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トライブス2
Text by デイビー日高
15th Aug.2001

 "チーム戦オンリー","ジェット噴射で空を飛べる","爆撃機などのビークル(乗物)に複数人で搭乗できる"といった,ほかのFPSにはない非常に斬新な特徴を持った「TRIBES」。世界的には,Quakeシリーズ,アンリアルシリーズ,カウンターストライク(以下,CS)と共に四大FPSとして並び称せられる人気FPSである。
 その傑作FPSに,続編「トライブス2」(以下,TR2)が登場した。前作での特徴でもあったビークルの拡充やシングルプレイ時の機能追加など,さまざまな面で強化されている。また既存のFPSと比較しても,オリジナリティはほかに例を見ないほどだ。その特徴的な部分をメインに紹介していこう。

3種類のARMORは,外見だけでなく機能も異なる

クリックすると拡大します  プレイヤーはARMOR(装甲服)に身を包んだWARRIOR(戦士)となり,ルールに従って敵陣営と覇を競い合う。TR2の内容を端的に表現すればそんな感じで,大筋としては従来のチーム戦FPSとなんら変わらない。だがプレイすると,そのあまりにも違う感触に驚くはずだ。
 ARMORにはライト(SCOUT-Class)ミドル(ASSAULT-Class)ヘビー(JUGGERNAUT-Class)の3種類がある。外見が異なるだけでなく,大きく機能に差がつけられている点がポイントだ。機動力や防御力,搭載できる武器の数や種類に差があるほか,乗り込めるビークルの種類や,搭乗したときの担当するポジションもそれぞれ異なっている
 アーマーについても大まかに説明しよう。
 ライトは防御力が低く,搭載できる武器の総数も少ないが,その分それらを補ってあまりある機動力がある(唯一スナイパーになれることに加えて,全ビークルに乗れる)。ライトはとにかく軽快さがウリなので,ゲームモードのCapture the Flag(以下,CTF)で旗を奪取する役割やスナイパーの役割に向いている。
 その対極に位置するヘビーは機動力がかなり低い反面,防御力と搭載できる武器の総数に優れているという特徴がある。ヘビーを使用する理由の一つには,Fusion Mortor(以下,FM)という最強の破壊力を持った武器が装備できる点だ。ヘビーはとにかく攻撃重視で,装甲の厚さを生かした戦い方をしていける。
 そしてミドルは,ヘビーとライトの中間といった具合だ。ライトの装甲の脆弱さや,ヘビーの機動力のなさといった極端な性能となっていないので,どの役割を担当することになっても"そこそこ"の能力を発揮していける。
 要するに,ライトは偵察や狙撃,破壊活動といった任務,ミドルは敵と正面から戦う主力および遊撃的なポジション,そしてヘビーは拠点防衛や味方の掩護,敵砲台など耐久力の高い施設の破壊などに向いているといったイメージだ。もちろんこれは性能からみた基本的な戦術なので,もっと応用を利かした運用方法も存在するし,自分なりのものを考案することも可能である。
 ちなみにTR2の面白い機能に,Inventry Station(以下,IS)という装置を使って,戦闘中にARMORをいくらでも変更可能というのがある。戦況によって不足している部分を動的に補えるのが面白い。筆者個人としては,アイテムとしてENERGYを装備したライトが非常に好きである。最も遠く,最も高く飛ぶことができるので,この上なく気持ちがいい。

アーマー一覧は「ここ」(PDFファイル:3KB)

ジェットパックが広大な戦場での生死を分かつ!

