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forGamer.netイギリス紀行:独占インタビューシリーズ<2>
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広大な世界で進められるRPG仕立てのストーリー
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| ゲームの序盤は,このような感じで町作りが進んでいく |
画像だけではこのゲームの美しさがうまく伝わらないんじゃないかと思うほど,実際に動いている画面は印象的だ。滑らかな丘に囲まれるように城が建ち,作物や旗が風に揺れている。人間やモンスターユニットの動きも非常に生き生きしている。表現されている世界は大きく,24×32km四方という広大なマップの中でプレイすることになる。
シングルプレイヤーモードはMythシリーズのような形のキャンペーン制となる予定で,メインとなるストーリーラインを軸に進行していく。9個のレベルに分かれており,それぞれが数種類のミッションからなっている。つまり,トータルで120ミッション程度となるというわけだ。ただし,シングルプレイヤーに限っては3派に分かれているようなので,各3レベル40ミッション程度になる,ということだろう。プレイ時間は,全体で75時間くらいになる予定だという。
4GN:
ゲームの内政部分についても説明してもらえますか?
トロウワーズ:
ええ。まずゲームが始まると,キープ(Keep=本城)の周囲を開墾して,食料を確保できるようにしなければなりません。風車を建てたり,神殿やショップを増やしていくと共に,兵を補強したり城壁を増築していくような作業も必要となります。城も4段階にアップグレードしていくことができ,そのたびに大きく強くなっていくのです。
4GN:
資源の種類は?
トロウワーズ:
さまざまな資源確保を確保するために無駄な時間を費やさないためにも,資源は食料と木材,そして金の3種だけとなっています。金は金鉱から掘り出すこともできますが,近隣の敵陣を制圧することでも増やせますし,外交的なプレイを望むなら他チームと貿易もできるようになっています。
食料ですが,生産された兵士や農民は一定量の作物を消費するので,バランスの取れた需要と供給にしなければなりません。中世期に忠実になるよう,前線にいる味方には馬車で食料を輸送する必要もあるんですよ。戦略的に見れば,速度の速いユニットで敵の荷馬車を横取りできるようになっています。供給ラインそのものを断ち,士気を下げて弱体化させるという戦法もとれるようになっているというわけです。
4GN:
テクノロジーツリーについてもう1度伺いますが,基本的にはゲームのかなり早い段階で,どの宗派になるのかが決定されてしまうのですか?
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| 町が大きくなって城が城壁に囲まれる頃になれば,かなり壮大な雰囲気になってくる |
トロウワーズ:
そういうわけでもないんですが,例えば早い段階で教会を建てれば,ペイガンやルネッサンスの系統に属するアップグレードができなくなってしまうのは事実です。もっとも,ミッションをどう進めていくのかは非常にフレキシブルになっていて,プレイヤーの意思でストーリーの流れが変わってくるようにもなっています。そのため,ゲームはマルチエンディング制を取っており,シングルプレイヤーモードのリプレイバリューも高いといえますね。
4GN:
RPG的な要素ですね。
トロウワーズ:
それだけじゃないですよ。マップが広がるにつれて,どの軍にも属していないニュートラルな軍勢や町が登場し,場合によっては滅ぼさなければならなかったり,仲間になってくれたりします。進軍中に突然やってきて,その先の状況を説明してくれたりアドバイスをくれたりと,ミッションの中でもイベントが発生するようにもなっているのです。また各ユニットには経験値があり,戦闘で生き残ることでエリートユニットへと成長していきます。
4GN:
ミッション制であっても,毎回ユニットや建物を生産するんですよね。
トロウワーズ:
それはミッションによって異なっていて,一概にはいえません。24×32km平方メートルという広大なマップの中には,経済がある程度発達した地域もあれば,荒廃して一から町や畑を作り直さなければならないこともありますし,魔法のさかんな場所など地域差が出るようになっています。9レベルからなっていて,少しずつゲームの難度も上がっていくのです。
あと,ユニットは中核となる20から40程度のものに関して,次のミッションに持っていけるようになるでしょう。すべてが次に移行するというのではゲームとして成り立たないですし,逆に大きな軍勢を作り直す作業もプレイヤーの負担になりかねないですからねえ。
巨大ユニットを生産して敵を蹴散らせ!
