「土屋氏インタビュー」

土屋氏
■土屋 哲夫(つちや てつお)氏プロフィール
株式会社ナムコ 事業開発グループ LANエンターテインメント プロジェクトマネージャー。CS-NEOの仕掛け人で,元々は,大型のテーマパークやアトラクションの企画運営を行っていた。
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4G:
 評価,というと?

土屋氏:
 LEDZONEを始めたばかりの頃は,とにかく「Counter-Strike」を入れさせてくれ,というような"コンテンツ"のみに対するニーズが高かった。そういうところ(主にネットカフェ)は,とりあえずPCにCounter-Strikeを入れてみたりしていたようですけど,うまくいってません。

4G:
 彼らが失敗した理由はなんでしょうか?

土屋氏:
 ユーザーがしっかりと遊べるようになるまでのサポートが出来ていなかった。遊ぶ「環境」作りが出来ていなかったということでしょうね。まぁこれは昔もお話したことですけれど,Counter-Strikeのゲームとしての面白さ自体は折り紙付き,じゃあ遊ばれない理由は何か? という。

4G:
 蒲田店や池袋店を見ていて思うのですけれど,CS-NEOって,いわゆるPCゲームユーザーとはまったく違う客層ですよね。イベントなどではPC畑のユーザーもいますけど,日常的に遊んでるのは,パチンコ帰りの人や会社帰りの人だったりします。
 家でCounter-Strikeを遊ぶユーザーはお金を払わないのに,違うユーザー層はしっかりとお金を払ってくれている。これってマーケティングの妙なのかな,と感じたのですが。

土屋氏:
 まさにそうです。これは,いわゆるビジュアルマーチャンダイジングという考え方です。
 PC然とした筐体で,キーボートとマウスが置いてあるだけでは遊ばない人でも,いかにも「ゲーム!」という風な見せ方をさせることで,ユーザーの心理的な障壁を下げられるワケです。
 ある種のレストランやバーなんかと同じ理屈ですね。家で食べれば安いのに,わざわざ出かけてしまう。美味しいというのもありますけど,やっぱりそれだけじゃないんですよ。
 同じお酒でも,外の場合はロケーション代も含めてお金を払ってもらわないといけないわけで,普通より高いお金を払ってもいいかな,と思わせるだけの工夫が必要になるわけです。

4G:
 ならばレッドゾーンの場合,その"工夫"は具体的に何になりますか? アーケードならではの付加価値といいますか。

土屋氏:
 まずは雰囲気ですね。ここは,筐体などの作りを見れば一目瞭然ですね。
 あとは「コミュニティとしての場の提供」「遊ぶための細かいサポート/仕掛け」ということになります。

4G:
 「コミュニティとしての場の提供」というと,一昔前の格闘ゲーム全盛期のゲームセンターのような感覚でしょうか?

土屋氏:
 そうですね。私が思うに,やっぱり"その場で一緒に遊ぶ楽しさ"って重要だと思うんですよね。一緒に遊んでいれば,慣れない友達にあれこれ教えたりもできるし,ゲーム中の盛り上がり方も全然違う。
 変な喩えに聞こえるかもしれませんけど,雀荘や碁会所だってそうだと思うんですよ。なんで行くの? っていうと,コミュニティが出来てるからっていうのが大きい。

4G:
 ふむふむ。

土屋氏:
 重要なのは,ある非常に合理的で奥の深い陳腐化しないゲーム……というか"遊び"があった場合,そこに付くユーザーさんをケアしていくことで,ビジネスを築けるのではないか,ということです。

4G:
 韓国における「Starcraft」もそうなのではないか,と?

土屋氏:
 Starcraftといわず,奥の深いゲームという意味では,麻雀でも囲碁でもいいんです。
 本音を言うと,一番最初は麻雀をやりたかったんですが,残念ながら出遅れてしまいました。囲碁は1vs1ということで,ネットワークの価値/面白さを引き出しきれませんし,そういう意味で選んだのがCounter-Strikeだったワケです。
 麻雀においては,「麻雀ファイト倶楽部」が大成功しているワケですから,Counter-Strikeもある一定のプレイヤー数になって,相互作用する状態に入れば,一気に"遊び"として定着する可能性があると考えています。
 「遊ぶための細かいサポート/仕掛け」という部分に関しても,単に大会をやるとかだけではなくて,「講習会」のようなゲームの面白さ(奥深さ)を伝える活動を行っていく。そういった方向性が大事だと思いますね。

4G:
 ただそうなると,人件費や人材育成に問題が出てきませんか? 教えられるインストラクターを探したり育てたりするのも楽ではないと思いますが。

土屋氏:
 ご指摘の通り,ここは今現在,急速にLEDZONEのサービスを拡大出来ない理由でもあります。イベントなどもそうですし,筐体のバージョンアップなどもそれなりの作業が発生してしまいます。
 ただこのあたりは,ちょうどいま中央サーバー型の管理システムの開発などをして,体制を整えているところですね。またインストラクター的な人材も最小限で済むように,ゲーム内チュートリアルの拡張や店舗に用意する攻略マニュアルなどを充実させることでも対応していく予定です。
 今まではあくまで「実験店舗」という位置づけだったので,そういった準備は不十分だったのですが,一定の成果も出たことですし,次のステップとして,CS-NEOの設置台数を増やしていきたいと考えています。



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→「Counter-Strike:Source」の当サイト内の記事一覧は,「こちら」
→「カウンターストライク」の当サイト内の記事一覧は,「こちら」
→「CS:コンディションゼロ 」の当サイト内の記事一覧は,「こちら」

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