― レビュー ―
定番バスケットボールゲームの最新作が登場
NBA ライブ 2005
Text by キーオ林
13th Dec. 2004

 

■NBA初の日本人プレイヤー・田臥勇太を華麗に操ろう

 

サンズの1番が,我らが田臥勇太。身長2メートル以上の巨漢選手がひしめくNBA選手の中で,175cmの田臥は逆に目立つ。ダンクシュートこそ決められないが,素早い動きで敵ディフェンス陣の隙を狙っていこう

 NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)とは,全30チームで構成されるアメリカの巨大なプロバスケットボールリーグのことだ。MLB(メジャーリーグ・ベースボール),NFL(ナショナル・フットボール・リーグ),NHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)と並んで,全米4大スポーツの一つに数えられている。

 

 もちろん,NBAはアメリカでは絶大な人気を誇っているのだが,それじゃ日本ではどうかというと,リーグの様子が地上波で放映されることは滅多にないし,報道もあまり多くないしで,イチローやゴジラ松井がいるMLBと比べると認知度はさほど高くない。しかし,フェニックス・サンズに日本人初のNBAプレイヤー,田臥勇太が入団したことで,日本でもにわかに注目度が高まってきた。そんな折りに発売されるのが,今回紹介する「NBA ライブ 2005」。アクション要素の濃いバスケットボールゲームだ。

 

 「NBA ライブ 2005」の開発元は,スポーツ物なら任せとけって感のあるEA SPORTS。過去にも「NBA ライブ」のシリーズをリリースしており,これが歴史あるシリーズの最新作となる。実は既にプレイステーション2版が発売済みなのだが,PC版ではプレイステーション2版には登場しない田臥が登録されており,操作可能となっている。田臥の登場によってNBAに興味を持ったという人には,PC版でのプレイをオススメしたい。

 

 実際に田臥を使ってみると,シュート能力こそ低いがスピードがあり,得点能力よりも的確なパス回しや相手ディフェンス陣を混乱させる動きを要求されるチームの司令塔,ポイントガードというポジションで使うのに向いている。
 ところが田臥の所属するサンズには,スティーブ・ナッシュという3ポイントシューターとしても能力の高いポイントガードがいるので,本当に勝ちに行きたい試合では,やはり起用の優先度は低くなりがちかもしれない。

 

激しいプレイの連続なので,選手がケガで途中退場し,交代を余儀なくされることも。控え選手は重要だ マジック・ジョンソンなど,いにしえのスター選手を集めたオールスターチームも登場する。すごい選手ばかりなので,豪快な技がバシバシ決まる。強引に攻めても,敵をはじき飛ばしてゴールしちゃうのだ
試合のデータは細かいところまで確認が可能。これを見て自分のプレイを反省しつつ,次の試合に生かしたい フリースローは,移動する縦軸と横軸を合わせることで行う。選手によって,軸の動く速さが異なるのだ 選手を自作してゲームに登場させることも可能だ。身長,体重も設定できる。これでキミもNBA選手に

 

 

■ボタン一つでダイナミックな技を決められる


ゴールが壊れるんじゃないかってくらいの豪快なダンクも,ボタン一発で出せる。このダイナミックさはNBAならでは。すごいゴールが決まったあとにはリプレイが流れるので,じっくり眺めてうっとりしよう

 では,ゲームに関して細かく見ていくことにしよう。本作には多数のゲームモードが搭載されているのだが,それは後述するとして,まずは基本となる試合中の操作から。

 

 操作はキーボードとデュアルアナログスティックのゲームパッドに対応しているのだが,いきなり私見で言ってしまうと,ゲームパッドでのプレイを強く推奨する。このゲームで完璧に選手を操作しようとすると,10以上ものキーを使用することとなるからだ。
 慣れてしまえばどうということもないのかもしれないが,キーボードでの操作だと,どのキーがどの動きに対応してるかを確認するのが精一杯で,とても試合どころではない。

 

