松本隆一




婚約成立。画面もこんな風に変わった。今までは一人だったが,これからは二人で幸せな家庭を築いていくのである。何が起こったのかは本文参照のこと。いやはや,本当に人生は次に何が起こるか分からないから楽しいや
 幸せ探して45年。じゃあ,今が不幸せかと問われれば,それはまあ,それほどでもないんですが,なにしろずっと同じだから分かんない,と答えるこの私がお届けする「ザ・シムズ2」のプレイレポートである。4Gamer編集部から「さっさと結婚しろ! させろ!」と矢のような催促を受け,まさに半泣き状態でプレイする私なのだが,ベロナービル在住の小太りメガネ職業軍人マツモトは,意中のバージアニアちゃんといいセンまで行くものの,最後の一押しができない状態。なぜ「口説く」とか「キスする」とかいう単刀直入なコマンドが出ないのだ? このまま「面白いおじさん」「親切な人」で終わってしまうのか? それじゃ現実世界と同じではないか! ともんどり打って悩んだ結果,どうやらバージニアは未成年らしいという結論に達した。

 エレクトロニック・アーツの公式サイトを読むと,未成年と「ウフフな事」はできないとある。男同士はいいけど未成年はダメ,というのがいかにもアメリカ的だなあ,と思わざるを得ないが,ともかく,バージニアちゃんが未成年かどうかはちょっと分からないものの,どうもこれは私のプレイスタイルにも問題がありそうだ。なにせ短期集中連載なので失敗は許されん,と,何かを試みてうまくいないとすぐに再ロード。おかげでマツモトを始め,町の人々はなかなか歳をとらないのである。しかしなあ,最近の若い子は発育が良すぎる! あの体で未成年か!

害虫退治をし,フィールドアスレチックで体を鍛え,さらにはヘンテコな機械で人体実験。いつもの毎日が続く

と思っていたら,ほんの些細なミスから失業。うっそー,としか言いようがない。遊んでいる場合じゃないんだぞ



 悪いことは重なるもので,順調にいっていたはずの仕事にも思わぬ出来事が。夜勤の新兵から昇進を重ね,ついには「対情報活動部隊」の将校にまでなったマツモトだが,ある日,仕事の決断における選択肢を誤り,あっという間に解任。要するにクビ。ねえ,それはないんじゃない。たった一度の選択ミスじゃん,厳しすぎるよこのゲーム,とマウスがロードボタンに動きかけたが,待てよ,バージニアちゃんの事もあるしあんまり再ロードはどうかな,とそのまま涙を飲んで失業することにした。
 ちょうど将校仲間のサミュエル(男)といい仲になっちゃって困っていたところでもある。仕事を続ければ,いやでも彼と会い続けなければならず,当人同士はまんざらでもないみたいだが,私はちょっと勘弁してくれ状態だったのだ。だいたい,庭先に虫が大量発生しただけで泣いちゃうような奴が「対情報活動部隊」で働いてていいのか,アメリカ軍?
 だが失職当初は,やはりちょっと荒れてオンライン求職情報の最初にあった「犯罪キャリアでスリの仕事を募集中」に応募して犯罪王を目指したりしていたものだが,やはりそれでは結婚に差し支えあるかもしれないと考え直して巡査になった。節操がない。

 しかし,捨てる神あれば拾う神ありとはよく言ったものだ。以前から庭仕事に雇っていたソーシャルワーカーなる変な名前の女性が親切なのである。今までもおしゃべりしたりチップをあげたりして友好関係を保っていたのだが,マツモトはバージニアちゃん一筋だったから,それ以上は何もしていなかったのだ。
 試しに,と思って,必勝兵器「愛のバスタブ」に誘ってみると,面白いようにメーターの値が上がる。見てくれはバージニアのほうが好みなのだが,あれこれ言える立場でもない,ということでバスタブで仲良くしていたら,それを見たサミュエルが激昂し,いきなりの往復ビンタ。怒って「では,ごきげんよう」と帰ってしまったのだ。あんまりビックリしたのでうまく撮影できなかったが,結果,一石二鳥なような,そんな展開。

ソーシャルワーカーと仲良くバスタブに浸かっていたら,嫉妬したサミュエルが怒った。三角関係は望むところだが,こういう三角関係はやだなあ。だが,障害が愛を強くするのだ。ついに二人は同棲生活に。うらやましい

説明するまでもないが,イチャイチャしているところだ。彼にこんなことが起きるとは。ちょっと恥ずかしいです



憧れの同棲生活。とはいえ,意外と静かなもんである。案外,そういうものなのかもしれないなあ,なんて思ってみたりして。なってしまえば,日常なのである
 よし,方向転換決定。妻候補はソーシャルワーカーにしよう。とはいえ問題がいくつかある。まず,名前が呼びにくいことだ。どっからが名字でどっからが名前なのか今一つ判然としない。も一つの問題は,たまに帽子ごと髪の毛も脱いじゃうことである。写真を見てもお分かりの通り,シャワーを浴びるとき,なぜか髪の毛もなくっちゃうのだ。でも,あるときもあって,謎と言えば謎なのだが,これは私が評価版でプレイしているからとのウワサもあり,現在鋭意調査中。まあ,名前とか髪の毛とか,このさい細かいことは気にしないのだ。でも,尼さんみたいだなあ。

