第四回 楊枝削り

 甲斐での狩りは続く。
 甲府の町の門前は,いろいろなレベル帯のキャラクターでにぎわっている。筆者のキャラはまだレベル10そこそこだが,レベル20以上のキャラも少なくない。筆者のプレイする烈風伝サーバーはPC版の発売と同時に立ち上がった比較的"若い"サーバーなので,レベル30台,40台というキャラはまだ少ないようだ。
 どうもこの甲府の近くにはレベル20台程度の人が挑む「昇仙峡」というダンジョンがあるらしい。いつかレベルが上がったらぜひ行ってみたい場所の一つだ。少しでも早く行けるように,今日もハンティングに励もう。

 このところは,もっぱら「夜盗」か「毒蛇」を狩っている。徒党を組んでどこに行こうかという話になったときは,まずこの二つが候補に挙がる。人気の理由は,"術"や"行動不能付加"といったイヤな特殊攻撃をしてこないこと。そのため,こちらの攻撃が滞りなく進み,狩りの回転が速まり,効率の良いプレイができるのである。二つめの理由は,経験値よりも修得度を求めるプレイヤーが多いことにある
 レベル10台前半のキャラクターにとって,夜盗や毒蛇はいわば格下の敵だ。そのため倒してももらえる経験値は少ない。また経験値は徒党の人数で割った分しか入らないので,この面においては非効率的ですらある。しかし修得度稼ぎとなると話は別。徒党を組んで敵を倒した場合,技能を覚えるために必要な修得度は,ソロでその敵グループを倒したときと同じ分だけ手に入る。"徒党を組んで手早く倒せる敵を速いペースで狩り続ける"ことが多くの修得度を得るコツなのだ

 そんなわけで,いまのところ経験値よりも修得度のほうが速いペースで溜まってきている。
 最近覚えた技能の中で気に入っているのは,「守護術応用」。コマンド入力なしで自動的に発動し,味方の直接攻撃ダメージを肩代わりする「守護術入門」の上位バージョンだ。これまでより頻繁に"守護"が出るようになったので,戦闘がますます楽しくなってきた。
 そして「連撃」も覚えた。こちらは一度に2回攻撃することで,敵に与えるダメージを増やす技能だ。徒党でのプレイでは術連携に乗っかって攻撃することのほうが多いのであまり使わないが,連携の起点となれる職業がいないときなどに重宝する。

 このように技能も増え,徒党内での立ち回りにも慣れてきたが,実はまだまったく成長していない部分がある。そう,生産関連だ。
 徒党の盾役としては少しでも性能の良い防具が欲しいところだし,ダメージを受ける機会が多ければ防具の修理にもお金がかかる。ゲームを存分に楽しむためにも,戦闘能力に合わせて,生産でお金を生み出す能力も身につけておきたいと思うのだ。
 なんでも侍は,お金の稼ぎづらい職業らしい。侍の素材集め技能"伐採"で採れる生産材料はほかの職業から人気がないし,生産可能物は他職業が使う素材がメインなので,「侍といえば○○だよね!」といえる目玉商品がないことが理由のようだ。また"魅力"の値を低く設定しているキャラクターが多く,商人を利用するのがニガテな傾向にある。
 とはいえ誰にだって弱点の一つや二つはある! ヘコんでいてもしょうがないので,ポジティブに生産に挑戦していこう。

 まずは材料を採りにいく。伐採ポイントはすでにチェック済みだったので,まっすぐにそこに向かい腰を据えて伐採を開始する。
 技能を一度使うと決まった量の"気合"が減り,少なくて0,多くて3種類程度の材料が採れる。βのときの失敗を踏まえて,容量の多い袋もすでに購入済みだ。荷物がいっぱいになったら両替まで預けに行き,ときおり場所を替えつつひたすら伐採を続ける。何度か繰り返していると5種類ほどの材料が集まった
 まず「木材」と「竹」。これはごく基本的な材料のようで,かなりの数が集まった。次に「白木の棒」が採れる。木材の4分の1程度の量が集まった。残りの「ヒノキ材」と「鳳尾竹」は比較的レアのようで,どちらも数個しか集まらなかった。
 うむ。確かに忍者で「材料収集」をしていたときに比べると,品目も採れる個数も少ない気がする。でもめげない。

 次はこれらの相場を調べにいく。素材は普通の店に売るとかなり安く買い叩かれるので,基本的にはPCに売るほうがいいのだ。そのためにPC間取引の相場を調べる必要がある。
 両替所の前で「売却品有」の状態になっているPCを覗いて回り,さらに店から買った場合の値段もチェック。分かったことをまとめ,予想した値段は以下のようになる。

素材 ベンダー販売価格 予想PC間相場
木材 9文 3文
9文 3文
白木の棒 17文 6文
ヒノキ材 575文 200文
鳳尾竹 230文 120文


 ベンダーで売っている価格は魅力の低い筆者のキャラクターから見たものなので,実際の平均価格はもっと安いはず。相場予想価格はベンダー価格の4割程度を基本値として,PCが実際につけている値段も加味して考えた。もっと高値や低値で取り引きされていることも多々あるようだ。
 なるほど,忍者のときは平均価格が1〜2文の「水」「消し炭」なども採れていた。侍の場合は一番多く採れる木材や竹でも3文程度で売れるので,その分採れる個数が少なかったのだろう。納得。
 すべてを売ってしまって武具をグレードアップするのもいいが,今回の目的は生産技能の向上だ。材料を集めるだけでは生産用の修得度は得られないので,使えるものは生産に使い,残りをPCに買ってもらうことにしよう。侍の生産に必要な道具は木工具。さっそく雑貨屋まで買いにいく。

 250文程度で購入。とりあえず手持ちの素材だけで作れるものは……あった! 竹×3で作れる「楊枝」だ。これを作って生産の修得度を得て,残りの材料は売ってしまおう。
 連続で楊枝を作ると1000本以上できた。しかし,この楊枝って何に使うんだろう……。アイテムの詳細を見ると【材料】となっているので,ほかの職業が使う生産材料なのかもしれない。そう思って調べてみたら,どうも現在のところはなんの役にも立たないアイテムだと分かった。まあ,元々材料は全部自給でお金がかかっているわけではないので,全部店に売ってしまおう。修得度も入ってお金にもなるのだから文句はない。

 そんな具合に竹を使い切り,残りの材料を売りさばいたら,2貫以上の貯金ができた! やはり戦闘とは別に生産関連でお金を儲けていくことが,本作では重要なようだ。早くより多くのものを作れるようになりたい。
 しかし今回楊枝を大量に作ったが,得られた修得度はほんの少しだった。これをまだ何度も繰り返さないと,次の段階に進めないようである。楊枝削りか……。武士の内職というと傘貼りを想像するが,それに通じるものがある。侍らしいといえば侍らしい気もする。一つなりきって進めてみることにしよう。

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