forGamer.net独占インタビューシリーズ
「Warhammer Online」
with Robin Dews and Matt Sansam

 実際のゲームはまだα段階にも至っていないため,リアルタイムで動くテクノロジデモ以外に,実際の戦闘シーンやコミュニケーションシーンを確認することはできなかった。しかしそのCG技術は見事なもので,光源からの照明のみに頼るDirect Lightingで,Warhammer Onlineらしい独特の暗さが表現されている。焚き火のシーンでは近くの樹木ばかりかクサにまでオレンジ色の照明が当たっており,森のほうにうっすりと浮かび上がる巨大なクモのモンスターが不気味だ。
 プレイヤーキャラクターとして選択可能な種族はヒューマンエルフドワーフハーフリング,そしてオーガの五つ。オークと並んでWarhammerでは敵役として人気のあるネズミ族スカーヴェン(Skaven)は,ゲームマスターによってイベント時に使用されるだけのようである

ドワーフの住む街。プレイヤーキャラクターは種族によってスタート地点が異なるばかりでなく,武器にも違いが出てくるようだ。チェーンメールの光沢よりも,キャラクターによって三つ編みの垂れ具合が異なるのが気になる。階段の隅にネコあり Warhammer Onlineのアート部門のスタッフが集うオフィス。イギリスには多い垣根のないスタイルの間取りで,みんなが寄り合って共同作業をしているような和気あいあいとした雰囲気がある

キャラクターやモンスターについて

4GN:

 Warhammer Onlineで用意されたプレイヤーキャラクターの種族は5種類ですね。

サンサム:

 サービス開始の時点ではね。Warhammer Online用に開発されたゲームエンジンは非常に拡張性があって,それほど複雑なプログラムを組まなくても新しいキャラクターや土地を追加できるようになっています。

4GN:

 ニッポンは?

デュース:
 まあ,ファンがどこまで付いてくるかの反応を見てからですかね
4GN:

 むむ。公式サイトを見ていると,モンスターの種類も非常に多そうですが。

サンサム:

 モンスターにはいくつか配慮していることがあって,一つは同じようなビジュアルばかりだと面白くないだろうということです。同じタイプでも色を変えたり大きさを変化させるだけでかなりのバリエーションができるでしょう。また個々のタイプによって違った思考ルーチンを持たせて,よりグループでの戦闘を好むものだとか,怖気づいて逃げ出しやすいとか,モンスターの個性も強調しています。視覚や聴覚,嗅覚などが優れたモンスターもいますね。あと,モンスターやNPC一人一人にはプレイヤーと同じようなスキルが用意されていて,そのスキルに合わせた攻撃をしてきますから,プレイヤーのモンスター攻略パターンも毎回違ったものになるんじゃないでしょうか。

デュース:

 モンスターの話が出たから,スポーニングについても触れておきましょう。少し説明し難いのですけど,一般的なMMORPGにはモンスターのリスポーニングポイントというのがあって,そのモンスターがプレイヤーに倒されてから一定時間が経過すると,用意されたポイントで新しく再生されますよね。これではその場でモンスターを待つキャンピングがはびこって当然ですし,ゲーム自体もマンネリになってしまうじゃないですか。Warhammer Onlineでは,これらのリスポーニングポイントは時間や日によってモンスターを発生するかどうかがランダムで決まるようになっていて,プレイヤーにはなるべく悟られないようにしています。まあコアなプレイヤーには気付かれてしまうでしょうが,それを補うためのシステムも考えていて,例えばオークのリスポーニングポイントが五つあるとします(と言いながら,紙に五つのポイントを楕円状に並べる)。一つのポイントでは時間差でオークがリスポーンされますが,最初の地点で再生されたオークはB地点に向かって歩いていき,そこで新しく再生されたオークと合流し,2頭のオークでC地点に歩いていきます。そしてC地点で新しいオークも参加し,3頭からなるオーク団となります。この時点でオークは実際にキャンプを作って野営を始めますが,これと同時に近辺の村ではオーク狩りのクエストも発生するというわけです。

4GN:

 テーブルトーク版では各種族によって独特の言語を持っていたり,種族同士の友好度も違いますよね。

サンサム:

 まだ決定事項じゃないですけど,エルフ語とかがゲームで使えれば面白いでしょうね。種族同士の友好関係はゲームには採り入れられていて,プレイヤーキャラクターは種族の垣根なくカンパニーを作ったり一緒に旅することができますが,途中で出会うNPCやモンスターには嗜好の違いがありますから,特定のプレイヤーキャラクター目掛けて襲って来たりすることもあるでしょう

現在公開されているもので,魔法のようなエフェクトが見られるシーンは少ない。デュース氏やサンサム氏の話を聞く限り,マジックシステムはWarhammer Onlineの中でも非常にユニークな企画が多く盛り込まれている部分。袖部分のテクスチャも細かい 左のビルの入り口に立っているキャラクターと比較すると,その大きさが分かるだろう。建物だけでなく,樹木の大きさや丘陵の高さでも現実性が重視されている

 

マジックシステムなどでもユニークな仕様が満載

4GN:

