シミュレーション 4Gamer.net Review
 
さまざまなレースカテゴリに挑戦する熱いレースシム
ToCA Race Driver 2:Ultimate Racing Simulator 日本語マニュアル付き英語版
Text by UHAUHA
22nd Jul. 2004


15種類のレースカテゴリを網羅した最新レースシミュレータ

熱いバトルが展開されるDTMではサイド・バイ・サイド,テール・トゥ・ノーズの戦いは当たり前。公式ライセンスによりすべて実在のチーム,ドライバー名で登場する。複雑な形状のDTMマシンも見事な再現度

 "Colin McRae Rallyシリーズ"と肩を並べる,Codemastersの看板レースシム"ToCAシリーズ"。その最新作が「ToCA Race Driver 2:Ultimate Racing Simulator」だ。ToCAシリーズにはBTCC(British Touring Car Championship)を再現した"ToCA Touring Carシリーズ"と,レースキャリアを積んでトップレーサーを目指す"Race Driverシリーズ"があるが,本作はタイトルからも分かるとおりRace Driverの続編だ。

 Race Driverは一つのレースカテゴリではなく,さまざまなレースカテゴリが登場するのが大きな特徴。一段とパワーアップした本作を見ていくと,DTM,Formula Ford,V8 SuperCars,Rallyなど15種類のレースカテゴリがあり,登場するマシンもAMG-Mercedes CLK DTM,Ford Mustang,Ford GT,Skyline GT-Rなど最新レーシングカーから往年の名車まで35車種を,モデリングからカラーリング,エンジン音に至るまで忠実に再現。そのマシンを駆り,Donington Park,Nurburgring,Kyalami,Laguna Seca,Oran Parkなど実在するコースを含めた50コースでレースを戦っていく。なんとも太っ腹な内容だ。

市街地コースでのレースでは全体的に滑りやすく狭いうえに直角コーナーなどもあり,かなり神経を使う 接近戦となるV8 SuperCarsのレースでは,小さな接触は当たり前。ごめんね〜程度に当てて抜いていこう DTMでは2003年のチーム,ドライバー名が再現されている。金石の名前もあり,日本人としては嬉しい

スタート直後しばらくは団子状態で走るため,追突などが多い。飛び散ったパーツはずっとコース上に落ちている ハコ車以外にもオープンホイールのFormula FordやAMERICAN 1000も登場。一味違った挙動を楽しめる 350km/hでの攻防が繰り広げられるストックカーレース。テキサスやパイクス・ピークなど有名コースも登場


経験を積み重ねトップドライバーを目指せ!!

チャンピオンシップでライバルに勝てという目標。ヤツら(名前が表示される)よりも前でゴールしたいところだ

 メインとなるゲームモードは,駆け出しのレーシングドライバーとして数々のレースに参戦し,経験を積んでトップドライバーを目指していくキャリアモード(Career)。全体が八つのシーズンに分けられ,各シーズンとも"レースカテゴリの異なった複数のチャンピオンシップで構成される"。チャンピオンシップは33種類用意され,かなり長い道のりとなる。しかも同じレースカテゴリのチャンピオンシップが続くわけでないため,どんなマシンも乗りこなすドライバーとしての腕が試される。

 しかし,レースに勝つだけが目的でないのが本作の良いところ。チームオーナーから"シーズン終了までにライバルより多くポイントを取れ" "チャンピオンシップ終了時に総合で3位に入れ" "賞金を〜万ドル稼げ"といったチャンピオンシップごとの目標とシーズンを通しての目標が出されており,レースに勝てなくても目標さえクリアすれば次のステップに進める。
 ただしキャリアモードでは予選がなく,レースごとに決められた順位(後方スタートが多い)からスタートするため,目標クリアのためには必死の追い上げが必要だ。ちなみにキャリアモードには予選どころかセッティングや敵車難度設定すらもないのは(※mods.iniというファイルを直接修正することにより難度は変えられる),「このマシンでレースの結果を出せ」ということなのだろう。

 キャリアーモードのほかには,シミュレータモード(Simulator Modes)があり,ここではフリーレース,タイムトライアル,クイックレース,画面分割対戦,オンライン対戦などの一般的なゲームモードが用意されている。キャリアモードの進行状況により,シミュレータモードで使用できるコース,マシン,チャンピオンシップなどは制限を受ける。
 フリーレースでは,キャリアモードにあった目標などを気にせず純粋にチャンピオンシップを楽んだり,独自のチャンピオンシップを作ることも可能だ。キャリアモードだけではすべてのマシンは揃わず,このフリーモードも制覇する必要がある。またキャリアーモードにはなかった予選,敵車難度設定,セッティング(7項目20段階)も使用可能だ。せめてセッティングくらいはキャリアモードで使えても良かったのに……と思ってしまうのは筆者だけだろうか。
 なお,オンライン対戦はLAN以外にもGameSpyを使用して最大12人でのマルチプレイが可能で,PC版だけでなくXbox版(北米版,アジア版)との対戦ができるため,過去の作品以上に多くの対戦者とレースができるところを高く評価したい。

ラリーまで楽しめてしまうところが凄い。挙動はCMR4などとは違い,ちょっと不自然なのが残念なところか…… トラック・ヘッド(Ford 9000)では大迫力のレースを楽しめる。スピード感は薄いが独特の雰囲気がある Twin Turbo+Super Charger 700馬力オーバーのKOENIG Competition。そのパワーは跳ね馬どころの騒ぎじゃない

