第3回 4Gレビューコンテスト結果発表&受賞作品を掲載 - 2004/02/27 21:29


 2003年12月25日から2004年2月2日にかけて作品を募集していた,「第3回 4Gレビューコンテスト」の結果を発表する。
 前回の結果発表時に,第1回よりもレベルが上がったという話を書いたと思うが,今回はさらにレベルが向上している。ともあれ,まずは結果を発表しよう。

<大賞>
埼玉県 Slutaさん「インダストリー ジャイアントII 日本語版」
 →受賞作品は,「こちら」

<佳作>
静岡県 石敢当未来不さん「刑事・大打撃〜北の挑戦〜」
 →受賞作品は,「こちら」

 あらかじめお断りしておくが,審査にあたって先入観がないように,レビュアーを確認しないまま受賞作を選んだ。そして結果が決まったあとにレビュアーを確認してみると,ご覧の通り,第1回,第2回で活躍した二人が受賞者だと判明したのだ。
 つまりこの二人は,まぐれや運ではなく,真の実力者だといえるだろう。

 レベルが向上しているというのは,もちろんこの二人のことだけではない。送られてきた作品のどれもが高レベルだったため,今回の審査は,これまでで一番難しかったといえる。
 下にforGamerスタッフによるコメントを掲載したレビューは,どれが佳作になってもおかしくないクオリティだったし,そこで触れていない,例えば「マイクロソフト エイジ オブ ミソロジー」を書いたレビュアー,「アスガルド」を書いたレビュアーなども,少し磨けば,優れたライターになる可能性を十分に感じた。

 今回初めて大賞受賞者が出たことで"4Gレビューコンテスト"としては一つの区切りがついたが,これだけ投稿作品のレベルが上がってくると,このまま終了してしまうのはもったいなくも思う。
 また機会があれば,第4回レビューコンテストを行うこともあるだろう。今回残念ながら受賞を逃した人,また応募さえできなかった人も,腕を磨きつつ,次回をお待ち頂きたい。


<大賞>
■「インダストリー ジャイアントII」(レビュアー:Sluta)


 文章は,同じ内容ならば基本的に短いほうが良いとされる。個人的にも「この鍛冶屋のところで武器の修理をすることができる」より,「この鍛冶屋で武器を修理できる」のほうが好みだ。
 そこで普段からライターに「もっと短く」とお願いしているわけだが,そうすると,今度はあまりにも味気ない原稿が届いたりする。短くするならば短くするなりに,比喩や具体例を用いて,分かりやすく表現するべきだ。
 このレビューには"読みやすくするための工夫"が多く施されていて,非常に好感がもてた。冒頭にそのゲームをイメージしやすい比喩を持ってくるのは,(その比喩がうまいかどうかは別として)"技あり"。このレビュアーは,文句なしに,"即戦力"といえる。
 ……と,ここまでコメントを書いたところで,このレビュアーが前回佳作を受賞したSlutaさんだと知った。Slutaさんには正式にレビューを発注したこともあるくらいで,まぁ,順当な結果といえるだろう。とはいえ,次回があるとすれば,応募資格者から審査員と共に大賞受賞者も省くことにする。(Iwahama)


<佳作>
■「刑事・大打撃〜北の挑戦〜」(レビュアー:石敢当未来不)


 本レビューを佳作に選んだ理由は二つで,一つは元々タイトルのもつパワーを損なわずに表現できている点,もう一つは,筆者自身も純粋にプレイしてみたくなったという点です。
 タイトルの内容そのものだけでなく,バックグラウンドや周辺知識をほじくりだして読む人のテンションを上げていくのは"簡単そうで難しい"と認識していますし,その点においてこのレビュアーは,間といいオチのつけ方といい「こなれてるなぁ」と思いました
 ただ気になったのは,始めから終わりまでボルテージが高まり続けていて,読んでいてちょっぴり疲れるという点です。どこかでテンションを自制して,もう少し文章にメリハリがあればなぁ,と感じました。
 ともあれタイトルがタイトルですし(笑),また別のレビューも読んでみたいと思います。
 ところで,カンマが和文カンマ「,」になっていたり,三点リーダー「……」を使っていたりと,このあたりは当サイト(forGamer.net)に合わせていただいたんでしょうか? 評価基準とは無関係ですが,このあたりの気遣いも嬉しいですね。(Gueed)

 メジャータイトルを扱ったレビューが多い中,お世辞にも有名とはいえないソフトを持ってきたことにまず目を惹かれました。作品の持つノリがよく分かるように書かれているため,文章を読んでいても笑えますし,いわゆる"ネタ"に近いものがありますが,レビューに必要な要素はしっかり書かれているように思えます
 ただ,ゲームのノリに助けられているところもあるかもしれません。また次回の作品にも期待しています。(Seirou)


