アクション 4Gamer.net Review
 
前作からシステムもゲーム性も一変!
生まれ変わったトライブスシリーズ最新作
トライブス ヴェンジャンス
Text by 三須隆弘
27th Oct. 2004


トライブスシリーズ最新作は見た目も中身も一新!

巨大空間をジェットパックで飛び交うFPS「トライブス」が,一新されたグラフィックスと扱いやすくなった操作性,興味深いストーリーモードを搭載して帰ってきた。スピード感溢れるシューティングに血湧き肉躍る!

 前作にあたる「トライブス2」(TRIBES 2)が登場したのは,もう3年以上も前。強化服を着込み背中にジェットパックを装備した兵士達が,起伏に富んだフィールドを飛びまわり,戦車や戦闘機といった乗り物を駆使しつつ,CTF戦(旗取り)を繰り広げる。地平線が霞むほど広大なマップに,最大64人ものプレイヤーが入り乱れ,派手にドンパチする様子はまさにSF大戦争。そのあまりに広い戦場とプレイ人数の多さから,チームとしての役割分担や乗り物の活用が非常に重要となる,独創的なFPSだったのだ。
 本作「トライブス ヴェンジャンス」(Tribes Vengeance)は,そんなトライブスシリーズの最新作なのである。ただしトライブスの世界観や設定等を継承しているものの,中身というかコンセプトは前作からかなり変貌。前作が好きで,それを期待していた人だと「アレ?」と思うはず。
 まず,当然ながら見た目が随分パワーアップしている。ゲームエンジンとしてUNREALエンジンを採用し,かなり今時のゲームっぽい感じになり,その関係かマルチプレイの最大対戦人数は32人までとなり,マップも前作に比べるとだいぶサイズが縮小されている。
 またマルチプレイ専用だった前作トライブス2では,基本動作のチュートリアルが一応シングルとして収録されていた程度。いわばオマケみたいなものだったが,本作ではたっぷりボリュームのある,本格的なシングルプレイが遊べるようになったのだ。

UNREALエンジンで描画されたとても美しいグラフィックス。のっぺりした印象の前作から見た目は大幅パワーアップ フィールドの描画も,前作とは比べ物にならないくらい美しく。起伏に富んだ地形を自由に飛び回るのは爽快! シングル,マルチともにゲーム中にサードパーソンビューへ切り替えられる。こうすると視界が若干広がる


操作キャラ入れ代わり立ち代りで熱い展開のシングルプレイ!

めまぐるしく物語が進行していくシングルプレイ。捕らえられた仲間を救出するため,敵基地内に潜入

 いきなりだけど,本作はこのシングルプレイがメチャメチャ面白い! いや正直,最初は前作と同様「まぁマルチのための練習みたいなもんかな」とか,「オマケ程度のストーリーかな」なんて気持ちで始めてみたら大間違い。ハマるハマる。
 このシングルプレイ,プレイヤーが操作するのは固定された一人物ではなく,それぞれ各シーンごとに変化し,陣営もキャラもシチュエーションもクルクル変わりながら,ストーリーがどんどん進行していく。王女を操作して敵に襲われた宇宙船から脱出させよ! みたいなシーンをクリアしたかと思えば,次は別陣営のキャラを操作して,仲間と連携しつつ闘技場を勝ち抜け! かと思えば,航空機の銃座に乗って敵陣営へ攻め込んだり,バギーを奪って運転してみたり。屈強な男を操作して敵基地へ潜入したかと思えば,昔の回想シーンで武器の扱えない子供を操作して,ひたすら連続ピンチから逃げ回ってみたり。もうめまぐるしく場面が変わっていく。
 個人的にシングルプレイの遊び応えだけなら,同じようなマップで同じ展開がずっと続いた「DOOM 3」よりも,変化に富んでいて面白いかも! と感じたほど。何よりキャラが基本的にジェットパックを装備しているので,ステージ構造が立体的で,既存のFPSのシングルステージとは大きくかけ離れた内容となっている。広々としたマップをスイスイ飛び回るという遊び方が,FPSのシングルでできるとは……うーん,いい気持ち。
 まぁゲーム自体は英語版のため,英語が苦手な筆者には細かいストーリーはサッパリだったが,シーンやシチュエーションから大雑把な目的というか,自分の置かれた状況はすぐに理解できたので問題なし。「あー今あの人助けに行くんだな」とか「アイツはコイツが憎いんだなぁ」とか,中学生レベルの英単語しか分からん筆者でさえかなーり引き込まれたほど,シングルプレイは面白かったりするんですわ。いやーこれは字幕だけでも日本語版が欲しいなぁ,とか思いましたな,正直。

