シミュレーション 4Gamer.net Review
 
ラリーゲームの代名詞Colin McRae Rallyの最新作が登場
Colin McRae Rally 2005(U.K.版)
UHAUHA
21th Oct. 2004


Colin McRae Rallyシリーズ最新作が前作発売から半年で登場

収録車種が34台と豊富に揃っているのが本作の魅力。ラリーゲーム初登場となる車もあるが,モデリングも素晴らしいのひと言。車ごとの挙動の違いも再現されているため,どんな車も乗りこなせるか腕の見せどころだ

 2004年4月にU.K.版が発売された「Colin McRae Rally 04」(以下,CMR04)。日本語版も8月26日に発売になり,楽しんでいる人も多いのではないだろうか。そんな中,最新作である「Colin McRae Rally 2005」(以下,CMR2005)が,2004年9月に突然発売された。
 前作発売から約半年で新作をリリースするのはCMRシリーズでは異例のことで,同時期に発売された「Richard Burns Rally」や「Xpand Rally」など対抗馬の存在が影響したのは間違いないだろう。そのためだろうか,全体的にCMR04強化版といった仕上がりだ。今回は新モードや強化された点などを重点的に見ていくので,「こちら」にあるCMR04のレビューと併せて読んでほしい。

 ゲームモードは,以下の四つが用意されている。

"チャンピオンシップ"(CHAMPIONSHIP)……日本を含む9か国を転戦し,Citroen Xsara,Impreza WRX,Lancer,Ford Focus,Peugeot 206の5台の車を駆り,シーズンを通してライバルとポイントを競い合う。

"チャレンジ"(CHALLENGES)……CMR04にあったラリーモードやタイムトライアル,そして画面分割,LAN経由でのマルチプレイ(2〜4人)が楽しめる。

"キャリア"(CAREER)……さまざまなラリーに参戦しラリードライバーとしての腕を磨いていく。

"オンライン"(ONLINE)……GameSpyを使い8人までのネット対戦ができる。

 また本作には合計34車種が登場するが,最初からすべての車は使用できず,新しく追加されたキャリアモードをプレイしてロックを外していく必要がある。

登場車種一覧
4WD 2WD GROUP B RWD
Impreza WRX MG ZR Audi Lancia Stratos
Ford Focus Citroen Saxo MG 6R4 Lancia 037
Citroen Xsara VW Polo Peugeot 205 Sierra Cosworth
Lancer Celica GT-S Ford RS200 Alfetta GTV
Peugeot 206 Fiesta Concept
VW Golf R32
Audi A3
SUPER 2WD 4×4 OFFRD. SPECIAL CLASSIC
147 GTA Freelander VW beetle RSi Escort Cosworth
Clio V6 Shogun Montero MK1 Escort Lancia Delta
VW Golf GTI Nissan Pickup MGC Sebring Celica GT-Four
Mini Cooper S Impreza 22B STi

雪道を疾走するCitroen Xsara。ライセンスの関係で,WRCカラーのマシンは一切登場しないのが残念なところだ 往年の名車Lancia DELTA。細部まで完璧に再現されている。個人的にマルティニカラーが一番好きだ レインコンディションではギャラリーにも傘の花が開く。こういった部分もリアリティの向上に一役買っている

今回も日本が収録されているが,やはりメインは峠道。ぜひラリー・ジャパンのようなコースも欲しいところ 狭い林の中を疾走するVW Polo。巻き上がる粉塵の処理が美しい。リプレイを眺めるときに重要な要素となる GARAGEでは,現時点のロック解除の状況や,どの強化パーツが組み込まれているのかを一覧できる


さまざまな車を乗りこなし,ポイントを稼いで上位ラリーに挑戦だ

扱いが非常に難しいLancia Stratos。巻き上がる粉塵だけでなく,飛び散る砂利の処理にも注目してほしい
 キャリアモードは同じCodemastersが販売している「ToCA Race Driver 2」(レビューは「こちら」)にあるものと同様で,23種類用意されたさまざまなラリーをこなしつつ,ドライバーズポイントを稼いで上位クラスのラリーに挑戦していく。
 各ラリーで入賞するとドライバーズポイントが加算され,上位ラリーで使用する車のロックが解除されていく。ラリーはキャリアモードオリジナルの構成で,

・4ステージ×4か国+スーパースペシャルステージの計17ステージ
・1ステージ×4か国の計4ステージ
・2ステージ×3か国の計6ステージ

など,バリエーション豊か。すべてのラリーを制するにはかなり時間がかかることになるだろう。
 このモードで興味深いのが,使える車が決められていて,好きな車を使えないという点だ。この手のゲームでは,収録されている車種は豊富なものの,その多くは一度も使ったことがないということになりがちだが,このシステムであれば登場するほとんどの車を嫌でも一度は使うことになるわけだ。
 さまざまな車を使いドライブフィールの違いを味わえるので,お気に入りの車も増えるかもしれない。

