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| 敵陣の燃料貯蔵タンクを爆破中。本作ではグラフィックスエンジンが3Dにグレードアップされたため,ゲーム内の演出が全体的に非常に良くなった |
今回紹介する「鋼鉄の咆哮3 〜ウォーシップコマンダー〜」は,コーエーの海戦アクションゲームシリーズの第三弾である。ゲームの舞台となるのは,1931年から派生したパラレルワールド。この,史実において第二次世界大戦が勃発する数年前に,南極大陸において「レアメタル」なる新金属が発見されたという設定で,本作の物語は始まる。
レアメタルは当時地球規模で深刻だったエネルギーの枯渇問題を瞬く間に解決するが,同時に軍事兵器「超兵器」の開発競争をも引き起こしてしまう。そして世界は「連合軍」と「枢軸軍」に二分され,我々の知る歴史とは違う形での,高度技術を駆使した大戦争が始まってしまうのだ。プレイヤーは連合軍/枢軸軍に属さない独立国家を興し,艦隊を編成し戦いを繰り広げるのが主なゲーム目的である。
ゲーム進行は大きく分けると,艦隊をセッティングする「戦略パート」と,それらを用いて与えられたミッションを遂行する「戦術パート」の二つに分類される。戦略パートは,資金を元に艦船のパーツ単位での緻密なセッティングを行え,その気になればこの部分だけでも"艦隊育てゲー"として成立できるだけのボリュームがある。
戦術パートは,艦隊で敵をバリバリと薙ぎ倒す痛快な内容で,シューティング要素も内包したアクション性の高いものとなっている。
本シリーズの未経験者は,艦隊を題材としたタイトルということで,シミュレーションゲームに近い複雑な内容を思い浮かべるかもしれない。だが,本シリーズはその硬派な見た目とは裏腹に,ゲーム内容をライト寄りにしている。そのため,派手な艦隊戦を誰でも手軽に満喫できるようになっているのだ。
前作からの最大の変更点は,グラフィックスエンジンがフル3Dになるなど,ビジュアル面が大幅に強化されたことである。例えば戦略パートでは,砲台を配置した場所までもが正確に反映された艦船の姿を,3Dで存分に眺めることができる。また戦術パートにおいては,艦船はもちろんのこと,目的地の地形や建造物も立体的に表示されていて,これらが攻撃によって跡形もなく吹き飛ぶサマはまさに圧巻。
さらに,画面の拡大及び縮小も3段階で調節できるようになった。本作の解像度は最大1024×768ドットで表示でき,テクスチャの密度を始めとする各種グラフィックオプションを変更することで,ハイスペックマシンの性能を存分に引き出すことができるだろう。
グラフィックス以外のゲームシステム面では,基本的に前作の延長線上となっている。また,ストーリー面も前作とのつながりはないため,本シリーズに触れるのが初めてだという人でも大きく戸惑うことはないだろう。
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| 本作では大提督の気分を味わえる。緻密な艦隊カスタマイズ機能と手軽な戦闘を両立させた贅沢なタイトルだ | 第二次世界大戦を基本的な時代背景としており,実在した戦艦を3Dグラフィックスでじっくりと堪能できる | 史実に登場しなかったユニークな兵器も数多く登場する。「超兵器」とはどのような存在なのだろうか? |
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| ミッションは途中でいくつかに分岐する。展開によって敵対する相手もまた変わってゆく | ムービーのワンシーン。我々の知る歴史には登場しなかった「超兵器」が行く手を阻む | 兵装の中にはジョークとしか思えないものも。異世界という設定が生きている |
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| この画像に写っている小さな砲塔一つ一つが,自分が設定した配置通りに表示されている。ドックで自慢の艦隊を眺めていると,思わずニヤニヤしてしまう |
本作の戦術パートでは,4隻の船によって構成される"艦隊"を操作する。これらの艦隊編成にまつわる作業全般を行うのが戦略パートだ。
流れとしては,まず手持ちの資金を元に艦船のパーツを購入してゆく。これはベースとなる船体に始まり,機関(例:ボイラー・タービン)や兵装(例:機関砲,魚雷),そのほか艦橋や煙突,そしてエレベータなどといったさまざまなものが含まれる。そして次に,これらのパーツを船体に設置してゆくのだ。
また,技術開発コマンドを行うことで,新たなパーツを購入できるようになる。プレイヤーが最初に使える船体は駆逐艦のみだが,ゲームが進展すると巡洋艦,潜水艦,空母,戦艦,航空戦艦といった多彩な艦船を作れるようになるのだ。
もちろんそれぞれには特徴があり,火力で圧倒する戦艦や,大量の航空機を搭載可能な空母といったような中から,自分好みの艦船を作り上げてゆく課程が面白い。これには,プラモデルの自作にも通じる楽しさがある。
