EverQuest II βプレイレポート#1
2004/10/20 00:20
Heroic Opportunity(通称HO。FFXIの連携のようなもの)の存在により,激しくアクション性を増した戦闘シーン。相当派手なエフェクトがバリバリに出るのだが,どうも現時点ではエフェクトを完全にOFFにはできないっぽい。ちなみに写真の場所はBefallen
 Sony Online Entertainment(SOE)が発売する,世界的に期待されているMMORPG「EverQuest II」。いままさにβテスト真っ盛りで,ご多分に洩れず黙々とプレイしてきた筆者だが,NDAの絡みもあり,今まで一切の情報を出すことができなかった。
 しかし先週土曜日(日本時間)に,NDAはついに解除。4Gamer上にもある程度の記事を掲載できるようになったので,軽くインプレッションのようなものを書いてみた。大変申し訳ないことに,基本的に本記事は「EQ1経験者」に向けて書いたものだ。用語などにもほとんど注釈は入っていないが,ご了承いただきたい。

 しかし筆者は,原稿執筆時点ではまだLv21 Warden(Qeynos生まれ)。EQ II全体の10%も見てないと思うし,何より本作はまだβテスト中だ。しかも自分のクラスを除いては,まだほとんど経験と伝聞で書いているにすぎないし,ここに書いたことは,製品版稼働時にはあっさり変更されていることさえ考えられる。それも併せて了承のうえ読んでいただけるよう,お願いしたい。色々とデータは取ってあるのだが,さすがにまだそのあたりのことを出す段階でもないだろうし,なによりパッチでどんどんと変わっていくうえに,移動にせよ冒険にせよメインゾーンであるAntonicaが,(以前よりは遙かに良くなったとはいえ)とてつもなく不調だ。AntonicaでLogoutしてしまった日には,ログインさえ出来なかったりするし。

 そんなわけで,まずはざっくりと全体的な雰囲気のみお伝えしよう。追々いろいろと出す予定ではあるが,まずはこのあたりで。



下段3枚は,古いプレイヤーが懐かしさに打ち震えるBlackburrowこと,通称BB。ノール君もグラフィックスも格段にパワーアップされているが,基本的にはあの雰囲気そのまま。奥まで行ってもPermafrostには通じてなかったが(500年経って道がふさがれたらしい)


プリーストクラス(ヒーラー系)の分岐図。基本的にはProfessionで好みのクラスを決めておくのがよいだろう

■クラス/種族に関して

 英語版の情報を漁っている人なら先刻承知かと思うが,今作EQ IIでは,まず16種族が4種類のArchetype(アーキタイプ)を選び,そのそれぞれのArchetypeがそれぞれ3種類のClassに分岐,その3種類がまたそれぞれ2種類のSub-Classに分岐していく。つまり最終的には,合計24種類のクラスに分岐するわけだ。
 細かい情報は日本語版の情報公開にまかせるとして,例えば筆者のWardenは,

 Archetype = Priest
 Class = Druid
 Sub-Class = Warden

ということになるし,β期間中筆者がずっとつるんでいるRangerは,

 Archetype = Scout
 Class = Predator
 Sub-Class = Ranger

となっているわけだ(右図参照)。下記に,ちょっとした情報ではあるが,それぞれの雰囲気を伝えておこう。

・Melee系

 現在のところβテストは,筆者の見る限り全体的にMelee系が多い。今回のMelee系のアクションやエフェクトは相当派手だし,なによりEQ1から考えると嘘のように強い。
 幾度となくGroupingしてみたが,殴られても殴られてもまだ生きているGuardian,最後は死んだふり(EQ1プレイヤーならご存じのFD)でなんとかしのぐBrawler,万能な割にDPSが高すぎると思われるPaladinなど,Melee系が好きではない筆者でさえ,ちょっと興味が沸いてくる。
 EQ1初期にマゾClassとまで言われたRogue系も,Stunという凶悪な能力を得て普通にSoloプレイができるし(Stun>攻撃停止>回り込み>Backstabという鬼連携),Rangerの元であるPredator系も,Questでもらえる弓を手にいれてSkillを使って弓を撃つと,Pullだけで使うにはもったいないダメージをたたき出す(まぁ矢の単価が高いのだが)。

 ではHealer要らずなのかというとそんなことはなく,(詳しくは後述するが)Lv15前後まではまだしも,それ以降はどう考えてもHealer必須だ。ちょっとよさげ,なポイントはたいてい4Link以上しているし,Mob(敵モンスター)のHPも妙に高い。結局のところEQ1から綿々と続く
 MT+Sub Tank+Attacker+Healer+Debuffer+Damage Source
という6人の理想的配分というのは変わっていないように見受けられる。

