― 特集 ―

EverQuest

 

 

豊富なオプション設定。豊富すぎてどこをいじっていいか分からない?

 グラフィックスの美しさを売り物に,新世代のMMORPGとして先月ようやく国内版が発売された 「エバークエストII」(以下,EQ2)。発表当時は,最高スペックのPCを用意しても動かしきれないのではないかといわれたものだが(実際フルオプションだとゲームプレイはきつい),では,どの程度のPCからプレイできるのだろうか? 
 実は,英語版が発売された当時(昨年末),各種グラフィックスカードを取っかえ引っかえしてムービーを録っていたこともあったのだが,サイトリニューアルやらなにやらの大波に飲まれて機会を失っていた。大方の印象としては,条件を下げればたいていのPCでプレイはできるものの,条件を上げると極端に重くなるという感じだ。ここでは,EQ2を検討している人のために,
 

  そもそも,EQ2が動くか?
  どういう設定でどれくらい動くか?

 

についてちょっと考察してみた。

 

 

君のPCでEQ2が動くか?

 

 EQ2は,グラフィックスカードがDirectX 9.0に対応していることが動作条件となっている。DirectX 9.0は,ドライバだけなら対応しているものも少なくないのだが,ハード的な対応,つまり, Pixel ShaderやVertex Shaderを持っていることが最低条件だ。さらに, テクスチャユニットは4基なくてはならない。

 とはいえ,各種PCで,いちいちそんなことを調べるのは簡単ではないので,ハードウェア要件を満たしているかどうかについては, 「こちら」のページで確認するのが手っ取り早い。さらに, 「こちら」でキャラクタークリエーションツールをダウンロードして動かしてみれば,だいたいのところは分かるだろう。

 

 また,英語版ではあるが,最初のチュートリアル的な役割を果たす「難民の島」限定でプレイのできる体験版もあるので,自分のPCでの動作を確認しておきたい場合はそれを試してみるのもよいだろう。ダウンロードは 「こちら」から。
 

 一応,最近のゲームが動くグラフィックスカードを搭載していれば,ほぼ問題なくプレイできるようだ。また,チップセット内蔵のグラフィックス機能などでは,ほぼ確実に動かないと思ってよい(Intel 915Gなどで無理やり動かしてみても,5fpsくらいがせいぜいだった)。Radeon IGPの最近のもの(Xpress 200など)ではおそらくそれなりに表示できると思われるが,これらを搭載した製品はまだまだ少ないのが残念だ。

 

快適動作の目安とは?

 

 4Gamer読者で,普通に最近のPCゲームを動かせる環境を持っている人ならば,EQ2はおそらくほぼ問題なく動作させることができるだろう(まったく動かないような環境だと,そろそろ買い換えたほうがいい)。

 EQ2は,意外と低スペックでも動くものなのだが,決して軽くはないゲームだ。

 動作環境をやっと満たしているくらいでは,まだちょっと重かったり,フィールドでは大丈夫でもダンジョン内では動きがカクカクしてしまったりする人もいるのではないだろうか。こういった現象の原因は複数の要素が絡み合ったものとなっており,使っているシステムの状況に応じた対処が必要となる。

 

・CPU
 かなり重要である。動作速度全体の基本はCPU性能に依存している。速ければ速いほどよいが,そう簡単にCPUのアップグレードをできない人もいるだろう。そういう人はできるだけCPU負荷が下がるような設定にしておきたい。
 
・メモリ 
 メモリ量は非常に重要だ。512MBでも動作はするが,メモリスワップが発生して,画面がカクカク(くらいならまだマシ)になることも多い。最低でも1GBは搭載したい。とはいえ2GBでも足りない局面があるようで,込み入ったダンジョンやRaidに向かうようになると,4GB程度のメモリ増設も考えたほうがいいかもしれない。
 ゾーン内のいくつかのエリアごとにデータを読み込むようで,一度読んだ部分はキャッシュしてある感じだ。しかし,メモリが少ないと,キャッシュの際にスワップが発生するという,キャッシュの動作としてはどうかと思える症状で動作が極端に重くなる。半面,そうしてキャッシュされたエリア内ならば,人が大勢きたりしない限りは512MBのメモリでも十分軽快に動作する。
 
同一シーンの表示例(512MB時):

   1回目

   2回目


・グラフィックスカード 
 DirectX 9対応必須ということで,ほぼ一定以上の性能は保証されてはいるものの,やはりものによっては苦しい場合もある。GeForceやRadeonなどでは,「平均的」くらいまではグラフィックスカードの性能はあまり関係ない。それ以上の設定にしていくと,カードの基本性能が露骨に出てくる感じだ。
 
