[GC#04]GSC Game Worldの新作はファンタジーRTS「Heroes of Annihilated Empires」
2004/08/24 21:49
 「Heroes of Annihilated Empires」は,「Sudden Strike」や「Cossacks」シリーズでお馴染みのGSC Game Worldの最新作で,同社としては珍しいファンタジー世界を舞台にしたリアルタイムストラテジーである。ヒーローユニットを加えることでRPG風味を盛り込みつつ,テクノロジーツリーや魔法のダイナミックさをウリとする作品になりそうだ。

 GSC World Gamesは,東欧の万能開発チームとして知名度が上がりつつあるようだ。Leipzig Messe会場では,CDV Software社ブースで「Cossacks II:Napoleonic Wars」が,THQブースで「S.T.A.L.K.E.R.:Shadow of Chernobyl」などが人気を呼んで,マニアに受けるB級ソフトの開発元というイメージから脱却し,固定ファンに頼らない実力派として台頭してきた感がある。

 そのGSC World GamesがGame Conventionで公開した最新作は,人類が記憶にも留めていない太古の時代を扱ったRTSであるHeroes of Annihilated Empiresだ。太古の時代といっても旧石器時代とかではなく,ヒューマン,ネクロマンサー,アンデッド種族など6種の勢力が抗争を繰り広げるハイファンタジー系の神話世界が舞台となっている。大地を揺るがし,敵に多大な被害を与える天災魔法も発動できるところは,時代をさらに遡らせた「Age of Mythology」のようなイメージだろうか。ただし,最大で64000ユニットというスケールの大きな戦闘は,GSCらしい作風といえるだろう。

 Heroes of Annihilated WorldがこれまでのGSC作品と大きく異なるのは,ヒーローユニットのコンセプトを導入してロールプレイング的な要素を強調している点である。ほかのユニットと何ら違いのない平凡な兵士が,少数の仲間を率いて戦っていくうちに大きく成長する。経験値を蓄えていくことで建物や装備をアップグレードできるようになったり,種族ごとに異なるテクノロジーツリーを使ってユニークな特殊能力を身に付けたりするのである。

 プレイヤーは担当種族を6種類から選べ,ヒーローキャラクターはそれぞれに三つずつ用意されるという。特性や能力が全く異なるので,時間をかけて自分のプレイスタイルに合ったものを選び抜く必要があるだろう。ヒーロー以外のユニットの総計は100種類,施設は70種類程度となり,シングルプレイヤーのミッションで入手できるマジックアイテムは50種類ほどある。ほかの兵士もある程度の経験値やモラル値などを備えており,丘や森など地形を利用して有利に戦うこともできる。



 Heroes of Annihilated Empiresのゲームエンジンは,2Dの地形に3Dのユニットを組み合わせたもので,パーティクルエフェクトによって派手な魔法の表現が楽しめる。今回初めて公開されたデモでも,巨大な稲妻がイナビカリを放ちながら蛇行する様子は圧巻だった。これ一発で,何百何千ユニットから成る軍団が消滅してしまう可能性もあるのだから凄い。
 もっとも,デモのバージョンはまだα版にも達しておらず,砂漠,雪原,そして森林地域が海に隔てられたマップが用意されていだけで,実際に各種族の兵士が戦える状態にはなっていなかった。ファンタジー系なので飛龍や三首龍のような巨大なユニットや,コウモリからバンパイアに変化して戦うユニットもあり,戦闘も非常に華やかに感じられるはずだ。
 オンラインモードも最終的には付加される予定だが,現時点で細かい仕様は未定とのことだ。強力な魔法の使いどころが,このゲームの要になるのではないだろうか。

 Heroes of Annihilated Empiresは,2005年中には完成する見通しだが,ロシア以外での販売元は決定していない。17インチディスプレイ一台の横に腰を下ろした開発者は,「新作のパブリッシャーを探しに来たんだよ」と楽観的な様子で,進化しつつあるGSC Game Worldの新作に対する自信も窺えた。(奥谷海人)

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