「Bloodrayne」 with Mark Randel #3
■流血アクションが豊富な,"爽快感"がウリの戦闘シーン
実際にBloodrayneで遊んでみると,ゲームパッドを用いたときのコントロール方法は,Xbox版で発売された「Halo」と同じように双方のアナログパッドを操作する方式が採られており,プレイステーション2やNINTENDO GAMEUBEでも感覚はほとんど変わらない。PC版では,一般的な3Dアクションゲームのように,キーボードとマウスを使う方式だ。
筆者の印象では,キャラクターの動きやカメラワークがNocturneよりも各段に軽快で,アクション性が重視されているところはむしろ「F.A.K.K. 2」のようなゲームに近いかもしれない。第三人称視点に固定で第一人称視点でプレイできないのは,主人公が横転などの激しい動きを繰り返すたびに方向感覚が失われてしまうためであるとのことだった。
4GN:
ブラッドレインの持っている武器ですが,あの両手のブレードが初期装備となるのですか?
ランデル:
そうです。ブレードは90cmほどの長さで,至近距離の戦いではキックなどと交えてコンボ技を出すこともできるんです。あと,腕からハープーン(クサリ)が出るようになっていて,それで敵を引きつけてブスリとやったり,血を吸ったりするわけです。
4GN:
その血を吸う仕草がセクシーというか,大胆なんですよねえ。前から羽交い締めにしたり,馬乗りになったりって。
ランデル:
見ていて楽しいでしょ。ブラッドレインはブレードと同時にいろいろな銃器も扱えて,どんなものでも敵の死体から盗み取ることが可能なんです。
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| ゲーム中で影のあるキャラクターという役どころからか,ブラッドレインの正面からのショットは暗がりに立っているシーンが多いようだ。ワンポール氏の話では,牙の白さを効果的に演出しているとのこと |
4GN:
敵となるのは,ほとんどナチス兵なんでしょうか?
ランデル:
ええ。ただ,先ほどジャーゲンのことをナチス党員と説明しましたが,実際にヒトラーがドイツ労働者党のトップについて"ナチス"という名称が使われるのは,1930年になってからなんですよね。Bloodrayneでは,三つあるうちの最初のミッションが1927年に設定されているので,厳密にはまだナチスとはいえないんです。
敵の話に戻しますと,最初のミッションはルイジアナの湿地でミュータント化したクモがたくさん登場してきますし,ゲームの中盤には先ほどお話ししたレリックの効果で,さまざまな系統のモンスターも登場してきます。まあ,これ以上は「お楽しみに」ということで。
4GN:
デモでは,なんかエビ人間のような,一見ひ弱そうなモンスターもいましたが。
ランデル:
ああ,あれはドイツ軍の実験で生まれたもので,頭部と脊髄だけなのにゾンビのようにピョンピョンと跳び回っているんです。
4GN:
謎解きとかの比重はどうでしょう?
