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愛する息子を救うため,ひたすら敵を駆逐せよ |
ニトロファミリー |
Text by キーオ林 |
11th Jun. 2004 |
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笑っちゃうぐらいの敵の大群
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ひたすら湧いてくる敵をやたらめったら撃ちまくり。武器にはそれぞれ特性があるので,状況に応じてうまく切り替えていきたい。しかし大量の敵が一気に押し寄せてくると,そんな余裕もなくなってしまうかも |
ズーから発売された韓国生まれのFPS「ニトロファミリー」のジャンルは,公式サイトによると"超ラテン系FPS♪"だそうである。"超ラテン系"ってあたりですでに腰が砕けそうだが,追い打ちをかけるかのように(?)音符まで付いている。……それはさておき,ズーの近作というと,かなり硬派な本格ミリタリーばかり続いている印象があるが,ここに来ていきなり180度の方向転換だ。お下げ髪にメガネのマジメな学級委員長が,夏休みが明けたらギャルに変わってたっていうぐらいの衝撃である。
ジャンル名だけでもう,キワモノの香りがぷんぷんするニトロファミリーだが,ゲーム内容はさらにカッ飛んでいる。合法ドラッグ(といっても副作用満載)を販売していた製薬会社に,愛する息子レッドチーフを誘拐されたビクター・チョップスキーとマリアの夫妻が,銃火器を目一杯持って我が子を取り返しに行く……というのが大まかなストーリー。
本作は"日本語マニュアル付き"での発売ということで,残念ながらゲーム内のメッセージは日本語化されていないが,これってスラングだらけで翻訳できないんじゃないだろうか? などと思ったりもして。チョップスキー夫妻,「Asshole」って連呼し過ぎ。
このゲームを制作したのは,Delphieye,Inc.。メーカー名を書かれてもピンと来ないかもしれないが,韓国でオンラインゲーム「Helikia」などを制作しているメーカーだ。このたび「シリアスサム」のエンジンでニトロファミリーを開発し,これが欧米や日本でも発売されるという同社にとってのビッグなタイトルとなったわけ。シリアスサムといえば,洪水のように向かってくる敵の大群を撃って撃って撃ちまくる,スニークミッションなどとは無縁の爽快豪快FPSであった。同エンジンを使用したニトロファミリーも,シリアスサムと同系のゲームとなっている。
多くのキャラクターを同時に出現させ,制御することが可能なシリアスエンジン。当然のごとく,このゲームでも大量の敵が同時に押し寄せてくる。はるか地平線の彼方から,敵が大挙して自分のほうに向かって突進してくる様子はかなりシュール。しかも敵のデザインはキテレツなものが多いので,思わず笑っちゃったりもするが,近くまで来られると,もう笑っているどころではなくなる。容赦ない攻撃が自分に集中してくるので,FPS慣れしてない人は最初ちょっとパニクってしまうかもしれない。
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敵も濃いが,主役のチョップスキー夫妻も相当キテる。それにしても奥さん,スゴいコスチュームですな |
本作の中では比較的マトモに見える敵のボス,ジャン。ドラッグの副作用治療に乳幼児が必要らしいが…… |
敵から連続的にダメージを受けたときなどに発生するアドレナリンシステム。全体の動きがスローになる |
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爆弾を手に特攻してくる敵も。一人だけでもかなりのダメージを食らうというのに,団体で突っ込んでくる |
一度敵を殲滅した場所でも,油断してはいけない。戻ってきたらまた敵が湧いてた,なんて事態も頻繁にある |
ザコキャラの中ではニワトリが意外な難敵。素早いうえに照準が合わせにくく,大量に来られるとかなりキビしい |
両手に装備した銃火器が唸りをあげる
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接近してきた敵にマリアのムチが炸裂! 一撃で相手の首から上を吹き飛ばしてしまう,凄まじい破壊力だ |
チョップスキー夫妻は二人で行動しているとはいえ,奥さんのマリアは旦那(ビクター)の背中に設置された鞍(?)に座っているので,実質,プレイヤーが操作するのはビクターのみで,敵の攻撃もすべてビクターが受けることになる。
マリアはAI操作で,接近してきた敵をムチで攻撃するほか,プレイヤーの任意のタイミングで分離させ,敵の頭上まで飛んでいって絨毯爆撃を行える。爆撃はステージ上にある"ガス"を事前に拾っておく必要があり,さらには屋根のある場所や狭い場所ではこの攻撃は不可能。ぶっちゃけ,マリアはシューティングゲームにおけるボムのような役割といってもいいだろう。
ビクターは最初から所持しているマシンガン,ショットガン,ロケットランチャーという3種類のメイン銃器に関しては,両手に1丁ずつ装備して使用できる。このとき,右手と左手には別の種類の武器を持つことも可能で,例えば右手に持ったロケットランチャーで大量の敵を一気に殲滅しつつ,残った敵を左手に持ったマシンガンで掃射するといった戦術が使えるのが,このゲームの特色だ。
