=クリス・テイラー来日 プレス発表会 =
「Dungeon Siege」

2002/1/29

文/写真 Gueed

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クリス・テイラー氏。一昨日日本についたばかりなのに,「もう慣れたよ」と軽い冗談を飛ばすナイスガイだ
 クリス・テイラー(Chris Taylor)氏来日! ということで,これを機にプレスを集めて行われた「Dungeon Siegeプレス発表会」の模様を,まずは速報でお伝えしよう。先にUpされた84枚の特大ScreenShots集に加え,このあとのクリス・テイラー氏インタビュー編,ムービー編など,「Dungeon Siege」ネタを一気に放出するのでお見逃しなく!

 さて「Dungeon Siege」(以下,DS)は,ハイ・ファンタジーの世界観と広大なマップで繰り広げられるアクションRPG。当サイトの情報をチェックしている人ならもうご存じだと思うが,「Diablo」を踏襲したプレイスタイルのゲームだ。
 今回,開発元であるGas Powered Gamesの社長(兼Dungeon Siegeのプロデューサー)クリス・テイラー氏(以下,テイラー氏)が初来日するということで,各メディアからプレスを集めて"お披露目"の発表が行われた。テイラー氏は,日本を皮切りに,アジアを経てヨーロッパへと"プレスツアーの旅"に出るという多忙さの中,渾身の一作であるDSの面白さを伝えるために,熱心に語ってくれたぞ。

 発表は,開発中のDSの画面を前にして,テイラー氏による開発コンセプトと基本的なゲームシステムの説明から始まった。とはいえ,当サイトではプレビューの「ここ」で紹介したように,昨年夏段階で結構詳細なところまで突っ込んだ情報を入手していたので,発表に関しては目新しいハナシが少なかったのも事実。ここでは,"まとめ"の意味を込めてのザッとした全貌の説明と,以前の情報に対する細かい修正点をメインに内容をお伝えすることにする。コンセプトやシステムなどをひととおり網羅した内容になっているので,余すところなく読んでほしい。

■■基本的なゲームシステムと開発コンセプト■■

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屋内へ移動すると,このように天井が透けて表示される。それも"超"スムーズにだ デモ機を前に,意気揚揚と語るクリス・テイラー氏。饒舌ななかにも,本作にかける情熱が伝わってくるようだ
 まずはキャラクターメイキングについて。本作のキャラクターシステムの特徴として,「スキルポイントの割り振りによるステータスの上昇」がないことが挙げられる。キャラクターは,プレイヤーのプレイスタイル(接近戦重視,遠距離戦重視,魔法重視など)によって独自の成長を遂げるというものだ。
 そのため初期のキャラクターメイキングでは,通常のRPGのようにクラス(職業)やスキルなどを設定せず,キャラクターの"見栄え"である髪型や服装などを変更するにとどまる。キーボードを使用するのは"名前の入力のみ"といった具合だ。

 次に特徴的なのが,なんといっても「ゲーム中のロード時間がない」という点。これも前回のプレビュー記事でも触れているが,そのシームレスな移動を,今回しげしげと目で見ることができた。確かに,街→ダンジョン→フィールドは非常になめらかに(というより,"ごく普通に"といったほうが正しいかも)移動することができ,プレイ中の気分を損ねることはないと言い切れる出来栄えだ。非力なマシンスペックによるものはやむを得ないとしても,どんなに背景が変わっても一瞬たりとも画面が停止しないのは驚愕。
 シームレスな場面移動は,ゲーム中随所に挿入されたムービーにも同じことがいえ,テイラー氏が最初に見せてくれたオープニングムービーも,カメラアングルの切り替えこそあるものの,ムービー終了後そのままゲームに突入していく様子がうかがえた。ゲーム中の映像とムービーが全く同じクオリティであるがゆえの特徴だといえるだろう。