・HDD
 
 速いほうがよい。高速なディスクだと,メモリスワップが発生したときもラグが少なく,ゾーン時の切り替えも高速で全体的に快適になる。EQ2は街の内部も細かくゾーン分けされていたり,フィールドもシームレスっぽいが実は細かく分けられているようで,データ読み込み時の動作が滑らかになったりする。

 

 MMORPGは,リアルタイムに進行はしていくものの,純然たるアクションゲームのように60fps動作が要求されることもなく,実使用時には20〜30fps出ていれば十分といった感じもある。もちろん,速ければ速いに越したことはないのだが,60fpsや100fpsで動作することは必要ではない。大事なのは,プレイ時に操作が困難な程度まで速度が落ち込まないようにすることだ。描画オブジェクトが増えたり,処理量が増えると瞬間的に操作できなくなることもある。これの原因の大半はディスクスワップである。描画量が多すぎてコマ落ちするなどということは日常茶飯事というかそれが通常動作であり,あまり問題にはなることはない。

 グラフィックス性能だけが注目されがちだが,メモリやHDDなどを強化することのほうが効果が大きいこともあるのだ。

 

ゲームオプションの設定

 

 EQ2は,オプション設定でグラフィックスを中心に,ゲームの負荷を何段階にも変化させることができる。ゲームを開始するとデフォルトは「処理速度優先」だ。
 はっきりいって,このデフォルト設定はかなり軽いので,比較的非力なシステムでも支障なくプレイできる。最近のグラフィックスカードを持っている人なら,もっとクオリティを上げたほうがよいだろう。デフォルトのままでは,EQ2が実現しているリアルタイムシャドウなどの技術はかけらも見ることができない。グラフィックスクオリティで注目を集めている作品であるだけに,そういった部分を有効にしないのはあまりにもったいない(有効にしないほうが軽快で,プレイ自体は快適かもしれないのだが)。
 
 グラフィックス関係の設定だけでもかなり多くの項目があり,どれがどのようなものなのか分かりにくくなっている。ここでは主なものを解説しておこう。
 
●パフォーマンス 
 「規定のパフォーマンスレベル」ということで,各所を大雑把に調整して全体の負荷を以下のような7段階に調整できるようになっている。まずは,ここをいじるのが基本だろう。多くの人にはここだけいじれば十分でもある。

 

最高画質
画質優先
画質やや優先
平均的
処理速度やや優先
処理速度優先
最高処理速度
 

 

 画質とパフォーマンスのバランスは「平均的」がもっともよいようだ。「最高画質」については,決して最も重い仕様ではないのだが(もっと重くできる), ゲーム内で使うものだとは思わないほうがいいだろう。描画能力に余裕がある場合は,「画質優先」あたりをベースにいじってみよう。


・フルスクリーン 
 フルスクリーンにしたほうが一般的に軽い。


・解像度 
 小さくすると軽くなるが,画面情報量も減るので,可能な限り大きめに取っておきたい。


・リフレッシュレートを同期する 
 同期を取るとCRTを使っている人は動きが綺麗になる可能性がある。液晶の人は無視で。


・トリプルバッファ 
 設定する意味はない。MMORPGでは,1フレーム分だけ突発的に重くなるようなことは考えにくい。そもそもFPSのような極端なリアルタイム性を要求されるものではないので,こんなものを設定するとメモリを多く使うとか,レイテンシが増えるなどの弊害ばかり目立つ。


・グラフィック解像度 
 表示画面解像度とレンダリング解像度を変えて,拡大表示することもできる。当然処理は軽くなるが,画面は粗くなる。


・ライティングの解像度 
 光源処理をするときの精度を決める。グラフィック解像度と似ているが,エッジ部分以外はそれほど荒れない。

 

標準状態 ライティング解像度を落とした +グラフィック解像度も落とした


・レンダリング距離 
 どれくらい遠くのものまで計算して描画するかを決める。小さくするとCPU負荷を中心に軽くなるが,見通しは悪くなる。


・コンプレックスシェーダー使用距離 
 粗の目立つ近くのものにだけ複雑な処理をして,遠くにあるものは簡単な処理で済ませようというのは3D最適化の基本である。
 このコンプレックスシェーダーを使う設定にしていると,Pixel Shaderなどが使われることになるため,一部のグラフィックスチップでは,実行速度に大きな違いが出てくる。ここを
−1にすれば使用しない設定となるので,質感は落ちるものの,かなり負荷は下がる場合がある。