かなりのじゃじゃ馬Juguar XKR Racing Model。ボンネットに映り込んでいる看板の処理にも注目してほしい ブルーのラインがライバルとして存在するドライバー。絶対に負けないようにレースをコントロールしたい シミュレーションモードではギア比,サスペンション,車高など7項目20段階のセッティングが可能だ


マニアもニンマリなマシン挙動
すべてのマシンを乗りこなす腕が必要だ

Ford Falcon BA,Holden Commodere VXの2台が登場するV8 SuperCars。日本ではあまり知名度が高くないかも

 気になるマシン挙動はシミュレータ寄りとなっており,微妙な挙動変化をコントロールする楽しさを味わえる。コースのうねりや急なハンドル操作でも挙動を乱し,コーナーに進入するときも,しっかりブレーキングして速度を落とし,タイヤに荷重をかけなければアンダーステアとなる。ブレーキを残してコーナーリングしようとすれば,リアのグリップを失ってリアが流れ出し,コーナーから立ち上がるときもラフなアクセル操作はホイールスピンで加速せず,タイヤのグリップを確かめつつアクセルを開けていく必要がある。
 こういった基本的なところは押さえられており,そのうえ,数多く収録されたマシンごとに特性を捉えて挙動をシミュレートしているため,すべてのマシンを乗りこなすようになるのはなかなか難しく,自然と得意なマシン,苦手なマシンというのが出てくるだろう。

 いくら挙動が良くても,コントロール性が悪ければ面白さも半減してしまう。本作はキーボードやゲームパッドでもプレイできるが,アクセル/ブレーキはパーシャルに使うことが多く,デジタル入力では少々つらい。本腰を入れてプレイするのであれば,やはりステアリングを用意したいところだ。またオプションで,挙動をノーマル(Simulation)かプロ仕様(Pro-Simulation)に設定できる。プロ仕様にすれば,ノーマルでの挙動に若干の補正が入ったような動きがなくなり,よりリアルにマシンの動きがシミュレートされる。ステアリング+プロ仕様でプレイすれば面白さが倍増するといっても過言ではない。

 マシンダメージの再現は,"pro-sim"と呼ばれる物理エンジンの搭載により,接触した場所がヘコむだけでなく,フロントガラスにヒビが入ったり,ベコッとひしゃげたボンネットにも正確に風景の映り込みが再現されたり,一段とリアルに処理されている。このへんは本作のウリなだけに,相変わらず素晴らしいまでのこだわりだ。ダメージはボディ破損だけでなく,ギア,サスペンション,エンジンなどに影響を及ぼし,酷くなると真っ直ぐ走らない,加速しないなど走行に影響が出てくる。
 敵車であるAIカーと接近戦になることも多く,隙を見せるとインに飛び込まれたり,立ち上がりでミスしてもたついたり,バトルが展開されるので,ちょっとした接触は当たり前。ときにはダメージを恐れず,故意に当てるくらいの度胸も必要だ。

 本作は,F1を除くさまざまなレースカテゴリで多くのマシンを操ることができ,ほぼすべてのレースシムが網羅されている。これほど多くの内容を詰め込んだドライブゲームは,コンシューマ,PCを問わず過去にほとんど存在しなかったはず。それでいて挙動,グラフィックス,サウンド,敵車の動きなど,手抜きはまったく感じられず総合的な完成度は非常に高いといえる。
 これなら少々口うるさいマニアも納得してもらえるはずだが,個人的には,とくに今までレースシムをやったことがない人にプレイしてもらいたい。「ステアリングも一緒に買って遊べ!!」と言いたいほどだ。最初は難しく感じられるが,数々のレースをこなし,徐々にテクを身に付け,ゲーム内のキャリアだけでなくレースシムのキャリアも積んでいけば,本作の面白さを存分に味わうことができるだろう。

 筆者はビデオカードにRADEON9700Proを使用しているが,ATI純正ドライバであるCatalyst 4.7を使用するとマシンの下に影が出ないという現象が発生した。調べてみると先に発売されていた輸入版でも同様のトラブルが出ていたようで,Catalyst 4.4を使えば大丈夫とのこと。早速,導入して無事に影が表示された次第。影がないとかなり不自然なので,RADEONシリーズを使用していて影が表示されない場合は試してみてほしい。

ちょっと古い映画のカーチェイスシーンに多く登場した1968 Ford Mustang。図太いエンジン音が熱くさせる 余裕で優勝できた! なんて鼻息を荒くしていたら,実はピットインが義務づけられていた。なんてことも 雨のレースではワイパーが動く……今となっては感動はないかも。ちなみにマシンは未来的デザインのFord GT90

チャンピオンシップではレースを選択できる場合もある。チームオーナーから出された目標もここで確認しよう クラッシュはボディダメージだけでなく,重要箇所の故障につながる。メーターにあるダメージマークが点灯 ピットイン時に修理もできるが,大きく順位を落とすだろう。燃料という項目があるところも注目してほしい

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■メーカー名:MYSTIX STUDIOS
■価格:オープンプライス
■発売日:2004年7月15日
■動作環境:Windows 98SE/Me/2000/XP,PentiumIII/800MHz以上(Pentium4/1.4GHz以上推奨),メモリ 256MB以上(512MB以上推奨),空きHDD容量 1.2GB以上(フルインストール時3.75GB以上),ハードウェアT&Lに対応したVRAM32MB以上のビデオカード(64MB以上推奨) ,Direct X8.1b以降に対応したサウンドカード,DirectX 9.0b
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