Star Wars Galaxies 1/2

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2001/06/22

文・奥谷海人

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クリックすると拡大します クリックすると拡大します  「Star Wars Galaxies」(以下,Galaxies)は,一つのサーバーで数千人をサポートするオンライン専用ロールプレイングゲームだ。スター・ウォーズの世界観を扱ったMMORPGとしては,もちろん初めての作品となる。スター・ウォーズシリーズのライセンスを保有するLucasArts Entertainment「Everquest」などの一連のオンライン専用ゲーム開発社として知られるVerant Entertainmentがチームアップした作品で,文句なしに2002年の超期待作だといえるだろう。
 映画やほかのゲームと同じように,Galaxiesはかのテーマソングや"Long Ago,in a galaxy far away……"というテロップとともにスタートする。ストーリーは,ルークが最初のデススターを破壊した直後の混乱期を舞台にしており,帝国軍と連合反乱軍の抗争がテーマとなっている。ロケーションはタトゥーイン星やナブー星など,映画や小説でお馴染みの惑星がいくつも用意されており,惑星間の移動は公共シャトルバスのようなものが運行される予定だ。"Galaxy"と単数形ではなく"Galaxies"と複数形になっているのが示唆するように,拡張パックなどで世界を広げていくことも考慮されている。事実,製品がまだまだ先にもかかわらず「Star Wars Galaxies:Space Expansion」という拡張パック開発も着手されており,宇宙でのシューティング対戦や冒険を楽しめることになる予定だ。
 プレイヤーは8種の種族の中から使用キャラを選択し,それぞれ性別や種族に与えられた肌の色,髪型といった容姿も選択できる。種族の繊細については後述するが,人間族やチューバッカでお馴染みのウーキーをはじめ,ダース・モールで初登場したザブラックなど,すべて二足歩行型のヒューマノイドだ。プレイヤーは,仲間達と酒場でたむろしたりストームトルーパーと戦ったり,R2-D2のようなドロイドを製作して連れ回したりと,自由度の高い遊び方が楽しめる。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  Galaxiesは,スキルベースのシステムになっており,「シビライゼーション」「Age of Empires」のテクノロジツリーによく似たスキルツリーが用意されている。
 スキルツリーとは,プレイヤーが前もって基本スキルを習得することで必要条件を満たし,さらに高度なスキルへと発展させていくことができるというものだ。最近では,巨大なツリーとはいえないが,「ディアブロII」に採用されている。このことで,一つの分野を専門とするキャラクターを製作したり,それぞれの分野にまんべんなく能力を振り分けたオールマイティなキャラクターに育てることだってできるというわけだ。スキルツリーは,Galaxiesにおいては"スフェア"(Sphere)と命名されており,さまざまなフォースパワーもこれに含まれている。
 プレイヤーが習得できるスキルは,コンバット/ノンコンバットを合わせて数百種類以上にもおよび,中でも政治スキルが存在するのはスター・ウォーズの世界ならでは。この政治スキルは,対外交渉に利用したり市長やカウンセラーとなるときの選挙で有効になるだろう。
 基本的に,どの種族でも好みのスキルを習得することはできるようだが,ウーキーだけが"ボウキャスター"と呼ばれる武器を製作できるなど,種族によってある程度の特典はあるようだ。大勢の人が期待しているように,プレイヤーキャラクターは究極的にジェダイの騎士までに成長できるようになっている。しかし,ヒーリング(治癒)やマイニング(採掘)などのスキルを極めることも可能なのだという。
 例えば,ブラスターガンなら最初から使用できるが,スナイパー能力などはスキルの習得によって補われていく。ライトセーバーはジェダイのみが使用できるだけでなく,ジェダイにしか製作できない。ルークでさえもライトセーバーの製作には何度も失敗を繰り返したという小説の設定からか,高度なスキルを有する熟練プレイヤーでも,なかなか入手できるシロモノではないらしい。
 しかし,クリスタルの保有量など必要にして十分な条件が整えば,両刀型のライトセーバーだって製作することができるはずだ。プレイヤーは,ライトセーバーの発光色も選択できるようになるという。ジェダイにも,Jedi KnightJedi Master(あるいはDark Jedi KnightDark Jedi Master)などの称号が与えられることになる。

クリックすると拡大します クリックすると拡大します  ゲームエンジンは,このゲームのために開発された独自のもので,「Ultima World Online:ORIGIN」で達成される予定だった,特殊なコンバットムーブなども用意されている。従来のオンラインゲーマーだけでなく,LucasArtsやSony Online Entertainmentが本腰を入れてマーケティングしてくるだろうから,相当なオンラインゲーム初体験者が参加することが予想される。
 その登場までは無名で,それほどバックグラウンドもなかったEverquestでさえ30万のアクティブアカウントを保有しているが,スター・ウォーズの世界的なファンベースを考慮した場合,どれほどの規模のサービスとなるのか想像するのも難しい。銀河間での市民戦争がモチーフだが,プレイヤーキリングはオプションになっているなど,これらの新規加入者にも気を使った内容になっている。
 とはいえ,「Ultima Online」のプロデューサーだったRick Vogel氏と,同じくデザイナーだったRaph Coster氏がチームをリードしているだけあり,熟練のゲーマーでも決して飽きる内容ではない。オプションを設定すれば街の中でも決闘が可能だし,"プレイヤーアソシエーション"(共同体)と名付けられたクランを作り,相手のアソシエーションに抗争を挑むことだって可能だ。また,所有アイテムには"保険"をかけることができ,死んだときでもロストしないようになっている。ただし,保険をかけていないアイテムが欲しい場合は,やはり自分の死体がある地点まで戻る必要がありそうだ。また,家や城のほかにも,スター・ウォーズでお馴染みの様々な車両を所有することも可能だ。

クリックすると拡大します  とりわけユニークなのが,種族間による言語問題である。スター・ウォーズの世界にはさまざまな言語を持つ種族が登場するが,それをゲームに応用しているのである。
 ゲーム開始直後のプレイヤーキャラクターは,基本的な銀河標準語の一部を知っているのみで,スキルを学ぶことによって母国語や他国語を理解できるようになる。中でも面白いのが"ウーキー"で,どんなに熟練したキャラクターであっても,聞くこと(つまり相手の会話を画面上で読むこと)はできても,相手に話しかけることは不可能になっているようだ。さらにプレイヤーは,C-3POのように言語読解力のあるドロイドを購入したり作成したりし,自分と相手との通訳として使う手段も活用できる。映画や小説での登場人物は,NPCとしてゲーム世界に登場することもありそうだ。

 おそらく2002年の後半までは発売されそうにないが,アメリカだけでなくアジアでもサーバーの設置を企画しているようだし,日本のPCゲーム界にも必ずや大きなインパクトを与えることになるだろう。

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