ブラック&ホワイト
全3ページ 3/3
※ストラテジック コマンダーでプレイしてみる
Text by トライゼット 西川善司
27th Apr.2001
以下ちょっと問題発言(かな?)
B&Wは数々のアイデアが満載されたゴッドシムで,確かに面白い。ステージ後半の敵の強さとスピードは半端じゃないが,「ゲームスピードを最遅設定にして,一時停止を酷使し,セーブを超こまめにやれば」誰にでもクリアできるはずだ(そりゃそうか)。
ただ,通してプレイしてみると「なんでこうなの?」と思う部分もある。
まず,ミラクルの発動について。
ミラクルの発動は,マウスで一筆書きの模様を描いて行う「ジェスチャー方式」を採用している。いわばゲームに手書き認識テクノロジーを導入してしまったわけだ。これはこれで「凄い!!!」とは思うのだが,残念ながらゲーム性とうまくかみ合っていない。
例えば,ある地点にミラクルを発動したいと思う。発動したい地点を画面に出して,せっかく発動地点にマウスカーソルがポイントしているのに,いちどそこからマウスカーソルをずらし,画面でミラクル発動の模様を描かなければならないのだ。その後指定ミラクルがレディ状態になり,やっと発動箇所をマウスカーソルでクリックできる。
直感的な操作を目指したはずのジェスチャー方式は,一歩間違えるとプレイヤーに余計な手間を増やしただけになってしまっているのだ。認識率はまあまあだが,認識に失敗したときは数秒敵に対して遅れをとることになるのでリアルタイムゲームとしては致命的なミスとなる。また,このミラクルのメニューは階層メニューになってしまっているため,一覧性が欠如している点も頂けない。
それと,人々に対するコマンド発令が1人単位にしか行えないというのも,プレイ中ストレスが貯まる。本文では「ブリーダーの使途」について触れたが,同じ場所で触れたように,実際のゲーム中ではこのほかにもさまざまな仕事(?)をさせるための「使途」の任命ができる。
ところがこの使途の任命が,1人単位でしか行えないのだ。例えば建物の建設を行ってくれる「建築家の使途」を10人作りたいときには,「人をつまんで」「建物の近くに落とす」という2セットの操作を10回繰り返さなければならないのである。PTBでは,人の選択を5人単位で行ったり,ある特定の仕事を全人口に対するパーセンテージで設定できたが,こうしたことが行えないのだ。
それと,育てゲー要素を取り入れた"クリーチャーシステム"は非常にユニークで,序盤は楽しいのだが,終盤では敵が強力すぎてじっくり教育している暇がない。スピーディに進行するゲーム展開に比べて,あまりにのんびりしたクリーチャーシステムがうまく融合できていないのだ。面倒くさい人工知能もどきの調教システムは排除し,性格付けや行動パターンを即座に設定できるシステムにしたほうがよかったのではないかとも思ってみたりする。(*1)
そしてゲームタイトルにも関係の深い「善悪システム」も,もうちょっとプレイヤーに分かりやすいシステムにしてほしい気がした。全体的に悪のミラクルのほうが即効性が高いため,善のミラクルを敵地で使う気になれないのだ。同じミラクルでも,自軍陣地内と敵地とでは効果を変えたり,あるいは善のミラクルに強力なものをもうちょっと増やすべきだったと思う。おそらく多くのプレイヤーが,最初のプレイ時には最終ステージで悪として判定されてしまうはずだ。
最後。
これは感想というよりは,日本人プレイに忠告したいことがある。それはこのゲームには「ハマリ」があるという点だ。もしかしたら筆者の環境だけのバグの可能性もあるのだが,敵地を人民ごと完全に破壊してしまうと,信仰心が奪えなくなり結局クリア不能になってしまう。こうなるとどうにもならないのでセーブはこまめにしておきたい。(*2)
繰り返しになるが,B&Wは非常に面白い。ここまで面白いゲームは久々だ。ただし,リアルタイムストラテジーとしての完成度はPTBのほうに軍配が上がると思う。「ゲーム」としてのルールの割り切り方と明解さ,慣れると素早く行える操作系は,B&Wを上回っていると思うし,そしてスピーディでスリリングな戦略のぶつかり合いはPTBの方が楽しめると思う。
ただ,B&Wを「ゴッドシムタイプのアドベンチャー/ロールプレイング」として評価すると,また違ったものになるだろう。むしろこれまでゴッドシム系をプレイしたことない人のほうが,上記のような不満点を感じないかもしれないのだし。
(*1) 一時的に感情を変えられる首輪システムがあるが,クリーチャーの性格を根本から変えるものではない
(*2) 4月25日現在,パッチも鋭意作成中らしいが,これによって直ることを希望する
B&Wを快適にプレイするためには?
最後になったが動作環境について。
ちょっと前にレビューした,イマジニアの「ジャイアンツ シチズンカブト」に優るとも劣らず,B&Wも相当ヘビーな3Dゲームである。シームレスにマクロビューからディスタントビューに移行してしまうグラフィックスエンジンは圧巻で,地表はバンプマッピングが多用されて非常にリアル。人物の一人ひとりにちゃんと影が落ちているし,夜になれば月が昇り,その月は水面に映り込む。雨は地面に落ちてはねるし,冬になれば雪がひらひらと舞い降りる……。
この極上のランドスケープの上で数百人のポリゴンキャラクターが動き回り,ミラクルの閃光がほとばしるわけだから,軽いはずはない。
今回いくつかのマシン環境でプレイしてみた感じたのは,
1)B&WはハードウェアT&Lに対応しており,そのあり/なしでスムーズさがドラスティックに変わる
2)ビデオカードの高速性よりも,高クロックのCPUのほうが,スムーズさがドラスティックに変わる
といったところ。ピーター・モリニューやEAスクウェアがなんといおうと,800×600以上の解像度で快適にプレイするには1GHz級CPUとハードウェアT&L搭載ビデオカードが必須だろう。
今回実験的に,同じ画面モードで「PentiumIII/600MHz+GeForce2 GTS」と「PentiumIII/1GHz+GeForce256」で実行してみたが,後者のほうがスムーズに感じ,"PentiumIII/1GHz+GeForce256"と"PentiumIII+GeForce2 GTS"ではほとんど動きに差が感じられなかった。
B&WはハードウェアT&Lを活用はしているが,CPUの依存度のほうが高いということなのだろう。両方性能が高いに越したことはないが,もし,既にGeForce2MX程度のハードウェアT&L搭載ビデオカードを持っているならば,CPUの買い換えを優先して行ったほうがいいだろう。
(トライゼット西川善司)
 |
 |
 |
 |
| このマクロビューから → |
視点を上げていけば…… → |
村全体が見渡せて…… → |
最終的には航空写真並みのディスタンスビューまで。これがシームレスに実現されているのだ |
前のページへ
■発売元:エレクトロニック・アーツ・スクウェア
■価格:8980円(5月24日発売予定)
■問い合わせ先:エレクトロニック・アーツ・スクウェア TEL 03-5436-6499
■動作環境:Windows 9x/Me/2000(2000はサポート対象外),PentiumII/350MHz以上,メモリ64MB以上,空きHDD容量600MB以上
■ムービーファイル(MPG:22.7MB):http://www.japan.ea.com/blackandwhite/movie.html
(C) Electronic Arts Inc. All rights reserved. (C) 2001 Lionhead Studios Ltd. All rights reserved. Black & White, Lionhead and the Lionhead logo are trademarks of Lionhead Studios Ltd. EA GAMES(TM)is an Electronic Arts(TM)brand.
|