 もともとスキルを上げていたせいでマツモトの仕事は順調。巡査から内勤へ,そして私服刑事へと昇進を続ける。そしてその間にも,バージニアちゃんで鍛えたテクニックを駆使し,電話,公共区画でのデート,お家へご招待,一緒にダンス,(何か得たいの知れない)ゲームを一緒にプレイ,と寸暇を惜しんで積極攻勢に出るマツモト。そしてついに,私が「便所はキレイかな?」とチェックしているスキに,二人の頭の上にハートが点灯,マツモトとソーシャルワーカーはラブラブモードに突入した。
 いいぞ! それからもう,彼女が家に来ると熱烈キッスでお出迎え。ソファに座ってイチャイチャ,「愛のバスタブ」でベタベタ。見ちゃいられん! しっかし,このへん実に良くできていて,ああ,いるいる,こんなカップル,という感じ。制作担当者はビデオとか映画とか個人の経験とかを使って研究しまくったんだろうなあ,と思うと素直に頭が下がったりする。ご苦労様です。

ゲームをしたり,朝ご飯を食べたり,二人分操作しなくちゃならないから,もう忙しいのなんの。とはいえ,夜,何も起きないってのは,どう考えても納得できない

二人とも仕事関係は順調。ダブルインカムだから,資金的にも余裕が出てきた。ところで,新しい庭師の名前が「ソーシャルワーカー」ってのは,どゆこと?


資金に余裕が出てきたので,家もそろそろ手狭になってきたから改築するか,と思ったのはいいんだけど,途中で資金がなくなって,作りかけ。一見分からないけど,屋根もないのだ。雨が降らないから良いんだけどさ
 続いて「提案」から「引っ越してくる」を選ぶと,あっさりオッケー! よーし,よしよし,と私は笑いが止まらない。彼女がマツモトに家に引っ越してくる,ということは,彼女もまた私のコントロール下に置かれる,ということである。ここで御両人の願望を次々に叶えて気分をプラチナ状態に持っていけば,婚約,そして結婚だって当然夢じゃないはずである。く,苦労した甲斐があった!
 さらに言えば,これはつまり未婚の男女が一緒に暮らすという,ぶっちゃけ,同棲である。約半世紀に及ぶ我が人生において,女の子との同棲はまったく未経験。未経験なことはそれだけじゃないけど,ともかく一度はしてみたい同棲。うう,同棲。いいなあ。

 で,夜になりました。おそらくこれから,PCゲーム総合情報サイトで書いていいのか? ということが起きるのであろう。編集部からのお達し通り,ビデオキャプチャーの準備も整え,私は待った。最初に下着だけになってベッドに横たわったのはソーシャルワーカーちゃん。続いて,マツモト。二人の疲労度を合わせるため,マツモトに不必要な運動をさせたりして,私も苦労したのである。近づく二人。寝息を立てる二人。三倍速に速まる時間経過。あれれ? 何も起きない! そう,何も起きないのだ。愛し合う男女がダブルベッドに寝ているというのに,何も起きないのである。なぜ?
 そりゃ,アダルトビデオみたいなことが起きるとは誰も予想していなかったけど,でっかいハートがポワ〜ンぐらいはあってもいいのではないか,と小生愚考す。ともかく,ただ一緒に暮らすぐらいじゃ,まだまだってことだろうか。大人って難しい。

 まあ,いずれにせよ,ソーシャルワーカーも私の管理下に。彼女はキャリア指向であったため,スキルを伸ばし,医療関係の仕事に就かせると,なんだか知らんが,どんどん出世して開業医になってしまった。なのに,麦わら帽子はやめないのだから,謎な女である。
 しかしマツモトの奴,今度は刑事仲間(男)を連れてきて,愛し合いたい,という願望を持ちやがった。誰でもいいんかい,あんた。こんなことをしていると,サミュエルの二の舞だ。あわてて婚約を申し出ると,突然のムービーシーン。ソーシャルワーカーはマツモトの指輪を受け取り,無事婚約が成立した。おめでとう。
 というわけで次回こそ結婚,そしてきっとベビー誕生だ。乞うご期待。

連載の将来をかけ,ついに思い切って指輪を差し出すマツモト。喜んで承諾する彼女。まさに人生における感動の一瞬である。だが,サミュエルとも切れてない,ってのは一抹の不安を残さずにはいられない。頼むよ,おい

 いつもむさ苦しい男ばかりで申し訳ない,というわけでもないけど,「女の子でやると楽しいですよ,シムズ2」という編集部からのサジェスチョンに従って,試しに女の子キャラを作ってみた。
 ちょうど,クラスの友達の女の子が(彼氏と一緒に)遊びに来たので,彼女にいろいろ聞いてシムを作成したのだ。「水着はどんなのがいいですか? ぐふふ」とか「下着はどれにします? ぐふふ」とか,やってる私は楽しかったが,彼女はどうなのかよく分からない。ともかく,確かに楽しい。意味なく下着姿にしてみたり,お風呂に何度も入れたりしちゃって。しかも,彼氏も割と簡単に出来てしまう。私のキャラ,ユミコちゃんが今付き合っているのはウィリアム・ヘンリー・ゲイツ三世という,いかにも11年連続で世界一の金持ちになりそうな名前の男。まあ,彼も私の作ったキャラクターなのだけど。PV確保を目指した写真をご覧あれ。


■■松本隆一(ライター/学生)■■
世界中にまぁそれなりにいると思われるマッチー(松本隆一氏)ファンなら気づいただろうが,氏は2004年のE3で,4Gamerスタッフと共に取材を行っている。アメリカ在住の氏はさすがに英語はお手の物で,ときには通訳としても活躍していた。しかし英語で聞いた話を,4Gamerスタッフにも英語のままで伝えているんだから,通訳としてちゃんと機能していたのかは,ちょっぴり怪しい。


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