アクション 4Gamer.net Review
 

CMRシリーズ集大成というべき作品

Colin McRae Rally 04
Text by UHAUHA
8th May. 2004

※日本語版については,本記事末尾に追加してあります

ラリーゲームといえばコレ。最新作"04"が登場

マクレーが2003年WRCシーズンを戦ったシトロエン クサラ。本当であれば最後にWRCが付くはずなのだが,CMR04で探した限りWRCの文字は一切ない。登場するドライバーも,マクレー以外は架空の人物だ

 PCラリーゲームの大御所Codemastersの"Colin McRae Rallyシリーズ"は,ラリーゲームといえばコレと真っ先に名前の挙がる人気ラリーシミュレーションゲームだ。ドライブゲームをやらない人でも,一度くらいはその名前を聞いたことがあるだろう。
 その最新作「Colin McRae Rally 04」が本国(英国)で発売となった。ようやく日本でもMYSTIX STUDIOSから正式に発売がアナウンスされたが(記事は「こちら」),ひと足早くUK版を入手したので,製品版の出来映えを見ていこう。

 登場するマシンは,4WD,2WD,GROUP B,BONUSとクラス分けされた計21台。マクレーが2003年WRCを戦ったCitroen Xsaraを筆頭に,Subaru Impreza WRX 44S,Ford Focus,2WDではMG ZR,Fiat Punto,ほかにもAudi Sport quattoro Rallye,Lancia Delta Integrale,MGC Sebring Specialなど往年の名車も登場する。
 ゲームモードは,スペイン,イギリス,ギリシア,アメリカ,日本,スウェーデン,オーストラリア,フィンランドの8か国を転戦しながら総合優勝を目指す"CHAMPIONSHIP",各国のステージ(コース)を自由に選択して走る"STAGES",ターマックのみ,スーパースペシャルステージのみなど独自のステージ構成でラリーを楽しめる"RALLY",ランダムに選ばれたマシンとステージでプレイする"QUICK RACE",LANやGameSpy Arcadeを使ってマルチプレイが楽しめる"NETWORK"の五つが用意されている。

 お約束だが,ゲームをインストールした時点では一部のステージとマシンのみでプレイ可能で,CHAMPIONSHIPを進めていくことでロックが外れ,使えるステージやマシンが徐々に増えていく。駆動方式と難易度の違いによる六つのチャンピオンシップが用意されており,すべてのステージとマシンを得るためには完全制覇が必要だ。

クローズドコースを使ったスーパースペシャルステージには,ステージ制ラリーとは違った難しさがある チャンピオンシップ以外ではゴーストを表示できる。ちなみにマルチプレイでも,同様にこのような表示となる

往年の名車もご覧のとおり,細かいところまで再現されている。最近のマシンとは違った挙動が楽しめる


プロドライバー顔負けの走りが楽しめるドライブモデル

マシンモデリングもさることながら,マシンの荷重移動などもリアルに再現されている

 CMR1がヒットした理由には,理に適った自然なマシン挙動と,そのマシンをコントロールする楽しさが挙げられる。しかしコンシューマ(Xbox)からの移植という流れになったCMR2,CMR3では,より幅広い層をターゲットにしたためか,補正が入ったような不自然な挙動が見受けられた。今回のCMR04も前2作と同様にXbox版からの移植となるものの,CMR3にCMR1に近い挙動を掛け合わせ,CMR04ならではのスパイスを加えたという印象だ。

 ラリーゲームで重要なのは,コーナーを攻める楽しさがあるかどうかだろう。ハイスピードでコーナーに入り,無理矢理ドリフトさせてアクセルベタ踏みで立ち上がっていく……これはこれで面白いが不自然な挙動だし,どんなコーナーも同じ走りでクリアできてしまえば次第に飽きてしまうはず。しかしCMR04では,コーナーでは適切な速度まで落さなければアンダーステアとなってマシンは曲がらない。
 ブレーキや荷重移動を使ってマシンの向きを変え,アクセルとステアリングを駆使して流れ出すリアを制御しつつコーナーを立ち上がる。走行ラインが変われば挙動も変わる。こういった本物に近い挙動を,リアル過ぎず/不自然過ぎずに再現してあるCMR04では,プレイヤーはマシンをコントロールしているという感覚を得られ,それがプロドライバー顔負けの走りができたときに面白さに変わってくるのだ。

 各ステージは相変わらず攻め甲斐のあるテクニカルなレイアウト。前作と大きな違いが感じられないのが残念だが,すでに完成の域に達している感があるだけに違和感はない。
 大きな違いがあるのは路面状況に一段とリアリティが付け加えられたという点だ。ターマックでも滑りやすい路面,荒れている路面,埃っぽい路面など今まで以上に細かい違いが付けられ,それが挙動の変化となって現れる。
 またCodemastersお得意のダメージ計算もさらに強化され,小さいダメージも蓄積すれば大きなダメージとなる。コース脇にイヤらしく置かれた岩や深い側溝などもあるので,コーナーを攻めつつも油断はできない。整地されたサーキットとは違い,大自然の中に作られた特設コースを走るうえでのさまざまな路面変化,挙動変化,外的要因に対応しながら,コーナーを攻めるラリーの難しさ/面白さを存分に味わうことができるだろう。

