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Meltdown 2001緊急レポート 4/5
――DirectX 8.1に見るパソコンゲームの進化と今後
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2001/07/27
Text by 奥谷海人
DirectX Audio
DirectX Audioもまた,DirectX7.0まではそれぞれ「DirectSound」「DirectMusic」として存在していたAPIを統合したもので,DirectX Graphics同様,プログラムの簡素化に成功し,CPUやメモリへの負担を大幅に軽減している。
DirectX AudioはDLS2.0シンセサイザを頂点にし,すべてのサウンド生成やミキシングはすべてDLS2.0で行われている。さらにそのデータがDirectSoundバファーに送られ,オーディオ効果のプロセッシングや3Dポジショニングが行われるという仕組みなのだ。ソフトウェアは,もはやウェイブを分別したり,コピーしたり,それらの情報をDirectSoundバファーにストリーミングしたりする必要性はない。ウェイブ再生はDirectMusicのマスタークロックを基準とするため,ウェイブは制作者に意図された地点で,自動にシンクさせることができるのである。
DLS2.0(Downloadable Sounds 2.0)は,マイクロソフト,クリエイティブテクノロジー,マサチューセッツ工科大学を柱に,MMA(MIDI Manufacturer Associations)によって提唱されたMIDI音源の規格である。DLS2.0をサポートすれば,ハードウェアベンダーの機種ごとの音質に差が出てしまうのを防げるという仕組みだ(そしてそういう目的で作られたものなのだ)。さらにDirectX Audioには,クリエイティブテクノロジーのサウンドフォント技術をライセンスし,コーラスやエコー,フランジ,ディストーションのような,さまざまなリバーブ効果が実現できるようになっている。
DLS2.0はまた,DirectMusicの中心的役割を果たしている。DirectMusicは,いうなればサウンドやBGMのスクリプト(脚本)化やその編集を担うもので,単調になりがちなゲーム音楽をインタラクティブにしたものだ。
例えばRPGにおいて,NPCと会話しているときは静かな音楽なのに,建物の外に出て敵と出くわした途端に激しい音楽に変わる……ということを,従来のようにひとつ一つの音楽にキュー出しすることなく,スムーズに実現してくれる。テンポやリズムの違う音楽でも,まるで一つの音楽が続いているかのように表現してしまうのだ。
インタラクティブ性の高いゲームにおいては非常に革新的な要素であるといえ,新しいゲームの楽しみ方さえも提示する新機能になりえる。サウンドコンポーザーがプログラミングに関する知識をほとんど必要とせずに,サウンド効果や音楽の作曲に専念できるのも強みである。
しかし,すでにDirectMusicが発表されてからは3年が経つが,DirectMusicのインタラクティブ性を生かしたゲームはとても多いとは言えない。それでも,去年の時点で100以上のソフト開発者がサポートを表明しているといわれ,今後耳にする機会も増えていくことだろう。DirectX 9.0では,目立った変化はないようだ。
DirectPlay
DirectXでネットワークに特化したAPIがDirectPlayである。DirectX 8.0では,それまでのコアだったIDirectPlay4から,最初から全く新しくプログラミングされたIDirectPlay8となり,ネットワークパフォーマンスが劇的に向上した。メディアとは独立しているために,TCI/IPやIPXはもちろんケーブルやモデムのコネクション,そして今後台頭することも予想されるIpv6やマルチキャスト,QoSプロトコルなどに対応している。DirectXのバージョンアップに合わせる形でDirectPlayも自動的に改良されるので,ソフト製作者のサポートの負担が軽減されるのも魅力的だといえる。
IDirectPlay8はスケーラブルなアーキテクチャとなっており,1対1の対戦から大型のマルチプレイヤーモードまでをサポート。ホスト移動やプレイヤーグループの管理から,メッセージ機能や参加者のトラッキング,レイテンシやパケットロスの状況までを探る。
DirectPlayには"DirectPlay Lobby"と呼ばれるサブAPIが装備されており,ゲーム製作者がマッチメイキングやチャットルームを可能にするロビーの開発を簡単に行えるようにしている。DirectPlay VoiceもDirectX 8.0移行に導入されたサブAPIで,プレイヤー同士によるリアルタイムでのチャットをサポートしている。バンド幅に合わせて音声コードを64Kbpsから1.2Kbpsまでの広い領域に調節することができるなど,多用なネットワーク環境にも対応できるようになっているのだ。
さてDirectPlayは,DirectX 9.0においていくつかの改良点が追加されることになっている。まず"ハードウェアから独立したAPIとなる"ことで,これはつまりWindows以外のシステムでも互換性を持てるようにするということだ。例えば,PS2のゲームでもDirectPlayを使ったネットワークゲームを製作し,さまざまなプラットフォームを介してプレイヤー同士が対戦できることになるかもしれないという。
マルチキャストにも本格的に対応する模様で,ゲームセッションに実際のプレイヤー以外の"観客"が出入りできるようになる。さらにユニバーサル・ゲームタイム (Universal Game Time)という仕様が考案されており,クライエント間で寸分狂わぬ時間を共有することになるかもしれない。これらは,レイテンシやセキュリティの面でもハードルが高いが,ネットワークゲームの進化には必要な要素で,今後のマイクロソフトの動向がますます気になるところだ。
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