■知名度No.1 国民的電車運転ゲームの最終作が登場
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| ついに最終作となる「電車でGO!」。画面上に表示される情報も増えて,以前よりもプレイしやすくなっている。時間帯によるホームの混雑状況や乗車率の違いも再現されており,リアリティは一段とアップ |
人気の秘密は"憧れの職業トップ10"に入る電車の運転手を,遊びながら疑似体験できるところだろう。PC版はアンバランスが移植を担当しており,11作めとなる最新作が「電車でGO! FINAL」だ。タイトルにFINALとあるとおり,ちょっと寂しいが電車でGO!シリーズ最後の作品となる。最後に相応しい完成度を誇る本作の魅力を,お伝えしていこう。
本作に収録されている路線は山手線(内回り,外回り),中央線(東京〜高尾 上り下り),大阪環状線(内回り,外回り),東海道線(JR京都線,JR神戸線 京都〜神戸 上り下り)と4路線。新規路線がないのが残念だが,過去の作品で人気の高かった路線がリファインされ,線路周辺の風景はほぼ完璧。各駅で発車時に流れるベル(音楽)や車内アナウンスも再現され,有名なところでは山手線高田馬場駅の"あのアニメ主題歌"も流れてくる。
車両は山手線の普通 103系,205系,E231系,中央線の通勤特快 201系,成田エクスプレス 253系,スーパーあずさ E351系,大阪環状線の普通 103系,快速 221系,大和快速 221系,関空快速 223系,東海道線の新快速 223系,びわこエクスプレス 683系,サンダーバード 681系などなど,全50種類以上と豊富だ。
車両ごとの加速性能,ブレーキ制動特性の違いは当然のこと,走行音,モーター音(インバータ音)などもしっかり再現されており,鉄道ファンも納得できる再現度である。
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| 池袋〜大崎というダイヤは,まず池袋〜新宿,新宿〜大崎と分割されたルートを走破するとプレイ可能に | 山手線有楽町駅を出発したE231系。リプレイ機能が搭載されたため,後から風景をじっくり楽しむことも | ダイヤはクレジットを貯めて購入する。星マークは走破後の総合評価により変わる。オール金を目指したい |
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| ほかの電車とすれ違うだけでなく,並走する電車を追い抜いたり,追い抜かれたりといったシーンも再現 | 山手線の1周は本物と同様,1時間ほどかかる。発車ベルなどを聴きながらノンビリとプレイするといいかも | 東海道線のE221系。ボディ形状は当然のこと,車両ごとの加速,ブレーキ性能の違いも再現されている |
■運転手と車掌の仕事を存分に味わえるゲームモード
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| 停車時はブレーキのGメーターに注意しつつ,到着予定時刻(Arv.)と現在時刻(Now)に合わせて速度調整する。ホーム内での再加速は厳禁。早めにホームに滑り込み,残り30mで微妙に速度調整するのがベスト |
「運転常務」とは,始発駅から終着駅までの区間を駅到着(通過)時刻,速度標識,運行規則などを守りながら電車を走らせる基本モード(ノーマルモード)である。
筆者の場合,いきなり挑戦してもうまくいかないのが常であったが,本作では多少のミスはしたものの意外にあっさりと山手線全区間を走破できてしまった。一瞬,自分が上手いのかと勘違いしたのだが,実は画面上に表示される情報が増えているため,格段に運転がしやすくなっているのだ。
以前は定速ポイント(決められた速度で通過)や速度標識などが直前で表示されたため,その地点をある程度は覚えおく必要があったが,本作では停車駅や速度制限,定速ポイントなどナビゲーション情報が表示されるので,初めて走るダイヤでも比較的どうにかなる。またほどよいタイミングで定速&定通ポイントが現れ,速度や時間調整ができるため駅到着時刻に大きな早着,遅延は出にくくなっている。
個人的にはこのあたり,誰もが運転する楽しさを味わうのにちょうど良いバランスと感じた。マニアックにプレイしたければ,ナビゲーションを消したり,定通・定速ポイントを外したりしてシミュレータ寄りにするのも良いだろう。
また,ノーマルモードをさらに遊び重視にアレンジした"エンジョイモード"もある。スピードアップ(加速しやすくなる),クイックブレーキ(Gセンサーに関係なく急ブレーキが可能),タイムストップ(一時的に時間を止める),ダブルスコア(一定時間スコアが倍になる),回復救急箱(ライフが回復する)といった5種類のアイテムの中から2種類を選択可能で,そのうえルールが緩和されているため,気軽に電車を運転したい人や小さなお子さんにもお勧めだ。
一方の「車掌乗務」は,駅出発,停車時のドアの開閉や停車駅の車内アナウンスなど車掌の仕事を味わえるモードだ。
