| 最終回 「一所懸命」
甲斐に籍を置きつつ,駿河に狩りに行くペースが固まってきた。一応周辺には信濃と武蔵,ちょっと先には相模の国があるのだが,調査に出かけてみたところ,今のレベルではあまりプレイしやすくないようなのだ。
信濃は全体的に白い土地だ。表示される広域マップも目の前の風景も,さすが雪の多く降る地域だけのことはあり真っ白である。流れるBGMも甲斐や駿河とは異なっていて,初めて足を延ばしたときには新鮮な気分が味わえた。
国境を接している地域もとても多くて便利そうだ。関所のそばをぶらついていると,すぐに"大山犬"というイヌに出くわした。イヌなら勝てるかと思い強さをチェックすると,どうもソロではかなわない相手のようだ。
検索機能を使ってPCの状況を調べたところ,いまこのあたりにはレベル30前後のプレイヤーが多いようだった。ここでプレイするのはそのくらいまで成長してからなのかもしれない。そんなわけで,とりあえず引き返した。
武蔵には,目録がもらえるかもしれないと思って向かった。
いや,他国では目録がもらえないことは以前(「第十一回」参照)に身をもって知っていたのだが,先日試したのは寄合所でもらえる侍系の目録だった。このとき欲しかったのは,道場でもらえる武器系の上位目録。上位の目録は特定の国にしかなく,剣術の上位目録は武蔵の国の川越の町にある道場まで取りに行く必要があった。「道場ならばあまり勢力と関係なさそうだから,ひょっとしたら仕官していなくてももらえたりして……」などと考え,とりあえず向かったというわけだ。
武蔵に足を踏み入れて周りを眺める。あまり危険な印象はなかったので,道沿いに川越を目指して走っていると"刺客"という敵に襲われた。すぐに逃げれば問題ないかと油断していたらとんでもなかった! レベル24程度のやつが6体もいる。逃走のコマンドを入れる前に死んでしまった……。
しばらくその場で呆然としていたら,通りかかった僧のプレイヤーに蘇生してもらうことができた。お礼を言ってから,あらためて周りの敵をよく見てみると,外見は甲斐などとそう変わらなくても,レベルはそれ以上の敵が多いようだ。検索でかかるPCもかなりレベルが高い。とりあえず周りに注意しつつ川越まで行って,道場の目録も他国ではもらえないことを確認したら,甲斐に引き返した。
そして相模。先日の板東僧のような手頃な敵もいることはいるのだが,いかんせん駿河あたりに比べると,レベルの近いプレイヤーキャラクター(以下,PC)の数が少ない。なぜそういう状況になっているのかというと,駿河にいる"辻斬り"という敵がもの凄く人気が高いためだ。
辻斬りはレベルが15を超えたころから戦える敵で,倒すと修得度がたくさんもらえるらしい。やっかいな術なども撃ってこないので戦いやすい。なので,この地方にいるレベル15〜20付近の多くのPCは駿河に集まってこれを狩っている。
メインとなる辻斬りポイントは,甲斐との国境に近い平地にある。かなりの人気スポットで,辻斬りはポップした瞬間にPCに襲われている感じだ。とにかくPCが多いためちょっとした奪い合いになるが,敵を一度確保してしまえば,その徒党と敵は専用の戦闘シーンに入るため,横取りされることはない。いわゆるキルスティールは不可能なシステムだ。結果的に順番に狩るような形になるので,険悪な問題は発生しないというわけである。
ちょっと人の多さに疲れていたある日,徒党へのお誘いを受けた。場所を聞いてみると,今まで行ったことのないような山奥だ。面白そうなので参加させてもらい,指定のポイントまで行ってみると……やはりいたのは辻斬りだった! しかもこんな山奥なのに,かなりの数のPCがいる。ほんとに辻斬りは大人気だな……。
もうこうなったら見方を変えて,この状況を楽しんでしまったほうが得であると判断。人の数は少ないよりも多いほうが,楽しいことも多いだろうし,いましばらくはこの辻斬りハントを楽しむことにしよう。
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辻狩りをしばらく進めるうちに,防具を強化させる必要を感じ始めた。直接攻撃系の敵なのでその打撃は比較的強く,"守護"などでダメージを引き受けていると,自分がピンチに陥るような場面も見られるようになったのだ。
毎回プレイが終わるたびに両替前に顔を出し,良い防具を探す。足繁く通っていたら,望みどおりのものを購入できた。一つは「桶川胴具足」という鎧だ。侍にとって重要なものなので,ちょっとがんばって良いものを購入した。着てみるとかなり重量感があって,うむ,カッコイイ。
そしてもう一つ,「烏帽子兜」という兜も買った。かぶってみると……頭が長い! これははたしてカッコイイのだろうか。……まあ,性能的にはかなり前のものよりも良くなっているので気にしないようにする。
より堅く丈夫な侍になり,さらに辻斬りを狩っていく日が続く。経験値は少なめだが,修得度は調子良く溜まっていく。もちろんほかのプレイヤーもそれは同様で,これまでに見たことのないような術や技能を目にする機会も増えてきた。
なかでも驚いたのは,忍者の"忍犬攻撃"だ。術の存在自体は知っていて,可愛い相棒が出てくるものだと勝手に予想していたのだが,実際はかなりデカいイヌが現れて敵に飛びかかっていった。
さらに人によっては"連撃"の上位技能である"三連撃"を修得していた。1回の攻撃で与えるダメージがかなり上がっているようだ。しかし,筆者の侍も負けてはいない。ついに侍の本領ともいえる技能"一所懸命"を覚えたのだ!
一所懸命は"挑発"の上位バージョンともいえる技能で,1回の行動で敵全体を挑発できるというものだ。とにかく敵からの攻撃を引き受け,味方を守る侍を目指していた筆者としては待望の技能であり,非常に嬉しい。
使っていてもとても楽しい。多数の敵と戦うときはまずこれを一発入れるというのが今後の基本パターンになりそうだ。
武具もそれらしくなり,一所懸命も覚えて,ようやく侍らしい侍になれたのではないかと実感する。
信Onのなかで,筆者が足を踏み入れていない場所はまだまだ非常に多い。またレベル20,30と成長を重ねていけば,ダンジョンや合戦といったこれまでとは違う面白さを持った冒険の舞台が用意されている。
まだ見たことのない,より刺激的な戦闘や攻略的な面白さを期待しつつ,信Onのプレイヤー達は日々狩りへと出掛けてゆくのである。
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