基本的には次のミッション内容に対して有効な艦船にするのがセオリーだが,それは気にせずあえて趣味に走ってしまうのも悪くない。例えば,第二次世界大戦中に実在した戦艦とそっくり同じ構成にしてしまう人はきっといるだろう。また,実際の戦術パートで役立つかどうかはさておき,現在青年漫画誌で活躍中の某イージス艦そっくりのものも作成不可能ではない。
本作はパラレルワールドの設定を利用して,半ばなんでもありの世界観を形成している点に注目してほしい。例えば技術開発を進めると,ゆくゆくは「波動砲」や「重力砲」といった,史実観点で見ればトンデモ兵器も購入できるようになるのだ。
「架空のあの兵器を第二次世界大戦で豪快に暴れさせてみたい」という想像をしたことのある人は多いのではないだろうか。本作は史実の縛りに囚われることなく,これらの想像を元に,実際に艦隊へと作り上げてしまえるのが大きな醍醐味である。
なお,本作の艦隊編成にまつわる作業を煩わしく感じる人は,必要なパーツをすべて搭載した「完成艦」も購入できるので安心してほしい。本作の艦船カスタマイズ機能は非常に豊富で,パーツ単位でセッティングを行うのは初心者にとって少々厳しいかもしれない。そのような場合も,完成艦をベースに少しずつ自分で手を加え,コンピュータにアドバイスをしてもらうのがお勧めである。
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| ミッションをクリアすることで資金を得られ,それを元手に新たなパーツを購入して艦隊を強化する | シリーズ第三弾だけあって,艦船のカスタマイズ機能はとても幅広く,また豊富に用意されている | 技術開発を行うことで,より性能の高いパーツを購入可能に。部品購入との資金バランスに注意 |
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| 艦船の設計時にはいくつかのポイントがある。コンピュータの具体的なアドバイスは重宝するだろう | 画面に収まらない巨大空母も登場。パーツ構成を変えることでプレイ感もがらりと変わるのが面白い | 本シリーズ初の潜水艦も作成可能に。積載量が少ないため,兵装のレイアウトに頭を悩ませることだろう |
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| ブリーフィング画面では,次のミッションでどのような艦隊が求められるのかが分かる。それを念頭に置いてじっくりと艦隊を編成するのだ |
戦略パートで艦隊を作り上げたら,いよいよミッションの遂行だ。本作における戦術パートの基本操作方法は,カーソルキーの左右で艦隊の方向転換,上下(またはマウスホイールの回転)で前進/後退の速度調整,そしてマウスで兵装の照準及び発射である。
操作する艦隊は異様に小回りが利き,兵装の射程範囲であれば360度方向へいつでも射撃できるため,操作感はとても快適。これは言い換えると,実際の艦船操作にまつわる複雑で面倒な作業を極力排除し,痛快なアクション性に比重を置いた内容ということだ。
具体的なミッション内容は,目的地にある敵艦隊や施設の何%を破壊といったものが多く,戦術パートで艦隊をきっちりと編成しておけば,大きな障害はないだろう。
本作に登場する兵装には,遠距離を攻撃できるミサイルや,大量の砲弾をばらまく機関砲といったようにさまざまな種類がある。ミッションをクリアすることで資金を得て,それを用いて新たなパーツを購入しステップアップするのが大きな流れである。
本作は,戦略パートで完成艦が選択可能なことや,アクション性を重視した戦術パートに代表されるように,あらゆる面でゲームとしてのハードルを低くしている。そのため,艦隊を扱ったゲームにありがちな複雑さはまったく感じられない。よって,艦隊にまつわる映画や漫画などがきっかけで興味を持った人が,最初にプレイするのに最適であるといえる。
とくに本作は国産タイトルであるため,"戦艦大和"や"こんごう型駆逐艦"といった日本軍の艦船がふんだんに登場するのも大きなポイント。戦略パートでじっくりとカスタマイズを行えば,いつの間にかさまざまな知識を得られるため,艦船についてより深く理解できるようになるはずだ。
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| 自分が操作する艦隊とは別に,あらかじめ指定したルートを通過する支援艦隊も設定できる | 戦術パートでは,右手でマウス,左手でカーソルキーを操作する。そのプレイ感覚はラジコンに近い | 機関砲は,マウスを押しっぱなしにしているだけでもバリバリ撃ちまくることが可能。実に気持ちいい |
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| 夜のミッションは視界が極端に狭くなる。レーダー系の装備を調え,兵装の発射を自動操作にしよう | 戦術パートの要所では丁寧なアドバイスが入る。次に何を行ったらよいのか迷うことはないだろう | サブミッションも多数用意されている。達成すればより多くの資金を得られ,階級も上がってゆく |
| ■メーカー:コーエー (C) 2004 MICROCABIN CORP. (C) 2004
KOEI Co., Ltd. |
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