 

●ワイドスクリーンレターボックス 
 3D描画エリアの上下の余白量を調整する。最大にすると,最小時の2倍の面積となる。描画量が小さくなれば,グラフィックスチップの負荷(とくにグラフィックスメモリのアクセス)が軽減される。
 なお,描画するピクセル数が減ったとしても,3D計算に必要になる頂点数は減らないので,CPUによる3D演算処理やゲーム内処理は相変わらず一定の時間を食うことになる。
 
●テクスチャー解像度 
 貼り付ける絵柄の精度である。テクスチャー解像度は3種類に分かれており,
  背景
  キャラクター
  LODキャラクター
 
でそれぞれ設定する。
 LOD(Lebel of Detail)とは,遠くにあるものは簡便なモデリングに差し替えて処理を軽くしようというものだ。EQ2では,シェーダを使う高ディテールモデル,通常高精度モデルとLOD用低精度モデルの3種類を切り替えているようで,もう少し多段階で処理してほしかった気もしないではない。高ディテールの適用キャラクター数は少なめが普通なので,通常モデルでカバーしなくてはならない範囲が広いのだ。

 どれがLODで表示され,どれが通常でという切り替えポイントの見極めは,なかなか複雑で,単純に距離によるものでもないらしいのだが,基本的には,
  近くのキャラ:キャラクターテクスチャー
  遠くのキャラ:キャラクターLODテクスチャー

だ。よく分からない場合は,設定値を揃えておいたほうがよい。推奨はいずれも「高」だ。

 
 ここの設定は,キャラクターが近づいたときのクオリティにかなり影響はするので,目一杯上げたくもあるのだが,グラフィックスメモリ512MBでないと「最大」にはしないでくれと書いてあるくらいなので,あまり調子に乗らないほうがよいのかもしれない。ちょっと「最大」を試してみた感じでは,性能への影響は確認できていないのだが,ゾーンをまたいだり,テクスチャ入れ替えが激しい場合には影響があるのかもしれない。

 

●空間 
・ブルームエフェクト
・空気の広がり
・かげろう
 
 ブルームエフェクトはいわゆるHDRレンダリングでよく見かける効果,ないし,そのモドキ処理。光が当たった面や光源の周囲に柔らかく光が広がるような効果をブルームと呼ぶ。HDRの専売特許というわけではないのだが,最近はブルーム処理がHDRだと思っている人もいそうである。見た目に自然に見える場合もあるが,全体に白っぽくなって不自然になることも多い。
 いずれも確認しづらいパラメータであり,設定しなくてもいいかも。


無指定 空気の広がりを設定 ブルームエフェクトを設定
空気の広がり+かげろう 空気の広がり+ブルーム すべてを設定

 

●水 

波紋,屈折の例(MPEG1)
・水中のディストーション効果 
 光の屈折をシミュレートするもの。

 
 
・波紋 
 水中に入ったときにキャラクターの影響で波紋が広がるようになる。これがないとちょっとさみしいが,それなりにCPU負荷の高い処理である。


・水しぶき 
 同じく,水しぶきが上がる。波紋に比べれば単純処理だ。


・テクスチャーのアニメーション 
 水面には水面用のテクスチャーが貼られているのだが,それをアニメーションさせることで,より流動的な感じを出す。


・海 
 海面の処理は,ファージャーニー号などの波にしか適用されないパラメータのような気がする。


・背景キューブマップの更新 
 水面への映り込みのうち,もっとも遠景となるものをどの程度の間隔でアニメーションさせるか。空に雲が流れている場合など,その映り込みが変化たほうが自然であるが,毎回やっているとデータ転送が重くなる。

 

反射による映り込みの例(MPEG1)

・反射 
 レンダリングされたシーン内のものの映り込み。


・屋内の反射 
 最遠景でもなく,キャラクターなどでもないが全体に映り込むもの。ということで,動きの多いキャラクターとか背景と見なせるもの以外のオブジェクトは別処理にしたほうが都合がよいのだろう。
 ここで指定できるキューブマップも反射も,水面に映り込みを出すためのものだが,背景を立方体に投影して写し込む簡易型のキューブマップと,きちっとした反射処理ではかなり精度が違ってくる場合がある。

 