 また,このシリーズは前作「NBA ライブ 2004」から,"フリースタイルコントロール"が使用可能となっている。これは,デュアルアナログスティックの右スティックをプレイ中に動かすことによって,直感的に選手を操作することを可能としたものだ。
 これをキーボードで行おうとすると,Spaceバーを押しながらカーソルキーを操作することとなり,やはり煩雑といった感は拭えない。やはりゲームパッドでのプレイに最適化するように,操作系が設定されているのであろう。

 

 ここまで読むと,ちょっと操作が複雑に思えるかもしれないが,実際そんなことはない。迫力満点のダンクシュートや,現実では難度が高いアリウープなどもボタン一つで出せるなど,スピーディでダイナミックなプレイを簡単操作で楽しめるのだ。数試合遊んでみれば,基本的な操作は理解できるだろう。

 

 また,最初からすべてのキーを覚える必要はないようにも思える。ゲーム難度を,最も低い"ルーキー"に設定すれば,オフェンス時にはパスと2種類のシュート(通常のシュートとダンク/レイアップ)を,ディフェンス時には選手の切り替えとスティール,ブロックショット/リバウンドを覚えるだけで,試合の体裁を整えられるだろう。ゲームに慣れてきたら,そこから徐々に操作できる幅を広げていけばいい。

 

 本作は30チーム+αのチームに,それぞれ18人くらいの選手が登録されている(ロースターを含む)。よほどのNBAマニアでもない限り,選手すべての能力を把握してはいないだろう。
 そこで大いに役に立つのが,"プレイヤーアイコン"なる存在。試合中,特定の能力が高い選手の足下にアイコンが表示され,その能力を一目で分かるように示すのだ。

 

 このアイコンが表示されるおかげで,試合中でも瞬時に選手のスキルを見極めて戦略を立てられる。例えば,敵チームの"3ポイントシューター"のアイコンが表示された選手がボールを持ったら,若干ゴールから離れたところであっても,フリーにするのは危険だ。すぐさまマークをつけなければならない。

 

 こういったことが一目で分かるので,NBA選手のことを全然知らないプレイヤーでも,"ただのバスケゲーム"ではなく"NBAのバスケゲーム"をいきなり楽しめるのである。

 

オフェンス/ディフェンスそれぞれのフォーメーションは,方向キーを押すだけで変更可能。上手く使い分けたい リバウンドを捕れれば,試合をかなり有利に進められるだろう。リバウンドを制するものはバスケを制すかも 選手の特徴を表すプレイヤーアイコンは全部で4種類。どんな選手かを瞬時に判断できて,ものすごく便利だ
プレイヤーアイコンは自チームの選手にも表示される。選手の特徴を活かすプレイで試合を優位に進めたい オフェンスに関しては"個人練習"で操作を覚えられるが,ディフェンスは試合で慣れていくしかない ロード中にも,ゲームに関してのいろいろな情報を教えてくれる親切設定はEA SPORTSおなじみのスタイル

 


■充実,多彩なゲームモード


 「NBA ライブ2005」には,以下のゲームモードが搭載されている。

 

クイックプレイ 任意の2チームを選択し,好みの設定ですぐさま遊べる
ダイナスティモード チームのジェネラルマネージャーとなって,数シーズンをプレイしながらNBAチームを育てる
NBA All-Star Weekend NBAのシーズン中盤に毎年行われる四つのスペシャルイベントをプレイできる
フリースタイルチャレンジ 画面を分割して,2プレイヤーで対戦できる
オンライン ネットで対戦プレイを楽しむ
シーズン 1シーズンのみを戦う。ダイナスティモードに近いが,チーム育成の要素はあまりない
プレイオフ 文字通り,プレイオフ戦をプレイするモード
1 ON 1 任意の選手で1対1のバスケを楽しむ
スラムダンクスクール スラムダンクの練習モード
個人練習 試合中のオフェンスの操作を練習できる

 

ダイナスティーモードでは,いろいろな情報がPDAにメールで送られてくるようになった。PDAをマメにチェックしないと,チーム運営に支障が出てしまう。結果が出せないと,最悪クビになってしまうのだ