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 ジェットパックはすべてのARMORに用意されている機能。背中に背負ったジェットパックを噴射すると,空高く飛び上がれたり,前方へ高速移動したりすることができる。その重要度は,ジェット噴射がマウスの右ボタンにデフォルトで設定されていることからも分かるだろう。
 戦場がとてつもなく広く,そしてあちらこちらで激戦が頻繁に起こるTR2では,いかに機動力を維持して戦うかがポイントとなってくる。マップの広大さが一つの特徴として挙げられるアンリアルシリーズと比較しても,実際に活動できる範囲はTR2のほうがはるかに広い。
 何しろ,どんなに高い山でもジェットで登れるし,水中にも無制限に潜っていけるのである。基本的な戦闘エリアは決まっているが,行き止まりの壁がなく,マップの両端が他方に接続してループする仕組みなのも,古典的ながらもマップを広大にみせている一つのテクニック。とにかく,高度も含めた3次元的な広大さを持つTR2では,ジェットを駆使して少しでも速く移動しなければ,目的地に到着するのがいつになるか分からないほどなのである。
 またジェットによる機動力の維持の重要性は,戦闘時が最たるものとなる。敵との戦いでは,空中戦をこなせるようにならないと,勝つのが非常に難しい。従来のFPSのように地上にへばりついた感覚のままでいては,あっという間に倒されてしまうのだ。地上では爆風による被害も受けやすいため,いかに相手の上空を取れるか,いかに相手が反応できない速度で死角に回り込めるかが重要なファクターなのである。

10種類の武器のうちどれを持つかで役割は変化する

 TR2で使える武器は全部で10種類。破壊力はもちろん,連射速度や射程などどれも一長一短があり,またそれぞれ適した用途は異なっている。一度に全種類を持つことができないので(ヘビーでも5種類までだ),自分の役割を考慮したうえで装備していかなければならない。
 同じARMORをチョイスしても装備する武器によって役割や戦法が変化してくるので,まずは色々と試してみて体験してみるのがいい。ARMORと武器(とアイテム)の関係が,どのような役割と戦法に結びつくのかを体で覚えていくのが一番の近道だ。
 戦闘開始時には,一般的なFPSと同様にArmorと武器を購入する機会が与えられている。このときに便利なのが,あらかじめ用意されているバッチ機能だ。これには用途別のオススメ装備が用意されており,それを選択することによって簡単にすばやく「戦闘可能」状態にできるのだ。例えば"JUGGERNAUT DEPLOYER"というヘビーの偵察用途(どちらかというと工兵か)の設定なら,5種類の武器と携帯用IS,グレネードにDeployable Camera(投擲して設置するスパイカメラ),そして地雷のMineとなる。
 自分用にカスタマイズしたバッチをセーブしておくこともできるので,やり込んでいくうちに随時変更していくのがいいだろう。

武器一覧は「ここ」(PDFファイル:3KB)

各種アイテムがさらに役割を増やす

クリックすると拡大します  TR2では各種チーム戦のルール上の重要なポイント(例えばCTFなら旗)以外に,各種センサーやビークルを出現させるBehicle Station,IS,防衛用の砲台,それらにエネルギーを送るGeneratorなどの防衛する必要がある重要な施設がある。TR2の醍醐味の一つが,これらの施設の防衛および攻撃拠点の多さからくる戦略性の高さだが,各種アイテムを活用することで,施設を無効化したり,破壊された施設を修復したりと戦闘に直接携わる以外の役割も務めることができるのである。
 例えば各種センサーに引っかかることなく視覚的にも透明になれる"Cloaking"は,CTFでの旗の奪取はもちろん,単独による敵施設の破壊などゲリラ的な活動をするときや,Deployable CameraやBeaconなどを敵陣に設置するときには必需品である。これ以外にも,Targeting Laserで目標物を照らして,味方のFMの命中精度を上げるなどの"縁の下の力持ち"を演じるのにも役に立つアイテムだ。また重要施設の周辺にセンサーや砲台を設置して防御力を高めるアイテムなども用意されているので,これらの防御用施設の防護などの役割を担当するプレイヤーも必要となる。
 従来のFPSで多彩な役割が用意されているものといえば,「ハーフライフ:チームフォートレス」があるが,TR2はそれ以上に役割が用意されているのである。輸送機のパイロットや"運び屋"など直接的な戦闘以外の役割も多数あるので,戦いは苦手という人でも十分に楽しめるというわけなのだ。

アイテム一覧は「ここ」(PDFファイル:4KB)

みんなでビークルに乗って敵陣へ!