●パーティクル 
 スペル詠唱時の光とかを表すエフェクト全体の強度を設定するのがここ。パーティクルを多くすると,画面処理は若干重くなる傾向にあるが,このゲームが動くくらいの世代のグラフィックスチップにとっては誤差程度だ。むしろCPUの処理が増えたり,画面が見づらくなるなどの弊害が出る場合がある。

 

●光 
 光源の処理はグラフィックスチップによってアクセラレートされるのが常だが,あまり多すぎると処理は重くなる。反射光源数などは増やすとかなり処理が重くなる場合があるので注意。暗い場所に行くときは,最小環境光量を上げておこう。

 

●影 
 EQ2のウリの一つといってよい処理なので,できるだけ影は付けておきたい。とはいえ,かなり重くなる処理でもあるので十分に調整を。
 キャラクターの影と背景やオブジェクトの影は別々にOn/Offを設定する。オブジェクトは影を落とすが,木は影を落とさない。木の根元から周囲には影っぽい陰影を乗せているのだが,これは影処理とは別のものだ。
 環境光からの影がいわゆるオブジェクトの影だが,これを加えると画面のリアルさが増すものの,かなり重めの処理にもなっている。キャラクターは,詳細モデルが使用される距離でないと影を落とさないが,オブジェクトは距離に関係なく影を落とす。

 

画面外の影が突然現れる例(MPEG1)

・画面外のオブジェクトの影 
 通常,視野外のオブジェクトは3D処理前に弾かれるのだが,オブジェクトは視界に入ることはなくても,その影が視界に入る場合もある。これをサポートするためには,余分な3D演算が必要になるため全体的な処理は少し重くなる。

 
・影の反射光 
 反射光は通常,面と光源の角度から一意に計算される。光源と面の途中に障害物があってもおかまいなしなのだが,当たってもいない光が反射するのもマズいので,それを考慮した反射計算を行うかどうかを指定する。指定すると少しだけ確実に重くはなる。ほおっておいても案外違和感のない場合も多い。

 

●モデル詳細 
・距離によるディテール描画の偏向 
 「偏向」って誤変換ぽい気もするが,要するに,先ほども解説したLODである。繰り返すと,LOD(Lebel of Detail)とは,遠くにあるものは簡便なモデリングに差し替えて処理を軽くしようというもので,どれくらいから切り替えるかをここで設定する。試せばすぐにわかることだが,EQ2の場合,高精度データからのギャップが結構激しいので切り替えはかなり目立ってしまう。LOD距離を短くすれば,CPU負荷などは軽くなる。見た目の違和感をなくしたければできるだけ大きくしたほうがよい。また,シェーダを使用する詳細モデルとの切り替えもここで設定した距離が基準になるようだ。遠くの人まで影を出したいという場合は,遠くまで詳細モデルで表示する必要がある。オブジェクトの場合はシェーダの使用と影は切り分けられているのに,ちょっと不思議な仕様である。

 
・最大三角形密度 
 ポリゴン分割をする際の細かさだと思われる。意味するところは分かりやすいのだが,画面で確認することは非常に困難だ。

 
・高ディテールキャラクター最大数
・低ディテールキャラクター最大数
 
 高ディテールのキャラを最大画面に何人表示させるかを決める。
 どのキャラを高精度で処理するかは,カメラの位置から近い順に決定される。高精度を1名だけに設定して,常に一人称視点でプレイしていると,高精度処理されるのは自分の目には見えない自分のキャラクターだけなので,ちょっと無駄だ。

 

 

●アニメーション 
 アニメーションの細かさ,滑らかさを指定する。CPUに負担がかかることもあるだろう。


・布の動きをシミュレート 
 布の動きはかなり重い処理なのだが,可能な限りOnにしておきたいパラメータである。

 

●植物 
 CPUパワーへのインパクトは少しあり,グラフィックスカードへの影響はかなり少ないようだ。CPUに不安がある場合はOFFで。グラフィックスカードはちょっと古いけど,CPUはそこそこという場合は,Onにしてもほぼ問題はない。見た目的には,遠くまで表示してあれば密度は薄めでも不自然さはない。むしろ,密度が濃いと地面に落ちているものなどが見づらいので,ゲームプレイ上は不利っぽいかも。草をかき分ける処理も,一瞬で駆け抜けることが多いので,設定していても効果は確認しづらい。

 

グラフィックスチップごとのテスト


 