 この中でも特徴的なのは,"ダイナスティモード"と"NBA All-Star Weekend"であろう。
 ダイナスティモードでは,選択したチームを鍛え上げていく楽しみがある。トレーニングキャンプで選手達を鍛え上げ,オフシーズンにはドラフトで選手を獲得し,トレードやフリーエージェント契約でチームの弱点を補っていき,王座を目指すのである。NBAの1年の流れにそのまま沿った形で進行していくので,後述するNBA All-Star Weekendの要素も,この中に組み込まれている。
 ダイナスティモードでは,チームの情報はPDAで入手する形となるのだが,このあたりはサッカーシミュレーションゲーム「チャンピオンシップ・マネージャー」シリーズを彷彿とさせるものがある。あのシリーズほどデータが細かくはないのだが,そのぶん単なるチーム運営シミュレーションだけでなく,試合で選手を操作できるのが「NBA ライブ」シリーズの強みだ。ちなみに,試合自体は全部AIに任せて,チーム運営だけに力を注ぐプレイ方法もやろうと思えば選択できる。

 

 もう一つの特徴的なゲームモード,NBA All-Star Weekend。こちらに関しては,さらに四つのカテゴリに分かれている(ルーキーチャレンジ,NBA オールスターゲーム,3ポイントシュートアウト,スラムダンクコンテスト)。
 ルーキーチャレンジは,ルーキーチームとソフォモア(2年目)チームとの対戦であり,NBAオールスターゲームは各カンファレンスの代表チームの戦いである。この二つは,操作する選手が通常のチームと違うほかは,通常の試合との差違はない。
 で,趣が異なるのは3ポイントシュートアウトとスラムダンクコンテストの二つ。前者はベストシューター8人が60秒間の間に3ポイントシュートで何ポイントゲットできるかを競うゲームとなっており,後者はダンクシュートのポイントを競うゲームだ。
 ちなみにダンクシュートの得点とは,ゴールを多く入れたほうが勝ち,というものではない。高度なダンクを決めると高得点になるというもので,審査員が優劣を決める形となっている。このモードでのダンクシュートは,通常の試合とは操作が異なっており,ボタン一発ではゴールを決めることができない。選手が空中にいる間にトリックを決めるボタンを押す必要があるのだ。
 なお,フリースタイルチャレンジでは,3ポイントシュートアウトとスラムダンクコンテストをユーザー同士の対戦で楽しめる。

 

 以上,かなり駆け足で説明してきたが,ゲーム画面も実際の試合をテレビで観ているのと見紛うばかりの本格派。「NBA ライブ 2005」はアクション系のスポーツゲーム好きプレイヤーに太鼓判を押してオススメできるゲームだ。寒い冬をホットに過ごせる熱い一本である。
 NBAのファンでなくても,質の高いバスケットボールゲームを楽しみたいなら,このソフトは"買い"であると,このさい言い切ってしまおう。

 

チームの将来を担う有望選手のスカウトも,チーム運営には欠かせない。上手く補強してチームを強化しよう 3ポイントシュートアウトは,2ラウンド以上の対戦だと,各ラウンドの下位選手が脱落するノックアウト方式 じっくり狙いたい3ポイントシュートなのに,時間制限があるので,焦ってしまう。冷静さが勝利への鍵か!?
スラムダンクコンテストには審査員がおり,彼らの評価によって勝負が決まる。ただゴールしたというだけでは審査員のお眼鏡にはかなわないのだ。ハデなトリックで豪快にダンクを決めて,高得点を叩き出そう 1 ON 1はスタジアムではなく,街中で気軽にプレイしている雰囲気。プレイするコートを選択することも可能

 

 

タイトル NBA ライブ 2005
発売元 エレクトロニック・アーツ
発売日 2004/12/16
価格 8379円(税込)
動作環境 Windows 98/Me/XP,PentiumIII/700MHz以上,メモリ 128MB以上(Windows 2000/XPの場合は256MB以上),HDD空き容量 1.8GB以上,VRAM32MB以上のビデオカード,DirectX 9.0b以降
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