ランデル:
本作はパズル要素をできるだけなくし,アクションとムービーシーンでストーリーを展開していきます。謎解きの要素は,壁の亀裂を見つけて隠し部屋に入ったり,ドアを開けるために別の部屋のスイッチを探したりという程度ですね。
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| 第1ミッションでミュータント化したクモの謎を追ってルイジアナに向かうブラッドレイン。早くボスキャラを倒さなければ,そこら中クモだらけの状態だ |
4GN:
なるほど。では,Bloodrayneで使用しているゲームエンジンの特徴を教えてください。
ランデル:
私が中心となって開発したTerminal Reality社最新のInfernalエンジンを使っていまして,どんなプラットフォームであろうが問題なく移植できてしまうというのが大きな特徴になっています。
4GN:
プレイステーション2は,とくに開発や他機種との互換性の難しさが指摘されますが……。
ランデル:
もちろん,プレイステーション2も含めて簡単に移植できますよ。プレイステーション2はテクスチャメモリの少なさから十分なアートを表現できないという難点がありますが,それを回避する技術を開発しました。まあ,プラットフォームによってどれも長所と短所があるのですけど,カラーパレットの違いで色合いが微妙に異なっている以外はほとんど差はないはずです。Xbox(とPC)が,Per-Pixel Bump Mapping(ピクセル単位でバンプマッピングを調節するシェーディング技術)ができるというくらいですかね。
4GN:
NocturneもDirect Lightingを使った初期のゲームで,何よりあのトレンチコートの揺れが斬新でしたね。
ランデル:
あのシミュレーション技術はBloodrayneでも新バージョンを搭載していて,主人公の髪の毛の揺れや,旗,カーテンなどに使っています。この新バージョンは,ブレードで布地を切り裂くなどといったインタラクティブ性を持たせていて,カーテンを破くと後ろに秘密の通路があった,というような演出も可能になりました。
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| ゴシック調の教会から推定して,おそらくドイツ深部のミッションらしい。彼女はナチスの陰謀を止めるだけではなく,母の仇である父親との再会も果たすことができるのだろうか? |
4GN:
布以外にもオブジェクトを破壊できますか?
ランデル:
もちろんですよ。銃器の大きさにもよりますが,木の箱や椅子,柱など,銃撃によって破壊できるものはいっぱいあります。本作には教会に立て篭もるナチス幹部のボスと戦うシーンがあって,彼は巨大なマシンガンを取り付けたような装置を操ってブラッドレインと戦うのですが,長椅子の列がバラバラと破壊されていくシーンは視覚的に凄いものになっているはずです。
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| 自慢のクローズ(布)シミュレーションがグレードアップし,旗やカーテンなどに銃痕が付いたり,ブレードで切り裂いたりできるようになった。Bloodrayneは,技術的にも気になる一作だ |
4GN:
視覚的効果といえばやはり殺戮シーンの過激さが特徴的ですが,映画「マトリックス」のようなスローモーションでのアクションシーンもありますね。
ランデル:
あれは,"レイジ"(怒り)モードといって,ブレードの使用を重ねることで画面左隅のレイジ値が溜まっていき,赤く点滅し始めれば発動できます。敵に囲まれているときなどはとくに発動しやすくなっているので,まさしくあの映画のようなアクションが楽しんでいただけると期待しています。
画面が赤っぽくなり,一定時間だけすべての敵キャラクターや銃弾の動きが遅くなるのですが,ブラッドレインだけは通常通りの動きが出来るんです。もっとも,ゲームが進行していくうちにレイジモード中にもブラッドレインと同じ速度で移動している強力な敵のキャラクターも登場してきますけどね (笑)。
4GN:
最後になりますが,今後の予定は?
ランデル:
今はBloodrayneの追い込みで忙しくて,みんなここ2,3日泊りがけで頑張っているんです。Majescoは我々に良くしてくれているんで,(彼らにとっても初のマルチプラットフォームとなる)このゲームがヒットしてくれたら嬉しいですね。
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| Terminal Reality社を支える3人衆。右から同社社長でプログラマーのマーク・ランデル氏,Bloodrayneのリードデザイナー,ジョー・ワンポール(Joe Wampole)氏,そして同ソフトの総合プロデューサー,ジェフ・ミルズ(Jeff Mills)氏 |
ハロウィンに向けて急ピッチで開発されているBloodrayneは,シングルプレイヤー専用ゲームながらも,爽快なアクションと大人向けの描写が気になるゲームだ。実はこのインタビューで何度も比較作品として登場したNocturneは,アメリカでは技術力の高さとテーマが受けてカルトヒットとなり,「Max Payne」などのゲームタイトルの版権を次々と押さえているCollision Entertainment社により映画化されることも決定している。
BloodrayneはNocturne以上に映画的な素材であり,有望な将来が待っていると考えられる。Bloodrayneの日本での正式販売の話は聞かないものの,英語版でも十分に楽しめそうだ。
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