「Bloodrayne」 with Mark Randel
#2


■17歳以上をターゲットにしたキャラクターゲームの登場!?

 Terminal Reality社のあるルイスビル市は,ダラスの中心街から北西に車で30分ほどのところ。少し前までウシと廃車の残骸ばかりだった田舎町も,ダラスの衛星都市として急速に成長しており,同じような作りの家屋や平屋型のショッピングモールが連なっている。
 実は筆者は3年ほど前に1度Terminal Reality社を訪れたことがあるのだが,そのときとは異なる住所へと引っ越しており,この会社が順風満帆であることが分かる。受け付けで待っていると,しばらくしてマーク・ランデル氏が出てきた。

forGamer.net(以下,4GN):
 5月のE3では,ちょっとすれ違っただけでしたね。
マーク・ランデル(以下,ランデル):
 会場でも「Bloodrayne」を試してみてくれました?
4GN:
 ええ。ただそのときは開発者や担当の係員がいなかったので,自分でちょこっとプレイしただけなんです。でも,こういうノリのアクションアドベンチャーゲームが最近なくなってきたんで,非常に興味があるんですよ。それにしても,随分と感じの良いオフィスに引っ越しましたね。
ランデル:
 たった数年でこれだけ成長したのが自分でも信じられないんですよ。今は外部のテスターなども含めて70人ほどの所帯になっており, ほかにも二つのプロジェクトが進行しているんです。今日はまだBloodryaneしかお見せできないですけど(笑)。
4GN:
 では,今日はBloodrayneの説明をじっくりとお願いいたします。1930年代を扱っているということで,雰囲気としてはNocturneと似ている気がしますが。
ランデル:
 まあ超自然現象などを題材にした,テレビドラマの「Xファイル」のようなテーマであることは共通していますね。Bloodrayneというタイトルは,主人公の名前そのままで,彼女は半分人間,半分がヴァンパイア(吸血鬼)という特殊な生き物なんです。人や生物の生き血を吸うことで体力を回復するという特殊能力を持つほか,超人的な動きで敵を撹乱することができるのです。そして彼女に目をつけたアメリカの秘密組織が,ヨーロッパ戦線前夜に勃発する超自然現象を調査/沈静化させるために,ブラッドレインをエージェントとして雇用したのです 。
体力がなくなれば,その辺にいる敵に飛びついて血を吸い上げることで回復できる。対象となるのは人間でなくともいいらしい
4GN:
 Nocturneでは,プレイヤーは主人公"ストレンジャー"の背景などについてほとんど知らされることはありませんでしたが,ブラッドレインの過去についてもベールに包まれたままになるのでしょうか?
ランデル:
 いやいや,そんなことはありませんよ。今回は,キャラクターゲームという要素も強いので,主人公に関する情報をプレイヤーに与えて,ブラッドレインについてもっと知ってもらおうと思っています。  かいつまんで話すと,ブラッドレインはもともと"レイン"という名のアメリカ人ティーンエイジャで,1932年にヨーロッパで殺略行為を繰り返しているところを取り押さえられたという過去を持っています。彼女は,自分が手をかけた被害者はすべてヴァンパイアであり,その仲間である自分の父親の行方を探しているのだと話し,取り締まりの隙をついて姿を消してしまいます。その後レインは超自然現象が関係する犯罪に対抗する地下政府組織"ブリムストーン・ソサエティ"に拾われ,その能力を買われてコードネームを"ブラッドレイン"というエージェントとして活躍することになるのです。


とにかくグラフィカルな描写の戦闘シーンでは,ブラッドレインのブレードによって血と肉が飛び散る。ゲームにはミニマップが用意されていないが,それは「死体がゲーム中ずっと残っているから,すでに通ったところかどうかも判断しやすい」(ランデル氏)からだそうだ
4GN:
 なるほど,彼女自身がお尋ね者であるという,影のあるキャラクターですね。
ランデル:
 そうですね。元々彼女には人間の母親が父であるヴァンパイアにレイプされてできた自分という苦悩があり,さまざまな因果関係で父に対する憎悪を持っています。半人半吸血鬼の存在はダンパイア(Dhampir)と呼ばれているのですが,吸血による治癒能力を始め,驚くほどの身のこなし,オーラビジョンなど視覚的な能力も超越していて,文字通りブリムストーン・ソサエティの"殺人マシーン"であるわけです。
4GN:
 では,ゲームの最終的な目的はなんですか?
ランデル:
 ストーリーは,5年の月日を挟んだ二つの出来事が,どうやら一人の男と関連しているということが発覚して,急速に展開していきます。このジャーゲン・ウルフ(Jergen Wulf)という男は1930年代にドイツで急速に勢力を広げていたナチスの党員で,ナチスに世界を統一させるための究極のレリックを探し求めているのです。この実体を解明し,ナチスの陰謀を阻止するのがBloodrayneの目的となります。
4GN:
 ということは,舞台となるのはドイツを中心とするヨーロッパなのですね。
ランデル:
 いや,そうとも限りません。プレイヤーは,ブラッドレインを操ってルイジアナの湿原地帯からプレイを始め,ナチス軍の秘密潜水艦基地のあるアルゼンチン,そしてドイツの巨大な城へと移っていきます。レベル自体は40種類以上もある大きなもので,ある程度ノンリニアで進行できる作りになっています。史実とは異なりますが,フィクションの部分をうまく生かすために,1930年代の状況もなるべく取り込もうと努力しました。


画面写真の様子から,どうやらムービーシーンのように見える。なお,Bloodrayneにはゲーム中のムービーが豊富に用意されているのは間違いないようだ。ちょっと「マトリックス」や「Max Payne」っぽい雰囲気である
4GN:
 Bloodrayneにはとにかく血しぶきが多く,おまけに主人公の露出度がかなり高くなっていて,プレイヤーを選ぶゲームになっているようですが,プラットフォームによっては流血の度合いを変化させるとかするのでしょうか?
ランデル:
 いえ。それは考えていません。かなり初期の段階から本作を成人向けのゲームにすることが決定していて,アメリカではMレーティング(Mature/17歳以上のソフト購入制限 - アメリカの非政府機関ESRBによる倫理指標)と決まっています。
4GN:
 潔いですね(笑)。
ランデル:
 まあ,アメリカのゲーム市場で核となっているユーザー層というのが17歳以上ということを考えても,それほどソフトの売り上げに影響することはないという判断なんです。なにしろ,ゲームのデモを見せて「もっと血が出せないのか」と聞いてきたのが某大手コンシューマメーカーですから。もちろん名前は出せませんけど(笑)。それだけユーザー層が子供から大人へシフトしてきているのでしょうし,ボクらも「もっと血を流せます」って即回答(笑)。実際のところ,NocturneやBlair WitchもMレーティングでしたから,もう慣れっこなんです。


銃は両手に持てるようになっており,しかもターゲットを別々に合わせることもできるのが凄い

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