 また,そのなめらかなフィールド描画を満喫できるように(かどうか分からないが)視点切り替えも自由自在。戦闘中のキャラクターの様子など,マウスホイールでかなりアップで見ることもできれば,マップビューと呼べるほど引いたアングルまで,おどろくほどスムーズに切り替えが行われていたのが印象的だった。ちなみに最大限引いた"マップビュー"と呼べる画面でも通常通りに操作できるのがちょっと新鮮だ。

■■突き詰められたユーザーインタフェース■■

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見づらいかもしれないが,一画面に表示された複数のインベントリがご覧いただけるだろう。大変使いやすく◎
 冒頭で「Diablo的なシステムを踏襲」と書いたが,システム/グラフィックスにおいてさまざまなメスが入れられていることも見逃せない。ことユーザーインタフェースに関しては,インベントリの管理などを含めてDiabloとは"似て異なるもの"に仕上がっているといい切っていいだろう。
 デモプレイは,シングルプレイヤーモードで3〜4人のNPC(+パックミュール)を引き連れての冒険で行われたのだが,複数のキャラクターを扱ううえで問題になりそうなのが"アイテム"の管理。しかし本作では,複数のキャラクタのインベントリを全部同時に画面内に出して扱うことができ,アイテムの交換や使用もスムーズに行えるというありがたい配慮がなされている。ちなみにここは,筆者が非常に気に入った点だ。なにせパーティのアイテム分配などがメンドウなRPGが多すぎる!
 そのほか,敵を倒しまくって(もしくは自分が死んで)散乱したアイテムがワンキーですべて拾えるなど,わずらわしいと感じていたアクションが,すべて改善されているのはプレイヤーにとっては嬉しい限り。ちにみにキャラクターはいきなり死亡したりせず,まずはUnconscious(気絶)の状態になる。マイト&マジックのプレイヤーにはお馴染みの用語だ。この状態でHealしたりポーションを飲んだりすればキャラクターは復活し,何事もなかったかのように振舞う(アイテムもバラ撒かない)。気絶と死の扱いについては,次回記事「インタビュー編」をご覧あれ。

 ユーザーインタフェースとは直接関係ないが,本作にはパックミュール(ラバ)という,いわば"動くアイテム倉庫"なるものが存在している。基本的にはパーティの一員としていっしょに旅をすることになり,増加していくアイテムを貯蔵しておけるというものだが,ラバ自体もなにかしらのパラメータを持っていて(確認はできないらしいが),一緒に旅を続けることによりパワーアップ(?)していくという,なかなか面白い存在。ラバは死ぬ("DEAD"の状態になる)と,アイテムをバラ撒いてしまうため,戦闘中は別の場所に避難させておくことになるだろう。

 もう一点,これは賛否両論あるかもしれないが,ゲームプレイ中には"ポーズ"が可能だ。しかもこのポーズは,並のソレではない。その間にNPCへの命令を変更したりアイテムを使ったり,視点を切り替えて戦闘の様子などを眺めることができる。美しいスクリーンショットをとりたい人(?)がいるとしたら非常に重宝する機能かもしれないが,ポーズ中に体力まで回復したりできる点では,議論を呼びそうな微妙なシステムといえるだろう。ちなみに,ホストが設定で許可していれば,マルチプレイの最中にもポーズはかかるらしい。当然全プレイヤーに一緒にポーズがかかるので,これはこれでかなり迷惑だと思われる……。

■■グラフィックスは文句ナシ■■

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ブリキ風(笑)のロボット。とはいえ,細かい描画とリアルな演出で雰囲気を壊すまでもなく,いい味を出している
 いうまでもなく,本作のグラフィックスは一流の出来栄え。見てスグ分かる派手なシーンこそないものの,全編を通して非常に細かい作りになっていて職人芸であることをうかがわせる。巨木の裏にキャラクターが隠れてしまうような場面では,ちゃんと木の葉が透けて描画されるなど,ストレスを感じずにプレイができるような配慮がなされているのだ。もちろんご自慢の"Siege Engine"は木の葉の1枚1枚まで描いているため,プレイヤーの視界のジャマになれば,葉っぱ1枚でも透けて表示される。地味ではあるが,かなりスゴイ。