クリックすると拡大します  「ガンマン・クロニクルズ」や「コードネームイーグル」など戦車や飛行機などに搭乗して戦えるFPSはいくつかあるが,複数プレイヤーが一つの機体に乗り込めるものはあまり見かけない。「Allegiance」(国内ではマイナーゲームだが)というスペースフライトゲームで,機体を操作するプレイヤーと攻撃を担当するプレイヤーが同じ機体に搭乗して戦えるくらいだ。
 TR2は前作から引き続き,1機体に複数プレイヤーが搭乗する機能が実現されており,攻撃するときも墜落して戦死するときも一緒という連帯感(?)を実感できるのだ。これらの複数人が搭乗する乗り物のうち比較的運転しやすい"BEOWULF-Class GRAV TANK"は,ドライバーとガンナーの二人乗りの戦車で防御力が優れているのが特徴。搭乗者が二人だけなので,比較的コミュニケーションが取りやすい点もいいところだ。
 このほかに航空機も重要な位置を占めている。いうまでもなく航空機のパイロットはかなりの技量を求められるので,務めるのは非常に大変。特に爆撃機では,爆撃担当のプレイヤーがアクションを起こしやすいようにスピードを少し落とすなど,細かいテクニックも求められるのだ。熟練したパイロットは引く手あまたとなるので,それを究めてみるのもTR2の一つの楽しみ方だろう。

ビークル一覧は「ここ」(PDFファイル:3KB)

4種類のチーム戦専用のゲームタイプ+シングルプレイ用のモード

 TR2に用意されているゲームモードは,チーム戦専用のものと,前作にはなかったシングルプレイ用のモードに大きく分かれている。  チーム戦のゲームタイプにはCTF,Capture and Hold,Team Hunters,Siegeの4種類が用意されている。

CTF 一般的なFPSにもよく用意されているゲームモードで,敵陣の旗を取って自陣まで持ち帰ればポイントが加算され,一定の時間内でよりポイントの多いチームが勝ち
Capture and Hold フィールド内に複数あるSwitchをできるだけ多くを自軍のものとし,一定時間を敵より多い数をキープすれば勝ち
Team Hunters 敵を倒したときに出現する旗をできるだけ多く集めて,定められたポイントに持っていくというもの。一定時間内に得点が多いほうが勝ち
Siege 攻撃側と防御側に分かれて,一定時間内に攻撃側は相手の拠点を落とせば勝利,防御側は守りきれば勝利というもの。一定時間が経って一勝負が終了すると,今度は攻め手と守り手が逆転する

クリックすると拡大します  最近は,こうしたチーム戦のルールもそう珍しいものではなくなってきたため,すぐにルールを把握してプレイできる人も多いことだろう。しかし始めてFPSをプレイする人向けに主要な操作方法を覚えるトレーニングモードと,BOT(コンピュータが操作するプレイヤー)と戦えるソロモードが追加されている。トレーニングモードで基本的な操作方法を学び,続いて実際のチーム戦の雰囲気を味わえるソロモードで鍛えれば,ある程度は実戦でも戦っていくことができるだろう。

 筆者はこれまでのチーム戦のFPSはどうも好きではなかった。なぜかというと,ゲームのインタフェースや言語の問題から連携がうまく取れず,どうもじれったかったのだ。だがTR2は筆者の好みの"黙々と孤独にこなせる縁の下の力持ち"的な役割もゴロゴロしているので,直接チャットでコミュニケーション取って指示を出したり受け取ったりしなくても"味方の役に立っている"という気分をたっぷり味わえるのだ。
 またボイスチャットも非常に充実しているので,四つのキーを組み合わせるだけで明確な意志を音声で素早く伝えられるのもうれしいところだ。

 好みの問題もあるだろうが,これまでのFPSで最も面白い作品と断言しよう。操作に使用するキーが一般的なFPSに比べると多くなっているという難点はあるが,それを補ってあり余る魅力を持っているのだ。FPSが苦手な人でも色々な遊び方ができるので,ぜひ新感覚のネットワークゲームとしてプレイしてみてほしい!

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■発売元:カプコン
■価格: 7800円(日本語マニュアル付き)
■問い合わせ先:カプコン TEL 052-760-0335
■動作環境:Windows 9x/ME/2000,MMX PenriumII/300MHz以上(PentiumIII/500MHz以上推奨),メモリ64MB以上(128MB以上推奨),空きHDD容量531MB以上
■英語版デモ(78.44MB):http://www.4gamer.net/files/demo/T2Demo.exe

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