第十回 ウラをとれ

 甲斐から駿河まで足を伸ばしだして数日が過ぎた。よく湧いて数をこなしやすい「廻し者」を相手にすることが多いのだが,先日ちょっと変わった敵を相手にした戦いに誘われた。「勧誘希望」フラグを出してすぐのことだ。

「相模で板東僧なのですがいかがですか?」

という対話をもらったのである。
 見たことのない敵は大歓迎なので二つ返事でOKを出し,待ち合わせ場所である駿河/相模の国境へと向か……おうとしたら,間髪入れずにほかの人からもお誘いが。うわ,しまった,勧誘希望状態を解除するのを忘れていた。事情を説明してお断りする。せっかく声をかけてもらえたものを断るのはとても心苦しい。
 信Onは徒党を探すと本当にすぐに誘われるので(もちろん人が多い時間にプレイしているという理由もあるが),今度から気をつけないと。

 メンバーと合流後,相模へと入る。板東僧の出没ポイントは関所にとても近いところで,すぐに到着した。街道脇にある小屋の裏手,斜面と建物に挟まれた狭い場所が出現場所らしい。それほど人の集まるところではないようで,比較的良いペースで狩りができた。
 板東僧はその名のとおり坊主の敵キャラクターで,回復など僧侶系の術を使ってくる。同時出現数はそれほど多くなく,こちらは5人以上の徒党なので危険を感じることはほとんどない。調子良く狩り続けていたら,板東僧は「板東のお経」というアイテムを落とした。

 おお,装備可能なアイテムだ。信Onの敵はクエストアイテムこそよく落とすものの,装備可能なアイテムはあまり落とさない。ドロップアイテムが出た場合は,そのまま誰かのインベントリにランダムで収まる仕組みだ。
 先日「こそ泥」を狩っていたときには「怪しい頭巾」というアイテムが出て,筆者のインベントリに収まった。そのときはすでにもっと良い頭装備を持っていたので,聞いてみて必要そうなメンバーにお渡しした。
 今回出た板東のお経は,主に知力と魅力が上がる特殊装備らしい。術使い系のメンバーの手元に行ったようなのでまずは順当。魅力は挑発系技能の効果に影響するらしいので侍としてもあるとありがたい。よーし,どんどん狩り続けてもっと出すぞー,とさらにプレイを続けたが,結局この日ドロップしたのはその1個だけだった。やはり有用なアイテムはドロップ率がかなり低いようだ。まぁ,それが目当てというわけでもないのでノープロブレム。

 考えてみれば,このゲームでは"アイテムキャンプ"という言葉をこれまで聞いていない。ドロップ率が低いうえに,プレイヤーキャラクターが良いものを生産できるので,アイテムを狙って1か所に陣取るというのは,はやらないのだろう。
 ドロップアイテムへの過剰な執着は,プレイヤー間の問題につながる可能性が高い。それがない仕様は,この作品のプレイしやすさにつながっているように感じられる。

 


 生産修行も進んでいる。和紙と糸巻き柄は飛ぶように……とまではいかないが,作った分はちゃんと売れていく感じだ。
 「矢」に続いて「弓」も作れるようになったので試してみた。いくつか作ってベンダーに売ってみたところ,どうやらこういった武器などの製品はランダムで決まる完成品の品質によって買い取り価格も変化するみたいだ。値段は悪くないので(4月の大型パッチ前)これをたくさん作ろうかとも考えたが,和紙などの"中間材料"と違い,装備品類はスタックできない。イマイチ効率が悪いので,とりあえずは和紙/糸巻きを作り続けることにした。
 後日ある程度お金が貯まったので,装備品を購入! かねてから欲しかった兜だ。「星兜」という種類の兜らしい。これはゼッタイにグラフィックスが変わるだろうと踏んでいたら……,見事に変わった! 侍らしさがアップした気が。いい気分でこの日も狩りに出発する。
 この日の徒党は術使いが多かった。しばらくは誰かの「妖術連携」にほかのメンバーが乗るというパターンで狩りを続けていた。妖術連携は一人の"術"にほかのメンバーが"武器"を持って参加する技。この徒党の場合は武器攻撃が得意でない職業が多いので,その威力はいつもよりちょっと低めだ。
 この流れが変わったのは,途中参加した鍛冶屋のキャラクターが「連携必殺技」を使い始めてからだ。こちらは一人の"武器攻撃"に,ほかのメンバーが"術"で参加する技。基本的には後衛キャラクターしか乗れない連携だ。
 しかしこのときは後衛型のキャラクターが多数だったので,これがうまく回った! 直接攻撃に長けたキャラクターが出す連携必殺技に,術使用に長けたキャラクターが乗る形になったので,さっきまでの妖術連携よりも,かなり大きなダメージが入っていく。これはうまい!
 ……というか,ここでの最大の問題は,侍である筆者が「連携必殺技」を出せるくせに,気が回らなくてここまで出していなかったということである。しまった〜……「連携必殺技」は使う機会が少ないということだけが頭にあって,まさに使える機会を見逃していたのだ。
 うう,これはなかなか恥ずかしい。ここからがんばって挽回しなければ。早速連携可能な技能をスロットにセットし,鍛冶屋氏の"ウラ"をとることにした。

 連携の上手な使い方に,"連続連携"とか"コンボ"と呼ばれるものがある。連携起点技使用可能者が交互に連携技を出すことにより,間断なく連係攻撃を行うというものだ。これをうまく行うには,コマンドを入力するタイミングが非常に重要になる。前の連携技が終わったすぐあとに次の連携の準備動作が来るように,タイミングを見計らわなければならないのだ。
 この次の連携を準備することを,信Onプレイヤーは"ウラをとる"と呼んでいる。筆者は普段連携に乗っかるほうなので,これまでそういったことは未体験。いつも術使用者は簡単にウラを入れているようなので,そのつもりで鍛冶屋氏のウラをとろうとしたら,これが凄く難しいことが分かった。
 普段は非表示にしている行動順の名前表示バーを出してタイミングを合わせようとするのだが,早すぎたり遅すぎたりして,もうほとんど合わない。あせりまくって,ウラが必要ないときにまでコマンドを入れちゃったりして,一人で大騒ぎである。術師のみなさんはいつもこんなに大変なことをしていたのかと痛感した。
 そして,タイミングが難しいだけに決まったときは痛快であることも分かった。ほかの職業の苦労や喜びはなかなか見えないものだと思うが,なるほどこういう楽しさを目指して術使用者はプレイに挑んでいたのか。連携必殺技は使う機会が少ないだけに,今回はなかなか貴重な体験だった。

 

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