大型Sim千夜一夜
Text by Murayama
第八回:電車とバスの博物館
レトロな電車もいい感じ
モハ510形
シミュレータ
形態 電車シミュレータ(モハ510形)
プレイ料金 無料
プレイ時間 2分程度(一駅で交代)
人数 1名

 連載をスタートして二か月が経過し,その間にメキメキと乗り物に対する知識も身につけ,次第に鉄道やバスへの興味も深まりつつある筆者。最近では交通手段で電車に乗るときは先頭車両に乗って,運転席を覗くことも多くなってきた。
 これまでに体験したシムを振り返ると,そのほとんどが現役のものだったし,今回は引退した「レトロな乗り物」にチャレンジ。取材に向かったのは神奈川県の「電車とバスの博物館」である。

 「電車とバスの博物館」には,電車/バス/飛行機といった大型シムが展示されており(電車とバスのはずなのに,なぜ飛行機が?),その中に今回の目的であるレトロな乗り物があった。それがモハ510形のシミュレータだ。
 実物のモハ510形は1931年から1936年にかけて製造された車両で,1989年まで東横線/目蒲線を走行していた歴史のある車両。もちろん展示されている車両は,本物の車両を利用して作ったもので,非常に味のあるものとなっていた。座席,運転席,車内の看板などから歴史を感じ取ることができ,これまで触れたシムとは違う歴史の重さに,ちょっぴり感動。こういう車両もいいものだなぁ。ほかにも運転席なども興味深く見せてもらったが,今の車両と違って非常に狭くて身動きがとりづらく,当時の運転手さんは苦労したんじゃないだろうか。マスコンやブレーキなどのレバーに関しては,ほとんど今のものと形状は同じで,基本的な操作インタフェースは部分は変わることなく受け継がれているのだな,と感心させられた。

 ソフトに関しては,一面スクリーンに実際の景色が映し出されるというもので,マスコンの挙動に応じて再生速度が調整されるという簡単なものだった。ブレーキなどの挙動については,(これまでのシミュレータ体験から判断するに)それほどリアルといった感じではなかったが,ある程度は慣性が働いているようで,駅への停車などでは苦労する一面も。
 しばらくプレイしていて違和感を覚えたのだが,自分はレトロ車両なのに流れる映像がステンレス車両導入後のものだったのだ。対抗車線を走行するのはステンレス車両。しようがないことかもしれないけど,これで(雰囲気だけでも)当時の映像だったら,もっと楽しめたのになぁ。
 モハ510形をプレイしてみて,正直シミュレータとしてはイマイチな部分もあったが,歴史に触れるという要素を考えると,これまでに紹介した筐体に勝るとも劣らないものがあると思う。なお取材当日は映像を映し出すためのプロジェクター内部のランプが寿命で交換時期が来ていたせいもあって,映像は少々ぼやけたものとなっていた。修理されたのを見計らって再訪してみようと思う。


ほかにもこんなシムがありました

■東急コーチ(三菱B623B)

日本初のデマンドバスが体験できる。実車両を丸々使った筐体は迫力満点で,運転手席のみだが振動機能もある。画面には実写が映し出されて間違えた操作を行うと×マークが出るなど,ちょっとしたゲーム性もあった。

■8090系

1980年に東急でデビューした軽量ステンレス車両。三面スクリーンで実写を使ったシミュレーションが楽しめる。当日は残念ながらモニターが一部故障中だったので,外部モニターを使って撮影。

■YS-11

日本初のターボプロップ機をテーマにしたシム。本物の操縦席を使っていて,スイッチ類は(作動はしないが)すべて切り替えられる。プレイ中には音声によるアナウンスもあるし,係員が操縦を教えてくれるので初心者でも比較的自由に飛ばせるかも。


おまけ
これも一種の電車シム?
 電車とバスの博物館には,マスコンとブレーキを駆使して電車模型を操作する展示物もあった。しかも単に操作を楽しむだけではなく電車や駅にはカメラが内蔵されていて,さまざまな角度から電車の運行が楽しめる。さらにATCも搭載されていて,加速しすぎると自動でブレーキが作動するといった凝りようだった。ある意味これも立派な電車シムといえるだろう。

おまけ

 

電車とバスの博物館
住所 神奈川県川崎市宮前区宮崎2-10-12
TEL 044-861-6787
開館時間 10:00〜17:00(休日9:30〜17:00)
料金 100円 /小・中学生50円
アクセス 東急田園都市線 宮崎台駅徒歩1分

■■Murayama(4Gamer編集部)■■
4Gamer編集部の仕事をこなす傍ら,今回で最終回となる「大型Sim千夜一夜」全8回分の取材と執筆を続けてきた彼に,大型シムの感想を聞いてみよう。「結局,船舶のシムができなかったのが心残り」。取材記事はどうでしたか。「取材自体に面白いエピソードがなかったのが,ちょっとね」。じゃー次回はもっと面白い取材を敢行したいと。「次回?」。次は体を張った面白取材記事を楽しみにしてます。「次回ってどういうこと!?」

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