forGamer.net独占インタビューシリーズ
「Warhammer Online」
with Robin Dews and Matt Sansam

 ゲームの具体的な世界観について説明しておこう。Warhammerの世界は地球の大陸と非常に良く似た形状で,ヨーロッパはイギリス島がフランスあたりに組み込まれており,"オールドワールド"(The Old World)と呼ばれている。近辺には北方のドワーフ,中東あたりにはオークがゴブリンなどが勢力を形成しており,さらに地方を見れば北アメリカにはダークエルフが,南アメリカにはリザードマンの文明がある。人間族はイギリス風のブリトンとドイツ風のエンパイアがオールドワールドで激しくしのぎを削っており,さらに東方の未知の地帯に行けばニッポン(!)という民族も住んでいるらしい
 Warhammer Onlineは,ブリトンとエンパイアが激しい戦闘を繰り広げる,実世界で例えればベルギーからスイスやオーストリアあたりの,北西から南東に細く広がるごく小さな地域を舞台にしている。

Climax Development社で,Warhammer Onlineの総合プロデュサーを務めるマット・サンサム(Matt Sansam)氏。ちょっと眠たげな表情だが,取材時には予定が重なっていて実際かなり寝不足だったという。仕事が終わってから,仲間達とパブでよくゲーム談義をするのだそうだ

ブリトンとエンパイアが激突する,ダークで冷酷なWarhammerの世界観

4GN:

 では,ゲームの内容について伺っていきます。まずはWarhammer Onlineで扱われている世界そのものを説明してください。

デュース:

 Warhammer Onlineで描いている地域はWarhammerの世界でもごく一部分で,リバーレイク(River Reik)グレイマウンテン(Gray Mountain)に囲まれたレイクランド(Reikland)一帯となります。大きな街は三つありまして,ゲームでどれだけ再現できるか分かりませんが,小さな村になると数10もあります。
 リバーレイクが北東の海へと流れ出る河口にマリエンバーグ(Marienburg)という港町があり,勢力的にはニュートラルで自由な気風のコスモポリタンです。港ですから,リザードマンやシーエルフなど遠方の種族も集まる数少ない国際都市ですね。リバーレイクはここから南東へと流れていくのですが,マリエンバーグを少し離れるとエンパイアの勢力が強大になってきます。
 マップの中心にはエンパイアの首都アルトドルフ(Altodorf)があります。この街は,死の神モール(Morr)の伝説が残る,厳しい規律に縛られた軍事国家になっています。さらに南東に下ると,ヌルン(Nuln)というエンパイア第2の都市があります。この街はよりアカデミックな工業都市で,銃器生産のメッカといえるでしょう。グレイマウンテンにはアックスバイト峠 (Axe Bite Pass)という峠街道があって,そこから南西に行けばブリトンの東部都市であるパラヴォン(Parravon)や,ウッドエルフのいるローレン地方へ抜けられます。

4GN:

 なるほど。聞いているだけでもワクワクしてきますね。

Matt Sansam (以下,サンサム):
 この世界は実に400平方キロメートルに及び,テーブルトークで使用するものの25分の1のディテールで細部まで満足のいくように設計しています。三つの街はもちろん,町や農村,宿泊施設,砦まで3Dでテーブルトークをベースに描いているのですが,最新のテクノロジを使ってここまで描写できると,ただWarhammerの世界を描き直しているというよりも新しく作っているという感覚さえ受けますね。
4GN:

 お話を聞いていると,かなり激しいバトルが展開するようですが。

デュース:

 忘れないでほしいのは,Warhammer Onlineはテーブルトークのようなバトルゲームではなく,フルスケールのオンラインRPGだということです。テーブルトークのようにプレイヤーがコマンダーとして大軍を率いるのも楽しいでしょうが,オンラインコミュニティの中でプレイヤーが体験できる世界を念頭に,RPGを選んだのです。
 でも,Warhammerの世界自体が非常にダークで冷酷なものです。だから大人向けの過激な描写も多くなるかもしれません

サンサム:

 Warhammer Onlineで特殊なのが,四季や天候など環境の表現なんです。もちろん日夜の周期はフィーチャーしていますし,そのうえ現実の1週間をゲーム世界の1か月,つまり3週間で1季節に設定していて,冬になるとジワジワと雪が振り出して山岳地帯の民家の屋根や地面に降り積もるのです

Warhammerの世界は,左上のものが全世界を示し,大きく表示されている部分がオールドワールドと呼ばれる一帯だ。それでも3D化するには大き過ぎるため,サービス開始時には"1"と付けられた部分のみをゲーム化している こちらはその"1"の部分の拡大マップ。マリエンバーグ,アルトドルフ,ヌルンという3大都市を中心とした場所で,周辺にも多くの町や村があるのが分かるだろう。興味のある人は,今から頭に叩き込んでおこう

 

完全なるスキルベースシステムを採用

4GN:

 基本的なコンバットシステムは?

サンサム:

 まだ十分に煮詰めておらず実験段階でしかないんですけど,非常に興味深いものになりますよ。プレイヤーが持っているコンバットやマジックのスキルによって,攻撃とか防御とか戦闘の手口を変えていけるのです。ダメージを多く与えたほうが勝つようなただの腕試しじゃなくて,戦略眼や集中力を求められるようなものにしたいですね。

4GN:

 ダークな世界観というと,アメリカで制作されている「Shadowbane」がありますが,ギルドやクランを重視したPvP(プレイヤー対プレイヤー)を基本とするのでしょうか?

デュース:

 (キッパリと)いえ,PvE(プレイヤー対環境)です。Warhammerの世界は,それだけ厳しいんですよ(笑)。

サンサム:

 プレイヤーキリング(PK)が出来ないわけではありません。Warhammer Onlineはレベルベースのシステムではなく,(Ultima Onlineのような)完全なスキルベースのシステムを採用していて,さらに選択したオプションから枝分かれしていくテクノロジツリー方式になっています。その選択によってクラスも決まっていくので,PK行為を楽しみたいというプレイヤーは,おのずとネクロマンサーやウィッチとなるための修練をしたり,アサシンのスキルを上げていくことになるでしょう。しかしWarhammer OnlineではPKに対するペナルティが厳しく,大きな町で買出しするのが難しくなりますし,人殺しのウィッチを追いかける"ウィッチハンター"になるプレイヤーだっています。また,PvP専用サーバーを置くなどの処置を取ることを検討するかもしれません。
 ギルドについてですが,一応プレイヤーはWarhammer Onlineでいうところのウォーリアーカンパニーに参加できるようになっています。カンパニーハウスとしてゲームの建物を共同で借りたり,自分達のエンブレムを登録して防具などに貼り付けられるようになります。メンバー間のコミュニケーションも潤滑にできるシステムは,MMORPGには必須なものでしょう。

4GN:

 スキルの総数は,何種類くらいになるんですか?

サンサム:

 数えられないくらいいっぱいです。

4GN:

 (笑)スキルシステムを採用した理由は?

デュース:

 レベルベースのシステムでは,ゲームのすべてが自分のレベルや数値を上げることに集約されてしまう傾向があると思いませんか? スキルベースのシステムだと,好きなスキルにポイントを振り分けていくことで自分特有のキャラクターを作り出せるし,飽きれば別のクラスをマスターするために育てていけばいい。Warhammer Onlineでは,そのスキルを獲得するためにマスターを探し出して,教えを乞うたり修練していかなければなりません。だから自己紹介でも,"僕はこんなスキルを持ったメイジで,こうやってこの魔法を使えるようになったんだ"っていう,もっと現実味のある言葉になると思うのです。レベルなどというような,いかにも演算ゲーム的なものは,プログラムの中に隠してしまいたいというのが我々のゲームに対する考えです。

この画像はかなり初期にリリースされたもので,港町のマリエンバーグのようだ。ちなみにこの街は,端から端まで歩くのに10分はかかるという巨大なものになる予定。街中でプレイヤー同士が決闘できるのかは不明だ ワイヴァーンとスパイダー。スパイダーの目は八つ描かれているし,ワイヴァーンの皮膚感も素晴らしく,ディテールの細かさとリアリティの追求には頭が下がる

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