| 第十一回 「おにんこ」
"MMORPGの面白さはコミュニケーションにある"ということは,今更筆者が言うまでもなく,多くの人の共通の見解だろう。ちょっとした会話の楽しさから,さらに進んでネットの向こう側に座っているプレイヤー自身を想像することまで,多くの人が参加しているからこその面白さがある。
筆者が信Onをプレイしながら,実際に体験したり聞いたり考えたりしたことを,少しだけ紹介させてもらいたい。
女性プレイヤー
コンシューマ機で遊べるタイトルが増えてきたり,PC用でもリリカルなグラフィックスと優しいゲームシステムを持つ作品が数多く登場したりしてきたおかげで,数年前に比べると,オンラインゲームをプレイする人の数はずいぶん多くなってきたように思う。そして,こちらは体感なのだが,ゲーム内で女性プレイヤーに出会う確率も上がってきているのではないかと感じる。
とくに自分がゲーム内で女性と出会うことに対して過敏になっているとは思わないが,やはりまだ男性が圧倒的に多数派であろう現状において,ちょっと雰囲気の違うプレイヤーに出会ったときに,「あ,ひょっとしたらこのプレイヤーは女性なのかな?」などと考えることは,それほど一般的な思考から大きく外れたことではないと思う。
信Onをプレイしていても,最近女性プレイヤーと出会う機会が増えたなぁと感じる。いやいや,本当である。女性のフリをした男性プレイヤーのことを,女性だとカンチガイしているわけではない。もの凄く上手に女性"キャラクター"を演じる男性"プレイヤー"が少なくないことも筆者は承知しているつもりだ。
しかし,徒党を組んでの狩りのときに「ダンナが帰ってきたからご飯を作らなきゃ。だから落ちまーす」などといって落ちる人はやっぱりほぼ確実に女性だと思う。このプレイヤーが実際は男性だったりしたら,その人はかなりの上級者だと思う(あ,書いていて思い当たったが,男性同士のカップルにおける家事担当者という可能性もあった)。このような想像を"よこしまな推測"ととるか,そうではないととるかは各人に委ねられている部分だが,ときとしてルーチンワークになりやすい狩りの最中に,ちょっとこんなことを考えたりするのも,プレイヤー同士がコミュニケーションをとれるゲームならではの面白さの一つだと筆者は肯定的に考えている。
先日ゲーム中に出会ったプレイヤーは,「このゲームのプレイ中に彼氏からの電話があると,対応がおざなりになるので,浮気を疑われるのよね」と(たぶん)笑いながら語っていた。今まで想像したこともなかったが,なるほどそういう悩みもあるのかと興味深かった。
おそらくそういうことを早々に自覚できて,ちゃんとバランスをとれるのが女性の賢いところだ。これが男性の場合だったら,さんざん電話を無視したあげく,あとになってから彼女に必死で謝ることになる。たぶん。
先日知人が,「女性プレイヤーはやっぱり分かるよね。なんとなくミスとか多くて助けてあげたくなっちゃう感じ?(笑)」といった旨の話をしていた。無論,これは失礼な判断基準だと思うが,そういった基準でインターネットの向こうにいるプレイヤーのことを想像している人もいるのだなぁとまた興味深く思った。
そういえば筆者(男)はプレイ中に女性に間違われたことが何度かある。ということはつまり……。まだまだ精進が足りないようだ。
 |
 |
2アカ
複数のゲームアカウントを取得して,複数台のマシンを使って同一のサーバーに二人以上のキャラクターをログインさせてプレイするスタイルがある。プレイヤーの間で"2アカ"
"3アカ"などと呼ばれるこのスタイルは,MMORPGにおいてはそれほど珍しいものではない。信Onをプレイしていてもこういったプレイヤーを見かけることは少なくない。
ただ,筆者はPCのモニターを2台並べてプレイしている姿を想像していたのであって,PlayStation2と家庭用テレビを2台ずつ並べてプレイしている人もいると聞いたときには結構驚いた。さらにコアなプレイヤーの中には,テレビを3台並べている人もいるとかいないとか。
"知り合いの知り合いが……"というレベルの話なので真偽のほどは分からない。しかし思うのは,PCモニターを2台並べるよりも,家庭用テレビを2台並べるという行為のほうが,なんというかその,その行為にかかる精神的なコストは大きい気がするということだ。
ゲームにのめり込む気持ちは筆者にも十分に分かるのだが,やっぱり家族と一緒に住んでいたりする場合は大変そうだなぁ。「なんであなたの部屋にテレビが3台も必要なのよっ!」とか奥さんに言われてるんだろうか……。
おにんこ
そのとき筆者は"おにんこ"という言葉の意味を知らなかった。だからその日,信Onのプレイ中に「おにんこ好きですのでw」とか「ずーっとおにんこばっかりです><」とか「おにんこがきれたので買ってきます!」とか聞いたときにはかなり衝撃を受けたことをここに告白します。
我慢できなくなり「すいませんっ! おにんこってなんのことでしょうか!?」と勇気を出して質問を試みたところ,「えっ,普通言いませんか!?」と返されてさらにドキドキ度アップ。なんとか粘って聞き続けて,方言で"おにぎり"のことを指す言葉だと判明した。