 核心というべき挙動は,シミュレータ寄りの味付けにアーケードをミックスしたここ最近のCMRシリーズを受け継いでおり,コンシューマ版がベースとなっているせいか,キーボード/パッドでプレイすることを前提に味付けされている印象だ。それゆえにステアリングでプレイするとダイレクト感が薄く,とくにシム派の人の中には,不自然と感じる人が多いのではないだろうか。
 CMR04に比べると,よりシミュレータ志向に振ってきた印象だが,しいていえば重さを感じられる挙動となり,細かいコブや轍の挙動の乱れなどにチューニングを施したという印象だ。
 また駆動方式,加速性能,旋回能力など車ごとの挙動の違いがより明確化されている。このへんの違いはさまざまな車を使用するキャリアモードで感じられるだろう。プレイヤーによって扱いやすい/扱いにくい車があるだろうが,パーツテストで新しいパーツを入手したり,セッティングを変えたりすれば好みの味付けになる可能性もあり,調整しつつ挙動の違いを味わえるのが嬉しいところだ。
 タイヤと路面の関係が強化されているのも,特筆すべきポイント。タイヤとマッチしない路面のときは曲がりが悪く,アンダーステアでコースオフしてしまうなど,前作以上にタイヤと路面の関係がシミュレートされている。

本作にはShogun Montero(パジェロ),Freelander,Nissan Pickupと3台の4×4オフロード車も登場する 路面のうねりや凹凸が一段と細かく再現され,揺れすぎと思うほど画面が揺れることも多い キャリアモードでは,ラリー結果によって,車種がロック解除されたりドライバーズポイントが得られたりする

パーツテストは健在。走行を必要とするテストの場合に一定数のコーン(パイロン)に接触すると失格となる 格付けポイント次第で参戦できるラリーが決まる


強化されたマシンダメージ表現,美しいグラフィックスは必見!

ドリフトをコントロールし,インベタでヘアピンを抜ける……。ラリーゲームの醍醐味を味わえる瞬間だ

 デモ版をプレイした人はご存じだと思うが,CMRシリーズのウリでもあるマシンダメージ計算はより緻密になっている。重い物は重く,軽い物は軽く,固い物は固いといった"ごく当たり前のこと"が,自然に再現されているのだ。
 車の速度,接触した物体,ヒットした角度や場所などにより受けるダメージに違いがあり,挙動の乱れに反映される。今までは小さな石でもまともに接触するとリアが持ち上がるほど急停車するなどしたが,今回はそういった不自然さはない。ボディ損傷表現も一段と細かくなり,塗装の剥げまでも再現されているのは必見。壁や立木に接触したときの塗装の剥がれは,実際に車をぶつけて悲しい思いをしたことのある人が見れば,リアルさが感じ取れるだろう。

 ドライブゲームではフレームレートや見た目も重要だ。CMR2005は見た目も美しく,動作も軽いといえる。筆者はAthlonXP 2800+,メモリ512MB,ATI RADEON9700Proの環境で,解像度を1280×1024ドット,描写距離を10,アンチエリアスを×6,テクスチャをHigh,異方性フィルタリングを×16とグラフィックス周りを最大にしても,車内視点やリプレイでも重さを感じることなく快適にプレイできた。このレビューに使用したショットもすべてこのモードで撮影している。またデモ版にあった"違和感のあるグレア処理"は,自然に処理されているのでご安心を。

 全体を見ると,冒頭でも書いたとおり大急ぎで調整した感が強く,"ここが違う"といった進化が見られないのは残念なところだ。知名度の高さからしても,十分に開発期間を取ってプレイヤーを驚かせるような要素満載でリリースしたほうが良かったのでは? と思ってしまった。
 とはいえ,手軽にプレイできるラリーゲームとしてお勧めするなら,CMR04よりもCMR2005になるだろう。なによりCMRシリーズの良さである簡単すぎず,難しすぎず,暴れる車を制御してコースを攻めるラリーの醍醐味を手軽に味わえるところは残されており,車ごとの挙動の違いやダメージ処理など強化された部分も手伝って,総合的な完成度は高くなったといえるだろう。すでにCMR04をプレイしている人には手放しでお勧めとは言いづらいが,チャンピオンシップとは違った面白さのあるキャリアモードはハマれると思うので,興味のある人はプレイしてみてほしい。


CMRシリーズの真骨頂といえるダメージ処理はさらに進化し,大小さまざまなダメージが見た目や挙動に反映される 走行中にもダメージ状況が判断できる。ダメージを受けた場所が点滅し,ダメージ率は色の濃さで分かる 豪雨状態での走行は暗くて雨粒で前が見え難く,コースを見失うこともシバシバ。とくに車内視点時は悲惨だ

復活したボンネット視点が嬉しい。コース内にも岩があるため,フィニッシュラインを通過するまで油断は禁物 セッティングで重要なのがタイヤ。タイヤ選択により,タイムに大きな影響が出るので,慎重に選択しよう ダメージ処理は細かくなっているのに,サービスエリアでのリペアは以前のままと少々矛盾を感じてしまう……

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■メーカー名:Codemasters
■価格:34.99ユーロ(U.K.版)
■動作環境:Windows 98SE/Me/2000/XP,PentiumIII/1GHz以上(Pentium4/2GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 3GB以上,VRAM64MB以上搭載したビデオカード,2倍速以上のDVD-ROMドライブ,DirectX 9.0c以降
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