
〜オープンにはしていませんが,実はすでに日本語版のCamelot Heraldも動いています
4G
ところでタイムラグといえば,アップデートのタイミングなんかはどうなりますか? 日本に参入する海外のMMORPGがあるときには,毎回聞いているような気がするネタなんですが。
Evans
US版のパッチは1.6a,1.6b,1.6c……といった感じで,細かいものをどんどんあてていく形ですが,日本語版では1.6なら1.6を全部まとめてあてようかと思っています。文字周りの処理などを考えると,その都度翻訳して導入して様子を見て修正してまた導入して……というのは,結局のところプレイヤーをいたずらに混乱させてしまうことになりそうですし。
4G
なるほど。ある意味分かりやすい形ですね。じゃあ逆に,文字周りの問題がほとんどない状態だと同時にいけるということですか?
Evans
プログラムのバグフィックスレベルのパッチなら,ほとんど同タイミングでOKになると思います。ちょっとでも文字周りなどの修正が絡むと,その部分の翻訳やゲーム内に当て込んだときのテキスト処理の修正などを考えて,若干の時間が必要になるかもしれません。
4G
なるほど。それなら十分に納得ができますね。では日米の違いということでもう一つ,サーバーのメンテナンスについてはどうでしょう? 私(Murayama)はUS版もプレイしていますが,どうも日本のコアプレイタイムとUS版のサーバーメンテ時間がぶつかることが多くて悲しい思いをしています。パッチは同タイミングだと嬉しいのですが,サーバーメンテまで同タイミングだとちょっと……。
Evans
その点は大丈夫です。日本語版ではUS版とは異なる時間帯にメンテナンスを行うので,日本のプレイタイムにゲームが途切れてしまうことはないでしょう。余談ですがサポートについても,日本語版をMythic独自で運営するにあたって,日本人スタッフを雇用しました。ちなみにMythicには150人のスタッフがいて,内60人がカスタマーサポートという体制で「DAoC」の運営をしているんです。
4G
「DAoC」はサポートにも定評がありますが,なるほど,会社全体の1/3以上ものカスタマーサポートがいるんですね。……ということは,もしかして「Camelot
Herald」の日本語版もキッチリ用意されるんでしょうか? いまでもその片鱗は見えますが。
※編注:Camelot Heraldは,Mythicが公式に運営するデータサイト。最新のパッチ情報,メンテナンス情報,城の保有状況,プレイヤーのランキング,各種コンバットスタイルやスペルなどの情報が見られる
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Evans
もちろんです。Camelot Heraldはコミュニティの大事な部分ですから,ちゃんと日本語版も用意します。オープンにはしていませんが,実はすでに日本語版のCamelot
Heraldも動いています。ほら(と言って,隠しURLを見せてもらう)。
4G
……ここまで出来上がってるとは思いませんでした。いくらシステムが出来上がっているとはいえ,早いですね。
Evans
本気の度合いが分かってもらえましたか?(笑)
4G
でもちょっと待ってください。ゲーム自体は完成したものだし,日本人のカスタマーサポートも雇い,日本語版のCamelot Heraldもほぼ完了。ということは,思ったよりもサービスインまで近くないですか? あ,そうか。そこで問題になるのが課金やパッケージ販売などのビジネスレイヤーの話になるわけですね。
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Evans
そうです。そこだけはさすがに我々だけががんばっても進捗しませんし。
4G
なるほど。ではまずそこをがんばって決めていただきつつ,プレイヤーが楽しみにしているであろう正式発表の日程なども……。
Evans
そこは,9月にはなんとか動きたいと思っています。ところで話はちょっと逸れちゃうのですが,USで行ったMythic主催のファンフェスティバルとかご存知ですか?
4G
今年も9月に行われるやつですね。 "Roundtable"(円卓)という名前がカッコいいなぁ,と思ってました。
Evans
そう,それです。実はあんな感じのものを日本でもやりたいなぁ,と思っています。
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4G
おぉ,本当ですか?
Evans
規模などはさすがに同レベルで,とはいかないかもしれないですけど,日本でもぜひそういうことがしたいと思っています。まぁ,まずは正式サービスにこぎつけることが最優先ですし,そんな大規模なものでなくても,Webサイトコンテストなどさまざまなイベントなどを行うつもりでいます。
4G
そのときはぜひ取材/協力させてください。今日は長々とありがとうございました。
Evans
いえ,こちらこそありがとうございます。でも別の場所で続きをしませんか?

15時から始まったインタビューも,一段落してみれば20時過ぎ。5時間以上に渡って色々な話を聞かせてもらい(インタビューではない話が相当多かったのだが),その後の会食でも,Evans/Yvetteの両氏が刺身に挑戦するのを横目に,DAoC談義に華を咲かせられた一日だった。
今回の来日の本当の目的はインタビューではなかったので,こちらが質問をするというよりは,向こうから日本市場についての質問を投げかけてくるシーンが多く,彼らが日本市場についてかなり真摯に取り組んでいることは感じ取れた。いつだったか公式サイト"Camelot
Herald"で,"多くのプレイヤーに迷惑をかけたスタッフを解雇した"とのNewsが報じられたことがあり,筆者はMythicのその真摯かつプレイヤーに対する公明正大な態度に感心したことがあったが,きっとこうしたスタイルがプレイヤーにも評価され,事実上一作品しか抱えていない会社にも関わらず,ここまでやってこれているのだろう。
日本市場に過度な期待を抱いて参入してくるメーカーが多い中,「DAoCは,練られたゲームシステムを評価してくれる日本のコア層に楽しんでもらいたい」とコメントしていたEvans氏。このあたり,真の日本市場に対する理解があるようで安心できた。
Mythicとカプコンの間でどのような協議が持たれたのかは不明だし,片方だけの言い分を載せるのもフェアではないので掲載しないが,"日本展開はMythic自身の手で行われる"という形で決着がつき,DAoC日本語版は新たな一歩を踏み出したといえる。あとはリリースへ向けて順調に歩んでいくことを願うばかりだ。さまざまなトラブルはあったにせよ今後は続報も増えるだろうし,順調に行けば9月上旬にはクローズドβテストもスタートする。
……とこの記事を書いている間にも,内々で「スター・ウォーズ ギャラクシーズ完全日本語版」のリリース(こちらはすでに公になっているが)や「EverQuestII日本語版」の動きなどが飛び込んできている。大物MMORPGが続々と参入してくるこの日本市場の中で,DAoC日本語版がどんな活躍をするのか。その健闘に期待したい。
4Gamer.net
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