屈強なおっさんを操作したかと思えば,年端もゆかぬ女の子を操作したり。武器が使えないから逃げるしかない! シングルプレイで,味方の操縦するAssault Shipへ乗り込み,ガンナーを担当。敵基地を空から襲撃するシーン ドラマチックに進むシングルプレイ。デフォルトでは字幕表示がオフだが,設定でオンにもできる。英語だけど



マルチプレイはゲーム性が前作からガラッと変わってます

自陣施設内で自分の装備を変更可能。自分の役割や戦況を考えつつ武器やオプションを選ぼう

 最初に書いた通り,マルチプレイのゲーム性に関しては前作「トライブス2」とはかなり変わってしまった。中でも一番大きな変化が,同時に遊べるプレイヤー数が少なくなり,マップが狭くなったことだろう。これは単に規模が小さくなったのではなく,全体的な戦略とかチームワークとか乗り物の重要性みたいな面がだいぶ薄まり,ゲーム性そのものが大きく変化した感がある。前作のファンからしてみればショック! トライブスシリーズの最大の特徴が変わっちゃった! と言えるわけだが,逆にそのおかげで初心者にはだいぶ遊びやすなったともいえる。
 なにせ前作だと,広大なマップで戦線が分散し,どこが最前線なのか,フラグや施設の状態はどうなのか,自分は何をすべきなのか,かなーりゲームをやりこんでないと,こういった基本的な部分でオロオロウロウロしがちだった。ところが本作では,スタートすれば目の前がもういきなり最前線,ジェットをかっ飛ばせばあっという間に敵陣へ到着。おかげでチームとしての連携も取りやすくなっている。
 ジェットといえば,背中のジェットパックがとても扱いやすくなった。前作ではジェットパックの操作にはかなりの慣れが必要で,下り坂で助走をつけたり滑空したりと,自在に飛ぶためにはそれなりのテクニックが必要だったりしたが,本作ではジェットの出力や回復速度がだいぶ増した感じ(?)で,気持ちいいほど簡単に長距離飛行が可能だ。またスキー機能もしっかりサポートされて扱いやすく,というか大変実用的になった。
 もちろん上級者になると,滑空とジェット,GRAPPLER(フック)をうまく併用して,さらに信じられない加速でダッシュしたりもできる。UNREALエンジンで描画された起伏に富んだ美しい地形を,自在に飛び回る感じが,とても気持ち良い。レーダーマップも画面いっぱいに表示され見やすくなり,初心者のハードルを低くするという意味で,こういった改良は大歓迎だと思う。

 またネットコード,対戦のパフォーマンスに関しては,良い意味でトライブスの伝統は守られていると感じた。3年以上前に最大64人対戦というムチャをやってのけた「トライブス2」は,ネットコードに関して評判がだいぶ良かったが,UNREALエンジンに変わった本作でも,この部分はだいぶ頑張っていた。Ping100以内の国内サーバーが快適に動くのは当然として,Ping150前後の微妙な位置にあるサーバーでも,大きなラグやストレスを感じずに対戦可能だった。ほかのFPSだとPing150といえばゲームにならないものも多い中,これはちょっと感動。もちろん,まったくラグがないワケではなく,実際にはだいぶ不利な状況で戦っているのだが,それでも我慢できるレベルでプレイできるのは嬉しい。