・Healer系

 なにせ自分がHealerなのであまりHealerとは組まず,詳細部分まで分からなくて申し訳ないのだが,現在のところ6種のHealerには,目に見える形での差がないように思う(Heal能力に関して,の話だ)。
 Cleric系,Druid系,Shaman系のほとんどのクラスでLv10前にいきなりRevive(蘇生呪文)が使えるし,BuffもHeal能力もほぼ差がない。Lv20程度で比べるのもどうかと思ったのだが,いままでのところの素直な感想はそんな感じ。おそらくはこのあと,

 Cleric系 = Heal/Buff特化
 Duid系 = 器用貧乏万能型
 Shaman系 = Debuff屋さん

という特性分けがされていくものと思うが,まだキーとなるSpellを持っている人もそうそう多くなく,そのあたりについてはまだ不明だ。

 ちなみにWarden(Druid系Heal特化型……と思われる)については,HoT(Heal over Time:3秒に一回など時間と共にHP回復)が相当強力。いわゆるマナ効率という意味だけなら,いまのところTopレベルの対費用効果(?)だと思う。
 もしかしたら開発側が意図したものではないかもしれないが,数種類あるHoTがかなり重ねて使えるので,たいがいのTankはこのHoTでこと足りる。というか通常のHealはほとんど使ったことがない。お約束の"犬"にもなれるし,結構お気に入りだ。ただダメージ手段が事実上ChillというIce系DDしかないので,Soloには厳しいところだが。

・Caster系

 Summoner系というペットクラスが強く,Enchanter系というDebuffクラスは強敵入り乱れるところには必須,というのは以前と同様。今回は,どうしちゃったのかと思うくらいSorcerer系(いわゆるWiz)が強い。
 今までに組んだSorcererは気が狂ったようにAE DDを連打しているし(Lv10程度ですでに強力なAE DDが使える),Rootで足止め>DD という手法も相変わらず。Lv20前後でSoloしているのも,たいがいそれ系のCasterだ。
 それはそれで柔らかいという悩みを抱えているのだろうが,ダメージソースとしては相当優秀。いまのところ,同レベルの敵を相手にしても若干レジストが多い気もするので,本人達は相当命がけなのかもしれないが。ただその余りのダメージと,連打しがちな困ったちゃんが多いというのが災いしてか,Groupに歓迎されないことも多いようだ。ダメージとHateは要調整,かもしれない。


現在のところ,激しく強いMelee系。EQ1のとき以上に,MTの重要性が増しているように思う。ちなみに一番左はGroup Buffを入れたところ。戦闘だけでなく,Buffのエフェクトも相当派手になっている



■Solo? Group?

 1か月ほど前東京ゲームショウのときのインタビュー「こちら」で,SOE社長が色々と語ってくれた記事を,読んでくれた読者も多いのではないだろうか。しかしあのころから格段に筆者のプレイ時間も増え,なんとはなしに全体像が見えてきた今改めて全体を見回してみると,強烈に"グループ推奨"のようなゲームに思えてならない。
 むろん,Soloでもプレイできる。各種生産関連もパワーアップされたし,普通に町中のクエストを追っていくだけでもかなり経験値は稼げるだろう。筆者はLv21までに150個近いクエストをクリアしているが,あまり戦闘をしていないにも関わらず序盤Lv15〜16程度まではサクサクと進められた。フィールドで緑色の(自分より格下の)Linkしてない敵――主に動物などだが――を黙々と狩るのもよいだろう。

 とはいえ。
 よい経験値がもらえるダンジョンは,たいがいの場合中の敵はほぼすべてが複数Linkだし(しかも4〜6体のLinkが当たり前だ),よいアイテムがもらえるクエストは,複数Linkの敵を相当数片づけなければならない奥の奥で達成できたりする。そもそもフィールドの敵からして,当たり前のように5Linkとかしているのだ。
 Soloや二人組では事実上このゲームの「面白い部分」の大半が欠落してしまう気がするし,ほぼグループ推奨の作品だと思ってよいだろう。"Soloでもできる"というのも一つの真実ではあるが,生産活動ができたりちょっとしたクエストができたりというのは,やはり本作の面白さの本筋からは外れてしまう気がしてならない。

