第九回 コスト計算する侍

※この原稿は,4月13日以前に書かれたものです。4月14日付けのアップデートで生産のバランスが変更になっているのでご注意ください

 先日作りまくって,溜まりまくって,泣いていた木柄。
 あのあとログインするたびにこまめに買い手を探してみた結果,なんとか全部売りさばくことが出来た。傾向としては,なかなか必要としている人が見つからないものの,購入希望者が見つかった場合には,結構な量を買い取ってくれるというケースが多いようだ
 まったく売れないワケではないことが分かったので,次の技能を覚えるために,木柄を引き続き作っていくことにした。"両替"内に常に数百個あるような状態で,アイテムの整理に困ることもあったが,それほど深刻ではない。それよりも自分の作ったものがほかプレイヤーキャラクター(以下,PC)に売れるということが楽しい。
 先日覚えた"矢作成"技能で「矢」が作れるようになっているのだが,材料を揃えて試してみたところ,やはりベンダー売却だけでは大赤字となった。矢を売ったり買ったりしているところをいままで見たことがないので,これもダメっぽい。なので矢作りは諦めた。次の技能である"木工之ろ"を覚えるまであと少しなので,このまま木柄でがんばろう。

 コツコツと集めた木柄をバンバンバンと加工し続け,ついに"木工之ろ"を覚えた。よし,これで「糸巻き柄」と「和紙」が作れるようになった! この二つの生産品には期待していたのだ。どちらも販売しているお侍をよく見かけるし,広範囲チャットで和紙を求める声をしょっちゅう町中で耳にしていたからだ。それじゃあまず,糸巻き柄から試してみよう。

 糸巻き柄を作るのに必要な材料は「研草」×2,「ヒノキ材」×1,「細紐」×4。研草は木柄作りでも使ったので,雑貨屋で5文で買えることが分かっている。ヒノキ材はこのときのために全部を売らずにとっておいたので,いま手元に20本ほどある。問題は細紐だ。これはPCがよく売っているのを見かけるが,まだ確保していない。とりあえずベンダー売りのもので試してみようと絹屋で値段を調べたら,一つ11文だった。
 さて,自前のヒノキは20本。これを加工するのに必要な研草40個を購入すると200文。細紐は80個必要だから880文。ちょっと痛いが必要な投資だと思って材料を買い揃える。出費総額は1貫80文だ。
 1回の加工で出来上がる糸巻き柄の期待個数は4個。20回の合成で80個出来れば平均値達成だ。よし,作成開始……(作成中)……72個完成した。少なめだけどまあしようがない。これをお店に売るといくらになるのかな……(調査中)……1224文だった。1224−1080=44文。ほんの少し黒字だ。あれ,待てよ? ヒノキ材は自前だったけど,これってそのままPCに売れば1個200文以上で買い取ってもらえるものだし,20本売れば4貫だ。……やっぱりうまくPCに売らないとまったく商売にはならないってことだ
 計算をやり直してみよう。そう考えると,糸巻き柄を72個作るのにかかったコストは1貫80文+4貫=5貫80文。5貫80文÷72個=約70.6文。つまり,糸巻き柄1個当たり75文とか80文で売れれば,ヒノキを普通に売った分+材料費が回収できて,儲けも若干出るということだ。武器材料屋のNPCの糸巻き柄販売価格を調べてみると460文。おおっ,これなら1個当たり100文とかでも買い手がつくかもしれない。研草や細紐をPCから仕入れられれば利率もアップしそうだ。さらにチェックしてみると,だいたいPC間販売の相場もこれくらいらしい。なるほどなるほど。
 糸巻き柄は木柄ほど重くないし,ヒノキの数が限られるから量も多くならないし,さらに普通に利益が出る。ああ,ようやく普通の商売ができそうだっ!

 よし,この調子で「和紙」もいってみよう。必要な材料は「木材」×10,「清水」×10。実験として10回生産してみる。木材は自前のものを100個用意。ほかのPCに売った場合は1個3文なのでコストは300文と考える。清水はとりあえず店売りのものを購入。100個で2貫300文だった。
 実際に生産してみると……和紙が39個出来上がった。期待値は40個なのでほぼ平均値だ。店への売却は想像どおり安すぎて問題外。コストが2貫600文で39個だから,1個あたり67文以上で売れればOKだ。PC間相場は80文程度。うん,これも作った分をその値段で売れば商売になりそうだ。

 実際に"売却品有"状態にして様子を見てみたところ,さほど苦もなくどちらのアイテムも売りさばくことができた。いいぞいいぞ,商売が軌道に乗ってきた感じがする。材料をほかのPCから購入できればもっと利益率も上がるはず。さらに嬉しいことに,これらを作るときに得られる修得度は,木柄で得られる修得度よりもだいぶ多い。
 よし,もう木柄作りは極力避けて,この二つをメインとして商売していこう。


 なんだか今回は,生産に関してずいぶん細かい話になってしまった。
 信Onにはいくつもの職業が用意されており,侍はその中の一つにすぎない。その侍の生産をここまで細かく説明することには,実は抵抗があった。それでも触れたのは,このようなコスト意識を持った生産活動とPC間での売買は,本作をプレイする限り(例え生産にあまり興味がないとしても)ほぼ確実に通る道であり,また,このあたりの面白さ/楽しさが本作の大きな魅力の一つとなっているからだ。

"職業ごとに独自の生産技能が用意されている"
"お金を得るためにはどうしても生産関連に手を染めることになる"
"自分では入手出来ない生産材料があり,PCから買わなければならない"
"高性能な武具や薬はモンスターが落とすのではなく,PCによって作られる"
"武器や防具は消耗する"

 このような仕様がとても良いバランスで組み込まれているために,どの職業でも戦闘だけでなく生産と売買の楽しさを味わえるところは,ほかのゲームにはない,本作独自の長所である。
 筆者の侍はまだそこまで達していないが,高性能な武具を生産できるようになれば,さらに楽しみは増すことだろう。人に喜ばれる"銘入の逸品"を作れるその日を夢見て,今日も侍は伐採に精を出すのである。

 

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