[GC#10]プレイアブルな「EverQuest II」がヨーロッパで初出展
2004/08/25 19:06
 MMORPGファンなら誰もが心待ちにしているであろう「EverQuest II」(以下,EQ2)が,Game Convention会場に遊べる状態で出展されていた。モニターやロゴの位置が低く人垣に隠れているために,注意していないと見過ごしてしまいそうなほど地味な展示ではあったが,それでも,いったんプレイし始めたファンの注目度は高め。プレイを始めるとなかなかキーボードを放さないため,気付いた人達がさらに周りを囲んでいくような状態だった。ここでは,そんなEQ2の近状を報告しよう。

 2004年末のリリースを目指して開発中のEQ2は,小規模ながらも,すでにクローズドのβテストが始まっている。ほかのプレイヤーを友達リストに追加するなどサーバーの負担になる機能は使用できなかったが,E3出展時の状態から何度かアップデートされており,アイコンなどのインタフェース周りはほぼ完成したといって良さそうだ。今回のバージョンは,プレイヤーの会話がすべてフキ出しで出るようになっていた。もちろん従来同様に,同様に色分けされたウィンドウで会話を行うことも可能だ。

 さて今回明らかにされたのは,登場するNPCが全員セリフをもっており,それらキャラクターのために声優らが集結し,現在ロンドンで録音が行われているということだ。そのデータはとんでもない量になるものと推測されるが,さらにパッチや拡張パックでアップデートをするたびに声優を雇わなければならない。手間や資金の面で驚くほど意欲的であり,数々の競合が開発を諦めているのも頷けるエピソードだ。すでに日本ではスクウェア・エニックスが版権を得ているが,もし英語版に相当する日本語ボイスデータを用意するとしたら,大変な作業になるだろう。
 またセリフを含めた膨大な情報量に付随して,クエストの数も非常に多くなっているようだ。街やキャンプにいるNPCに話しかけると大抵ヒントやミステリーをくれるし,その中の多くはクエストとして結実する。貝殻や化石を拾うだけでも「コレクションのクエスト」が発生することがあり,そのライブラリの数には驚くばかり。これだけイベントがあれば,プレイヤーも飽きないだろうし,新しい場所に行くだけで経験値が得られるなど,"プレイヤーを同じ場所に定着させない"といった効果もあるだろう。

 試遊台のEQで筆者が探索した地域は"Qeynos近辺の沼地"。ここは直前にプレイしていた人が迷い込んだのか,新米キャラクターでは太刀打ちできないモンスターばかりの土地らしい。まだグラフィックスが完成していないのか,透明のモンスター(戦闘状態を表す赤いマーカーが地面にあるので分かる)に追いかけられて殺されてたこともあった。
 ちなみに,数体のモンスターに囲まれてもフレームレートの低下はなし。スケルトンの出現で,フレームレートが極端に下降していたE3のバージョンと比べると,格段にエンジンの性能が向上しているのが分かる。
 その後,ラトンガ(ネズミ種族)のキャラクターで改めてプレイしてみると,E3で紹介されていたチュートリアル部分が見られた(すでに完成しているようだ)。どのNPCに話しかけてもよくしゃべるのが面白い。
 チュートリアル部であるCaptain Varlosの船から降りた先は,「The Isle of Refuge」という場所。ゴブリンの侵攻に悩まされているという設定の地域だ。ここで急遽傭兵となったプレイヤーが,剣や魔法など自分の好みのスキルについて学ぶ。ラトンガNPCの「もうゴブリンだらけで嫌になっちゃうよ。いっそのこと海に投げ込んでくれよ」というセリフが笑いをそそったが,このようなセリフの活用が,ノーラスの世界を実に生き生きしたものにしている。

 アート面では,ヒューマンとエルフのモデルに多少の変化が加えられて,2種族間の違いが以前よりも鮮明になった印象だ。実は以前のデモンストレーションでは,ヒューマン女性のスキンテクスチャが着ている鎧と同じレベルでテカテカしているという批判があった。そのためか,どうやら少し落ち着いたトーンへと変更されたようだ。テスト用に用意されたキャラクターはエルフ女性とラトンガ男性の2種類だったが,人肌,毛皮,共に非常にリアルな質感だった。
 ちなみに,すでに報じられている通り,βテスト開始時は,事前に参加者に対してキャラクター製作ツールが配布され,あらかじめ好みのキャラクターを作っておけるようになる。

 さて最後に,プレイヤーのノーラスのでの冒険をサポートする「ウェイポイント・システム」について触れておこう。この新たに追加された機能は,ギルドハウスやクエストをもらったNPCの場所など,何度か立ち寄るであろう特別な場所にウェイポイントを設定しておくと,必要に応じてプレイヤーキャラクターと目的地を視覚的に"線"で結ぶというもの。見知らぬ場所で迷っても,線を辿っていけば無事に戻れるというわけだ。SOEの作品では,すでに「Star Wars Galaxies」に搭載されている機能だが,今回EQ2にもそれが実装された。
 また視覚的な部分では,鉱石,倒木,草の根など,収集して物資製作に活用できるものは,白い光に覆われて判別しやすくする工夫もあった。

 EQ2は,2004年9月末頃から本格的なクローズドβテストが開始予定。10月頃にはプレスにも配付され始めるかもしれない。そうすると,11月サービスインの予定はある程度信用できるものとなるため,MMORPGファンにとっては久々に楽しみな年末になりそうである。(奥谷海人)

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