Chris Taylor on 「Dungeon Siege」 4/5
2001/08/04
文/写真 奥谷海人
リアルタイム戦略シミュレーションに学ぶ戦略的な要素の数々
Dungeon Siegeはマップがすべて手作業で制作されており，ランダムにコンピュータ生成して作られている部分はないという。世界は非常に大きく，シングルプレイヤー用のマップとマルチプレイヤー用のマップも別々に制作されているなど，かなりのこだわりが感じられる。実際，ローディングタイムの削減やマップの制作法などを見ても，アクションRPGの元祖ともいえる「Diablo」の成功と失敗を参考にしているのが分かるだろう。しかし，テイラー氏らしいユニークな要素も多いのは事実だ。
forGamer.net：
カメラ視点は，かなりオーバーヘッドに近いですね。
Taylor：
ええ。視界は狭くなってしまうんですよね。でもこれは，Dungeon Siegeの戦略性を活かすための手段なんです。このゲームでは，最大8人のキャラクターでパーティを組めるのですけど，フィールドコマンドというメニューから指示が出せるようになっているのです。このメニューで選択することで，パーティはさまざまな種類のフォーメーションを組めるようになっていますし，キャラクターによっては体力の強弱も違いますから，フォーメーションの中でもキャラクターを入れ換えることだってできます。
またプレイヤーによっては，メインキャラクターがパーティーを引っ張っていくべきだと考えている人もいるでしょうから，フォローモードでほかのメンバーを連れ回すことも可能です。そのほかのメニューには，どういう攻撃を仕掛けるかというアタックオーダーと，どういうタイプの敵から攻撃するかというターゲットオーダーがあります。最大8人とはいえ，プレイヤーがすべてのキャラクターを逐一コントロールすることはないでしょう。もちろん，ハードコアを自認するゲーマーならメインキャラ1人でゲームを進めてもらっても構いません。
forGamer.net：
パーティーメンバーの人数に変更があったんですね。
Taylor：
ええ。以前は10人までだったんですが，そこまで増やす必要もないですからね。ほとんどのプレイヤーが，6人くらいで十分だと考えるんじゃないでしょうか。E3が終わってからここ2，3か月あまりでずいぶんと開発が進んでおり，パーティや戦闘シーンが非常にチューンナップされてきているんです。
forGamer.net：
そういえば，プレイヤーキャラクターが死んだ場合は，どうなるんですか？
Taylor：
あなたならどうします？ だいたい普通のゲームなら，死体を運んで神殿で復活させてもらうとか，セーブゲームをリロードするというような処置を取りますよね？ そういう決まった行動になるのなら，いっそのこと"死ぬ"のではなく"気絶"することにしようという発想になったんです。ポーションを飲んで回復するか，ヒーリングのスペルで治癒してやると，再び起き上がって走り出します。
すべてのキャラクターは，時間が経つに連れてヘルスポイントを回復するので，放っておいてもゆっくりと立ち上がりますが，時間の無駄になるというペナルティはあります。もっとも，ボスキャラなんかが繰り出す全体攻撃型の魔法攻撃で，気絶しているキャラクターが最終的なダメージを受けてしまうということは考えられます。
forGamer.net：
先ほど弓矢が体に突き刺さるのが描写されていましたが，弓矢の距離によっては当たり難くなる，というようなことはありますか？
Taylor：
ええ。そういうフィジクス（物理効果）に関する点って，トータルアニヒレーションでもファンの支持が高かった部分ですね。実世界の物理システムに近ければ近いほど，ゲーマーが共感しやすくなるんだと思います。
弓矢にしても，Dungeon Siegeでは弧を描いて飛びますし，屋外では風の強さによっては命中率が下がってしまいます。あと気象的な影響で考えられるのは，雨や霧で視界が悪くなるということですかね。さらに，高さの概念もありますから，高いところから射ればさらに遠くにまで飛びますし，剣や斧でも高所からの攻撃にはボーナスポイントが追加されます。
forGamer.net：
……凄いですね。
Taylor：
音楽にも凝っていて， EAXの3Dポジショナルサウンドをサポートしています。地域ごとに違ったテーマ音楽を数十曲も用意しており，新しい場所に移動するたびにスムースに曲が変るんです。これはDirectMusicの機能ではありませんが，それをサポートしたMiles Sound System（RAD Game Toolsの音楽作成ツール）を使用することで実現しているものなんですよ。ほら，ダンジョンから抜け出た途端に，平和な音楽に変わったでしょ。
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