Half-Life2にまつわるあれこれ - 2003/08/07 22:06


 先日公式サイト内のForum「こちら」の開発元からの返信で
「Half-Life2には最初から日本語が組み込まれている」
という発表がなされた。これが嘘なのか本当なのかはさておき,FPS超大作であることには違いない「Half-Life2」を取り巻く話をいろいろと書いてみることにしよう。
 とはいえ,発売日はもちろん,日本語化の件やソフト販売形態など,さまざまな真・偽の情報が飛び交う同作について,当サイトが知り得たこと/およびそこから推測されることにすぎない。すべては「事実」である保障がないことはご理解いただきたい。また明らかな間違い/勘違いなども,見つけ次第指摘していただけると幸いだ。

■いまだ揺れる発売日

 まずは現在もっとも争点になっている発売日の件。
 これは,相も変わらず揺れ動いている。9月30日という線がアリなのかなしなのか,いまだに"完全にオフィシャルな"返答はない状態だ。8月頭に当サイトの「こちら」でも記事にしているが,そのときはValveの開発者自らから「No Delay」との返答が得られている。

 しかしこれ,事はそう簡単な話ではない。
 ご承知の人も多いかと思うが,Valve社が開発・提唱するオンラインディストリビューションシステム「Steam」で先に流通されるという可能性も無視できないこのHL2。ワールドワイドでの権利販売元となっているVivendi Universal Games(VUG)との折り合いの悪さは,容易に想像ができるところだろう。なにせSteamで先に流されてしまっては,VUGは各国の代理店にパッケージ販売を売り込むこともできず,超大作に伴う膨大な利益を,みすみす棒に振ることになるわけだ。
 Steamで最初の巨大な打ち上げ花火にしたいValveと,それをされてはかなわないVUGと,裏では激しい牽制合戦が行われていることは想像に難くない。仲があまりよろしくないことを証明するかのように,E3ではVUGブースにHL2の展示は存在しなかった(展示があったのはATIブースだ)。

 また,大手ファンサイトと開発者が密接にコンタクトを取ることが多い海外事情においては,それぞれの担当が個人的な付き合いまでを含めたおしゃべりでポロリと漏らすことも多く,一体どれが本当の話なのかはまったく想像がつかない。
 VUGとしては,Steamで先行で流されることは(可能ならば)避けたく,かといってその問題で発売が延ばし延ばしになっても,各国のPublisherがしびれを切らして足が遠のいてしまう恐れがある。いくら超大作といっても,いつ出るのか分からないものに契約金を払う酔狂な会社は存在しないのだ。

 それは,日本国内事情においても同様だ。
 確かにHalf-Life2は凄い作品だが,過去に日本で何本のHalf-Lifeパッケージが売れたのかを考えると,冷静になってしまう会社も多いのではないだろうか。HLは,並行輸入などを含めるとそれなりの数が出回っているようだが,FPSで正規代理店で……というと,過去にはほとんど営業的成功例がない(ここ最近では,MoHAA,BF1942などEAが立て続けにスマッシュヒットを飛ばしているが)。ましてや現状でのHalf-Life2はテクノロジー部分だけがクローズアップされることも多く,一歩引いて違う側面から捉えれば「博打」のような作品だといってもよい。「凄い」ということと「面白い」はまったく別なものなのだから。
 ……とはいっても,「超大作」で,かつ面白い作品であることは想像に難くない。各社が血眼になって権利獲得に躍起になっていることだろう。いまだ揺れる発売日にビクビクしながら。

■実はもっとも大変なのはVUG

 VUGにとっては,「Counter-Strike:Condition Zero」(CZ)の問題も悩ましい。ある程度対象層がカブっている2作品だけに,発売日が異様に近いことは避けたい事態だろう。お互いの作品セールスによい影響を与えなくなってしまう。
 CZの発売日が二転三転しているのは,おそらくは開発元がRitual Entertainmentであるためかと思われる。VUGに対して「マスター完成」という通知をするのはValveなわけだが,その前段階でQuality Checkを通っていないのではないだろうか。いったん決まってオフィシャルに通達された発売日が変更されているあたり,その気配が非常に濃厚だ。

 ……そんなこんなのいろいろな問題が起こりやすい要因としては,「VUGとValveに資本関係がない」という部分が大きく影響していると思う。ある程度の資本関係があるBlizzard Entertainmentでさえ制御することが難しいというのに,ましてや資本関係のない強力な開発会社では。
 むろんそれは一方的にVUGが悪いわけではない。なにせ開発会社というのはただでさえわがままだ。「売るだけの奴に作品をどうのこうの言われたくない」というプライドがあるのは非常によく理解できるが,それがBlizzardやValveクラスともなると……もはや,"会社的"にどちらが上の立場なのかさえ曖昧だといってもいいだろう。

 今回話題になっている「日本語化」の問題にしても,(少なくとも)日本のVUGにとっては青天の霹靂だったのではないだろうか。日本語マニュアル付き,完全日本語版,などのオプションをつけて契約に持ち込もうとしていたであろう話が,一種白紙に戻ってしまった状態だ。
 先のForumに見受けられるのは開発元からの返信だし,これがまったくの嘘であることはまず考えづらい。本当に選択式になるかどうかはさておいても,なんらかの形で日本語が入っていることは,おそらく間違いないのだろう。
 誰が作った日本語化なのかなどの細かい情報はまだ正確にはつかめていないが,Valveが適当なことをするとも思えないし,一定クオリティのものは入っていると考えてもいいだろう。

 9月30日という発売日を間近に控えつつ,まだまだHalf-Life2とそれを取り巻く環境からは,目を離せそうにない。(Kazuhisa)

※Half-Life2にまつわる情報は「こちら」から。
※Half-Life2のムービーは「こちら」からどうぞ。


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