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コーエーの総力を挙げた"全武将プレイスタイル"の決定版 |
三國志X |
Text by 岩尾ゴワス |
2nd Jul. 2004 |
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シリーズ中最も「歴史イベント」を楽しめる作品
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「三國志X」では,中国大陸にある50の都市を自勢力が領有すると勝利となる。それぞれの都市では"宮殿"で軍事や内政関連の方針を決めたり,"農地"や"市場"などで自ら直接内政を行うことなどができる |
コーエーの看板タイトルとして,"信長の野望シリーズ"と双璧を成す"三國志シリーズ"の最新作が,今回紹介する「三國志X」である。前作「三國志IX」は"プレイヤー=君主"として中国制覇を目指す第1作からのスタイルを踏襲していたが,三國志Xは「三國志VII」や「三國志VIII」のように,武将個人にスポットを当てているのが特徴だ。
VIIやVIIIは,プレイヤーは後漢末に登場した武将の一人となって,君主をサポートしながら中国制覇を目指すゲームであった(もちろん君主そのものも選択可能)。ゲーム中に登場する武将なら基本的に誰でもプレイできるというシステムが採用されていて,当然,身分が低いと権限や影響力も小さく苦労が伴うが,愛着ある武将でプレイできる感動は格別だ。
今作も同様に,全武将でプレイできるスタイルが採用されている。こう書くと「なんだ前と一緒じゃん」という話になってしまうが,三國志Xではこれまでのシリーズと比べて,"歴史イベント"の発生が戦局に与える影響が非常に大きい。このため武将個人の力ではどうにもできない,時代の流れに翻弄される度合いもまた大きくなっている。
「張角vs.何進」の二大勢力が激突する,シナリオ1を例に挙げると分かりやすい。このシナリオを孫堅で始めた場合,まず下丕が本拠となるが,時間が進むと張角の死亡といった歴史イベントを経て,結局は長沙への配置変えとなる。これは歴史としての「三國志」を知らない人にとっては理不尽極まりない話かもしれないが,逆に知っている人には「まさしく納得」の展開であり,さらにいえば,この「1.歴史イベントの発生で痛い目に遭う」→「2.でもくじけないでがんばる」→「3.努力の末,勝利をつかむ」の図式が楽しめる部分にこそ,三國志Xの真髄があるといっていい。
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プレイヤーは後漢末に生きた武将の一人となり,自分の所属する勢力を勝利に導くのが目的となる |
地図情報から。都市と都市の間は街道でつながれており,街道上には"砦"や"陣"などを建設できる |
武将や軍団の移動は"移動マップ"で行われる。遠い場所へ行くには,やはり相応の時間が必要になる |
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歴史イベントが強化された「三國志X」。写真は最も有名なイベントの一つ「三顧の礼」 |
曹操に庇護されていた関羽が劉備のもとに帰る「関羽の北行」も,歴史イベントとして再現される |
「黄巾の乱」が終わると勢力の配置変えが行われる。このように時間の経過で発生する歴史イベントもある |
新システムの「舌戦」とは?
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プレイ武将を選ぶ場合,歴史イベントと密接に関わってくる"おすすめ武将"を選ぶのも手だ。ゲームの雰囲気をつかみやすいのがメリットだが,お勧めされているからといってプレイが容易なわけではないので要注意 |
三國志Xをプレイする場合,まずプレイヤーは自分の分身となる武将を選択する。シナリオは全部で7本あるが,年代によって戦局が異なったり,登場武将の年齢/死亡などもあるので,一つのシナリオですべての武将が選べるわけではない。
武将の選択時に注意したいのが,武将の持つ"能力"や"特技",そして"身分"だ。能力には武力や知力,魅力など5種類があり,その数値が軍事や内政,計略などの実行結果に影響を与える。特技には内政や戦闘,舌戦など6カテゴリー×7種類の計42種類があり,この項目は実行できるコマンドを決定する。身分は"君主"
"都督" 太守" "一般" "在野"の5種類があり,それぞれ権力や行動内容が異なってくる。
能力や特技,身分などは従来もあった概念なので,これ以上の説明は割愛するが,一つだけ「舌戦」は特筆しておきたい。これは三國志Xで新たに採用されたシステムで,敵対する都市への潜入時や在野武将の登用のときなどに,相手を説得するための論戦である。
舌戦をする場合,まず双方が舌戦の場となる橋の上に立ち,「道理」「情義」「利害」などといった"説得コマンド"をぶつけ合う。基本的には各コマンドに記されている数字の大小で論の優劣が動き,相手を押し切れば勝利となるのだが,ただ各コマンドの数値を戦わせるだけではないのが奥深い。
というのも,舌戦シーンでは画面の右下に1〜9の数値が振られた"盤"があり,それぞれの出したコマンドは,盤上の同じ数値の上に配置されていく。この盤上で同じ系統のコマンドを一列に揃えると,コンボが発動して相手をグンと押し切ることができるのだ。
やってることはミニゲーム風ではあるが,単に能力ですべてが決するわけではなく,システムに慣れないうちは知力の高い諸葛亮が知力の低い張飛に丸め込まれることもある。油断のならない新要素といえよう。
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シナリオの選択画面。各シナリオは歴史上のターニングポイントとなった事件がテーマになっている |