 今までの話の中で何度か登場しているスキルとキャラクタークラスの関係が分かりにくいのですが……。

デュース:

 最初にプレイヤーがスキルポイントを振り分けたときに,プレイヤーの今後のスキルを決定するキャリアが決まります。例えばローグのクラスを極めたいプレイヤーは,最初に選んだスキルによってラットキャッチャー(Rat Catcher)もしくはベガー(Beggar)というキャリアが選択できます。その後スキルが増えていくとまた別のキャリアを選択でき,ラットキャッチャーを選んだプレイヤーはボディガードやスウェッジワーカー(Sewerage Woker)などのキャリアに転職できます。ボディガードを選べば,さらにスキルを磨いてバウンティーハンターアサシン,ジェイラー(Jailor)などの道を進んでいくことになります。これらのキャリアは4段階存在します

4GN:

 スキルを修練するというのは?

デュース:

 キャリアの第1段階ではスキルの成功率が25%程度までしか上がりませんが,第2段階になると50%に,その次が75%,そして100%というように上昇していくのです。第4段階のキャリアでも,第1段階のときに学んだスキルを使っていなければ,その成功率は低いままというわけです

4GN:

 マジックシステムはどのようなものになりますか?

サンサム:

 Warhammerではマジックの扱いがちょっと変わっていて,Power of Chaosから魔力を引き出してスペルを繰り出すことになります。Power of Chaosはその地域に一定量存在するデーモンの魔力を利用するもので,チャネリングを試みたプレイヤーキャラクターには一定のダメージが加えられます。
 メイジ系のクラスを目指すプレイヤーはこのチャネリングを行うスキルを磨く必要がありますし,もっとアルタネイティブな魔法,例えばリチュアルマジックだとか(アンバーやジェイドといった)カラーマジックなどもスキルを磨くことで精度が上がっていくのです。スキルベースですから,プレイヤーは知っているスペルならいつでも使えます。ただし未熟なメイジならチャネリング作業に時間がかかりますから,戦闘では不利になることが多いでしょう

4GN:

 Power of Chaosは地域に一定量しかないということですが,例えばハイスキルなメイジ系のプレイヤーを集めて一斉にマナを引き出し,ほかのプレイヤーがマジックを使えないようにするイタズラとかが考えられませんか?

サンサム:

 それは可能でしょうね。しかしハイレベルなスペルだとその分チャネラーが受けるダメージも大きくなりますし,一つのエリアにメイジ系が多いほどスペルを繰り出しにくくなるわけですから,よほどの物好きじゃないとそんなイタズラはしないでしょうね。それから能力の伴わないメイジがハイレベルなスペルを使用するときは,何か悪いことが起きるのを覚悟しておかなければなりません。その地域で引き出されたPower of Chaosの量をサーバー側で計算していて,一定量引き出されるとChaosの世界からデーモンが降臨してしまいます

4GN:

 それは凄いですね! 中にはハズレくじを引いちゃうニュービーも出てきそうだ(笑)。では次に,アイテムについても何かお聞かせ下さい。

サンサム:

 アイテムは種族特有のものを用意します。例えばエルフがドワーフをPKしてその銃を奪い取ったとして,エルフはもちろんこの銃を使用できますが,そもそも銃を使用するスキルがないので,まったく意味のないものになってしまうでしょうね。もちろんマジックアイテムは,その効果に合わせたアニメーションを考えています

4GN:

 インベントリなどはどうでしょう。

デュース:

 インベントリは現実的に考えて,いくつもの防具をバッグに入れて走り回ったり出来ないようにしたいですね。体に装着するアーマーや武器のスロットは八つで,そのほかはかなり制限されることになります。補助で持つ大きな武器は,背中に付けられるかもしれません。

サンサム:

 あと,特別に二つのペットスロットが用意されています

4GN:

 ペットですか!

サンサム:

 はい。Warhammer Onlineにはイヌやネコ,フクロウ,カラス。騎乗できるウマなどの野生動物が登場し,ペットに出来ます。またこのスロットには相棒として一緒に旅するヘンチマン(NPCの雇用人)を雇ったときにも使用します。

4GN:

 いろいろと楽しそうですね。それでは,本日はありがとうございました。

 Warhammer Onlineは,現在のMMORPGの流れである"協力プレイ"や"対戦プレイ"の楽しさでなく,その世界で個人が満足できる楽しさを念頭に開発されているようだ。デュース氏は「EverQuestの登場はボクら後発の開発者にとっては幸運なことでした。そこから良いものを学び,悪いと思った部分を改良できるのですから」と筆者を見送りながら語ってくれたが,Warhammer Onlineには,確かにほかのオンラインRPGとは異なる匂いを感じることが出来た。
 2004年のリリース時期から考えると「World of Warcraft」とガチンコ勝負になりそうだし,すでに「EverQuest2」や「Star Wars Galaxies」などもサービスとして成熟期に入っているだろう。イギリスで開発されているMMORPGが,どこまで世界に通用するものになるのか? 2003年の夏に始まるβテストに照準を合わせ,今後入ってくる情報に注目しておきたい。

c 2002 Warhammer Online. All rights reserved. Site designed and maintained by Webslayer

<<前のページへ