ただし,これらの武器は初期段階では装填できる弾数があまり多くないうえに,リロードに時間がかかる。何も考えずに撃ちまくって両手の武器を同時にリロードするハメになったりすると,かなりの隙ができてしまう。リロードせずに武器をクルクルと持ち替えていけば隙は少なくて済むが,敵の攻撃が激しいだけに,咄嗟の判断が重要となってくる。
ロケットランチャーやショットガンで攻撃すると,敵は高く跳ね上がり,この空中の敵にさらに追い撃ちすることによってコンボが発生する。このゲームでは敵を倒すとクレジットポイントがもらえるのだが,コンボを発生させたほうが,より多くのポイントをもらえるようになっている。
そしてそのポイントを使用して,セクシーな武器商人のリサから特別な武器を購入したり,所有している3種類のメイン武器をアップグレードしたりできる。特別な武器とはグレネードランチャー,プッシュガン,スナイパーライフル,ニトロミサイルといったところ。
これらの武器は単体でしか使用できないが,役に立つ武器ばかりである。また,フィールド上に点在するカードを一定枚数集めると,リサから"スペシャルサービス"が受けられるが,このサービスの内容は,ぜひプレイして確かめてもらいたい。
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マリアが飛んでいき,無差別に爆撃を仕掛けるハイパーボム攻撃。使うにはステージ上に落ちているガスが必要 |
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お色気たっぷりの武器商人,リサ。値段設定がワリとシビアなので,コンボシステムでうまくポイントを稼ぎたい |
スナイパーライフルなど,リサから購入できる武器はかなり強力。ただし,今イチ汎用性に欠ける面も |
コンボ攻撃は耐久力の高い敵が相手でないと,あまり稼げない。敵の出現数が多いので決めるのは結構難しい |
ストレス解消にうってつけ
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ときどき出てくるボスキャラは,攻撃力も耐久力も高い。ボス戦に入る前に,ダメージを回復しておきたい |
チョップスキー夫妻が敵を粉砕して回る国は,南アメリカに始まり,東南アジアや中国など,なかなかワールドワイドである。研究所や寺院,果ては空母など,ステージも多彩。ステージの節目などには,ボスに相当する敵が待ち構えていることもある。ボスはちょいと戦術を工夫しなければならず,演出自体もひときわハデなヤツが多い。
フィールドは,屋内と屋外では若干プレイ感触が異なるようにも感じられる。屋外では四方から向かってくる敵をひたすら撃ちまくるといったスタンスになりやすいのに比べ,屋内では通路の曲がり角やドアの向こうで待ち受ける敵に素早く弾丸を撃ち込んで,心持ち注意深く進むといった感じ。また,ボートやヘリコプターの銃座につき,操縦はマリアに任せてひたすら敵を掃射するといった特殊なステージもあり,飽きが来ないよう工夫されている。
ステージの先に進むためのスイッチを探すなど,途中に若干の謎解きの要素も入ってはいるが,それほど複雑な仕掛けはない。少なくともFPSをやり慣れたプレイヤーであれば,「謎解きで詰まって先に進めなくなった」などということはおそらく皆無であろう。
極端にデフォルメされたマンガのような敵キャラを,ひたすら凄まじい火力でガンガン吹き飛ばす「ニトロファミリー」は,現在のFPSの流行からは外れているかもしれないが,このゲームならではの爽快感がある。普段はリアル指向のFPSに夢中の人も,目先を変える意味でもぜひプレイしてもらいたい。深く考えることなく気軽にストレスを解消するにはうってつけのゲームなのだ。
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この,まるでブルース・リーそっくりなキャラクターもボスの一人。こいつはともかく,ボスは巨躯が多い |
ボートやヘリに乗っているときは,ひたすら攻撃に専念。このとき,ハイパーボムなどは使用できないので注意しよう |
体当たりしてくる敵はなるべく早めに遠くから撃破しておこう。マリアがついているとはいえ,やはり限界がある |
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後半に出てくる戦闘用のメカニックは耐久力が高く,厄介な敵だ。1台ずつ,確実に倒していくのが無難 |
脱力系のオブジェも登場。ただ笑えるだけじゃなくて,何か仕掛けられている場合もあったりする |
リアル系のFPSもいいが,マンガのような世界観のニトロファミリーには独特の味わいがあるのだ |
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■メーカー:ズー
■問い合わせ先:TEL 0268-38-1561
■価格:6279円(税込)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumIII/700MHz以上(Pentium4/1.4GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),空きHDD容量
1GB以上,メモリ32MB以上搭載したビデオカード(64MB以上推奨),DirectX 9.0以降
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