[GC#25]名作WW2ボードゲームをRTS化した「Axis&Allies」
2004/08/27 20:24
 「Axis&Allies」は,第二次世界大戦(以下,WW2)をテーマにした同名のボードゲームをコンピューターゲーム化した作品だ。開発を手掛けるTimeGame Studios社は,「Kohan」シリーズで一部の本格派ゲーマーには定評のあるチームだが,元々は医療/エネルギー/不動産など,別分野にいた人たちが集まって作ったテキサスベースの異色な開発チームである。
 ちなみにこのAxis&Alliesというゲームは,Microprose社を吸収したHasbro Interactive社が存在していた'90年代後半に,実は一度ゲーム化されている。しかし,最新作となる本作は,TimeGame Studios社の最新作である「KohanU:Kings of War」のゲームエンジンを利用した美しい3Dグラフィックスが採用されている点や,リアルタイムストラテジーゲームという新しいジャンルに生まれ変わっている点など,さまざまな意味でまったく新しいタイトルとして開発されている。

 まず一番の違いは,ボードゲームや前作のように戦略/政略に重点を置いたストラテジックなゲームではなく,ミッション単位で進んでいく,良くあるRTS的なシステムになっているということだ。ゲームは1939年から始まる激動のWW2を描いており,プレイヤーはAxis&Allies……つまり同盟軍もしくは連合軍のどちらかを選択してプレイすることになる。同盟軍を選んだ場合はドイツや日本を,連合軍ならアメリカ,イギリス,ロシアなどを一つチームとして進めていく形で,従来にはなかったスタイルだといえる。
 ただしミッションは国ごとに分かれていて,エル・アラメインでイギリス軍を使ってドイツの装甲戦車部隊と戦ったかと思うと,南太平洋に飛んでガダルカナルのアメリカ上陸部隊としてプレイし,さらにはロシア軍を操ってドイツのスターリングラード侵攻を食い止めるといった具合で,なんともめまぐるしい形式。本作には,このような形で同盟軍と連合軍に,それぞれ12種類のミッションが用意されているという。
 また面白いのが,Axis&Alliesにはヒーローユニットとして"将軍たち"が登場することだろう。それぞれのミッションで選択できる将軍は異なっており,ロンメル,アイゼンハワー,ズーコフ,モントゴメリー,ニミッツらを先頭に各部隊を引率。日本からも,山本五十六や東条英機らがフィーチャーされている。
 これらの将軍ユニットには,「Age of Mythology」のゴッドパワーのように,特殊能力も備わっている。戦闘によって"ジェネラル・ポイント"を溜めていくことにより,例えばパットンなら強力な戦車部隊を召喚するとか,アイゼンハワーは敵地をレーダースキャンできるとか,東条英機は神風戦闘機を突撃させるなどが可能になるのである。かなりボードゲームの印象とは異なるが,これはこれでなかなか楽しそうである。
 さらに,ユニットもバラエティに富んでいる。敵AIにも力を入れているようで,本作では,占拠している町が補給の役割を担うので,極力町に損害を受けないようにプレイヤーのユニットを狙ってくる……といった戦術も使われるという。
 また本作には「World War」モードという戦略プレイモードがあり,このモードでは,各勢力を選んでじっくりとプレイすることが可能だ。World Warモードの目的は,連合もしくは同盟側の二つの首都を奪うこと。戦闘が開始されるともちろん3Dマップへと移行してリアルタイムで交戦する。世界地図はテリトリーごとに分かれており,その地域へ侵攻し奪還することで,ある程度の資金が加算される。資金は新しい部隊や技術へ投資することで,次なる戦いを有利にしていくことができるワケだ。

 ちなみに筆者が少し遊んでみた感じでは,調整不足のためかタンクラッシュが非常に強力でバランスが悪く,今後の調整が望まれるところ。これまでの第二次世界大戦RTSには地味で中途半端な作品が多かっただけに,本作には頑張ってほしいものだ。リリースは2004年秋が予定されている。(奥谷海人)




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