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ブラック&ホワイト     全3ページ 2/3

※ストラテジック コマンダーでプレイしてみる

Text by トライゼット 西川善司
27th Apr.2001

奇跡を起こして信仰を集めろ
 ゲーム中にさまざまなイベントやクエストがあるが,それらをクリアしただけではそのステージをクリアすることは出来ない。ステージクリアの絶対条件は,「その世界に住む全人類の改心」なのだ。
 ゲーム世界に住む人々は超自然的なことが起こると驚き,その奇跡(ミラクル)を起こした神に対して心が傾く。各敵地の村には,それぞれの神を敬う一定の信仰心パラメータが設定されており,敵の村で奇跡を起こして信仰心を奪ってやるわけだ。ちなみに驚かせることならなんでもいい。ここが異様に自由度が高く,このゲームの面白さでもあり,また逆に「取っつきにくさ」にもなっている。
 例えば,そこらの家畜を掴んで投げても人々は驚く。後述するクリーチャーのウンコを投げても彼らはたまげて心揺り動かされるのだ。より大量の信仰心を奪うためにはド派手なミラクルを起こす必要がある。これには,マナと呼ばれるプレイヤー神を信仰する民達の礼拝力(生け贄でもOK)が必要となるのだ(ウンコを投げるなどの地味なミラクルはマナは不要)。

クリックすると拡大します  そのミラクルには,大きく分けて生産的なものと破壊的なものの2種類がある。
 前者は人々の暮らしを繁栄させるために使用する。例えば,雨を降らせて作物の成長を促進したり,材木源となる森を出現させたり……などだ。後者は,懲らしめるための攻撃的なミラクル。火の玉を放って建物を焼き払ったり,雷撃で殺したりができる(容易に想像がつくと思うが,生産的なミラクルを多用するとアライメントは善の方向へ,破壊的なミラクルを多用すると悪の方へ移動することになる)。
 このミラクルはゲーム世界のどこでも起こせるかというとそうではない。自分を信仰する人々が住む村を中心とした円状の一定範囲内(*1)にしか起こせないのだ。村の繁栄の度合いに比例してこの円は大きくなり,より広い範囲にミラクルが起こせるようになる。つまり,遠く離れた敵地の村に介入するためには,今ある村を繁栄させるか,敵地付近に新たに村を起こす必要があるわけだ。
 はるか昔ポピュラス1&2では,自分の民の建物を敵地に向かって建てていけばすぐに敵地に介入できたが,B&Wでは,ただ建物を建てるだけではこの神力影響範囲を広げられない。建物にちゃんと人が住んでいなくてはダメなのだ。ゲーム開始直後にやたらめったら建物を建てて神力影響範囲を広げるようなラッシュ戦略は使えないわけだ。
 人を増やすには,人と人を結婚させなければならない。神ならそんなことも簡単。適当に人間をつまんで動かして異性の近くで離すと,そいつは「ブリーダーの使途」という天命を受けた人間(といえば聞こえはいいが要するにプレイボーイ/ガール)となり,やたらめったら子作りに励んでくれる。これは応用範囲が広く,畑のうえで離せば「農夫」の使徒,作業場で離せば「建築家」の使徒,木の近くに落とせば「森林学者」の使徒……などとなるわけだ。なんと簡単な,そして分かりやすいゲームシステム
(*1)実際には,この円をちょっとだけなら超えてもOK

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火の弾ミラクルを投げて敵の村を焼き払え! アライメントは悪に動くけど 森を出現させるミラクルは人々の生活を豊かにする。アライメントは善へ。でもちょっと地味 新しい世界は敵の神の好き放題。雷雨で視界の悪い中,どうやって自軍の繁栄を進めていけばいいのか

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ディスタントビューにするとうっすらと見える赤い円。これが神力影響範囲。この範囲を広げることがステージクリアへの鍵だ 敵の村信仰を完全に乗っ取ると,花火がうち上がってお祭り状態 「ブリーダーの使途」をたくさん作るとそこかしこでメイキングラブ状態。なんつう村だ

君ならどう育てる? 巨大動物神
クリックすると拡大します クリックすると拡大します  さてB&Wの看板キャラともいえるのが,クリーチャーと呼ばれる動物神。特定の動物を神として敬う信仰が世界各地にあるのはご存じだと思うが,B&Wではこれをデフォルメしてゲームに取り入れたわけだ。
 ちなみにこのクリーチャー,神の力の影響範囲外にも移動可能で,なんと敵地の村に直接影響を及ぼすことまで出来る。ここで「シャーマンと同じだ! 同じだ!」と大騒ぎしだすPTBファン(筆者)がでてきそうだが,ちょっと待った! PTBのシャーマンは相手の陣地へ直接赴き,プレイヤーの操作で敵地に蓄積マナに応じた任意の天変地異を起こせたが,B&Wの動物神はそれほど万能ではないのである。
 神力影響範囲外でプレイヤーがクリーチャーに出せる命令は,基本的には移動のみ(*1)。「なんじゃそりゃ。じゃーなんにもできないの?」 そう何もできない。
 そこがこのB&Wの本領。敵地に行ってからの行動は,クリーチャー自身に委ねられるのであった。つまり,クリーチャーを自軍陣地内で念入りに調教せねばならないのである。この調教というフィーチャーはいわゆる「ペットゲーム」や「育てゲー」の要素を取り入れているといえなくもない。ピーター,恐るべし。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  さて,このクリーチャーの調教の仕方も善悪アライメントに影響する。
 例えば畑に雨のミラクルを起こすように調教して敵地に送り出せば,敵地で敵の人民に感謝されるような行動をとる。一方,破壊系ミラクルや人間を喰らうような凶暴な性格に育てて敵地に送り出せば,敵地で暴れまくって人口を減らしたりして,恐怖心から来る信仰心が得られることになる。そう,前者は善行,後者は悪行とみなされるのだ。
 クリーチャーはゲーム開始時で選べるのは3種類。数々の小クエストをクリアしていくことで別の種類のクリーチャーが得られることもある。残念ながら一度に飼えるクリーチャーは一種類のみで,イベントで入手したクリーチャーを選択してしまうと,それまで飼っていたクリーチャーと「交換」ということになってしまう。クリーチャーごとに必殺技や得意なミラクルなども設定されているようなので,最初のプレイ時には積極的にクリーチャーを交換したほうがゲームは楽しくなるはずだ。
(*1)移動指示以外に,物を食べさせる,叱る,誉めるなどの調教行動もOK

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温厚な亀も,邪悪に育てればご覧のように角や牙も生えて某マ○オのクッパ状態 イベントをクリアすれば,ご褒美に新しいクリーチャーがもらえることもある 調教画面。いいことをしたら誉めてあげて,悪いことをしたら殴りつけて教育。これの積み重ねで自分のクリーチャーの性格が形成されていくのだ 温厚な性格に育てれば,村人とダンスパーティを楽しむようなことも!

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同種のクリーチャーを発見。両者性格が温厚ならば,一緒にダンスを踊ることもある 育て方が違うと,体格にも差が出る。肉に偏った食生活をさせていた筆者のクリーチャーはチビデブになってしまった。とほほ 敵神クリーチャーとの遭遇は戦闘に発展することも。戦闘シーンもリアルタイムだが,マウス操作だけでOK

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