 最初は"マシンセットアップなし"(自動)でプレイするのもいいが,"マシンセットアップあり"でプレイすれば,さらに一歩踏み込んだ走りができる。タイヤ,車高,スプリング,アンチロールバー,ブレーキバランス,ステアリング感度,ギア比を5段階で調節可能で,各所を調整して速く走れるセッティングを見つけたい。
 とくに今回はタイヤに重点が置かれており,SMOOTH,ABRASIVE,DAMP,INTERMEDIATE,WETといった路面ごとに特性の違うタイヤが合計18種類用意されている(ステージに合わせて自動的に5種類が選ばれる)。2ステージを同一セッティングで走るCHAMPIONSHIPでは,どの路面に合わせてチョイスするか頭を悩ますことになるはずだ。

 また新しい要素として,CHAMPIONSHIPモードで1ラリー(1か国)終了後に,次のラリーで使用する重要パーツのテストを行う"パーツテスト"がある。制限時間付きのミニゲーム形式で,タイヤの性能を出し切る走りをする,指定されたギアに数秒間回転数を合わせる,といったことを行い,テストをクリアすれば,次のラリーからワンランク上のパーツを使用できるという寸法だ。
 ただしかなりシビアな味付けになっているため,テストをパスするのは苦労することになるだろう。マシンをいたわりつつ攻めの走りをしなければならないラリーと,逆に酷使する走りをしなければならないパーツテストのギャップが新鮮で面白い。

コースは全体的に暗いうえにバンプやうねりがあり,視界が揺れる。落ち着いてマシンコントロールしよう

小さいダメージも蓄積すれば修理に時間がかかる。各所に大きなダメージがあれば制限時間内に修復できない

パーツテストは,そのパーツの性能を出し切るように走ったり,回転数を維持したりなど,結構難度が高い

誰もが楽しめるラリーっぽさの演出が好印象

ターマックメインのステージでも路面状況は刻々と変化する。路面コンディションの違いによる挙動変化に注意

 自然の中に作られたコースを爆走するラリーの迫力,路面状況に合わせてマシンをコントロールする醍醐味,プロラリードライバー顔負けの走りでコーナーをクリアしたときの爽快感,ワンミスでタイムロスやマシン破損へつながる緊張感……。アーケード寄りの味付けにしたことで,誰でも"ラリーっぽさ"を味わうことができ,CMRシリーズの"良いところ取り"の集大成といっても良い逸品だ。
 一人で自分の走りを堪能するもよし,GameSpy Arcadeにアクセスして世界中のドライバーと戦うもよし,ラリーゲームは始めてという人も,ぜひプレイしてみてほしい作品だ。

 ひと通りの路面と挙動変化を味わえるシングルプレイ/マルチプレイの体験版「こちら」を未体験の人は,まずプレイしてみてほしい。なお筆者がプレイした限りでは,体験版よりも製品版のほうが挙動が一段と良くなっているようだ。

濡れた路面や土砂降りの雨の中を疾走する日本ステージ。深い水溜まりやイン側に泥が出ているところもある 派手にドリフトさせればタイムロスになるが,コーナーを舐めるようにクリアしたときの爽快感は格別だ

■日本語版 追記(2004.8.23)

マシンセッティングについての説明など,ゲーム中のインフォメーションなどはすべて日本語化されている

 輸入版発売から少し時間が経ってしまったが,日本初開催となる世界ラリー選手権(WRC)11戦ラリー・ジャパン(9/3〜)を1週間後に控えた絶妙なタイミングで登場する「Colin McRae Rally 04日本語版」。日本語版の登場を待っていた人は当然のこと,既に輸入版をプレイしている人の中にも「ローカライズレベルはどうなの?」と気になる人も多いだろう。

 日本語化されたのは,主にメニュー画面まわり。"CHAMPIONSIHP" "SINGLE RACE"などの各項目はそのまま残し,項目を選択したときにTipsのように表示されるテキスト(説明文)をすべて日本語化している。とくにセッティング"CAR SETUP"やマシンダメージ"CAR REPAIR"では,各パーツを調整した場合の効果や,修理を怠った場合の影響などが分かりやすく表示される。車に詳しくない人や,シミュレータ系のレースゲームをプレイしたことのない初心者にも安心だろう。また普通にマシンをドライブさせるのとは少し勝手の違う,パーツテスト"TESTING"も日本語化されており,頭を悩ませることなくパーツテストに挑むことができるはずだ。ちなみにナビゲーターの音声はオリジナルのままとなっている。

レースゲームといえど,やはり日本語ローカライズはとても嬉しい。気になる部分が日本語化されているか,問題なくプレイできそうかどうか,ぜひチェックしてみよう

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■メーカー:MYSTIX STUDIOS
■問い合わせ先:MYSTIX STUDIOS TEL 03-3227-0801
■発売日:2004年8月26日
■価格:オープンプライス
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII or Athlon/750MHz以上(PentiumIII or Athlon/1.4GHz以上推奨),メモリ 256MB以上,空きHDD容量 3.5GB以上,メモリ32MB以上搭載のビデオカード,DirectX 8.1以降
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