 編集部でいくつかの環境を用意してEQ2をプレイしてみた。基本環境は,Pentium 4/3.2GHzに2GBメモリあたりだ。場合によっては,3.4GHzだったり,メモリ1GBだったりするものもあるので,まったく同じ条件というわけではない。また,場合によっては英語サーバだったり,接続時間が違ったり,ゲーム内での天候や時間,シーンないのキャラ数などがまちまちなので,同じ条件で比較したものではないことはあらかじめお断りしておく。
 比較的サーバなどの影響を受けない難民救助船の場面も試してみたが,通常のゾーンとはかなり違うので,実プレイ時の参考になるかどうかはいまひとつ微妙である。どうも波関係の処理が極端に重いようだ。タイタニックのCGをやったスタッフが,まったく同じアルゴリズムで実装しているというだけのことはあるというところか。

 テストでは,CPU負荷やメモリ使用量も見ているが,キャプチャ画像はメモリに溜め込むタイプのツールを使用しているため,メモリ消費量については単に表示されている値を見てもほぼ意味はない。

 

●GeForce 6800 Ultra 
 とりあえず,これで動かなかったらどうするんだという環境だが,さすがに最高設定でもある程度は滑らかに動く。最高画質のさらに上で,全項目をMax状態にしてもなんとか動く。とはいうものの,キャラクター数が増えたりするとガクガクっと苦しくなる局面は出てくる。

 

最高画質(8fps) 画質優先(16fps) 平均的(23fps)

処理速度優先(31fps) 最高速度設定(34fps) 平均的+影(12fps)


 


●Radeon X800 Pro 
 起動時にNVIDIA TWIMTBPロゴが出るなど,NVIDIA色が強いゲームなのだが,実はRadeon系のほうが滑らかとかいう噂もないではなかったり,「HTテクノロジでお使いください」と書いてあるわりにはAthlonのほうが……というのがEQ2だ。描画のクセや画質はGeForce系とは少し違う感じで,GeForceだとキャラクター作成時に顔の左半分に目立ちがちだったひび割れがない。肌のバンプマッピングなどもよりはっきり出る感じだ。
 性能的にはもちろん申し分ないが,このテストでは影以外の性能では6800 Ultra以上というスコアになっている。これはちょっとできすぎ。このシーン以外のフレームレートでは6800 Ultraのほうが出ている感じである。

  

   Radeon X800 Pro 最高画質の映像(MPEG-1) 

   Radeon X800 Pro 平均的の映像(MPEG-1) 

   Radeon X800 Pro 処理速度優先の映像(MPEG-1) 

 

最高画質(8fps) 画質優先(16fps) 平均的(23fps)

処理速度優先(32fps) 最高速度設定(36fps) 平均的+影(6fps)


●GeForce 6600 GT 
 最近の標準的なグラフィックスチップといえるのがこれ。性能的にはそこそこで,極端に重い場所に行かない限り「平均的」以上でも問題ないだろう。最高画質はかなり荷が重い。

 

最高画質(3fps) 画質優先(15fps) 平均的(20fps)

処理速度優先(26fps) 最高速度設定(29fps)


 
●GeForce FX 5700 
 一昔前の標準的グラフィックス環境といった感じのグラフィックスチップだ。設定をめいっぱい上げない限りは,十分実用的な範囲でEQ2を楽しめる。設定は,「平均的」ないし「処理速度優先」を基本にいじっていけばよいだろう。解像度の変更などは,あまり大きくは効いてこない。影の有無や詳細モデルの使用数などで設定を詰めていくとよいだろう。シェーダを多く使わなければまったく遜色ないレベルだ。

 

最高画質(3fps) 画質優先(14fps) 平均的(21fps)

処理速度優先(29fps) 最高速度設定(35fps) 平均的+影(3fps)


 
●GeForce FX 5200 
 このチップが事実上のローエンドだと思っていいだろう。基本的に,上位の5700などと比べて,極端にクロックダウンされた製品であり,とくにメモリ周りのクロックの低さがボトルネックになっている。チップ的にはヘッドスペースはあるので,大きな声ではいえないが,クロックアップしてナンボというチップではあるものの,低性能に見合ったメモリや冷却機構しか持たない製品が多いので,クロックもさほど上がらないというジレンマを持つ。まあ標準状態で使っていても問題はないのだが。
 設定のコツは,グラフィックスメモリをできるだけ使わないようにすること。全体の解像度を下げると,チャットテキストが読みにくくなるので問題があるのだが,EQ2ではレンダリング時の「グラフィック解像度」と「ライティングの解像度」を個別に下げることができる。これがてきめんに効くのだ。画面サイズはできるだけ大きくしておき,これらを下げる。「グラフィック解像度」を下げると極端に画面が荒れるのだが(まあ当然か),ライティングのほうはさほど目立たないので,ライティングだけでも下げるのがよいだろう。
 また,描画範囲を制限する「ワイドスクリーンレターボックス」も,これはもう思いっ切り効 く。シネスコ画面にして,余白にカバンやチャット窓を配置しておくというのは,それなりに実用的なレイアウトではあるだろう。

