規制強化で中国進出が難しくなった? 経済産業省などが主催する第5回「オンラインゲーム研究会」
2004/08/25 22:38
 本日(2004年8月25日),東京都渋谷区の東京中小企業投資育成ビルにて,経済産業省首都圏情報ベンチャーフォーラムなどが中心となって主催する,「第5回オンラインゲーム研究会」が開催された。この研究会では,日本のゲームメーカーが中国へ進出するときの注意点などを解説した,盛大ネットワークの日本事務所代表 黄哲氏の講演に加え,ガマニアデジタルエンターテインメントの浅井清氏,ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜氏を交えたパネルディスカッションが行われた。



 最初に行われた黄氏の講演だが,ここでは中国のゲーム市場の現状と参入時の注意点の解説,そして今年の10月に中国の北京で開催されるインターネット・コンテンツ展示イベント「Internet & Entertainment Content EXPO(以下,IECE)」の紹介などがなされた。
 まずは,中国でオンラインゲームが普及した理由,そして家庭用ゲーム機が普及していない理由などを説明。海賊版のシェアが96%にものぼり,パッケージビジネスが成り立たない深刻な状況の中,PCオンラインゲームが海賊版対策になり得ていた経緯などを語り,その後で日本のゲームメーカーが中国へ進出するときの注意点を列挙。中国政府との付き合い方や,現在中国政府のゲームに対する規制がどうなっているかなどを順を追って説明していった。
 黄氏によれば,日本のゲームメーカーの中国進出に関しては,現地の法人と提携し,あくまでも「ライセンサー」という立ち位置で望むのが「もっとも楽」だとのこと。中国国内で運営/パッブリシングまでやろうとすると,文化部,情報産業部などといったゲームを担当する各種政府機関から,「インターネット文化ライセンス」「インターネットパブリッシング・ライセンス」などといった各種のライセンスの発行を受けなければならないという。また中国国内でインターネットサービスを実施するには,外資が50%以下の企業のみとされている件や,オンラインゲームの運営に関しては実質的に外国企業が行えないという実情を説明。「規制は非常に厳しくなってきている」と,中国市場の動向を解説した。すでに業界では周知のことではあるが,改めて黄氏の口から出て,重要性が認識されることとなった。
 ただ黄氏は,政府の規制が厳しくなり進出が難しくなっているとしながらも,日本の企業,そして日本のデジタルコンテンツが中国で広く楽しまれるようになってくれることを期待していると語り,日本企業のIECEへの参加を望む旨を述べた。



 10分ほどの休憩の後,コラボの川口洋司氏をコーディネータに,「オンラインゲームパブリッシャーの現状と今後の戦略」という題目でパネルディスカッションが行われた。パネラーとして参加したのは,ガマニアデジタルエンターテインメントの浅井清氏と,ガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜氏の両名。マーケティング手法の話やパッケージビジネスについてどう思うかなど,既存のオフラインゲームとの差異についての議論が多く展開された。
 ディスカッションは,日本のオンラインゲーム市場の現状把握からスタートし,まずは森下氏が「ラグナロクオンライン」の会員が約50万人,ガンホーIDの会員は63万9000人にまで増えていることを発表。ただその中で「着実に伸びてはいるが,ブレイクスルーというところまでは来ていない。会員の伸び率も減少傾向にある」と,市場の成長がまだまだ緩やかであることを伝えた。続く川口氏の「オンラインゲームは最近かなり増えているが,メーカー的には辛い現象ではないのか」という突っ込みに対しては,浅井氏,森下氏の両名とも「タイトルが増えてはいるが,パイを食い合いっているというほどではない。市場自体がまだまだ成長過程だ」と回答。その中で森下氏は,「競争よりも,各社と協力して市場を大きくすることが先決」という考えを述べた。

 このディスカッションの中で筆者が興味深かったのは,パッケージ販売や課金形態などに関しての話題だ。というのも,最近の業界のトレンドとして,オンラインゲーム各社はダウンロード配布&月額課金というスキームだけでなく,物流通にも力を入れ始めている。例を挙げると,1〜2か月のチケットとCD-ROMをセットにしたパッケージ販売や,ラグナロクオンラインの「1Dayチケット」などがそれにあたる。
 そもそも既存の流通というのは,多額の流通マージンを取られてしまう(全部で数十%くらい取られてしまうはず)ため,ゲームメーカーにとってはそんなに「美味しくない形」である。つまりはある種のダイレクトディストリビューション(直流通)形式を確立したオンラインゲームで,なぜその「美味しくない」物販に力を入れるのか,そこまでする価値が本当にあるのか,という点が気になっていたのだ。
 回答としては,「市場への露出力を高める手段として」「プロモーションの一つとして」とのことだったが,パッケージ販売による「露出」がそんなに重要なのだとすると,それはそれでちょっと皮肉な感じもする。利益率の高い"夢の直販"も,売れる(ユーザーの目に届く)仕組みがセットでないと意味がないというわけだ。
 ちなみに森下氏はディスカッションの中で,「オンラインゲームは継続的なマーケティングが必須。売り切り型のマーケティングではなく,口コミを促進するような展開が重要だ」と,オンラインゲーム(MMORPG)においては,"点"ではない"線"のマーケティングが重要だと説明していた。氏によると,ラグナロクオンラインは,ユーザーの70%が口コミによって獲得した層だという。

 ともあれ,日本でのオンラインゲーム普及にはどういった手法が有効なのか,今後もいろいろと試行錯誤は続いていきそうな雰囲気だ。こういった研究会で,建設的な議論が行われていくことを期待したい。(TAITAI)




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