 で,筆者は別にどちらが推奨でないとおかしい,などと語るつもりは毛頭ないのだが,ただ一つ"デスペナルティ"は若干の問題になる可能性をはらんでいると思う。
 本作は前作と違い,死んだときに経験値は減らない(生き返っても装備を全部持っている)。代わりに一定量の経験値ペナルティが付き,その後稼ぐ経験値の効率が悪くなるという仕様だ。Lv20時点で黄色1.2bubほどのペナルティが付くので,それ自体はそうとうキツい。
 しかし,死んだその場で蘇生されるか,もしくは自分にしか見えない"Soul"(昔で言うところの"死体")を自力で回収すれば,そのペナルティは大幅に軽減される。先ほどの例で言うと,1.2bub(未回収時)→0.2bub(回収時)くらいだ。

 そしてここからが本題。
 このデスペナルティだが,なんと「誰が死んでもグループ全員で苦労を共有しよう」という仕様だ。さすがに回収時相当のペナルティではあるが,グループ内で誰か一人死ぬと,ほかの5人にもそのペナルティが分け与えられるのだ。つまりフルグループ(6人)が全滅すると,すべてSoulを回収できたとしても,割られているとはいえ6人分のペナルティが全員に付く。「グループメンバーが死んだら全員の責任。見殺しは許さんよ」ということだろうか。
 このシステムがどういう弊害を生むかは,容易に想像が付くだろう。ひとたび「あの人下手」という烙印を押されてしまうと,まったくグループが組めなくなる恐れがあるのだ。前作EQ1のときは,Heal TauntするCLRが悪い,Mez失敗するENCが悪い,など,死ぬことさえたいがいの場合自己責任なわけで,それであるがゆえに許されていた部分も,グループ全員でそのペナルティを共有するこの仕様では,そうもいかない。相当嫌がる人も出てきそうだ。
 外国人ばかりがいる現在のβテストでは目立つことはないが,ただでさえ固定グループを好みがちな日本人の気質を考えると,ちょっとだけ心配になる。正直,現時点での0.2bubのペナルティなど大したものではないのだが(さすがに回収できないとキツいが),まぁ世の中には色々な人がいるし。



当たり前のように複数LinkしているMobをどう処理するかが,今回の大きな課題。本番戦は分からないが,現状の余りMezzerがいない状況では,力ワザで押し切るしかないというのが本音だ。一番右は,初心者が最初のほうでお目にかかるキツいSkelton Link。Quest絡みだったりするので,みな真剣



■とりあえず

 もの凄く狭い範囲でβテストが行われているときは,密かに聞こえてくる各種情報から「ヌルい仕様」であると推察され,実際優しいシステムが次々と投下されているEverQuest II。しかしその実態は,ヌルくなったどころか,前作以上の"コアプレイヤー仕様"になっているようだ。やることの多さ,戦闘の忙しさ,生産の奥深さなど,EQ IIが口を開けて,今か今かと廃人を待っているさまが目に浮かぶ。
 しかしその一方で,コアでないMMORPGプレイヤーにもハチャメチャに優しい仕様になっている。クエストは,セリフを選んでいくだけという簡単なインタフェースになり,クエストヘルパーときたら,NPCの名前,倒す敵の数,戻るべき街の名前など至れり尽くせりで教えてくれる。Linkしている敵はひと目で分かるようになっているし,Buffの残り時間も秒単位で教えてくれる。街にはMapが付いていて自分の位置をリアルタイムで表示してくれるし,フィールドでグループメンバーと迷っても大丈夫,Waypointシステムが,相手のところまで誘導してくれる。

 そんな各種の要素から,一見すると,これでもかと言わんばかりに初心者に優しくなっている本作。しかしその実態は,やはり"EQの血"が健在なのだ。これを良しと見るか,否定的に見るかは人それぞれだが,少なくとも現段階ですでに「面白い」と言えるゲームになっていることだけは確かだ。EQ1とはまったく別モノだが。
 EQ1とはまったく別なら何に似ているのだろう,とずっと悩んでいるのだが,いまのところ
 (DAoC+Final Fantasy XI+World of Warcraft+EQ1)÷2
くらいが一番近いように思う。各種名作MMORPGのいいとこ取りをしているだけと言ってしまえばそれまでだが,それがまた良いバランスで仕上がりつつあり,それを為し得ているところが,SOEという職人達の技なのだろうか。

 追ってまた情報は出せると思うが,まずはここまで。(Kazuhisa)

EverQuest is a registered trademark of Sony Computer Entertainment America Inc. in the United States and/or other countries. (c) 2004 Sony Computer Entertainment America Inc. All Rights Reserved.



美しく生まれ変わったグラフィックスの数々。確かにそれなりのスペックは必要になるが,グラフィックレベルの段階は相当あるので,"どうしてもキレイな画面じゃなきゃイヤだ"というのでなければ,最新のビデオチップである必要はないだろう。GeForce FX 5200クラスだと微妙かな,という気はするが



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