■あのD.W.Bradley氏の新作を遊べる日が来た!
しかし,北米での発売日(2005年4月20日)を目前に控え,ようやくデモ版がリリースされた(紹介記事は「こちら」)。
これがなかなか魅力的な内容で,デモ版紹介ページの枠では言いたいことの半分も伝えられなかったので,ここにプレビュー記事として,その拡大版をお届けしよう(そのため,デモ版紹介記事とかぶっている部分もあるが,ご了承いただきたい)。
先ほど"あの"と書いたものの,Bradley氏のことを知らない人のために,軽く紹介しておこう。ひと言でいえば,後期Wizardry(ウィザードリィ)シリーズの実質的な開発者である。
正直なところ,(とくに日本において)後期ウィザードリィシリーズは正当な評価を得ていない。これは我々メディアに関わる人々の責任も大きいのだろうが,それはさておき,少なくとも筆者は,第6作「ベイン・オブ・ザ・コズミックフォージ」以降のウィザードリィも,初期作と変わらないほど面白いゲームだと思っている。
ただ,第6作以降を否定しながらも,第5作は名作だとする人は,かなり多い。いや,日本では,第1作は別格として(本家シリーズの中では)その次に面白いのは第5作という人が一番多いのではないだろうか。意外と知られていないが,この第5作を作ったのが,第6作,第7作と同じく,Bradley氏なのである。
同氏は,「ウィザードリィ8」を開発中にSir-Tech Canadaを離れ,Heuristic Parkで"Wizards&Warriorsシリーズ"などを手がける。これまたウィザードリィの流れを汲む重厚なRPGで,氏のファン達を熱狂させた(日本で正式に発売されなかったのが,実に残念である)。
そのBradley氏の最新作にして意欲作が,このダンジョンロードである。
■じっくり遊べる,何度も遊べる,ボリューム満点のデモ版
2005年の新作ではあるが,アクションゲームとしてのデキやグラフィックスのクオリティは,すでに過去の作品となってしまったアークス・ファタリスよりも,さらに下といった印象。しかしそこはBradley氏,RPGとしての面白さは,こちらのほうが上になりそうだ。
種族やクラス,パラメータ配分をはじめ,スキル配分を決めるキャラクターメイキングから"楽しめる"のは彼の従来作どおりで,ウィザードリィシリーズを思わせる緊張感あるトラップ解除や,魅力的なNPCとの会話,奥深いスペルシステムなど,ゲームとしての"深さ"が感じられる作品に仕上がっている。
登場したばかりのデモ版は,312MBというファイル容量から分かるとおり,かなりボリュームがある。シングルプレイだけでも遊び応えがあるうえ,8人までのマルチプレイも試せるのだ。また,三つの種族だけ,顔グラフィックスは変更できないなど多少の制限はあるものの,キャラクターメイキングから楽しめるのも,本作の魅力を知るうえで嬉しいポイントである。
シングルプレイでは,プレイヤーキャラクターが「SIMON」というNPCと出会うところから,巨大モンスター「WAR TROLL」などが待ちかまえる,"Theater"付近までプレイできる。先ほど遊び応えがあると書いたが,デモ版で実際に行ける場所の範囲は,決して広くない。ただ,次々と現れる(しかも結構イヤらしい攻撃をしてくる)モンスターと,たっぷりとある宝箱に時間を取られるので,シングルプレイのクリアまでに3時間程度は余裕で遊べるはずだ。
キャラクターの育成方法をいろいろ試したり,またモンスターが復活するため,クリア後もそのままキャラクターを鍛え続けたりしながら,セーブデータが引き継げるかもしれない製品版を待つのもいいだろう(※2005年4月19日追記:Typhoon Gamesに確認したところ,「現在の予定では,デモのセーブデータは製品版では使用不可となっております」との返事をもらった。残念だが,キャラクターではなくプレイヤーのスキルを上げて製品版を待つこととしよう)。
■歯応えも十分 手に汗握るゲームシステム
そこでここでは,デモ版をプレイするときに戸惑わないように,覚えておくべきシステムを紹介しよう。
デモ版でゲームが始まったときは,キャラクターは"DAGGER"など,最低限の装備を身につけているのみ。まずはEキーを押してインベントリを開き,手持ちのアイテムの中から,"Penalty"のない範囲で良いものを装備しよう。このPenaltyは,そのアイテムに対応するスキルがないときなどに発生するようだ。なお,スキル"LIGHT WEAPONS"が3になると"MEDIUM WEAPONS"を,この"MEDIUM WEAPONS"が3になると"HEAVY WEAPONS"を習得できるようになる。ARMORやSHIELDも同じである。早く良い装備を身につけたい人は,これらのスキルを優先して上げるといいだろう。
FIGHTERにせよ,MAGEにせよ,スタート直後は非常に弱いので極力肉弾戦は避け,弓や魔法で戦うようにすべきだ。魔法は,武器と同様インベントリから選択できる。この魔法やポーションは,1〜8のナンバーキーにショートカットを割り当てられるので,HEAL POTIONとよく使う魔法は早めに登録しておこう(もたもたしていると,Goblin達にボコにされてしまう)。
初期のウィザードリィと同様,魔法はそれぞれ使用回数に制限があり,使い切ったとしても時間の経過では回復しない。これは,宝箱や倒したモンスターなどからスペルブックを入手することで,回復する。
先ほども少し触れたが,この宝箱などの解錠方法が緊張感溢れるものとなっていて,面白い。第6作以降のウィザードリィの鍵の開け方に近いのだが,運の要素が排除され,プレイヤーの腕次第ではキャラクターのスキル値に関係なく解錠できるのだ(もちろん,スキル値が高いほど楽に開けられる)。
下の画像の1段目中央が鍵開けの場面である。この画像の,「GO!」の左側に並べられたパネルが,左から順にアクティブになっていく(スキル値が高いと,このスピードを遅くできる)。解錠するには,さらにその下にあるパネルを,同じパネルがアクティブなった瞬間にクリックするだけ……なのだが,これがそのうち三つに増えたり,スピードが非常に速くなったりして,なんとも大変。大変だが,手に汗握れて,楽しい(このデモ版ではあまりにも鍵のかかった箱が多く,ちょっとうんざりしたのも事実だが)。
■"アクションRPG"と侮るな 本格RPGファンも要チェック
このデモ版では,アイテムの売買が試せなかったのが残念だが(ウィザードリィ8のデモ版もそれが残念だったっけ……),きっと面白いゲームになるんだろうな,という感触はつかめた。
ダンジョンロードは,本家ウィザードリィファンであればプレイ必須なのは当然として,"アクション性を持ったRPG"ファンすべてにお勧めできるゲームとなりそうである。