最近では多くのRTSが内政面を省略する傾向にあるが,Warrior Kingsにおいては簡略化されてはいても,重要度が高いままであると考えるのが妥当だろう。自陣の畑が敵に荒らされていては,大量のユニットで遠征したまま敵の建物を潰していくというような戦術は通用しない。つまりWarrior
Kingsは,ゲームをただ簡単にしているのではなく,複雑なことを簡単に,さらに楽しくできるようにというデザイナーたちの思惑が見え隠れしているのだ。
さらに,このゲームで重要なのが攻城戦となる。投石器で城壁を破壊したり,シージ塔で歩兵を壁に登らせたり,果ては門を破壊させて正面から乗り込んだりという,細かい戦略を練ることが可能なのだ。もちろん海戦もできるようになっており,壮大なスケールでの戦闘が,完全3Dで楽しめるのである。
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| Warrior Kingsでは,攻城戦も楽しみの一つ |
ペイガン軍がユニットを高い丘に持っていき,戦闘的に優位に立った配置をしている |
4GN:
マルチプレイヤーモードは,最大何人までのサポートですか?
トロウワーズ:
LANやインターネットで最大8人までです。Warrior Kingsは,プレイヤー同士がネットワークを介してプレイするクライアント/クライアントモードだけでなく,クライアント/サーバーモード(FPSなどで一般的)もサポートしているため,GameSpyと提携することにもなっています。参加者で潰し合っても良いですし,チームとしてプレイすることもできますよ。
4GN:
でもこれまでの話を聞いていると,マルチプレイヤーモードはプレイ時間が長くなりそうな気がするのですが……。
トロウワーズ:
いや,そんなことはないと思います。(周りのほかのデザイナーに聞いてから)だいたい,1ゲームにつき45分くらいですかね。マルチプレイヤーマップは30種くらい用意されるはずです。もっとも,ほかのプレイヤーとの提携や貿易を繰り返せば,それなりのプレイ時間にはなるでしょうね。
4GN:
プレイ開始時にプレイヤーの系統が分からないということは,戦略の練り方も変わってくるのではないですか?
トロウワーズ:
探索などで,敵陣の成長具合を確かめることも必要になるでしょう。
4GN:
デモでは,非常に巨大なユニットも登場していますね。
トロウワーズ:
ええ。各系統には"究極ユニット"が存在しており,プレイヤーの陣営の守護神のような形で召喚することができます。非常にコストがかかってしまうのですが,その分非常に強力なパワーを持ってるんですよ。
インペリアルはアークエンジェル,ペイガンはアバドンという悪魔で,ルネッサンスには巨大な塔が用意されています。こういう系統によるユニットの特色っていうのはあって,ルネッサンスのみが大砲船を製造できるとか,そういう違いはありますね。(デモをプレイしながら)エンジェルはゲーム世界では"剣の神"と信奉されており,大きな剣を持っているでしょう。コレを使って……(と,アークエンジェルが剣を地面に叩きつけ,電光か地面を一直線に這いながら敵のユニットを瞬殺する)え,何コレ?
(周りのデザイナーに聞きながら)こんなエフェクトだったっけ? カッコイイじゃん,これ!(この後2分ほど同じ行為が繰り返される……)
4GN:
(話題を変えるように)この人形みたいなのは?
トロウワーズ:
……え? あぁ,これはウィッカーマンといって,ペイガンの生け贄人形なんです。ここに,余った農民や捕虜にした敵の農民を入れることで魂を注入し,ペイガンの究極ユニットであるアバドンが召喚されるようになるのです。ほかの2系統とは違って,膨大なリソースは消費しないものの,魂を満タンにするにはかなりの時間がかかるんですよ。
4GN:
さっき,これの小さいようなものも城の近くで見ましたが?
トロウワーズ:
あれはダミー人形で,兵士の訓練に使うんです。槍で突いたりして,ある程度レベルを上げることも可能なんですよ。
4GN:
そんなこともできるんですか! 細かいところまでの作り込みが素晴らしいですね。期待できそうです。今日はどうもありがとうございました。
(C) Black Cactus
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