 ちなみに,マルチプレイのゲームモードは基本的にCTF,敵陣の旗を自陣の旗まで持ってくれば勝ち,というのがメイン。ほかにもボールをゴールへ運んでスコアを競い合うモードや,特定の1キャラだけ得点が入る鬼ごっこのようなモードもある。
 筆者はこの手のCTFが大好きで,「Team Fortress Classic 」は1年以上ハマって,今でも時々プレイしているほどだし,「コマンド・アンド・コンカー レネゲード」なんかもキャッキャいいながら遊びまくったクチだ。本作のようなスポーツ系FPSは,対極に位置する「カウンターストライク」のようなリアル系FPSとは違った爽快感があり,チームとしての役割分担がより分かりやすく楽しめる。そういった点からも,本作はチーム戦,CTFとしてのツボはしっかり押さえて,初心者にもちゃんと遊びやすくする工夫もされ,シングルプレイも手を抜かずにしっかり作ってあるなぁと感じた。
 まぁ前作とは全然変わっちゃって,ファンの間では賛否両論なようだけど,これはこれで面白いじゃないか,というのが正直なところ。シングル,マルチ共にデモ版が出ているので,前作のファンもそうでない人も,ぜひぜひ一度遊んでみてほしい。

プレイヤーが,ディスクが,ミサイルが飛び交うマルチプレイ。Pingが100以下のサーバーでなら,かなり快適に対戦できる 敵に施設を破壊されたら,素早く修復したい。写真のようにレーダーが壊されると,敵の襲撃が察知しにくくなる 対戦の基本はキャプチャー・ザ・フラッグ。写真は設置した自動砲台を修復中。攻撃と守備,チームワークが大切だ

 

 チーム戦,CTFといえば役割分担。本作では強化服をLight(軽量級,スピードが速い),Medium(バランスタイプ),Heavy(重装甲,機動性が低い)の3タイプから選択でき,さらに武器も10種類の中から三つを選択して持っていける。FPSといえば,気になるのが用意された武器なわけだが,ここでは「トライブス ヴェンジャンス」に登場する武器や乗り物についてざっと触れていこう。

ウェポン

・SPINFUSOR
トライブスシリーズのメイン武器。光るディスクを発射し,着弾すると爆発するという,ほかのFPSでいえばロケットランチャーのような性能。弾速が遅いので,敵の着地点を予測して狙うなど偏差射撃の腕前が要求される。空中の敵に当てるのは困難だが,まれに神がかった命中率のプレイヤーもいる

・CHAIN GUN
いわゆるマシンガン。弾速,着弾が速いため命中率が高く扱いやすい武器だが,威力は低いので敵に当て続けなければ効果は薄い。ほかの武器でダメージを与えたあと,これで確実にとどめを狙ったり,空中を飛び回る軽量級の敵に牽制として使ったりする。撃ちまくりすぎて弾切れに注意したい

・BLASTER
ショットガンのように,複数のエネルギー弾を前方に発射する武器。接近戦で効果が高いが,遠距離の敵には効果がほとんどない。強化服のジェットで使う自動回復するエネルギーを弾にしているので,弾切れになることがないのが強みだが,建物内部や狭い場所でないとなかなか使いどころがない

・G.LAUNCHER
前方に放物線を描いて飛び,爆破するグレネードランチャー。威力が大きく射程距離も意外と長いが,よほど慣れないと動く相手に命中させるのは難しい。相手が移動する先を予測して弾をばら撒き,爆風で削ると使い方が基本となる。敵基地の入り口や狭い場所に放り込むようにして撃てば効果絶大

