第七回 木柄売りの侍

 いまだに,大金を持っている敵というのにはお目にかかったことがない。徒党で数時間狩りを続けても,手元に残るのは100から200文程度のお金のみ。やはり貫単位のまとまったお金を得るには,生産材料および生産品の売却に頼るしかないようだ。

 時間を見つけては伐採場所に走り,コツコツと材料を収集する。ある程度溜まったところでキャラクターを"売却品有"状態にして,両替前で売りさばく。
 何度かやって分かったのだが,アイテムは焦って売り切ろうとしてもなかなかうまくいかない。販売を開始してある程度売れたら,粘りすぎずにあっさり次回に持ち越すのがスマートなやりかたらしい。町中にいるときに"範囲"チャットに注意しておき,自分の持っているアイテムを今欲しがっている人がいたら,そのときに話しかけてサッと売るのもいい感じだ。

 そんな具合に地道に稼いでいたら,所持金が10貫程度になった。ものを売っているときに周りのプレイヤーキャラクター(以下,PC)の売り物もチェックしていたので,いくつか新しい装備品も購入できた。
 これまでの初心者用装備は,単価が安いためかそもそも扱っているPCがいなかったので,店売りのものを購入して使ってきた。しかし,最近はもうお店で買う気になれない。同じものでもPCから買えば半額以下で購入できるのだ
 今回買ったのは,まず「漆塗りの首飾り」。これが首装備で650文。「堅革の腹巻」が1貫500文。どちらも店で買ったらこの数倍はしてしまうものである。

 何を買うにも基本的にはPCから買ったほうが安くあがる。そのときに欲しいものを扱っているPCが都合良く見つかることは少ないので,探し物がある場合はこまめに両替前をチェックする。見つかった場合はあまり迷わずにスパッと買ってしまったほうが後悔は少ない
 見つからない場合は「また今度」とサッパリ諦めて,ほかのことをしていたほうがいいのはアイテムを売るときと同じようである。

 それにしても,これほどまでに生産関連の活動をすることになるとは,このゲームを始めたころにはまったく考えてもいなかった。
 戦闘行為と生産行為を切り離してしまわずに,両方を同時に楽しめるようにゲームをデザインするのは,かなり大変なことなのではないかと想像する。最近はMMORPGが非常に多くリリースされていることもあり,正直いって本作に挑むときにも「またどこかで見たようなゲームなんだろうな」などと少し思っていたのだが,なかなかどうして。このあたりの細やかな設計は,さすが国産メーカーといった感じである。

 

 さて,生産技能を向上させるための修行は続く。自分で採ってきた竹をバリバリと楊枝に加工する。しばらくこれを続けていたのだけれど,なんだかほかのものを作ったほうがいいような気がしてきた。
 第一の理由は,楊枝をいくら作っても,誰にも買ってもらえないこと。楊枝は使い道がないアイテムなので,売ってる人も買ってる人も見たことがない。せっかくやってるんだから,やっぱり人に売りたいなあ,と。
 二つめの理由は,どうも楊枝は効率が悪そうだということ。侍の採集技能"伐採"が使えるポイントには2種類ある。木材系材料が採れるところと,竹系の材料が採れるところだ。楊枝の材料である「竹」が採れるのはもちろん後者だが,侍の大切な収入源である「ヒノキ材」が採れるのは前者。竹ばっかり採っていると,このヒノキ材が採れなくなってしまうので,おサイフがつらいことになる。
 加えてヒノキはこの次の段階の生産の材料らしいので,少し蓄えておきたい気持ちもある。だから,ヒノキ材と一緒に採れる「木材」や「白木の棒」を使って作れるものを作りたい。そこで候補に挙がるのが,「木柄」だ

 「木柄」は鍛冶屋が生産に使うようなので,PCに売ることができる(と思う)。材料は 木材×1,白木の棒×1,研草×1 なので,上記の条件にも合致する。研草は侍自身では採ることができないが,そんなに高いものではないので店で買ってもいいような気がする。

 そんなわけで早速試してみる。蓄えてあった木材と白木を両替から出して……っと,いきなり重量オーバーで両替の前から一歩も動けない! この方法はダメだ。研草を買ってきて両替商の目の前で作ろう。

 やってみると修得度の入り方は楊枝作りとそれほど変わらない。うまく儲けが出るようならこっちのほうが良さそうだ。作ったものの一部をお店まで運んで買い取り価格をチェックすると……ううーん,ダメだ。ベンダー売りでは研草(一つ5文)分の元すら取れない!
 キャラクターの"魅力"の値が高ければもう少しなんとかなるのかもしれない。このときばかりは魅力の低さが恨めしい……。でも多分大丈夫。使った材料と出来上がった木柄の個数から計算してみると,一つ3〜4文で売ることができれば儲けが出そうである。木柄はベンダーから買うと一つ23文なので,この値段なら買ってくれる人もきっといるに違いない!

 木材の蓄えはたんまりあるので,研草を大量に買い込んでどんどん木柄を作っていく。そのうち修得度が溜まり,次の生産技能である「矢作成」を覚えた! しかしこれはとりあえず置いといて,引き続き木柄を作り続ける。材料を使い切るころにはかなりの量の木柄ができた。両替に入れられるアイテム個数の上限に近い。これ,調子に乗って作っちゃったけど売れなかったらどうしよう……。

ごっそり抱えて販売開始。重い。

 とにかく売ってみなければ始まらない。800個近くある木柄を背負って,両替の外に出ようとすると,うっ! これまたすんごく重いです歩けません! 最大重量の10倍ある。
 でもこれまとめて大量に売りたいから自分で持ち歩きたい。そうしないと売却品リストに所持個数が表示されないのだ。ということは? まさにここで,この両替商さんの真横に立って売らなければイケナイということなのかっ!?

 もう開き直ったっ。どうせこんなに重いものを売るときは,相手の人にも両替に近寄ってもらわなければならないのだ。なるべく人の邪魔にならないところから,両替のほうに腕を伸ばしてすべての木柄をつまみ出す。値段を設定して……これでよし! さあ,誰か買ってください〜。

 ……。
 ……結局このときは,しばらく粘ってみたものの,一本も売れませんでした。もう両替のキャパシティもパンパンなので,これを売らないことにはほかのこともしづらい。い,いったいどうすれば……。

山のように……

 

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