= forGamer.net 独占インタビュー =
Chris Taylor on
「Dungeon Siege」 1/5

2001/08/04

文/写真 奥谷海人

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クリックすると拡大します  1998年5月に創設されたGas Powered Gamesは,ワシントン州の中でもひときわ優雅なたたずまいのカークランド市に位置する。ワシントン湖を一望でき,マイクロソフト本社からも程近いカークランドには,「Half-Life」でお馴染みの,あのValve Entertainmentも居を構えているのだ。
 今回インタビューの相手をしてもらったクリス・テイラー(Chris Taylor)氏の名前を聞いたことのある日本のゲーマーも多いかもしれない。カナダでこの業界に入り,Distinctive Softwareという会社で「Hardball II」や「4D Boxing」を製作。さらに,シアトルに移ってからはElectronic Artsの「Triple Play Baseball」なども手掛けた。一貫してスポーツゲームを製作してきたテイラー氏だが,彼を有名にした作品といえば,Cavedog Entertainment在籍中に発表した「トータルアニヒレーション」である。日本での売り上げ本数はイマイチだったかもしれないが,当時は"RTS四天王"とも言われ,「コマンド&コンカー」や「Warcraft」,「エイジ・オブ・エンパイア」と共に,初期RTSの代表作と考えられていたのだ。
 そのテイラー氏が独立後に設立したGas Powered Gamesの処女作となるのが,マイクロソフトから発売される予定の「Dungeon Siege」である。テイラー氏のRPG初挑戦の作品になるだけではなく,意外なことにマイクロソフトにとっても,そのライブラリーに貴重なアクションRPGを追加する一作となる。
 すでに様々なメディアに取り上げられているDungeon Siegeだが,いったいどんなゲームなのか,まず世界設定から解説してもらった。

2000年の歴史に遡って考案されたDungeon Siegeの世界観

forGamer.net:
 最近になって,ようやくマイクロソフトの公式サイトでストーリーの一部が公開され始めましたが,ここでもう一度簡単にまとめていただけますか?

Chris Taylor(以下Taylor):
 はい。アーブ王国(Kingdom of Ehb)という大陸の端に位置する国の物語で,たった300年前に星の帝国(Empire of the Star)から独立を果たしたばかりです。この国では,人間族とドワーフ族が平和な共生を営んでおり,ソーサラーやメイジも,ほかの国々に比べて自由な活動が許されています。国内には,ドルーグ(Droog)という謎の民族も生息していますが,アーブ王国はその若さゆえ,自国のアイデンティティを模索している状況なのです。

forGamer.net:
 ゲームが開始してから物語がどういう展開になっていくのか,というのが全く漏れていないんですが,これは秘密ってことでしょうか?

Taylor:
 いえ,まだちゃんと考えてないんですよ。っていうのはウソですが(笑),ロールプレイングのようなストーリー重視のゲームジャンルは,プレイヤーがどういう体験ができるのかということにかかってますから,ストーリーはプレイヤー自身がゲームを進めていく上で,学んでいくことだと思います。

forGamer.net:
 オフィシャルサイトで歴史紹介が始まりましたが,かなり深い部分にまで掘り下げて,世界観や歴史などの設定が盛り込まれているようですね。

Taylor:
 ストーリーの制作はニール・ホールフォード(Neil Hallford)が担当していますが,彼はボードゲーム界では有名な人間で,コンピュータゲームでもDynamixの「Krondor」シリーズなどを手掛けています。私たちが,最初に彼に注文したことといえば,セリフや紙による説明ではなく,ゲームの中の世界でストーリーを説明してほしい,ということくらいでした。
 彼は,そのことを良く理解してくれたようで,実に2000年にも及ぶ世界の歴史まで作っちゃったんですよ。例えば,Dungeon SiegeにはLucky Hughes's Innという宿屋が出てくるのですが,これは古代国家の懲罰として無敗のドラゴン退治を命じられ,無事に目的を果たして帰ってきたことから,英雄として持てはやされることになったヒューズという男の伝説に由来しています。このように,町の宿屋一つをとっても,さまざまな角度から世界観が表現されているんです。

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