・ROCKET POD
複数のロケット弾を一気に発射,射出後の照準にターゲットを補足し続けることで,ある程度の誘導ができる武器。集弾性,命中率はかなり悪く,威力も直撃させなければあまり高くないが,うまいこと複数のロケット弾が目標に命中すると,かなりのダメージを与えられる。ビーグルに対して有効か

・BURNER
発射して何かに当たると,しばらくその場所で炎を上げ燃え続ける。威力が高く,連続してダメージを与えられるが,射程距離が短いのが欠点。通路や施設内等,狭い場所で使うと非常に効果的なので,守備隊が旗を取られないように旗の周囲で使用したり,牽制として使うなど,拠点防衛に適した武器

・GRAPPLER
武器というより移動補助のアイテムで,ロープ付きのフックを発射して引っ掛けて,その場所へ移動するために使う。上空の航空機に引っ掛けたり,ジェットと併用して高速移動したりと,かなりテクニカルな使い方ができる。使用中にロープに何かが当たると切れてしまうので注意

・SNIPER.R
スナイパーライフル。デフォルトではCtrlキーでズーム,Rキーでスコープの倍率調整。ただほかのFPSのようにトリガーを引いて撃ってから即着弾というワケではなく,若干のタイムラグがあるので移動する目標に当てるのは慣れが必要。またこの武器は,強化服がLightの場合のみしか装備できない

・BUCKLER
攻撃を跳ね返して,敵の弾をそのまま敵にお返しできるシールド兵器。持っていればどんな攻撃でも防いでくれるワケでもなく,避けているつもりでも食らってしまうときはアッサリ食らってしまう。シールドを発射して攻撃することもできるが,連射できないので多用は危険

・MORTAR
強化服がHeavyの場合のみ装備できる,超強力グレネードランチャー。使い勝手はG.LAUNCHERと似ているが,威力が桁違いで爆風の範囲も広い。高速に動く敵や接近戦には向かないが,拠点攻撃用の武器としてはかなり優秀。むやみやたらと撃ちまくって,味方を巻き込まないように注意したい

 

ビークル

・Rover
高機動がウリの四輪バギーで,ガンナー(砲手)も乗せられる。このRoverはただのバギーではなく,inventory station(物資補給)やspawn point(味方の復活場所)として機能する司令塔の役割を持つ。敵を倒しても倒してもドンドン沸いて出てくるなら,近くにコレがいる可能性があるので優先的に破壊したい

・Jump Tank
短時間ならジェットでジャンプができる高機動戦車。装甲が厚いうえに主砲の威力は非常に高く,機銃用のガンナーを乗せることも可能。ガンナーを乗せていないと航空機や接近戦に弱くなってしまうので注意したい。敵の施設攻撃用に遠距離からガンガン撃ちまくると,かなり気持ち良い

・Fighter Pod
一人乗りの小型戦闘機で,上空からロケット弾を連射して攻撃する。ロケット弾は威力が低く集弾性が悪いため命中率はあまり良くないが,それを補って余りある機動性を誇り,逃げる敵を追いかけるのに役立つ。拠点の上空に張り付かれるとかなり痛く,その場合はこちらもFighter Podで応戦したい

・Assault Ship
登場マップは限られているが,対地爆撃,対空攻撃に優れた強力な武装飛行ユニット。操縦手が爆撃も担当し,それとは別にガンナーを2名乗せられるが,ガンナーがいるといないとでは攻撃力に大きな差が開くので,飛ぶときは必ず同乗者を募ること。動きは遅いものの攻撃力が高いため,かなりの脅威


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■発売元:サイバーフロント
■問い合わせ先:サイバーフロント TEL 052-779-6549
■発売日:2004年10月15日
■価格:7140円(税込)
■動作環境:Windows 98/2000/XP,Pentium4/1GHz以上(2.5GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),HDD空き容量 5GB以上,VRAM32MB以上のハードウェアT&Lに対応したビデオカード,DirectX 9.0c以降
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