いくつかの設問に答えることで自分にぴったりの武将を教えてくれる「三國志武将診断」なんてお遊びも |
どうしても好みの武将がいないときは,「新武将の作成」でオリジナル武将を作って乱世に切り込もう |
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「三國志X」の新システムである「舌戦」。言葉による一騎討ちのようなものと思えばよい |
"情義"や"利害" "威圧"などといった説得コマンドを応酬し,相手を押し切れば勝ちだ |
画面右下のボードには使用したコマンドが配置されていく。その並びによっては状況が不利になることも |
内政のキモ,戦争のキモ
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戦場の華である「一騎討ち」は今回も健在。武将は必殺技を持っており,"武技"コマンドを実行すると,そのときの斬撃手段の組み合わせによって必殺技が炸裂する。ビジュアル的にも見応え十分だ |
能力値や好みなどでプレイする武将を選んだら,あとは自分の好きなスタイルで遊ぶだけ。三國志Xで基本的に行うことは,収入をアップするための"内政"と,領土を拡張するための"軍事"だ。一般武将の場合は,君主や太守から「都市の内政値をアップして」とか「どこそこの都市を攻めるんで,ついてくる?」などという内容の指令があるので,「イエッサー,ボス」とばかりに指令をこなせば"功績"が溜まっていく。一般武将の場合は指令内容も簡単なので,ヒマがあれば酒家で"依頼事"をこなして名声や所持金を稼いでもいいし,あるいはほかの武将と親交を深めて,持っていない特技などを教えてもらうのもいい。
こうしてある程度の功績が溜まると,やがて"太守"として一つの都市の運営を任されるようになる。太守になると,指令内容が「都市全体の内政値を高めて」とか「どこそこの都市を攻略して」などと難度の高いものになる。君主から与えられた部下だけで指令をこなすのが困難ならば,自ら人材を発掘して陣容の充実を図らなければならない。
都市の経営でとくに注意したいのが,都市の"増築"(規模拡張)についてである。都市には"巨" "大"
"中" "小"という4段階の規模が設定されており,その規模が大きくなるごとに都市固有の"特殊施設"が建設される。特殊施設があると"重歩兵"や"象兵"などのように強力な兵士が得られるほか,"大商家"や"交易所"などで新たなアイテムが入手できるようになるのだ。
太守として功績を積むと,いずれ複数の都市の運営を任される"都督"となる。都督は要するに方面軍司令官であり,「どこそこの地方を攻略して」というおおまかな指令(でも難度は高い)を受けるほかは,ほぼ君主と同等の立場である。
都督になると,君主と同じく軍事で"戦役"コマンドが選べるようになり,一つの地方を巻き込んだ大規模な軍事行動が起こせる。戦役では目的の地方全土が戦場マップとなり,個々の戦闘は数値のみの結果で表示される簡易モードで進行していく。三國志IXの戦争をイメージすると分かりやすいかもしれないが,一気に複数の都市を攻略したいときなどは,この戦役は実に手軽でありがたい。
三國志Xは,まさに「コーエーの総力を結集した」といえるゲームだ。そのスケールの大きさはもとより,細部までよく練り込まれたゲームシステムといい,実に良くできた作品という印象を受ける。
ただただ穿った見方をすれば,武将個人をテーマにした部分は三國志VIIや三國志VIII,あるいは「太閤立志伝」シリーズにもあったシステムなので,本作から「目新しさ」は感じられなかった。舌戦も「維新の嵐」の存在があるので,古いコーエーファンだと目新しくは感じないと思われる。
しかし,歴史イベントをふんだんに盛り込むことでゲームの臨場感を高めた点は,これまでの三國志シリーズで弱かったと思われる部分を補強した意味で,非常に感銘させられた。この一点だけでも,従来のシリーズ愛好者は「三國志X」をプレイする価値があると思う。
Xから初めて三國志シリーズに触れる人がいるならば,この歴史イベントを堪能するためにも,事前に三國志の関連書籍を一読してからプレイすることを強くオススメしたい。
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武将は君主や太守などに命令された仕事をこなしていくことで,功績を積み身分を上げていく |
太守や都督となって都市の運営を任されると,写真のようにより難度の高い指令が与えられる |
武将と親交を深めると,特技を教えてもらえることも。諸葛亮のような人物とは仲良くしておこう |
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都市の規模が上がると特殊な施設が建設される。"大商家"では便利なアイテムが入手できるのでおいしい |
指令によっては敵対する都市を攻略する必要もある。戦闘では部隊を指揮して相手部隊の殲滅を目指そう |
都督や君主は「戦役」で大規模な軍事行動が起こせる。戦役はダイナミックに地方全土が戦場となる |
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メーカー:コーエー
■問い合わせ先:コーエー TEL 045-561-6861
■価格:1万2390円(税込)
■動作環境:Windows 98/Me/2000/XP,PentiumII/333MHz以上(PentiumIII/700MHz以上推奨),メモリ
128MB以上(256MB以上推奨),空きHDD容量 1GB以上,メモリ2MB以上搭載したビデオカード(VRAM4MB以上推奨),DirectX
8.1以降
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