■「ファイナルファンタジー XI」(レビュアー:Kira)

 非常に文章がうまく,冒頭部分を読んだ時点では「これは大賞かも……」と思ったほどでしたが,読み進めていくうちにレビューとしての内容/構成にいくつか不備が目立ってきました。
 全体的に見た場合,段落ごとの文章のつながりが悪く,レビューを通して読んでもゲームの全貌が分かりにくいのがもったいない点だと思います。
 また各段落でジョブやシステムなどの説明があるのですが,結局それが良いのか,あるいは悪いのか,といった"意見"が盛り込まれていない点も減点材料。本作がどんなゲームで,どんなシステムがあって,何がどう面白いのか,またどこがどうダメなのか……。ただゲームの内容を羅列するだけではなく,随所に書き手の"視点" "意見"が盛り込んであれば,より面白いレビューになるのではないでしょうか。
 ゲームのすべての要素を文章にする必要はありませんし,時にはあえて削ることも重要です。しかしそんな場合は,ゲームの全体像を読者につかませてから,そのゲームの"特徴を端的に切り取って提示する"……そういう"視点"こそが大切になるでしょう。(TAITAI)

 小見出しの付け方や文章の構成がうまく,スラスラと読めたところが好印象でした。ただ,本来レビューで書くべきポイントから多少ずれてしまっているのも事実かと思います。
 レビューとは,その作品のことをまだ詳しく知らない人をターゲットにするものだと僕は認識しています。「"今"をお伝えしたい」と文頭にありましたが,本作をよく知らない人にとっては,"今"だけを切り取られても,あまり意味がないかもしれません。
 レビューでは,ゲームの基本的な紹介はもちろんながら,"何が面白いのか"を中心に紹介すべきです。その点に気をつけて書けば,文章力は十分ありますし,より素晴らしいレビューになるのではないでしょうか。(halen)


■「シークレット・ウェポン・オーバー・ノルマンディ」(レビュアー:榊間哲也)

 無難にまとまっており,読みやすかった。前半部分はゲームの特徴をうまくまとめていて好印象だったが,後半部分やや早足に,あれこれ詰め込んでしまった感があり残念。
 また,いくつか言い回しのおかしなところや誤字があるので,文章を推敲しながら,もっと読み返すといいだろう。誤字や脱字などは,原稿を書いてからすぐに読み返しても分からないことが多い。書いた翌日などに,あらためて読み直してみると,思わぬミスや,言い回しのおかしいところに気がついたりする。
 なおScreenshotsについてだが,雑誌やWebでは小さく縮小して掲載されるため,多少の炎上シーンなどでは迫力が出ないということを頭に置いておこう。Webではクリックすれば大きなショットが見えるようになっている場合が多いが,それでも小さいショットで読者を惹きつけなければ,クリックしてもらえない可能性が高い。
 気の利いたキャプションでそれを補う方法もあるが,やはりショットの迫力や構図の妙といったもので,読者を惹きつける画面を撮ってみよう。それには一にも二にも,たくさん撮影することだ。(Asakura)


■「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(レビュアー:takeov3)

 文章がブツ切れ,ところどころに脱字がある,句点が少ないなど,少々クオリティ的には厳しい面もあるが,「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」が好きであることは,よく伝わってきた。そういう意味ではいいテンションだし,気楽に読めて良い。
 要望を言わせてもらえば,なんでもかんでも詰め込むのではなく,"ゲーム概要" "レビューのメインとなる好きな要素"×2,"まとめ"くらいの構成で書いてほしい。書く要素について取捨選択できると,もっとまとまりがよくなるんじゃないだろうか。
 このレビューを読んでみて,最近自分自身を含めて多くの人が「素直に好き!」と伝えられる文章が書けなくなっている気がした。ちょっと反省したい。(Murayama)


■「ベトコン」(レビュアー:出原義久)

 奇抜なジャンル/タイトルと異なり,こういうありふれたジャンルの,パッと見が強烈に目を惹くわけでもない作品というのは,なかなか不利なものがある。が,むしろ似たり寄ったりなジャンルだからこそ,実際にプレイしたものでなければ分からない"作品の個性"を見抜いたレビューの存在は,実にありがたいのだ。
 ましてや「ベトコン」。この暗めのテクスチャで,ジャングルの中に迷彩服という,正直FPS初心者の目に触れにくい,隠れ上手の名作である(隠れたがっているわけではないだろうが)。このレビューは,必要最小限の内容紹介を備えつつ,この照れ屋なゲームが隠し持つ美点を無駄なく抜き出し,長くも短くもないバランスの良い文章量に収まっている。
 しかし,やはりこのレビューも,根っからのFPSファン以外の心には届かないであろうことを考えると,大賞にはまだ及ばないといったところか。(Kawamura)


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