車掌乗務は,次駅アナウンスのやり方が面白い。画面上に表示される八つの駅名の中から正しい駅名を選択するのだが,ゲーム自体は自動運転で進んでいるため,制限時間内に正しいアナウンスをしなければならない。暗記しておかなくてもマニュアルに駅名入りの各路線図があるので,開いておけば悩まずにすむのだが,表示される駅名の並びがランダムなため探すのに手間取ったりする。
ちょっとしたオマケモードだが,運転手と車掌に分かれて2プレイヤーでも遊べるので,相手のミスに文句を言ったりしながらプレイすると楽しいかもしれない。
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| 定通ポイントで時間調整ができるため,ダイヤが大きく乱れることは少ない。雨が降っているところにも注目 | 車掌常務での次駅アナウンスは放送区間終了までに行う。間違ってもやり直せるが次の駅は把握しておきたい | 2種類のアイテムを使用できるエンジョイ・モード。タイムストップで現在時刻を止めることも可能 |
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| 定速帯を指定速度で走り続けられると,チェインは最大10コンボまで入る。スコアを稼ぐには絶好のチャンスだ | ナビゲーションの速度制限までに60km/hに落とさないとミスになる。メーターの赤い範囲以下に速度を落とせ | 雨の中を疾走する山手線205系。ブレーキ制動距離も伸びるため,気持ち早めのブレーキを心がけたい |
■"最終作"にふさわしい完成度……これで終わりだなんて
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| 加点となる条件を満たし続けるとチェイン数が増え,スコアが倍増していく。ミスなく最終目的駅まで走らせることが重要。ミスをするとチェイン数がゼロに戻るうえライフ(人型マーク)が減り,なくなればゲームオーバーだ |
面白いのが,加点対象となる条件を満たし続けるとチェイン数が増えてスコア倍率が上がっていく"チェイン・システム"(連鎖)だ。ミスなく列車を運行すれば飛躍的にスコアが高くなり,最終的に得られるクレジットも増大する。ただし途中でミスをするとチェイン数がゼロになるので,得られるスコアはガクンと減ってしまう仕組みだ。
ミスしないように慎重になればなるほど,つまらないミスをしたりして,自分で「何やってんだ!」などと頭を抱えたくなる精神的ショックは,ぜひ多くの人に味わってほしいところ(?)である。
ちなみに停止位置の合格範囲を越えてしまう,急ブレーキをかける,車内アナウンスが間に合わないといった行為が減点対象となる。チェイン数がリセットされるうえにライフ(乗客満足度)が減り,それが積み重なってライフが無くなるとゲームオーバーだ。
すでに発売から時間も経っており,本作の完成度は高いという評判は耳にしていたのだが,実際にプレイしてみると確かに運転要素とゲーム要素がバランス良く取り入れられ,グッと面白さが引き出されている印象を受けた。このゲーム性なら問題なく子供から大人,男女問わず楽しめると思った次第。
日頃,電車を通勤や通学に利用している人も多いだろうし,今まで興味はあったけどプレイしたことがないという人は,ぜひ本作からでもプレイしてほしい。山手線や大阪環状線を1周して,本物で乗り比べしてみる……そんな楽しみ方ができるのも,本作ならではといえるだろう。
なお,キーボードでも十分プレイ可能だが,専用ワンハンドルコントローラを用意すればさらに数倍,楽しめる。まさに"電車でGO!シリーズ"最後の作品に相応しい完成度の本作,最初から最後までベタ褒め状態になってしまったが,個人的な気持ちを率直に言わせてもらえば,これで見納めというのは本当に惜しい。……最後を飾るにふさわしい完成度ともいえるが,今後もこのゲームシステムでほかの路線を走ってみたいと思ってしまうのは,筆者だけではないだろう。
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| 作業員がいたら警笛を鳴らすとチェイン数が増える。鳴らさなくても問題ないが,必ずゲットしておきたい | チェイン数が増えるとスコアは飛躍的にアップ。うっかりミスしてチェイン数がゼロになるとショックが大きい | ゲーム終了後に総合評価でスコアがクレジットに換算される。ミス無くプレイすることが重要なのが,よく分かる |
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| ダイヤの中には連結ボーナスもあり,成功すればチェイン数を稼げる。5km/h以下を維持して成功させよう | 中央線では高尾〜東京 通勤特別快速(201系)も運転できる。乗車率の変化が大きいため停車に注意が必要 | ミュージアムでは登場する列車をさまざまな角度から眺められる。実車ムービーもあるのでファンは必見だ |






















