamer：
　もの凄いラインナップですねぇ。ではゲームについては，もうベテラン中のベテランですね。さて今回はSWGを担当するということですが，英語版はプレイしていましたか？

河辺氏：
　私自身，オンラインゲームはかなり好きですね。同じエレクトロニック・アーツだと，「ウルティマ オンライン」もプレイヤーとして楽しんでいます。
　SWGに関しては，元々映画「スター・ウォーズ」が好きなので，発売してすぐに買って……いや，買ってというか"せしめて"っていうんでしょうか……ルーカスに「ちょうだい」って（笑）。ただ当時は仕事が忙しくなってしまって，やり込んでいたとはいえません。もちろん，自分が経験したプロフェッションに関しては分かります。それ以外は，ほかのスタッフの意見をもらいながら進めています。

4Gamer：
　スタッフにやり込んでいるはたくさんいるんですか？

河辺氏：
　いますねぇ。「ほかにやることないのか」ってくらいやってる人もいますねぇ（笑）。

4Gamer：
　それはそれで頼もしいですよ。ところで，みなさんサーバーはどのあたりなんでしょうか？

河辺氏：
　やはり日本人の多いところが中心です。AhaziとかCorbantisとか。もちろんほかのサーバーもいますよ。

4Gamer：
　分かりました。では次に，日本語版のサービスが決定した経緯などを聞かせてください。

河辺氏：
　ご存じの通り，ルーカスアーツと弊社の関係は良好でして，以前から日本でもやりたいねという話はあり，ずっとタイミングを見ていたんですよ。最新拡張パック「Star Wars Galaxies：Jump to Lightspeed」（以下，JtL）で宇宙が入って，ようやくスター・ウォーズの"スター"の部分ができて，今回はちょうど良いタイミングだと思います。
　JtLが出てなるべく早いタイミングで始めたかったんです。一プレイヤーとしても早くプレイしたいと思いますし。大急ぎで作業しているため，最初は最小限のローカライズで始まることになると思いますが，遊ぶのに不自由のない状態までは持っていって，そこからだんだん遊びやすく改良していこうかなと思います。とにかく早く遊べるようにするのが第一目標だと思って取り組んでます。

4Gamer：
　SWGは，レベルではなくスキルベースの成長システムを持っていますよね。この要素が，同じスキルベースの仕組みを持ったウルティマ オンラインを好んでプレイする日本のプレイヤーに受け入れられやすいと見込んで，決まったのかななどとも思っていたのですが。

河辺氏：
　レベリング中心のゲームだと，コアゲーマー向けという部分があると思うんです。つまり毎日のように，しかも長時間遊べる人向けですよね。まぁ，僕はそれはそれでまた好きなんですけど，そういう人ばかりじゃないですからね。
　スター・ウォーズ作品の場合，MMORPGというよりもスター・ウォーズの世界観が好きで，興味を示してくれる人が多いようです。アメリカでもそうですし，日本でもそのようです。むしろ多くのMMOゲームはやったことがないって人が，興味を持ってくれている。その場合，"毎日毎日プレイしてこそ"というシステムは厳しいだろうなという意識は以前からありました。SWGは，そういうプレイもできるけれども，必ずしもそうではない。ゲームファンというよりは，スター・ウォーズファンに優しいシステムだと思います。
　もちろんコアゲーマー向けの要素もありますが，全体的には日本向きなのかなと思っています。

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