 なお世界観としてはハイ・ファンタジーにあたる本作には,ロボットなどの機械も登場する。デモプレイで見せてくれたのは,"ゴブリンの発明家"が開発した二速歩行のロボット(ブリキのおもちゃっぽくて賛否両論ありそうだが)。マシンガンや巨大なキャノン,火炎放射器までを駆使してゴリゴリ攻撃しまくるロボットは,攻撃を受けると破片があたりに飛び散り,腕,胴体,そして最後は足という具合に実にリアルにボロボロになっていく。生身の敵と対峙したときも同様に,肉弾戦特有の残虐なエフェクトで爽快感も合格といったところだ(ちなみに,肉片の飛び散り方などは,キャラクターの強さに比例してハデになっていくというこだわりよう)。むろんこれらエフェクトは設定でON/OFFできるようなので,生々しいのが苦手な人でも安心。結構珍しい機能だが,血の色も変更できるぞ。


■■シングル・マルチプレイについて■■

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やはりマルチプレイでこそ味わえる楽しみは見逃せない。本作ではどのようなコミュニティやローカルルールができるのだろうか
 気になるシングル・マルチプレイに関してだが,シングルプレイモードでは三つの難易度で,12のチャプターが用意されている。マルチプレイは最大8人までをサポートしており,"インゲームマッチメイキングサーバー"と呼ばれるロビーサーバーに接続することで行う(すでにメインメニューに用意されていた)。テイラー氏によると,すべてのチャプターを終了する平均プレイ時間は,シングルプレイ一周で50時間,マルチプレイで70〜80時間だそうだ。8人で一緒に冒険するもよし,4人−4人に分かれて冒険(または殺し合い)をするもよしといった具合にゲームを進められるとのこと。






■■クオリティは非常に高い,しかし……■■

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密かに一番注目していたりする"ラバ"ちゃん。うーん,かわいすぎる。ラバにまつわる謎も徐々に明らかになるだろう
 以上,長々とお伝えしたがいかがだっただろうか? 「まだまだ話足りない」というテイラー氏だったが,とりあえず全貌はこんなカンジだ。
 記事を読んでいただければ分かるとおり,テイラー氏がいうところの「ユーザーに手をわずらわせない」「ゲームの雰囲気を損なわない」というコンセプトは十分伝わったと思う。
 しかし,だ。「これはいかがなものか」という点があるのも事実。たとえば,店で購入したアイテムを再度店に売ると100%の額が戻ってくるのはどうだろう?(Full Returned Systemと呼んでいた) 確かに"わずらわしさ"は解消されるものの,「間違った,ちくしょう!」という感動(?)が削がれるのも否めないと思うのだ(それは前述の"ポーズ"についても同じことがいえる)。まぁこれは,リリースされてみればユーザの反応で結果が見えることなのだが。

 とはいえ,テイラー氏の考える基本コンセプトを徹底した本作のゲームシステムには脱帽。DiabloやそのほかのアクションRPGにとって,重要でありながらも,半ばおざなりに感じられたシステムにはすべてメスが入っているといえるだろう。

 次回記事は,テイラー氏に直接話を聞いた"インタビュー編"。そこではもうちょい突っこんだシステム面の話をお伝えできることだろう。

 ところで気になる発売日だが,マイクロソフト内ではじんわりと決定しそうな雰囲気らしいが正式な日取りは聞けずじまい。米国,日本ともに「2002年春」ということになっている。が,しかし「米国での発売日から1か月ほどで完全日本語版が出せると思います」という心強い回答ももらえたので,RPGファンは期待して待て! デモ版も,本編の開発が終了し次第作るとのことで,こちらも期待大。(Gueed)



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