インターネットで検索してみると,確かに茨城方面の方言のようである。やはり若い人よりもお年寄りがよく使う表現のようで,そのプレイヤーも「おばあちゃんとかしかあんまり使わないかもw」とおっしゃってました。あーびっくりした。
撮影会
プレイ中にイベントの話で盛り上がった。信Onではときどき運営側が仕掛けるイベントが発生する。城下に鬼が現れる"追儺式"(ついなしき)のイベントなどがそうだ(そういえばこのイベントはレポートの1回めで触れて,ぼやぼやしているうちに終わってしまった)。さらにプレイヤーの手によるイベントもある。参加者を募って大きなトレード会を開催する"市"(いち)などが有名だ。
運営側主催のイベント発生時にときおり登場するのが"有馬桜子"さんという巫女のキャラクターだそうだ。桜子さんはプレイヤーの間で知名度も人気もかなり高く,ひと目見てみたいと考えている人は少なくない。イベントの様子が雑誌に掲載されたこともあるようで,「そのときに並んで(画面写真に)写れた人,いいなー」などという意見も聞かれた。"有馬桜子との撮影会"のようなこともあったのだろうか。
んで,桜子さんと比べられると非常に心許ないが,我が"密智得流"だってアンオフィシャルだが,いってみれば彼女に近い公人(?)である。ときどき,たまたま徒党を組んだ人に「日記見てます。がんばってくださいね
^^」と声をかけてもらえることだってある。本当だ。しかし彼女のように「一緒に写真を撮りたいな」とプレイヤーに思われるほどに知られているとは我ながら思えない。ジェラシーである。妙に対抗意識が燃えてきた。
だから桜子さんとの写真がうんぬんという話が出たときに,「じゃ,じゃあ密智得流との撮影会なんかどうですか? あははは」と発言してみたら,「え,なにそれw」と言われたので,撮影会なんかキライだと思った。
**********
さて,実力と知名度のアップを図るべく密智得流はがんばっている。
●活躍その壱
ある日,自分で作った大量の生産品を背負い(あの重い木柄がまだ残っていたのだ),よたよたと両替前を歩きながら売りさばいていたときのこと。あまり多くは出回らない"清水"を売っているプレイヤーを見かけた。
最近は見つけ次第買えるだけ買うことにしているので,購入したい旨を"対話"で伝え,無事取り引きは完了。値段も安かったし良い買い物をした。問題があったとすれば,それはまとまった清水の重量を筆者が少々甘く見ていたということだけだ。
やばい動けない。過般重量を突破してしまったのだ。取り引きした場所は両替商の建物の外で,がんばってはみたものの屋内にいる両替商のNPCには手が届かない。周りに助けを求めようか? でもそんな格好悪いことをしたら撮影会がさらに遠のいてしまう可能性が鰻登りだ。モニターの前でふるえていたそのとき,
「木柄くださーい」
との対話が! ほっ,良かった。この人だけならと動けないことを説明して,一部の木柄を先渡し。動けるようになって両替に近づき,取り引きを完了した。助かった。そのことも含めてお礼を言ったら,「でも,(動けないのに)あそこまでどうやっていったんですか?」とやっぱり不思議がられた。
●活躍その弐
ある日ログインすると駿河にいた。前日の狩りのあと,街道に出てすぐにログアウトしたのだ。したがって武器や防具はくたびれたまんま。目録も欲しいし,一度ホームグラウンドの甲斐まで戻ろうとして,ふと思いついた。この位置なら甲斐よりも相模の関所のほうが近い。そっちのほうがいいのではないだろうか。
相模への国境を超えてみると,小田原は比較的すぐそばだった。おお,今日は冴えているぞ! 城下町で修理と預金を済ませてばっちりだ。問題があったとすれば,自国以外の国では目録がもらえないことを筆者がこのときまで知らなかったことだけだ。
勇んで寄合所に向かい,該当のNPCに目録をもらおうとしても,「お引き取り願おう」と言われてしまう……。結局その後甲斐にまで走って戻った。
●活躍その参
四月某日,信Onに大規模なアップデートが施された。大小さまざまな変更と追加が行われたが,とくに変化が大きいと感じたものの一つは,採集に関する仕様変更だ。端的にいえば,材料が採れる量が大幅にアップしたのだ。
重い鎧を両替に預けて採集ポイントに向かい,限界重量ギリギリまで伐採しても,あまり時間がかからない。町と野外を何度も往復すれば両替内にどんどん材料が溜まっていく。これなら生産技能を早く上げることができそうだ。調子が良い。問題があったとすれば,往来に慣れきってオートランのまま,つい冷蔵庫にアミノサプリを取りに行ってしまったことだけだ。
国によってはすでに桜も咲き始めているというのに,躑躅か崎館の天守を湿す春の小雨はいまだ冷たい。
続きは,「こちら」
「信長の野望 Online」の情報一覧は「こちら」
(C)2003 KOEI Co.,Ltd./KOEI NET Co.,Ltd. All rights
reserved.

|