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forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<2>
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オービス大陸で繰り広げられる死闘
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| 仮想世界オービスのマップ |
Warrior Kingsの舞台となるのは,オービスと呼ばれるファンタジー世界である。どこかヨーロッパ大陸から北アフリカ地方にかけての地勢に非常に良く似たマップなのは,「仮想の世界設定であっても,よりゲーマーが身近に感じるようなものにするための選択」だったとターンブル氏は解説する。現在では騎士やデーモンなどが無法に巣食う無法地帯となってしまっており,プレイヤーは前代の王の血を受け継ぐ王子で小さな軍団をまとめ上げる"ウォーリアー・キング"としてプレイを始め,この大地を統一するために奮戦することになるのだ。
forGamer.net(以下,4GN):
Warrior Kingsでは,3種族が登場するようですが,それらの特徴から説明して下さい。
Andy Trowers(以下,トロウワーズ):
ええ。現在では"インペリアル" "ペイガン",そして"ルネッサンス"という分け方になっています。少し前のバージョンでは名称が異なっており,メディアに流れた情報によってゲーマーの皆さんを混乱させてしまっているのですが,我々はこれら三つを種族ではなく,"アライメント"(系統)という捉え方をしています。
4GN:
えぇと……どういうことですか?
トロウワーズ:
つまりですね。このゲームの独特のゲームデザインから来るものなのですが,Warrior
Kingsではプレイヤーがゲームを開始する時点では,ほかのゲームのように種族や国家をチョイスする必要はなく,ゲームが進行するに連れて行なわれるプレイヤーの選択によって,おのずと決定していくというシステムになっているのです。Warrior
Kingsは,テクノロジーツリーのコンセプトを採用していて,どのような建物を建て,どんなユニットを生産するかで,プレイヤーの系統が決定していくということになります。
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| 今回,デモとインタビューに協力してくれたアンディー・トロウワーズ氏 |
4GN:
なるほど。それで,とりあえずのタイプとしての区分はどうなっていますか?
トロウワーズ:
簡単に説明すると,インペリアル(Imperial)が聖戦派でペイガン(Pagan)が異教徒集団,そしてルネッサンス(Renaissance)は技術信奉者ということになります。もっとも,インペリアルだから善というのではなく,モラル的にはどれもニュートラルかもしれません。インペリアルでさえも非常に狂信的なイメージに描いているからです。
とにかく,どの系統も一つの神を信奉しており,その神の名の元に大地を統一するのが目的なのです。ゲームが始まれば,ペザント(建築や資源収集を担当する農民ユニット)が信仰すべき神殿を建てなければなりませんが,それによって系統が決まり,そこから建築物やユニットのオプションが広がっていくことになります。
4GN:
このゲームのウリというと,どのあたりでしょう?
トロウワーズ:
Warrior Kingsは,完全3Dグラフィックスの画面と,それで表示できる世界を最大限に生かせるようなゲームシステムにしていることにあると思います。1画面につき200ユニット程度が,無理なく表示できるようになっているのですよ。
4GN:
3Dグラフィックスだから凄いですよね。見てるとホントにキレイです。
トロウワーズ:
でしょう? 3D画像であるという長所を生かし,"Spinny-Rotatey"カメラと名付けた技法で視点をスムーズに変更できるようにしています。地形も,ただ美しい3Dグラフィックスにしたというのではなく,ユニットの配置や敵との攻防において,プレイヤーの戦略眼がモノをいうような仕組みにしてあるんです。
例えば丘を超える場合には,その丘の角度によって移動スピードも変化しますし,高い場所から弓などで攻撃するのにもボーナスポイントが付くようになっています。
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| 草原や丘に至るまで,見渡す限り埋め尽された戦闘配備中のユニット軍団 |
ただ,ユニットを大量生産するだけでは勝てない
ここ数年,ストラテジーゲームを3D化することは,もはや珍しいことではなくなってきている。「Ground Control」や「Homeworld」から始まり,「Sacrifice」や「Empire
Earth」に至るまでRTSには不可欠なマウス操作と三次元で表現された世界観の結合という実験が幾度となく繰り返され,少しずつ改善されてきているのだ。とくに,中でも数の少ない中世ファンタジー的世界観を扱った3D
RTSとなるWarrior Kingsには,ストラテジーファンであれば否が応でも注目してしまうのではないだろうか。
4GN:
具体的に,Warrior Kingsに登場するユニット数はどれくらいになるんですか?
トロウワーズ:
合計すると,プレイヤーが選択可能なユニットが60を超えたくらい,建物などは80種類くらいになりますかね。先ほどもいったように,プレイヤーが選択する技術のアップグレードによって,さまざまなバリエーションが作成されることになります。
4GN:
ユニット数が多いと,マネージメントするのがプレイヤーの負担になりませんか?
トロウワーズ:
3D型のRTSでは,とくにプレイヤーの操作への負担が最重要課題になっていますよね。我々もそのあたりは意識していて,最大64ユニットで一つの軍団を形成し,フォーメーションを編成できるようになっています。ただそれも,都合の良い安価なユニットを大量生産し,グルーピングして敵陣に送り込む,というようなものではありません。一つのフォーメーションにしても,ユニットタイプを複合して作ったもののほうが効果がでるようになっているんです。
このゲームでは,槍隊で弓隊を囲んだり,魔法を使うユニットを護衛兵で守ったりしながら進軍することが可能になってます。つまり,100体の護衛兵ユニットを数騎の騎馬隊で滅ぼすことだってできるわけです。速く多くのユニットを生産したプレイヤーが勝ってしまうようなゲームではなく,戦略性で勝敗が決定されるようなバランスにしたいというのが,我々開発チームの目標なんですよ。
4GN:
選択したフォーメーションによってだけでなく,それを構成するユニットタイプででもボーナスが付く,と。
トロウワーズ:
そういうことです。進行する時はColumn(縦陣)にしたほうが移動力が上がりますし,防御のときはOrb(楕円)にして弱いユニットを中心に持っていくというようなことが自動に行なわれるようになっているんです。まぁ,基本的な攻撃はLine(横陣)というところでしょうね。それだけでなく,例えば敵は弓兵のような至近戦に弱いユニットから潰していこうとしますし,逆に弓兵は攻撃されるのを防ぐために歩兵の後ろに逃げたりする行動を取るなど,各ユニットタイプに合わせた思考ルーチンになっています。
4GN:
生産能力など,各派での能力差はありますか?
トロウワーズ:
典型的な場合なら,インペリアルが防御系でペイガンが攻撃,テクノロジーはシージ塔(攻城用の塔)など機械的な兵器を使用することが多くなります。
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| 大軍勢が敵地に向って行進中。下部中央のインタフェースからは,ユニットがさまざまなフォーメーションを組めるようになっていることが分かるだろう |
ペイガン軍は,スケルトンなど魔軍のイメージとなっており,攻撃的なユニットが豊富に揃っているようだ |
(C) Black Cactus
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