千葉,土屋両氏による興味深いデモのあとには,AceGamer.netの犬飼博士氏("はかせ"ではなく"ひろし"と読む)により,日本とアジア各国・欧米の「e-Sports」の現状についての報告と,CPL2003(Cyberathlete Profesional League)の紹介が行われた。 ●Johnathan Wendel(ハンドル:Faital1ty)(米国)FPSの大会があれば,世界中のどこで開催されようとも駆けつけ必ず優勝,または上位に食い込んでくるプロゲーマー。ゲームで得た収入を元手にPCグッズの専門ブランド(その名も"Fatal1ty")を立ち上げ,ゲーマー専用のマウスやマウスパッド,Tシャツなどの各種グッズを販売している(余談だが犬飼氏によると,販売中のマウスなどは日本人の手にはちょっと大きめだとか)。
●イン・ヨハン(韓国)韓国でも未だに人気の高いRTS「StarCraft」のトッププレイヤー。同国ではもはや完全に国民的アイドルと化しており,彼の周りは常に報道陣で賑わっているし,子供達にはところ構わずサインをねだられる。ちなみに彼は,現在韓国で放送中のIntelのCMにも起用されている(正直,ちょっとうらやましいかも……)。そんなわけで,かなり良くできた取材映像(お見せできないのが非常に残念……)では,海外のe-Sportsがかなりの盛り上がりを見せており,また大会で上位に入賞するプロゲーマーは多くの収入を得ていることなどが強調されていた。……そのことが,かえって日本と海外のゲーム事情の温度差を感じさせてくれたわけだが――。 CPLにしろWCGにろ,大会の賞金総額は数千万円にのぼり,優勝したプレイヤーは(有名になれば)プロゲーマーとして十分に生計が立てられるほどの収入を得ることになる。そのほか,韓国のプロゲーマーなどはテレビというメディアの取材対象にもなるので,スポンサーがついて広告塔としての収入も得られるのだ。現状,日本のゲームプレイヤーと比較するのはちと酷だが,日本でなんとか"プロゲーマー"として認められているのは,おそらく先のWCGで優勝したHalenぐらいだろう。しかし彼ですら,プロゲーマーとして"成り立つ"には至っていないのだ。 この現状は,単純にPCゲームおよびゲーム大会そのものの知名度が高まらない限り変わることはない。とはいえ,現段階では大会の告知や予選大会の運営だけで収益が得られるような(ましてや多くのスポンサーがつくような)構造にはなっていないため,満足に広告・宣伝ができないというのが,日本国内大会関係者の本音のようだ。 そのような日本のe-Sportsの未来を左右するのが,まさに2003年。今年はCPLの日本上陸元年ともいえ,7月6日に行われる日本国内予選でも,賞金総額120万円(本戦への渡航費と宿泊費がほとんどだが……)が用意されている。すでに日本予選参加チームこそ決定してしまったが,大会を盛り上げる意味で,また次回CPL挑戦へ向けて(?),AceGamer.netのCPL2003公式サイト「こちら」をチェックしてみてほしい。日本代表チームの本戦での活躍に期待しよう。 |