   GeForce FX 5200 平均的の映像(MPEG-1) 

   GeForce FX 5200 処理速度優先の映像(MPEG-1) 

   GeForce FX 5200 で独自に意カスタマイズした映像(MPEG-1) 

 

最高画質(1fps) 画質優先(5fps) 平均的(8fps)
処理速度優先(13fps) 最高速度設定(25fps) 平均的+影(1fps)

●Intel 915G 
 推奨されていない統合型チップセットをあえて使用してみた。このチップセットにはVertex Shaderユニットは搭載されていないが,Pixel Shaderは2.0相当のものがハードウェアで実装されている。Vertex Shader部分をソフトウェアで実装しているので,EQ2も一応動かなくはないものの,前述のとおり,3.4GHzのPentium 4でフレームレートは最大でも5fps近辺と,実用的とはいいがたい。これは画面サイズや解像度,表示クオリティなどを落としてもあまり違いはなく,単純にCPUによるVertex Shaderの処理がボトルネックになっているのだろう。
 EQ2実行時の様子をタスクモニタで見ると,ハイパースレッディング使用時のCPU負荷は,90%以上という驚きの数値を示している。おそろしくカリカリに最適化されたVertex Shaderエンジンを搭載していると思われるが,それでもまだEQ2には十分ではない。デュアルコアCPUなどで,CPUの演算性能を上げていけばfpsも上がるとは思われるが,それだけ投資するのだったら素直にグラフィックカードの使えるPCを用意したほうが安上がりかもしれない。

 

最高画質(0fps) 画質優先(2fps) 平均的(2fps)

処理速度優先(2fps) 最高速度設定(3fps) 平均的+影(0fps)


 
●Delta Chrome S8 
 S3コアを使ったDirectX 9対応グラフィックスチップのマイナーどころだが,一応EQ2は動作する。性能は十分とはいえないが,グラフィックスオプションを最低限にすれば遊べなくもないといった程度。ニアクリップでテクスチャが壊れる症状が出ており,ドライバ周りは十分成熟しているとはいいがたい。シェーダ使用時はフレームレートが半分近くに減少してしまう。最後の影のテストでほかのものと条件が違うのだが,このテストでは環境光の影以外のパラメータはほとんど大勢に影響ないので,だいたい同じ条件と思っておいてほしい。4Gamer読者でこのカードを常用している人はいないとは思うが参考までに。

 

最高画質(1fps) 画質優先(7fps) 平均的(8fps)

処理速度優先(21fps) 最高速度設定(29fps) 平均的+影(2fps)


 
●Mobility Radeon 9600 
 ノートPCでの動作例も挙げておこう。使用機種は,IBMのThinkPad T42だ。ノートPCとしてはハイエンドだが,ゲーム実行に耐えるグラフィックチップを搭載したノートPCで,かろうじて持ち運べる大きさの製品といえは,NECのLavie RXか,これくらいしかない。
 テスト結果としては,まずまず動くといった感じだ。世代的に考えて9600系であれば当然ともいえるが,CPUやメモリ周りなど制約も多いのであまり贅沢な設定は無理だが,意外と滑らかに動くものだ。
 後継機のT43ではMobility Radeon X300搭載モデルも出ており,さらに高性能が期待できる(統合チップセットモデルもあるので注意)。Lavie RXのほうは,Radeon Express 200に移行している。これは統合チップセットではあるが,ゲーム性能も期待していい唯一のものだ。今回はテストできなかったが,かなり期待できそうだ。

 

最高画質(1fps) 画質優先(7fps) 平均的(13fps)
処理速度優先(24fps) 最高速度設定(34fps) 平均的+影(2fps)

 
 画質を上げれば,フレームレートが下がってプレイアビリティが落ち,フレームレートを追求すれば画質を犠牲にせざるをえない。これはある程度しかたのないことではある。しかし,設定できるパラメータの意味が分かれば,より適切な形でパフォーマンスを引き出すこともできる。グラフィックスカードのみならず,CPUやメモリ量なども絡んでくるため,最適な設定はそれぞれのシステム構成によって異なってくるものである。各自で最適な組み合わせを探してみてほしい。 (aueki)



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